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Ⅳ 眠る魔女
vii 侯爵の家令ジェームズ
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「ッチ、気がついちまったたか」
タイミングの悪さに舌打ちするカルロス。
その視線の先、縛られたまま転がされていた侵入者が目を開き、頭を振り振り周りを見回している。
だがやっと自分の置かれた状況に気がつき、慌てて前かがみでカルロスに怒鳴り始めた。
「お前! よ、よくもこの僕にこんな真似を! 僕の顔を殴ったな。このトレルダル家五男、チャールズの顔を!」
言葉は強気だが、下半身は丸出しである。
おかげでアズレイアはそちらをしっかり見れないのだが、カルロスはわざわざこの男に隠すものを与える気はないらしい。
名乗りが正しければこの男、トレルダル侯爵の縁者だろう。
だがだからといってカルロスに躊躇する様子はない。
「殴ったが、だからなんだ? もう一発殴っとくか? それとも潰しとくか?」
言葉とともに、カルロスのつま先が男のイチモツに向かって一歩踏み出された。
それを見たチャールズが、驚愕の形相で悲鳴のような情けない反論を繰り返す。
「お、お前、何を……うわ、やめろ、潰すな、僕を蹴っちゃいけないんだ! 僕は偉いんだぞ!」
自分が名乗ったにも関わらず、目前の男が臆することなく自分を足蹴にしようとするのが信じられないらしい。
そんなチャールズを見下ろして、首をかしげたカルロスがポンと手を叩いた。
「そうか、じゃあ剣にしとくか」
全く引かないカルロスに、やっと危機感を覚えたチャールズが、慌てふためいて芋虫のようにズルズルと後退しはじめる。
「見てろよ、おじいさまに言いつけてやる!!!」
そしてカルロスの蹴りが届かない部屋の端に縮こまって、犬のように吠えた。
「好きにすればいいさ。まあ、その前にそのまんまの姿で城内を引きずり回してお前が強姦魔だって言いふらしてやるがそれでいいんだな!」
語尾に凄みを利かせたカルロスの恫喝に、ビクンと震え上がったチャールズが頬をヒクつかせてとうとう黙った。
こうなると、流石に弱いものいじめをしているようで、バツが悪い。
震えるチャールズを見下ろして、カルロスが深いため息をこぼす。
「っとに。あの家令を見たときから悪い予感はしてたんだが、全く」
頭をかきつつ一人愚痴をこぼすカルロス。
そして疲れたようにチャールズの前にしゃがみ込み、その顔をハスに睨みながら詰問を始めた。
「それで、お前はなんでアズレイアを狙った?」
カルロスに問われ、一瞬ちらりとアズレイアを見た男が、またカルロスに向き直って不貞腐れたように口を開く。
「レイモンドが教えてくれたんだよ」
唐突にチャールズの口から出された名前を聞いた瞬間、アズレイアの表情が凍りついた。
それをチラ見したカルロスが、やはり表情を苦く歪める。
そんな二人の様子に気づかずに、チャールズが世間話のように話し始めた。
「学院の研究論文がどうしても進まなくてさ。誰も教えてくれないし、手伝ってくれないし。でもほら、もうすぐ提出時期がきちゃうじゃないか」
多分、魔術学院の学生なのね。
アズレイアが冷え切った胸の内で思う。
が、頭では全く違うことを考えていた。
「だから僕の教育係をしているレイモンドに相談したら教えてくれたんだ。この女を妾にでもしてやれば、喜んで研究論文を差し出すだろうって」
そうか、そういえば、いつかモントレー伯爵家も王族に近しい家系だって聞いた気がする。
教育係、ね。そんなこともあるわよね。
冷静にそう思う自分もいる。
だけど胸の奥に煮えたぎるのは冷たい炎だ。
やっと忘れたと思った今頃、なぜまたこの名を聞くことになるのだろう。
これは今、また色恋にうつつを抜かそうとした、自分への罰なのだろうか。
「『傷物の塔の魔女相手に遠慮することはない』だってさ。最悪、孕ませてしまえば彼女を妾にするのは容易いだろうって。いやほんと頭いいよね。だって『塔の魔女』ってあれだろ? 農民出のくせに部屋に男を引き込んでその研究で学院を卒業したっていう──」
「あの野郎……!」
「──そんなアバズレ、誰も相手にするわけないじゃん。論文のためとはいえ、この僕がそんな女を妾にしてやろうって言ってるんだぞ。それを断るとか無礼にも程があるだろ」
黙り込んだアズレイアを見て、やっと自分の権威が伝わったとでも思ったのか、チャールズが勢いづいて喋り続ける。
調子よくペラペラと喋るチャールズは、低い唸り声を上げたカルロスがこぶしを握りこんだことにも気づかない。
「だからこうやって僕が直接主従の礼儀ってものを教えてやろうとしたんだよ。躾けだよ躾け。わざわざ出向いてやったんだから、こっちが感謝してほしいくらいだ」
もうたくさんだ。
そう思ったカルロスが握ったこぶしを振り上げようとしたその時。
── トントントン
扉をたたく低い音が響き、それが二人の代わりにチャールズの話に終止符を打った。
☆ ☆ ☆
「夜分遅くに失礼いたします」
カルロスが開けた扉の前にたたずんでいたのは、今朝も見たトレルダル家の家令だった。
「ご無礼を承知でお聞きしますが、こちらにチャールズ坊ちゃまがお邪魔しておりませんで──」
無表情にそこまで言って、縛り上げられ、床に転がされている下半身丸出しのチャールズに視線が向いた。
マズイわ、流石に貴族のご子息にこの仕打ちはないわよね……
これは怒るだろう、そうアズレイアは覚悟したのだが。
「坊ちゃま。またですか!」
「ジェ、ジェームズ、お前なんでここに──」
チャールズの姿を目にした途端、それまでの鉄仮面を脱ぎ捨てた家令がガックリと肩を落とした。
そしてそのままアズレイアの許可も取らずに勝手に塔に入り込み、スタスタとチャールズの後ろまでくると、アズレイアとカルロスに向かって深く頭を下げる。
「本日はチャールズ坊ちゃまがこちらで大変ご迷惑をおかけした様子。誠に申し訳もなく侯爵家の者としてまずは謝罪させて頂きたく──」
「おい、待てジェームズ! なぜお前が頭を下げる! 僕はまだこいつらに言いたいことが──」
突然謝罪をはじめた家令の様子に、二人して拍子抜けしてしまった。
だがそんな二人の目前で、いま頭を下げた家令がそのまま下半身丸出しのチャールズをヒョイッと肩に担ぎ上げて一礼する。
「夜分遅くに大変失礼いたしました。それではお坊ちゃま共どもこれにて失礼させていただきたく存じ──」
肩の上で騒ぐチャールズを無視した家令が慇懃な態度で早口に挨拶を終わらせたかと想うと、またスタスタと塔のたった一つの出口へ向かって歩きだす。
あまりにも自然なその流れに、二人とも判断が一瞬遅れた。
「待て!」
が、そこでやっと気づいたカルロスが、家令と出口の間に体を割りこませてその行方を阻んだ。
止められた家令は一瞬ムッとしたが、すぐに表情を消し去った顔でカルロスを見つめ返す。
しばらくの間続いた無言のにらみ合いの後、家令が先に視線をそらし、はぁと疲れたため息をひとつ。
そして、微かに声を落としてカルロスに尋ねた。
「お詫びは後日改めましてお伺いさせていただきます。カルロス様、その間、どうぞ今夜の一件につきましてはご内聞にお願いできますでしょうか」
それは質問の形をとってはいるが、その声音はどうやっても口止めにしか聞こえない。
しかもなぜかカルロスを名指しで聞いた。
家令の言葉にどこか違和感を感じるも、問われたカルロスの様子にアズレイアはすぐそチラに気をとられてしまう。
それまでと打って変わって黙り込んだカルロスが、苦虫を潰したような渋い顔で家令を睨む。
やがてカルロスが答えられないことを確認した家令は、その目元に微かな笑みを浮かべて丁寧に会釈した。
「それでは失礼します」
無言で見送る二人を塔に残し、独り騒ぎ続けるチャールズを担いだ家令は当然のように堂々と去っていった。
タイミングの悪さに舌打ちするカルロス。
その視線の先、縛られたまま転がされていた侵入者が目を開き、頭を振り振り周りを見回している。
だがやっと自分の置かれた状況に気がつき、慌てて前かがみでカルロスに怒鳴り始めた。
「お前! よ、よくもこの僕にこんな真似を! 僕の顔を殴ったな。このトレルダル家五男、チャールズの顔を!」
言葉は強気だが、下半身は丸出しである。
おかげでアズレイアはそちらをしっかり見れないのだが、カルロスはわざわざこの男に隠すものを与える気はないらしい。
名乗りが正しければこの男、トレルダル侯爵の縁者だろう。
だがだからといってカルロスに躊躇する様子はない。
「殴ったが、だからなんだ? もう一発殴っとくか? それとも潰しとくか?」
言葉とともに、カルロスのつま先が男のイチモツに向かって一歩踏み出された。
それを見たチャールズが、驚愕の形相で悲鳴のような情けない反論を繰り返す。
「お、お前、何を……うわ、やめろ、潰すな、僕を蹴っちゃいけないんだ! 僕は偉いんだぞ!」
自分が名乗ったにも関わらず、目前の男が臆することなく自分を足蹴にしようとするのが信じられないらしい。
そんなチャールズを見下ろして、首をかしげたカルロスがポンと手を叩いた。
「そうか、じゃあ剣にしとくか」
全く引かないカルロスに、やっと危機感を覚えたチャールズが、慌てふためいて芋虫のようにズルズルと後退しはじめる。
「見てろよ、おじいさまに言いつけてやる!!!」
そしてカルロスの蹴りが届かない部屋の端に縮こまって、犬のように吠えた。
「好きにすればいいさ。まあ、その前にそのまんまの姿で城内を引きずり回してお前が強姦魔だって言いふらしてやるがそれでいいんだな!」
語尾に凄みを利かせたカルロスの恫喝に、ビクンと震え上がったチャールズが頬をヒクつかせてとうとう黙った。
こうなると、流石に弱いものいじめをしているようで、バツが悪い。
震えるチャールズを見下ろして、カルロスが深いため息をこぼす。
「っとに。あの家令を見たときから悪い予感はしてたんだが、全く」
頭をかきつつ一人愚痴をこぼすカルロス。
そして疲れたようにチャールズの前にしゃがみ込み、その顔をハスに睨みながら詰問を始めた。
「それで、お前はなんでアズレイアを狙った?」
カルロスに問われ、一瞬ちらりとアズレイアを見た男が、またカルロスに向き直って不貞腐れたように口を開く。
「レイモンドが教えてくれたんだよ」
唐突にチャールズの口から出された名前を聞いた瞬間、アズレイアの表情が凍りついた。
それをチラ見したカルロスが、やはり表情を苦く歪める。
そんな二人の様子に気づかずに、チャールズが世間話のように話し始めた。
「学院の研究論文がどうしても進まなくてさ。誰も教えてくれないし、手伝ってくれないし。でもほら、もうすぐ提出時期がきちゃうじゃないか」
多分、魔術学院の学生なのね。
アズレイアが冷え切った胸の内で思う。
が、頭では全く違うことを考えていた。
「だから僕の教育係をしているレイモンドに相談したら教えてくれたんだ。この女を妾にでもしてやれば、喜んで研究論文を差し出すだろうって」
そうか、そういえば、いつかモントレー伯爵家も王族に近しい家系だって聞いた気がする。
教育係、ね。そんなこともあるわよね。
冷静にそう思う自分もいる。
だけど胸の奥に煮えたぎるのは冷たい炎だ。
やっと忘れたと思った今頃、なぜまたこの名を聞くことになるのだろう。
これは今、また色恋にうつつを抜かそうとした、自分への罰なのだろうか。
「『傷物の塔の魔女相手に遠慮することはない』だってさ。最悪、孕ませてしまえば彼女を妾にするのは容易いだろうって。いやほんと頭いいよね。だって『塔の魔女』ってあれだろ? 農民出のくせに部屋に男を引き込んでその研究で学院を卒業したっていう──」
「あの野郎……!」
「──そんなアバズレ、誰も相手にするわけないじゃん。論文のためとはいえ、この僕がそんな女を妾にしてやろうって言ってるんだぞ。それを断るとか無礼にも程があるだろ」
黙り込んだアズレイアを見て、やっと自分の権威が伝わったとでも思ったのか、チャールズが勢いづいて喋り続ける。
調子よくペラペラと喋るチャールズは、低い唸り声を上げたカルロスがこぶしを握りこんだことにも気づかない。
「だからこうやって僕が直接主従の礼儀ってものを教えてやろうとしたんだよ。躾けだよ躾け。わざわざ出向いてやったんだから、こっちが感謝してほしいくらいだ」
もうたくさんだ。
そう思ったカルロスが握ったこぶしを振り上げようとしたその時。
── トントントン
扉をたたく低い音が響き、それが二人の代わりにチャールズの話に終止符を打った。
☆ ☆ ☆
「夜分遅くに失礼いたします」
カルロスが開けた扉の前にたたずんでいたのは、今朝も見たトレルダル家の家令だった。
「ご無礼を承知でお聞きしますが、こちらにチャールズ坊ちゃまがお邪魔しておりませんで──」
無表情にそこまで言って、縛り上げられ、床に転がされている下半身丸出しのチャールズに視線が向いた。
マズイわ、流石に貴族のご子息にこの仕打ちはないわよね……
これは怒るだろう、そうアズレイアは覚悟したのだが。
「坊ちゃま。またですか!」
「ジェ、ジェームズ、お前なんでここに──」
チャールズの姿を目にした途端、それまでの鉄仮面を脱ぎ捨てた家令がガックリと肩を落とした。
そしてそのままアズレイアの許可も取らずに勝手に塔に入り込み、スタスタとチャールズの後ろまでくると、アズレイアとカルロスに向かって深く頭を下げる。
「本日はチャールズ坊ちゃまがこちらで大変ご迷惑をおかけした様子。誠に申し訳もなく侯爵家の者としてまずは謝罪させて頂きたく──」
「おい、待てジェームズ! なぜお前が頭を下げる! 僕はまだこいつらに言いたいことが──」
突然謝罪をはじめた家令の様子に、二人して拍子抜けしてしまった。
だがそんな二人の目前で、いま頭を下げた家令がそのまま下半身丸出しのチャールズをヒョイッと肩に担ぎ上げて一礼する。
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あまりにも自然なその流れに、二人とも判断が一瞬遅れた。
「待て!」
が、そこでやっと気づいたカルロスが、家令と出口の間に体を割りこませてその行方を阻んだ。
止められた家令は一瞬ムッとしたが、すぐに表情を消し去った顔でカルロスを見つめ返す。
しばらくの間続いた無言のにらみ合いの後、家令が先に視線をそらし、はぁと疲れたため息をひとつ。
そして、微かに声を落としてカルロスに尋ねた。
「お詫びは後日改めましてお伺いさせていただきます。カルロス様、その間、どうぞ今夜の一件につきましてはご内聞にお願いできますでしょうか」
それは質問の形をとってはいるが、その声音はどうやっても口止めにしか聞こえない。
しかもなぜかカルロスを名指しで聞いた。
家令の言葉にどこか違和感を感じるも、問われたカルロスの様子にアズレイアはすぐそチラに気をとられてしまう。
それまでと打って変わって黙り込んだカルロスが、苦虫を潰したような渋い顔で家令を睨む。
やがてカルロスが答えられないことを確認した家令は、その目元に微かな笑みを浮かべて丁寧に会釈した。
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