23 / 26
第二十三話 サクラステラへ【ツェリ】
しおりを挟む
山に不死鳥が住んでいるのを知っているとは驚きました。いや、人の目に触れることは今までもありません。私が人と会ったのもアルトリオと出会ったあの時だけ。
きっと、火山活動の激しい時に生まれた宗教なのでしょう。霊峰ポイニクスは長い周期で火山活動をしています。今は大人しくしているので、二百年ぐらいはこのままでしょうけども。
「ツェリ、何か考えごと?」
「はい。昨日お前さまに頂きましたイヤリングがとても嬉しくて寝不足気味なのです」
「そ、そうか。気に入ってくれてよかった」
そう言って耳に付けているイヤリングをみせると、アルトリオは照れくさそうに顔を赤くしています。私がイヤリングを気に入ったのをちゃんと見ていてくれたというのは嬉しいことです。
ということで、昨日が私の誕生日ということになったようです。人間の世界では生まれた日を祝福するそうなのです。そういうわけなので、とりあえず十五歳ということになりました。
つまり、来年には結婚が可能な歳になるらしいです。ようやくアルトリオと番になるチャンスが訪れたようですね。この一年でさらに距離を縮めたいと思います。
「相変わらず見せつけてくれるじゃないか」
おっと、あまり騎士様方を刺激してしまうと昼の鍛錬でアルトリオが大変です。少し話題を変えましょうか。
「ジュード様、お昼の食事は何かご希望はありますか?」
「ツェリ殿、そういうことでしたらまた鍋料理がうれしい。お肉もたっぷり入れてくれると助かる」
食事の話になると、ジュード様の表情は柔らかくなります。すっかり私の料理の虜になってしまいましたね。
馬車を操縦しているヒューゴさんも聞き耳を立てていたようで、うんうんと頷いていらっしゃいます。やはり、体が資本な騎士様ともなると圧倒的肉派なのかもしれないですね。
「お前さまもそれでよろしかったですか?」
「うん、それで構わないよ」
「それではウサギ肉を使った鍋にいたしましょう。臭みを消す野草はお願いしてもいいですか?」
「もちろんだよ」
サクラステラに向かう道のりは、それなりに整備されているものの、村からオースレーベンに来たように周辺を他の騎士様方が魔物を狩り安全を保証するということはオースレーベン周辺のみでサクラステラに近づくほどしておりません。
大きな街道になるので定期的に冒険者に周辺の魔物を討伐させているというのもあるらしいですけど、何よりもサクラステラ側に余計な反応を与えないためとのことらしいです。
あまり大勢の騎士でサクラステラの近くに行くというのはよく思われないことらしい。ということで、夜番はしっかり行わなければならないので、騎士様方の負担はそれなりにありそうです。
今も、ジュード様は欠伸をして少し眠そうにしております。アルトリオが夜番を手伝うと申し出たのですけど「これは、私たちに与えられている仕事だから」とのことで、頑なに断られます。
おそらくですが、アルトリオが夜番に組みこまれると私がその間に眠れなくなるのではと心配されているようなのです。
アルトリオと一緒に寝られないのは嫌なので騎士様方には頑張ってもらっております。それも、あと少し。今日の夕方にはサクラステラに到着出来そうとのことなので、もうひと踏ん張りしてもらいましょう。
そうして、日が沈む少し前に何とか到着したのですけど何やら様子が変です。
「あれがサクラステラの街なのですか?」
「ちょっと物々しい雰囲気がするのは気のせいかな」
アルトリオが不安になるのも致し方ありません。私たちを歓迎しているというよりは、人質を早く寄越せといった荒々しい感じがします。
「ヒューゴ、アルトリオ。私が先に話に行ってくる。二人はツェリ殿をお守りするように。ヒューゴ、私に何かあったら」
「わかっております。二人を連れて安全な場所まで死ぬ気で守り通します」
えーっと……。一体何なのでしょうか。
サクラステラでは顔を見せてすぐにトンボ帰りする予定なのですけど。何なのでしょう。
身振り手振りでジュードさんが説明している後ろ姿を見ているのですが、どうも話が上手く進んでいる感じがありません。
いくら強い騎士様が二人いると言っても、多勢に無勢ではどうしようもありません。私が不死鳥になって暴れれば問題はありませんが、それはそれで別の問題が発生してしまいます。
私の恩返しはまだ始まったばかりなので、まだ正体を明かすわけにはまいりません。それにアルトリオの加護もこの状況を打破するにはまだ力不足です。
「どうしたものでしょうね」
「心配しなくていいよ。何があってもツェリのことは僕が守ってみせる」
うーん、これはあまり良くありません。アルトリオは自らを犠牲にしてでも私を守ろうとしているようです。これでは返す恩がまた増えてしまうではないですか。
そして、話し合いが平行線に終わった様子のジュードさんが馬車へと歩いてくる姿が見えました。サクラステラの要望とやらは一体何なのでしょうか。
サクラステラでアルトリオとゆっくり観光してから翌朝というか昼ぐらいに帰るというプランが台無しです。
きっと、火山活動の激しい時に生まれた宗教なのでしょう。霊峰ポイニクスは長い周期で火山活動をしています。今は大人しくしているので、二百年ぐらいはこのままでしょうけども。
「ツェリ、何か考えごと?」
「はい。昨日お前さまに頂きましたイヤリングがとても嬉しくて寝不足気味なのです」
「そ、そうか。気に入ってくれてよかった」
そう言って耳に付けているイヤリングをみせると、アルトリオは照れくさそうに顔を赤くしています。私がイヤリングを気に入ったのをちゃんと見ていてくれたというのは嬉しいことです。
ということで、昨日が私の誕生日ということになったようです。人間の世界では生まれた日を祝福するそうなのです。そういうわけなので、とりあえず十五歳ということになりました。
つまり、来年には結婚が可能な歳になるらしいです。ようやくアルトリオと番になるチャンスが訪れたようですね。この一年でさらに距離を縮めたいと思います。
「相変わらず見せつけてくれるじゃないか」
おっと、あまり騎士様方を刺激してしまうと昼の鍛錬でアルトリオが大変です。少し話題を変えましょうか。
「ジュード様、お昼の食事は何かご希望はありますか?」
「ツェリ殿、そういうことでしたらまた鍋料理がうれしい。お肉もたっぷり入れてくれると助かる」
食事の話になると、ジュード様の表情は柔らかくなります。すっかり私の料理の虜になってしまいましたね。
馬車を操縦しているヒューゴさんも聞き耳を立てていたようで、うんうんと頷いていらっしゃいます。やはり、体が資本な騎士様ともなると圧倒的肉派なのかもしれないですね。
「お前さまもそれでよろしかったですか?」
「うん、それで構わないよ」
「それではウサギ肉を使った鍋にいたしましょう。臭みを消す野草はお願いしてもいいですか?」
「もちろんだよ」
サクラステラに向かう道のりは、それなりに整備されているものの、村からオースレーベンに来たように周辺を他の騎士様方が魔物を狩り安全を保証するということはオースレーベン周辺のみでサクラステラに近づくほどしておりません。
大きな街道になるので定期的に冒険者に周辺の魔物を討伐させているというのもあるらしいですけど、何よりもサクラステラ側に余計な反応を与えないためとのことらしいです。
あまり大勢の騎士でサクラステラの近くに行くというのはよく思われないことらしい。ということで、夜番はしっかり行わなければならないので、騎士様方の負担はそれなりにありそうです。
今も、ジュード様は欠伸をして少し眠そうにしております。アルトリオが夜番を手伝うと申し出たのですけど「これは、私たちに与えられている仕事だから」とのことで、頑なに断られます。
おそらくですが、アルトリオが夜番に組みこまれると私がその間に眠れなくなるのではと心配されているようなのです。
アルトリオと一緒に寝られないのは嫌なので騎士様方には頑張ってもらっております。それも、あと少し。今日の夕方にはサクラステラに到着出来そうとのことなので、もうひと踏ん張りしてもらいましょう。
そうして、日が沈む少し前に何とか到着したのですけど何やら様子が変です。
「あれがサクラステラの街なのですか?」
「ちょっと物々しい雰囲気がするのは気のせいかな」
アルトリオが不安になるのも致し方ありません。私たちを歓迎しているというよりは、人質を早く寄越せといった荒々しい感じがします。
「ヒューゴ、アルトリオ。私が先に話に行ってくる。二人はツェリ殿をお守りするように。ヒューゴ、私に何かあったら」
「わかっております。二人を連れて安全な場所まで死ぬ気で守り通します」
えーっと……。一体何なのでしょうか。
サクラステラでは顔を見せてすぐにトンボ帰りする予定なのですけど。何なのでしょう。
身振り手振りでジュードさんが説明している後ろ姿を見ているのですが、どうも話が上手く進んでいる感じがありません。
いくら強い騎士様が二人いると言っても、多勢に無勢ではどうしようもありません。私が不死鳥になって暴れれば問題はありませんが、それはそれで別の問題が発生してしまいます。
私の恩返しはまだ始まったばかりなので、まだ正体を明かすわけにはまいりません。それにアルトリオの加護もこの状況を打破するにはまだ力不足です。
「どうしたものでしょうね」
「心配しなくていいよ。何があってもツェリのことは僕が守ってみせる」
うーん、これはあまり良くありません。アルトリオは自らを犠牲にしてでも私を守ろうとしているようです。これでは返す恩がまた増えてしまうではないですか。
そして、話し合いが平行線に終わった様子のジュードさんが馬車へと歩いてくる姿が見えました。サクラステラの要望とやらは一体何なのでしょうか。
サクラステラでアルトリオとゆっくり観光してから翌朝というか昼ぐらいに帰るというプランが台無しです。
0
あなたにおすすめの小説
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
厄災烙印の令嬢は貧乏辺境伯領に嫁がされるようです
あおまる三行
恋愛
王都の洗礼式で「厄災をもたらす」という烙印を持っていることを公表された令嬢・ルーチェ。
社交界では腫れ物扱い、家族からも厄介者として距離を置かれ、心がすり減るような日々を送ってきた彼女は、家の事情で辺境伯ダリウスのもとへ嫁ぐことになる。
辺境伯領は「貧乏」で知られている、魔獣のせいで荒廃しきった領地。
冷たい仕打ちには慣れてしまっていたルーチェは抵抗することなくそこへ向かい、辺境の生活にも身を縮める覚悟をしていた。
けれど、実際に待っていたのは──想像とはまるで違う、温かくて優しい人々と、穏やかで心が満たされていくような暮らし。
そして、誰より誠実なダリウスの隣で、ルーチェは少しずつ“自分の居場所”を取り戻していく。
静かな辺境から始まる、甘く優しい逆転マリッジラブ物語。
【追記】完結保証タグ追加しました
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる