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31話 レイモンド・レイクルイーズ
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レイクルイーズ家に二日連続でお邪魔することになるとは、ちょっと前の自分からは想像できない。今回はシャーロット様やフィオレロさんと一緒に門を入るため、細かなチェック等はなかった。
「警備の方は昨日とは違う方々のようですが、全部で何名ぐらい、いらっしゃるのですか?」
「どのくらいだったかしら?」
「警備の者は百二十名でございます。また警備とは別に公爵軍が約四千名となっております」
さすがはレイクルイーズ公爵家。ここ学園のある街は王都の中にあり、ほとんどの有力貴族は別邸を構えている。
おそらく、この別邸にいる警備兵はいざという時に公爵様をお守りする部隊でもあるのだろう。みなさん、鍛え上げられた体と強者のオーラが出ている気がする。
「それで、今日は公爵様はいらっしゃるのですか?」
「お城へ行っているはずだけど、そろそろ戻ってくる時間だと思うわ。私が学園に入学してから、ずっとこちらに滞在しているの。もう少し子離れしてもらえるといいのですけど……」
「レイモンド様は、シャーロット様を心配されているのです。上級召喚獣を呼び出したことで、厳しい戦いに赴かれることになってしまうこと、他の生徒から疎まれてやないかと気にかけておられました」
「うーん、尊敬の眼差しとかはありましたけど、疎まれるようなことはなさそうですよね。どちらかというと僕の方が、何であいつが上級召喚獣をとか思われているはずです」
そういう意味で僕は学園で、わかりやすく力を見せなければならないのだろう。一応テオ様のファイアベアーを倒してはいるけど、見た目的にも運というか、まぐれ感がとても強い。
「上級召喚獣を呼び出した以上、注目されることに変わりありません。ですから、私たちは力を示していかなければなりませんわ」
シャーロット様からは決意のようなものが感じられる。貴族として生まれ育った環境もあるのだろうけど、僕のようなモンスターから身を守れればいいぐらいの感覚とは違う。一歩先を見ている気がする。
「シャーロット様は、ルーク様が上級召喚獣を呼び出したことを、とても喜んでおられました」
「切磋琢磨し合える仲間が、近くにいることはとても喜ばしいことですわ」
「そうですね。ちょっと特殊な召喚獣ですけど、僕も頑張りたいと思います!」
「ふふふっ。よろしくね、ルーク」
「はいっ!」
「シャーロット様、レイモンド様の馬車がございます」
「今日は早かったのですね。よかったわ。食事の前に話ができそうだわ」
「あ、あのっ、夕御飯をご一緒する感じなのでしょうか?」
「昨日は断られてしまいましたからね。今日は大丈夫ですよね?」
「は、はい。そ、そうですね……」
遅かれ早かれ、食事をすることにはなるだろう。それならば、覚悟を決めてしまった方がいい。きっと、これからも公爵様とは、食事の機会がありそうな気がする。
「フィオレロ、夕食前にお時間頂けるか、確認してきてもらえるかしら」
「はい、かしこまりました」
扉を開けて、お屋敷に入ろうとしたところ、中からおそらく公爵様と思われる方が出てきた。
「シャル、お帰りなさい。今日はギルドでクエストを受注したと聞いて心配してたんだよ。どこか怪我はないかい? ソフィアのようなことがあったらと思うとパパは心配なんだよ」
ソフィア? 確かシャーロット様の妹がそんな名前だったような……。
「大丈夫ですわ、お父様。それよりも、友人をご紹介させてください」
「あー、すまない。ご友人が一緒だったね」
「あ、その、ルーク・エルフェンと申します」
「エルフェン……、エルフェンというと、エルフェン商会の血縁の方かな?」
「は、はい。よくご存知でございますね。エルフェン商会の次男坊になります」
「ルークは、上級召喚獣を呼び出した、もう一人の生徒なのですよ」
「なんと、それはすごいね。次男なら商会を継ぐことはないのかな? それならば、卒業後はうちで働くことを考えてもらいたい。高給で雇うことを約束しよう」
すごい、これが上級召喚獣パワーなのか……。
「お父様、急すぎますわ。ルークが驚いているではないですか」
「あー、すまない。上級召喚獣と聞いてしまっては、声を掛けないのは逆に失礼かなと思ってね」
とはいえ、サバチャイさんを見たら考え方も変わることだろう。国とか公爵家の品格とかに、絶対的にそぐわない気がする。
「そういえば、お父様にお話があったのです。収納バッグのことなのですが……」
「うん、うん、ちょっ、えーっ!! 収納バッグ増えてるじゃないか!?」
フィオレロさんの両手には二つの収納バッグがあるのだ。その価値プライスレス。
驚いている公爵様に、僕の召喚獣のスキルを簡単に話して、収納バッグが増えた経緯を説明したのだけど、レイモンド様は渋い表情で何か深く考えこむような仕草をしている。やはり、収納バッグ増やしたのまずかったのだろうか。
「ルーク君、収納バッグの件は了解したよ。登録の変更に関しては、魔法具屋へ行かないと変更出来ないから、公爵紋の入った手紙を用意しよう。手紙を見せれば、すぐに変更してくれるはずだ」
「ありがとうございます」
「その代わりといってはなんだが、ルーク君にお願いがある」
「ど、どんなことでしょうか?」
「シャルも二人に増えるのか?」
「へっ?」
「……お父様。一体、何をおっしゃられているのですか!? まさかとは思いますが、子離れ出来ない変態でしたか」
「レイモンド様、それはさすがに……」
「ち、違うんだ。レイクルイーズ領に戻った時にシャルがいないと、さみしくて敵わんのだよ。ソフィアは体調が芳しくないから寝込んでいるだろう。一年間だけでいい、ルーク君!」
「ルーク、絶対ダメよ。分身はどちらも本物と聞いております。もしも本当に二人になってしまったら、それはどちらも私なのです!」
「えーっと、そういう倫理的なことは許可出来ません。というか、人が増えるかは試したことがありませんので」
「ルーク君、是非試してもらいたい!」
「ダメよ、ルーク。そんなことしたら絶交なんだから」
「えーっと、いつか、試しては見ますけど、例え公爵様のお願いでも、本人の了承を条件にしますね」
「ありがとうルーク」
「ルーク君……」
「警備の方は昨日とは違う方々のようですが、全部で何名ぐらい、いらっしゃるのですか?」
「どのくらいだったかしら?」
「警備の者は百二十名でございます。また警備とは別に公爵軍が約四千名となっております」
さすがはレイクルイーズ公爵家。ここ学園のある街は王都の中にあり、ほとんどの有力貴族は別邸を構えている。
おそらく、この別邸にいる警備兵はいざという時に公爵様をお守りする部隊でもあるのだろう。みなさん、鍛え上げられた体と強者のオーラが出ている気がする。
「それで、今日は公爵様はいらっしゃるのですか?」
「お城へ行っているはずだけど、そろそろ戻ってくる時間だと思うわ。私が学園に入学してから、ずっとこちらに滞在しているの。もう少し子離れしてもらえるといいのですけど……」
「レイモンド様は、シャーロット様を心配されているのです。上級召喚獣を呼び出したことで、厳しい戦いに赴かれることになってしまうこと、他の生徒から疎まれてやないかと気にかけておられました」
「うーん、尊敬の眼差しとかはありましたけど、疎まれるようなことはなさそうですよね。どちらかというと僕の方が、何であいつが上級召喚獣をとか思われているはずです」
そういう意味で僕は学園で、わかりやすく力を見せなければならないのだろう。一応テオ様のファイアベアーを倒してはいるけど、見た目的にも運というか、まぐれ感がとても強い。
「上級召喚獣を呼び出した以上、注目されることに変わりありません。ですから、私たちは力を示していかなければなりませんわ」
シャーロット様からは決意のようなものが感じられる。貴族として生まれ育った環境もあるのだろうけど、僕のようなモンスターから身を守れればいいぐらいの感覚とは違う。一歩先を見ている気がする。
「シャーロット様は、ルーク様が上級召喚獣を呼び出したことを、とても喜んでおられました」
「切磋琢磨し合える仲間が、近くにいることはとても喜ばしいことですわ」
「そうですね。ちょっと特殊な召喚獣ですけど、僕も頑張りたいと思います!」
「ふふふっ。よろしくね、ルーク」
「はいっ!」
「シャーロット様、レイモンド様の馬車がございます」
「今日は早かったのですね。よかったわ。食事の前に話ができそうだわ」
「あ、あのっ、夕御飯をご一緒する感じなのでしょうか?」
「昨日は断られてしまいましたからね。今日は大丈夫ですよね?」
「は、はい。そ、そうですね……」
遅かれ早かれ、食事をすることにはなるだろう。それならば、覚悟を決めてしまった方がいい。きっと、これからも公爵様とは、食事の機会がありそうな気がする。
「フィオレロ、夕食前にお時間頂けるか、確認してきてもらえるかしら」
「はい、かしこまりました」
扉を開けて、お屋敷に入ろうとしたところ、中からおそらく公爵様と思われる方が出てきた。
「シャル、お帰りなさい。今日はギルドでクエストを受注したと聞いて心配してたんだよ。どこか怪我はないかい? ソフィアのようなことがあったらと思うとパパは心配なんだよ」
ソフィア? 確かシャーロット様の妹がそんな名前だったような……。
「大丈夫ですわ、お父様。それよりも、友人をご紹介させてください」
「あー、すまない。ご友人が一緒だったね」
「あ、その、ルーク・エルフェンと申します」
「エルフェン……、エルフェンというと、エルフェン商会の血縁の方かな?」
「は、はい。よくご存知でございますね。エルフェン商会の次男坊になります」
「ルークは、上級召喚獣を呼び出した、もう一人の生徒なのですよ」
「なんと、それはすごいね。次男なら商会を継ぐことはないのかな? それならば、卒業後はうちで働くことを考えてもらいたい。高給で雇うことを約束しよう」
すごい、これが上級召喚獣パワーなのか……。
「お父様、急すぎますわ。ルークが驚いているではないですか」
「あー、すまない。上級召喚獣と聞いてしまっては、声を掛けないのは逆に失礼かなと思ってね」
とはいえ、サバチャイさんを見たら考え方も変わることだろう。国とか公爵家の品格とかに、絶対的にそぐわない気がする。
「そういえば、お父様にお話があったのです。収納バッグのことなのですが……」
「うん、うん、ちょっ、えーっ!! 収納バッグ増えてるじゃないか!?」
フィオレロさんの両手には二つの収納バッグがあるのだ。その価値プライスレス。
驚いている公爵様に、僕の召喚獣のスキルを簡単に話して、収納バッグが増えた経緯を説明したのだけど、レイモンド様は渋い表情で何か深く考えこむような仕草をしている。やはり、収納バッグ増やしたのまずかったのだろうか。
「ルーク君、収納バッグの件は了解したよ。登録の変更に関しては、魔法具屋へ行かないと変更出来ないから、公爵紋の入った手紙を用意しよう。手紙を見せれば、すぐに変更してくれるはずだ」
「ありがとうございます」
「その代わりといってはなんだが、ルーク君にお願いがある」
「ど、どんなことでしょうか?」
「シャルも二人に増えるのか?」
「へっ?」
「……お父様。一体、何をおっしゃられているのですか!? まさかとは思いますが、子離れ出来ない変態でしたか」
「レイモンド様、それはさすがに……」
「ち、違うんだ。レイクルイーズ領に戻った時にシャルがいないと、さみしくて敵わんのだよ。ソフィアは体調が芳しくないから寝込んでいるだろう。一年間だけでいい、ルーク君!」
「ルーク、絶対ダメよ。分身はどちらも本物と聞いております。もしも本当に二人になってしまったら、それはどちらも私なのです!」
「えーっと、そういう倫理的なことは許可出来ません。というか、人が増えるかは試したことがありませんので」
「ルーク君、是非試してもらいたい!」
「ダメよ、ルーク。そんなことしたら絶交なんだから」
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「ありがとうルーク」
「ルーク君……」
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