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34話 今田豪
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俺の名前は今田豪、一応警察官だ。小さい頃は、「今だ、ゴー!」とか言われて、よく走らされていたせいか、運動神経だけはよかった。警察官になったのも、剣道を長く続けていたこともあって、顧問の先生からすすめられたからというのが理由だった。
最近はたまに異世界にも連れていかれる。同僚に話をしたらバカにされそうなので、黙ってはいるが、本当に俺は異世界に行っている。
というか、召喚獣として呼び出されている。人生何が起こるかわからねぇものだ。
「今田巡査長、突然何処へ行ってしまわれたのですか!?」
「あー、わりぃわりぃ。急に婆さんに道を訪ねられてな。道のりを説明していたんだよ。悪かったな」
「いえいえ、後ろを振り返ったら、姿が消えていたので驚きました」
パトロール中に数秒間とはいえ、いきなり姿を消してしまったせいか驚かしてしまったようだな。とはいえ、この程度なら何の問題もない。どうやら呼ばれそうな時が、何となく体感的にもわかるようになってきているので、今後はいきなり目の前から消えていなくなるという事態は避けられそうだ。
「あっ、ちょっと、そこの公衆トイレ行ってくるわ」
「あっ、はい。かしこまりました」
ふぅー、あぶねぇ。サバチャイさん連チャンで呼び出す時あるから、注意が必要なんだよな。ほらっ、きたきたきたっ!
召喚っ!
「あ、あのー、今田巡査長、大の方だったと思うのですけど、出てくるの速すぎませんか? 十秒もなかった気がしますが……」
「お前、覗いてたのか?」
「あっ、いえ、そういうつもりではなかったのですが……」
召喚されている間、どのくらい時間が進んでいるか、わからないだけにタイミングが難しい。今後は、呼ばれる前に時計を確認しておくべきだな……。
「そ、そうか? 一応、パトロール中だしな。警察官なら日頃からスピード感を持って行動しなければならない。お前も訓練しておけよ」
「そ、そんな訓練が必要なんですね……。勉強になります!」
こいつは、今月からやってきたばかりの新人だ。誤魔化すのも楽なので、適当なことを言っているが、真面目にメモをとっているあたりは、なかなかにかわいい後輩だ。
「ところで、その手に持っているのは何ですか? トイレに落とし物ですか」
し、しまった……。俺が持っているのは、ルークさんから召喚料としてもらったポーションの瓶だ。こいつは、ちょっとした外傷や体力の回復に効き目のある異世界グッズだ。
「いや、これは俺の私物だ。持病があって、定期的に摂取しなきゃならねぇーんだよ」
ルークさんから、古びた銀貨を渡されたのだけど、これ持って帰っても何の役にも立たなそうだよなと思った訳で、こちらから提案をさせてもらった。その銀貨で買えるポーションがいいと。
「今田巡査長、持病があったのですね……。体が辛い時がありましたら何でも言ってください! 私で代われるものであればやらせて頂きます」
「お、おう。まぁ、大丈夫だ。体が丈夫でないと、この仕事はやってられねぇからな。このポーションがあれば何の問題もねぇよ」
「ポーション?」
「あー違ぇー、違ぇー。よく効く薬だから俺が勝手にポーションってよんでるんだよ」
「それにしても、変わった飲み薬ですね。その瓶の容器といい、中身のブルーの色味といい、まるでファンタジー世界のポーションみたいですね」
「そ、そうか? そんなことより、パトロールの続きに行くぞ。時間は有限なんだ」
「は、はい!」
どうやらルークさん的にも、ポーションの方がありがたいようだったので助かったと言われた。親父さんの仕事関係で手に入れやすいとのこと。銀貨を大量に渡されても、換金に手間がかかるし、変に疑われかねないだけに正直助かった。
このポーションは、未開封の物で半年ほど日持ちするらしい。半年を過ぎた物は、使い物にならない訳ではなく、都度劣化していくということだ。一年ぐらいでただの水になっちまうから早めに使う必要がある。
さて、俺がこのポーションをどう使おうとしているかというと、もちろん人助けなどではない。ある意味では人助けになるかもしれないけどな。
「今田巡査長は、明日は非番でしたね。ゆっくりされるのですか?」
「そうだな。少し大事な用があるんだよ」
「ま、まさか、デートですか!?」
「違ぇーよ。バーカ」
もちろん、大事な用件というのはこのポーションだ。俺はある新興宗教団体の教祖とアポをとっている。俺はこのポーションを使って奇跡を起こさせる、手助けをしてやることを考えついた。
宗教法人というのは儲かる。税金面で優遇されているのはもちろん、信者は無尽蔵にお金をお布施していく。そして、教祖は信者を集めるため、信仰力を高めるために奇跡を見せる必要がある。ちょっとした外傷ならその場で治してしまうポーションがあれば効果は絶大だ。
必要なのは銀貨ではなく、ファンタジーな異世界グッズなんだよ。サバチャイさんの財布を増やすってのも悪くはねぇー。けれど、札はナンバーリングされているから危険が伴う。よほど大掛かりに増やさない限りは、バレねぇとは思うけど。サバチャイさんには指紋をなるべくつけねぇように注意はしておいた。すぐにATMに持っていくと言ってたから大丈夫だとは思うけどな。
「さて、ポーション一瓶で一千万ぐらいにするか。あまり高すぎてもリピートがなさそうだしな。それにしても、日持ちに制限があるってのは理想的だったぜ。定期的に注文をもらえそうだ」
最近はたまに異世界にも連れていかれる。同僚に話をしたらバカにされそうなので、黙ってはいるが、本当に俺は異世界に行っている。
というか、召喚獣として呼び出されている。人生何が起こるかわからねぇものだ。
「今田巡査長、突然何処へ行ってしまわれたのですか!?」
「あー、わりぃわりぃ。急に婆さんに道を訪ねられてな。道のりを説明していたんだよ。悪かったな」
「いえいえ、後ろを振り返ったら、姿が消えていたので驚きました」
パトロール中に数秒間とはいえ、いきなり姿を消してしまったせいか驚かしてしまったようだな。とはいえ、この程度なら何の問題もない。どうやら呼ばれそうな時が、何となく体感的にもわかるようになってきているので、今後はいきなり目の前から消えていなくなるという事態は避けられそうだ。
「あっ、ちょっと、そこの公衆トイレ行ってくるわ」
「あっ、はい。かしこまりました」
ふぅー、あぶねぇ。サバチャイさん連チャンで呼び出す時あるから、注意が必要なんだよな。ほらっ、きたきたきたっ!
召喚っ!
「あ、あのー、今田巡査長、大の方だったと思うのですけど、出てくるの速すぎませんか? 十秒もなかった気がしますが……」
「お前、覗いてたのか?」
「あっ、いえ、そういうつもりではなかったのですが……」
召喚されている間、どのくらい時間が進んでいるか、わからないだけにタイミングが難しい。今後は、呼ばれる前に時計を確認しておくべきだな……。
「そ、そうか? 一応、パトロール中だしな。警察官なら日頃からスピード感を持って行動しなければならない。お前も訓練しておけよ」
「そ、そんな訓練が必要なんですね……。勉強になります!」
こいつは、今月からやってきたばかりの新人だ。誤魔化すのも楽なので、適当なことを言っているが、真面目にメモをとっているあたりは、なかなかにかわいい後輩だ。
「ところで、その手に持っているのは何ですか? トイレに落とし物ですか」
し、しまった……。俺が持っているのは、ルークさんから召喚料としてもらったポーションの瓶だ。こいつは、ちょっとした外傷や体力の回復に効き目のある異世界グッズだ。
「いや、これは俺の私物だ。持病があって、定期的に摂取しなきゃならねぇーんだよ」
ルークさんから、古びた銀貨を渡されたのだけど、これ持って帰っても何の役にも立たなそうだよなと思った訳で、こちらから提案をさせてもらった。その銀貨で買えるポーションがいいと。
「今田巡査長、持病があったのですね……。体が辛い時がありましたら何でも言ってください! 私で代われるものであればやらせて頂きます」
「お、おう。まぁ、大丈夫だ。体が丈夫でないと、この仕事はやってられねぇからな。このポーションがあれば何の問題もねぇよ」
「ポーション?」
「あー違ぇー、違ぇー。よく効く薬だから俺が勝手にポーションってよんでるんだよ」
「それにしても、変わった飲み薬ですね。その瓶の容器といい、中身のブルーの色味といい、まるでファンタジー世界のポーションみたいですね」
「そ、そうか? そんなことより、パトロールの続きに行くぞ。時間は有限なんだ」
「は、はい!」
どうやらルークさん的にも、ポーションの方がありがたいようだったので助かったと言われた。親父さんの仕事関係で手に入れやすいとのこと。銀貨を大量に渡されても、換金に手間がかかるし、変に疑われかねないだけに正直助かった。
このポーションは、未開封の物で半年ほど日持ちするらしい。半年を過ぎた物は、使い物にならない訳ではなく、都度劣化していくということだ。一年ぐらいでただの水になっちまうから早めに使う必要がある。
さて、俺がこのポーションをどう使おうとしているかというと、もちろん人助けなどではない。ある意味では人助けになるかもしれないけどな。
「今田巡査長は、明日は非番でしたね。ゆっくりされるのですか?」
「そうだな。少し大事な用があるんだよ」
「ま、まさか、デートですか!?」
「違ぇーよ。バーカ」
もちろん、大事な用件というのはこのポーションだ。俺はある新興宗教団体の教祖とアポをとっている。俺はこのポーションを使って奇跡を起こさせる、手助けをしてやることを考えついた。
宗教法人というのは儲かる。税金面で優遇されているのはもちろん、信者は無尽蔵にお金をお布施していく。そして、教祖は信者を集めるため、信仰力を高めるために奇跡を見せる必要がある。ちょっとした外傷ならその場で治してしまうポーションがあれば効果は絶大だ。
必要なのは銀貨ではなく、ファンタジーな異世界グッズなんだよ。サバチャイさんの財布を増やすってのも悪くはねぇー。けれど、札はナンバーリングされているから危険が伴う。よほど大掛かりに増やさない限りは、バレねぇとは思うけど。サバチャイさんには指紋をなるべくつけねぇように注意はしておいた。すぐにATMに持っていくと言ってたから大丈夫だとは思うけどな。
「さて、ポーション一瓶で一千万ぐらいにするか。あまり高すぎてもリピートがなさそうだしな。それにしても、日持ちに制限があるってのは理想的だったぜ。定期的に注文をもらえそうだ」
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