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四十九話目 ランクアップ試験
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ギルド併設の訓練場に案内されると、一組の冒険者パーティを紹介された。彼らは若くしてCランクの冒険者になったそうで、ランクアップ試験の試験官を任される程度にはギルドの評価も高いらしい。
「ご紹介します。疾風の牙のブルックさんです」
「疾風の牙?」
「あっ、パーティの呼び名ですね。有名になると、得意とする戦法に合わせて周りから呼ばれるようになるのです」
「そうなんですね。よろしくお願いしますブルックさん。僕はレックスです」
「こちらこそ。今日登録したばかりの新人さんと伺いました。私たちでみなさんの実力を測れるかわかりませんが、よろしくお願いします」
意外にも礼儀正しいパーティなようでホッとした。Cランクの冒険者なら、彼らと際どい勝負をして見せればDランクぐらいにはしてもらえるかもしれない。みんなを見ると任せろと言わんばかりに頷いている。ちゃんとわかっているようだ。上手く手を抜いてもらいたい。
「それでは、各々一体一にて対戦してもらいます。武器は模擬用を使い、魔法による直接攻撃は無しとします」
僕の対戦相手はリーダーのブルックさんらしい。アイミーには前衛タイプのがっちり体型の戦士、レムちゃんには魔法使いの青年、シュナちゃんの相手は剣士だ。
「それでは、はじめ!」
「うー、にゃー!」
「ふぐおぉっ!?」
秒で、アイミーのパンチが盾持ちの戦士を吹き飛ばし気絶させていた。
「ちょっ、アイミー!?」
「さぁ、まだやってみるか?」
「ま、ま、参りました」
レムちゃんが大量の魔力エネルギー弾を対戦相手に囲うように放出してみせ、いきなり脅しをかけている……。魔法の直接攻撃は禁止だよ、いや、撃ってはいないけどさ……。
「お主の剣は軽い。私を女と思って甘く見たか?」
その横では、シュナちゃんが剣士の模擬刀を宙に弾きながら、カッコいい捨て台詞を吐いていた。
いや、あなた達、やり過ぎだからね……。
「し、信じられません。ほ、本当に新人なんですか?」
「い、一応、そうです。では、僕たちもやりましょうか」
ブルックさんを変に警戒させてしまったかな。それでも、他の三人の動きを見る限りCランク程度なら大丈夫だろう。僕だけでも少しは苦戦してるようにみせたい。ウサ吉、もう一度頼むね。
「身体強化!」
「身体強化!」
!? どうやら、ブルックさんも身体強化魔法の使い手のようだ。疾風の牙、なるほどパーティ名は彼の攻撃から名付けられたのか。双剣の模擬刀をクロスするように構えている姿は牙を剥いて草原を駆けるウルフに見えないこともない。
「つ、強いですね……」
「いえ、まだ何もしてませんけど」
「身体強化魔法を使えるからこそ、その凄さがわかります。私とは雲泥の差です」
まさか、同じ身体強化魔法の使い手だとはね……。ブルックさんの身体強化魔法は、僕の使い始めの頃のような粗いまとい方をしている。これがアイミーや僕クラスになると、必要な箇所、必要に応じた魔力を覆って無駄がなくなる。力の入れどころもしっかり押さえているので、瞬発力とかパワーに大きな差が出てくるのだ。
「試験なので、受けに徹しようと思いましたが、こちらから全力で攻めさせてもらいます」
「あ、あの、ブルックさん!?」
目を疑うかのように、受付のお姉さんがブルックさんを振り返る。
これは、ちゃんと相手をしてあげないと、手を抜いてるとバレそうだ。もう、アイミーとかレムちゃんが、めちゃくちゃやってるし、少しぐらいなら構わないだろう。
身体強化魔法を駆使して、僕の後ろに回り込むブルックさん。近づいては離れるを繰り返しながら、僕の隙を窺っている。こういう時の勝負は一瞬でつく。
「ウインドカッター!」
僕の横から魔法の風がやってくるが、狙いは僕ではなく、地面にぶつけることにあるようだ。
地面を抉る音と巻上がる砂ぼこり。まるでブルックさんを見失ったかのように演じる。右前方から気配を察知するが、これはダミー。砂ぼこりを抜けて剣が飛んでくるのを半歩横にズレて躱す。
本命は、左後方から地面スレスレを猛スピードで突っ込んでくるブルックさん。
右足、左手に溜め、下方から突き上げてくる模擬刀に向け強引にカウンターを合わせる。砂ぼこりで受付のお姉さんにはよく見えてないはず。そのまま、力任せに武器を破壊してしまう。
「ぐはっ!」
手首を押えるようにしてうずくまるブルックさんの首もとに、僕の剣が置かれている。
「そ、そこまでです。こ、これは、レックスさんの勝利ということですね……」
「は、はい。私の完敗です。少なくとも、みなさんにCランク以上の能力があることを認めます」
「そ、そのようですね。新人冒険者としては異例ではありますが、レックスさんのパーティ全員をCランク冒険者として登録させて頂きます」
「い、いきなりCランクになれるんですね……。あ、ありがとうございます」
初日にCランクになってしまったけど、まだ本気を出しているわけでもないので、このぐらいに留めておけばいいのかな。みんなにも話をして、誰かに見られている時は無茶苦茶をしないように注意しておこう。もう少し自重してもらわないと目立ってしまう。
「ご紹介します。疾風の牙のブルックさんです」
「疾風の牙?」
「あっ、パーティの呼び名ですね。有名になると、得意とする戦法に合わせて周りから呼ばれるようになるのです」
「そうなんですね。よろしくお願いしますブルックさん。僕はレックスです」
「こちらこそ。今日登録したばかりの新人さんと伺いました。私たちでみなさんの実力を測れるかわかりませんが、よろしくお願いします」
意外にも礼儀正しいパーティなようでホッとした。Cランクの冒険者なら、彼らと際どい勝負をして見せればDランクぐらいにはしてもらえるかもしれない。みんなを見ると任せろと言わんばかりに頷いている。ちゃんとわかっているようだ。上手く手を抜いてもらいたい。
「それでは、各々一体一にて対戦してもらいます。武器は模擬用を使い、魔法による直接攻撃は無しとします」
僕の対戦相手はリーダーのブルックさんらしい。アイミーには前衛タイプのがっちり体型の戦士、レムちゃんには魔法使いの青年、シュナちゃんの相手は剣士だ。
「それでは、はじめ!」
「うー、にゃー!」
「ふぐおぉっ!?」
秒で、アイミーのパンチが盾持ちの戦士を吹き飛ばし気絶させていた。
「ちょっ、アイミー!?」
「さぁ、まだやってみるか?」
「ま、ま、参りました」
レムちゃんが大量の魔力エネルギー弾を対戦相手に囲うように放出してみせ、いきなり脅しをかけている……。魔法の直接攻撃は禁止だよ、いや、撃ってはいないけどさ……。
「お主の剣は軽い。私を女と思って甘く見たか?」
その横では、シュナちゃんが剣士の模擬刀を宙に弾きながら、カッコいい捨て台詞を吐いていた。
いや、あなた達、やり過ぎだからね……。
「し、信じられません。ほ、本当に新人なんですか?」
「い、一応、そうです。では、僕たちもやりましょうか」
ブルックさんを変に警戒させてしまったかな。それでも、他の三人の動きを見る限りCランク程度なら大丈夫だろう。僕だけでも少しは苦戦してるようにみせたい。ウサ吉、もう一度頼むね。
「身体強化!」
「身体強化!」
!? どうやら、ブルックさんも身体強化魔法の使い手のようだ。疾風の牙、なるほどパーティ名は彼の攻撃から名付けられたのか。双剣の模擬刀をクロスするように構えている姿は牙を剥いて草原を駆けるウルフに見えないこともない。
「つ、強いですね……」
「いえ、まだ何もしてませんけど」
「身体強化魔法を使えるからこそ、その凄さがわかります。私とは雲泥の差です」
まさか、同じ身体強化魔法の使い手だとはね……。ブルックさんの身体強化魔法は、僕の使い始めの頃のような粗いまとい方をしている。これがアイミーや僕クラスになると、必要な箇所、必要に応じた魔力を覆って無駄がなくなる。力の入れどころもしっかり押さえているので、瞬発力とかパワーに大きな差が出てくるのだ。
「試験なので、受けに徹しようと思いましたが、こちらから全力で攻めさせてもらいます」
「あ、あの、ブルックさん!?」
目を疑うかのように、受付のお姉さんがブルックさんを振り返る。
これは、ちゃんと相手をしてあげないと、手を抜いてるとバレそうだ。もう、アイミーとかレムちゃんが、めちゃくちゃやってるし、少しぐらいなら構わないだろう。
身体強化魔法を駆使して、僕の後ろに回り込むブルックさん。近づいては離れるを繰り返しながら、僕の隙を窺っている。こういう時の勝負は一瞬でつく。
「ウインドカッター!」
僕の横から魔法の風がやってくるが、狙いは僕ではなく、地面にぶつけることにあるようだ。
地面を抉る音と巻上がる砂ぼこり。まるでブルックさんを見失ったかのように演じる。右前方から気配を察知するが、これはダミー。砂ぼこりを抜けて剣が飛んでくるのを半歩横にズレて躱す。
本命は、左後方から地面スレスレを猛スピードで突っ込んでくるブルックさん。
右足、左手に溜め、下方から突き上げてくる模擬刀に向け強引にカウンターを合わせる。砂ぼこりで受付のお姉さんにはよく見えてないはず。そのまま、力任せに武器を破壊してしまう。
「ぐはっ!」
手首を押えるようにしてうずくまるブルックさんの首もとに、僕の剣が置かれている。
「そ、そこまでです。こ、これは、レックスさんの勝利ということですね……」
「は、はい。私の完敗です。少なくとも、みなさんにCランク以上の能力があることを認めます」
「そ、そのようですね。新人冒険者としては異例ではありますが、レックスさんのパーティ全員をCランク冒険者として登録させて頂きます」
「い、いきなりCランクになれるんですね……。あ、ありがとうございます」
初日にCランクになってしまったけど、まだ本気を出しているわけでもないので、このぐらいに留めておけばいいのかな。みんなにも話をして、誰かに見られている時は無茶苦茶をしないように注意しておこう。もう少し自重してもらわないと目立ってしまう。
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