27 / 49
27話 魔法の使い方
しおりを挟む
「なあ、エリーゼ。お前は魔法を使う時にどうやって発動しているんだ?」
「魔法ですか。体の中にある魔力をババっとステッキに出力して、技をイメージするですよ。ステッキには魔力を引き寄せるように工夫がされていると聞いてるです」
エリーゼの手には、月野さんからもらったばかりのオーロラステッキがある。今まで使っていたピンク色のステッキはとりあえず星那が預かっているようだ。
「エリーゼ、ピンクのステッキを少し借りてもいいか?」
「使ってもいいですけど、エリーゼのレインボーステッキ壊さないでくださいよ。威力はそこまででもないですけど、一応ここまで苦楽を共にした相棒ですから」
ステッキだけに相棒なのだろうか……。星那には何も言わずに渡していたのに、僕に対しての信頼がやや薄く感じる。
「ステッキによって威力が変わってくるのか?」
「もちろんです。今回私がオーロラステッキを貰えたのは特例中の特例なのです! レインボーステッキの倍近くは出力が上がってるですよ」
僕からしたら誤差程度だったのでそこまで変わったようには感じなかったけど、言われてみれば、ファイアボールの威力がほんの少し上がっていたかもしれない。
「魔法のステッキは魔道具研究所にて開発されているですが、出力の高いステッキはランクの高い魔法少女に優先的に支給されるですよ。だ、だからといってレインボーステッキが失敗作というわけではないですから絶対に壊してはダメですよ。私にとっては戦友のようなものなのです」
とりあえずエリーゼにとっては、とても大切なものであることはよくわかった。なるべく壊さないようにしてやろう。
ステッキを手に握ると魔力が吸い寄せられていく感覚を感じる。なるほど、これで魔法が発動しやすいように補助しているのだな。
「エリーゼ、ステッキのこの光っている部分は何か意味があるのか?」
「まったく、藍之助は無知ですね。魔法のステッキの秘密を知らないなんてもぐりですか? 三つのボタンが光るとチャージ完了で必殺技が撃てるですよ。そんなの今どきの幼女なら誰でも知ってるですよ」
おそらく、幼女向けにステッキの玩具などが発売されているのだろう。俺は幼女じゃないし、大事な秘密がみんなにバレてしまっていていいのか?
あっ、いや、違うか。モンスターに知られなければいいということか。
どうやらステッキには魔力の急激な使用を保護するための装置が組み込まれているようで、戦闘開始からしばらく時間が経たないと必殺技は使えない仕組みになっているそうだ。
元々魔力の少ない魔法少女だからそういったことが必要ということか……。
「魔法少女が登場とともに必殺技を使ってしまってはとても味気ないですよ。多少の苦戦は見てる人へのサービスもとい、スパイスなのです。学校ではプロレスの勉強も教えてもらいましたです」
もうサービスって言っちゃってるじゃん。
仕組みはよくわからないけど、魔法のステッキには魔法少女を守るための役割も備わっているということなのだろう。一つ目に、魔力の扱いが上手ではない魔法少女が魔法を出力しやすいように補助する機能。
二つ目に、急激な魔力使用を出来ないようにしている。これは、魔法を扱うことに未熟な魔法少女の体を心配している的なことなのだろう。
「なかなかよくできているんだな。魔道具研究所というのは魔法少女のことをよく理解しているんじゃないか」
もちろん、ステッキがなくても魔法が使えるのはさっきの信号機トリオを見てる限り扱えるのは扱えるのだろう。あいつらのステッキ海の中に沈んでるからね。
それを見て、やはりステッキはよくないと感じたわけなんだけど。何というか、普段からステッキに頼ってるせいか、魔力の使用に無駄が多すぎるんだよな。もう少し、魔力の繊細な扱い方を学んだ方がいいだろう。
「エリーゼはあいつら嫌いですけどね。魔法少女をランクで分けて優劣を決めていくですし、出力の高いステッキくれませんし、あからさまに対応が違うですよ。Cランク以下はまるでゴミ虫でも見る目ですから」
魔法少女にもいろいろ思うところがあるのだな……。
プンスコ怒っているエリーゼをしり目に、僕はステッキを使って魔法を撃ってみた。
「火炎弾 ファイアボール」
魔法をイメージするとステッキから必要と思われる魔力が吸い上げられ発動する。なかなか便利な魔道具だ。魔法使い始めたばかりの者への補助器具としては優秀だろう。しかし、これで戦うというのは足枷をつけて戦っているようなものだ。
「ど、どうですか? エリーゼちゃんのレインボーステッキは?」
「なかなか面白いステッキだな。これはこれで他に使い道がありそうだが、今のエリーゼには必要ないものだ。というか、成長を抑制してしまう可能性があるから、しばらくステッキは禁止とする」
「ふぇあ⁉ あ、あの、シズクちゃん仕様のオーロラステッキは大丈夫ですよね? よね?」
「それも禁止だ。エリーゼはしばらくステッキ無しで魔法を発動する訓練をする。星那、このステッキは朱里姉さんに渡しておいてくれ」
「こ、壊したりバラしたりしちゃダメですよ」
「壊しはしないよ。バラしはするだろうけど……朱里姉さんだから」
「ええ、間違いなくバラしますね」
「バ、バラすですか!? せ、せめて、レインボーステッキだけでも助けてください」
「この世の終わりみたいな顔をしないでもらいたい。ステッキの解析が済んだら、朱里姉さんのことだ、強化されてもどってくる可能性だってある。あれでも御剣家のメカニック担当でもあるからな。……学校の先生が本職だけど」
「エリーゼ、私もステッキで魔法を発動するより自分で発動した方が成長につながると思います。じゃないと、魔力通話も覚えるのに時間が掛かりますよ」
「うー。あれ、本当に覚えられるですか? でも、星那とボスがそう言うならエリーゼは信じるですよ。Fランクとバカにしてきた人たちを見返してやるです!」
「魔法ですか。体の中にある魔力をババっとステッキに出力して、技をイメージするですよ。ステッキには魔力を引き寄せるように工夫がされていると聞いてるです」
エリーゼの手には、月野さんからもらったばかりのオーロラステッキがある。今まで使っていたピンク色のステッキはとりあえず星那が預かっているようだ。
「エリーゼ、ピンクのステッキを少し借りてもいいか?」
「使ってもいいですけど、エリーゼのレインボーステッキ壊さないでくださいよ。威力はそこまででもないですけど、一応ここまで苦楽を共にした相棒ですから」
ステッキだけに相棒なのだろうか……。星那には何も言わずに渡していたのに、僕に対しての信頼がやや薄く感じる。
「ステッキによって威力が変わってくるのか?」
「もちろんです。今回私がオーロラステッキを貰えたのは特例中の特例なのです! レインボーステッキの倍近くは出力が上がってるですよ」
僕からしたら誤差程度だったのでそこまで変わったようには感じなかったけど、言われてみれば、ファイアボールの威力がほんの少し上がっていたかもしれない。
「魔法のステッキは魔道具研究所にて開発されているですが、出力の高いステッキはランクの高い魔法少女に優先的に支給されるですよ。だ、だからといってレインボーステッキが失敗作というわけではないですから絶対に壊してはダメですよ。私にとっては戦友のようなものなのです」
とりあえずエリーゼにとっては、とても大切なものであることはよくわかった。なるべく壊さないようにしてやろう。
ステッキを手に握ると魔力が吸い寄せられていく感覚を感じる。なるほど、これで魔法が発動しやすいように補助しているのだな。
「エリーゼ、ステッキのこの光っている部分は何か意味があるのか?」
「まったく、藍之助は無知ですね。魔法のステッキの秘密を知らないなんてもぐりですか? 三つのボタンが光るとチャージ完了で必殺技が撃てるですよ。そんなの今どきの幼女なら誰でも知ってるですよ」
おそらく、幼女向けにステッキの玩具などが発売されているのだろう。俺は幼女じゃないし、大事な秘密がみんなにバレてしまっていていいのか?
あっ、いや、違うか。モンスターに知られなければいいということか。
どうやらステッキには魔力の急激な使用を保護するための装置が組み込まれているようで、戦闘開始からしばらく時間が経たないと必殺技は使えない仕組みになっているそうだ。
元々魔力の少ない魔法少女だからそういったことが必要ということか……。
「魔法少女が登場とともに必殺技を使ってしまってはとても味気ないですよ。多少の苦戦は見てる人へのサービスもとい、スパイスなのです。学校ではプロレスの勉強も教えてもらいましたです」
もうサービスって言っちゃってるじゃん。
仕組みはよくわからないけど、魔法のステッキには魔法少女を守るための役割も備わっているということなのだろう。一つ目に、魔力の扱いが上手ではない魔法少女が魔法を出力しやすいように補助する機能。
二つ目に、急激な魔力使用を出来ないようにしている。これは、魔法を扱うことに未熟な魔法少女の体を心配している的なことなのだろう。
「なかなかよくできているんだな。魔道具研究所というのは魔法少女のことをよく理解しているんじゃないか」
もちろん、ステッキがなくても魔法が使えるのはさっきの信号機トリオを見てる限り扱えるのは扱えるのだろう。あいつらのステッキ海の中に沈んでるからね。
それを見て、やはりステッキはよくないと感じたわけなんだけど。何というか、普段からステッキに頼ってるせいか、魔力の使用に無駄が多すぎるんだよな。もう少し、魔力の繊細な扱い方を学んだ方がいいだろう。
「エリーゼはあいつら嫌いですけどね。魔法少女をランクで分けて優劣を決めていくですし、出力の高いステッキくれませんし、あからさまに対応が違うですよ。Cランク以下はまるでゴミ虫でも見る目ですから」
魔法少女にもいろいろ思うところがあるのだな……。
プンスコ怒っているエリーゼをしり目に、僕はステッキを使って魔法を撃ってみた。
「火炎弾 ファイアボール」
魔法をイメージするとステッキから必要と思われる魔力が吸い上げられ発動する。なかなか便利な魔道具だ。魔法使い始めたばかりの者への補助器具としては優秀だろう。しかし、これで戦うというのは足枷をつけて戦っているようなものだ。
「ど、どうですか? エリーゼちゃんのレインボーステッキは?」
「なかなか面白いステッキだな。これはこれで他に使い道がありそうだが、今のエリーゼには必要ないものだ。というか、成長を抑制してしまう可能性があるから、しばらくステッキは禁止とする」
「ふぇあ⁉ あ、あの、シズクちゃん仕様のオーロラステッキは大丈夫ですよね? よね?」
「それも禁止だ。エリーゼはしばらくステッキ無しで魔法を発動する訓練をする。星那、このステッキは朱里姉さんに渡しておいてくれ」
「こ、壊したりバラしたりしちゃダメですよ」
「壊しはしないよ。バラしはするだろうけど……朱里姉さんだから」
「ええ、間違いなくバラしますね」
「バ、バラすですか!? せ、せめて、レインボーステッキだけでも助けてください」
「この世の終わりみたいな顔をしないでもらいたい。ステッキの解析が済んだら、朱里姉さんのことだ、強化されてもどってくる可能性だってある。あれでも御剣家のメカニック担当でもあるからな。……学校の先生が本職だけど」
「エリーゼ、私もステッキで魔法を発動するより自分で発動した方が成長につながると思います。じゃないと、魔力通話も覚えるのに時間が掛かりますよ」
「うー。あれ、本当に覚えられるですか? でも、星那とボスがそう言うならエリーゼは信じるですよ。Fランクとバカにしてきた人たちを見返してやるです!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
27
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる