11 / 36
11
しおりを挟む
あの後、国王陛下も合流し有意義な時間を過ごすことが出来た。
そして自室へ戻る直前に、ルナティアからのご褒美情報として明日『花の都』という大衆食堂に行ってみるよう勧められた。
「此処に居ても小蠅に纏わりつかれるだけよ?その食堂に行けばとてもいいものが見れるわ。イサーク様の士気を高める事請け合いよ」
年齢にそぐわないほど茶目っ気たっぷりにウィンクする王妃はとても可愛らしく、クロエと一緒にこの様に笑いながら年を重ねていきたいと、愚かにもまだ見ぬ未来への欲望が膨らんでいくのを止める事が出来なかった。
翌日、ルナティアの言う通り『花の都』という大衆食堂に向かうイサークとジャスパー。
年に一度の盛大な祭りという事もあり、町は大いに賑わっていた。
午後からは花の精霊に仮装した女性達のパレードもあるのだという。
「しっかし・・・お互い誰なのか本当にわからないくらいの変装っすね」
二人とも当然髪の色を変え、服装も旅人の様な少しくたびれた格好をし、顔半分を隠すようにストールを巻き、マントを羽織る。
「名前もミドルネームは使うなと言うお達しだし・・・・」
この世界にはミドルネームを持つ国も少なくない。帝国とフルール国もまたその一つで、クロエの本当に名は、クロエ・ノア・フルールと言う。
イサークはイサーク・ルイ・フェルノアというのがフルネームである。
前の生で帝国に嫁いでいたクロエはイサークの事をミドルネームのルイと呼んでいたので偽名として使ってしまえば、ばれる確率が大きくなるのだ。
ジャスパーに関してはクロエとは初対面になるらしい。
前の生での側近は候補のうちに除外したらしい。何から何まで徹底している。そして父やルナティア、まだ会う事ができないルドルフ国王には感謝の一言では納まりきらない感情が胸を満たす。
「今から俺はジャス。お前はイサだ」
「あー、互いの名前を交換しただけなんて・・・まぁ、ばれなきゃいいんだけどね」
そう言いながら、食堂へ向かったのだった。
その店は何処にでもある大衆食堂だった。
昼少し前ではあるが、既に店内は多くの客で忙しそうに店員が走り回っている。
その中でひときは目を惹く少女。茶色い髪に眼鏡をかけてはいるが青く澄んだ瞳。その顔立ちは昨日見た愛しい姫とそっくりで、イサークは暫し立ちつくしてしまった。
そんな彼に彼女は「お食事ですか?」と声を掛けてきた。
「あ、ええ。二人ですが」
「畏まりました。こちらへどうぞ」
と笑顔で席を案内してくれる彼女から目が離せない。
え・・・?彼女は姫だよな?絶対、クロエ姫だ。何故ここで働いているんだ?
席に座ってからも彼女を目で追うイサークに、隣にいた男がニヤニヤしながら声を掛ける。
「あんたもノアちゃんに一目惚れか?」
「え?彼女、ノアさんと言うのか?」
「そうさ。この店の看板娘で、彼女目当ての男がいっぱいいるんだぜ。ほら、周りよく見てみ」
そう言われ、ぐるりと見渡せば若い男たちがしまりのない顔で彼女を見つめ、何かにつけ呼んでいた。
そんな客にも嫌な顔一つせず、笑顔で対応していく彼女。
昨夜の夜会での強張った顔とは全く違い、楽しそうな笑顔全開だ。
あんな笑顔を自分にも向けられたい・・・そんな欲望と、その子は俺の婚約者だ、という独占欲で知らず知らずのうちに握る拳に力が入る。
「兄ちゃんよ。そんな目で睨んでも周りが怖がるだけだって」
そう言われ肩を叩かれ、はっとした様にクロエから視線を外した。
「まぁ、彼女は誰が告白しても絶対に落ちないから、諦めな。それより兄ちゃん、見かけない顔だな。何処から来たんだい?」
「あぁ、今旅の途中で東の方から帝国に向う所なんだが、この国で祭りがあると聞いて立ち寄ったんだ」
「へぇ、じゃあ、初めてかい?」
「そうなんだ。随分と活気のある国なんだな」
「まぁね。今の国王夫妻が頑張ってくださっているからな」
「へぇ、随分と人気があるんだな。この国の王様は」
ジャスパーが感心したように漏らす。
「国王夫妻は誰もが敬愛している。だが・・・王太子夫妻は、ダメだ」
「もしかして王太子妃?」
「そうだ・・・あの婚約騒動は他国にも知れ渡るほどの醜聞だからな」
「王太子は優秀だと聞くが・・・」
「どんな優秀な人間も、女で躓きゃあ全てパァさ。第一王女に比べ第二王女なんて母親にそっくりで目も当てられないそうだしな」
「・・・・いいのか?そんな事言って」
「いいんだよ。皆が言ってる事だからな。クロエ王女が将来的に王位を継いでくれればいいが、あの女が絶対邪魔すると思うんだよな」
あの女、とは当然マルガリータの事。誰かに聞かれ不敬に問われるのではと、イサーク達の方がハラハラしてしまうが、彼はどこ吹く風だ。
「ま、王子が国王になった時点でこの国はどうなるんだか。人口が一気に減るかもな」
何とも不吉な事を言い、がははっと笑いながら酒を呷る彼に圧倒されていると、クロエが食事を運んできてくれた。
「お待たせしました」
「あぁ、ノアちゃんありがとよ。そうそう、またノアちゃんのファンが増えちまったぜ。罪作りだよなぁ」
「ベレンさんてば、またそんなこと言って」
「いやいや、本当だって。特にこの兄ちゃんが・・・って、名前なんての?」
「あ、ジャスだ。こっちはイサ」
「このジャスって兄ちゃん、一目惚れだって」
そんなベレンの事など慣れたもので、クロエはにっこり笑う。
「ベレンさん、他のお客様に絡むのであればお酒はもう出しませんよ。奥様にも言われていますからね」
「なに!?カミさんに?それは困る!!内緒にしといてくれ!!」
「ふふふ、今回だけですよ。ジャスさん、イサさん、ごめんなさいね。どうぞごゆっくり」
そう言って立ち去るクロエに、イサークの胸は乙女の様にキュンキュンだ。
待ってくれ・・・何だあの可愛らしさは・・・ルナティア様は俺の士気を上げるためと言っていたが・・・参った・・・上がりすぎてどうしていいかわからん!
悶絶するイサークに呆れたように苦笑するジャスパー。
この国に滞在する間、毎日のように店に通い、そして帝国に戻ってからも数か月に一度は必ず長期の休暇をもぎ取り、その度フルール国へと通い始めるけなげなイサーク。
おかげでクロエにめでたく名前を覚えてもらうまでになっていた。
そして今日、彼女が嫁いできた。
全てから解き放たれたかのように楽しそうに笑うクロエの笑顔が、イサークの慰めでもあり希望だった。
だから、何の憂いもなく心から笑えるような世界にしなくてはいけない。
そんな決意と共に顔を上げるイサークは、正に『氷の皇帝』。
「明日、姫の所に伺う。ユミル、ロイド達に連絡を」
「承知しました」
「ジャスパー、リージェ国とアドラ姫の監視を強めろ」
「御意」
「アランド、他国の動きを至急調べろ。ユミルの影を使え。一応ルナティア様が守っていたとはいえ、姫の優秀さは皆が知る所。ただ指をくわえるていという事はないだろう」
「即急に手配します」
皆が室内から出ていくとイサークは一人窓の外に目をやる。
思い浮かべるのはクロエの屈託のない笑顔と、恐怖に強張る顔。
そして窓に映るのは、自信なさげな自分の顔。
しっかりしろ!今世の俺は俺だ。彼女を幸せにするのは俺だ。
ギュッと目を閉じそして開けば、そこに居るのは何時もの自信に満ちた己の顔だった。
そして自室へ戻る直前に、ルナティアからのご褒美情報として明日『花の都』という大衆食堂に行ってみるよう勧められた。
「此処に居ても小蠅に纏わりつかれるだけよ?その食堂に行けばとてもいいものが見れるわ。イサーク様の士気を高める事請け合いよ」
年齢にそぐわないほど茶目っ気たっぷりにウィンクする王妃はとても可愛らしく、クロエと一緒にこの様に笑いながら年を重ねていきたいと、愚かにもまだ見ぬ未来への欲望が膨らんでいくのを止める事が出来なかった。
翌日、ルナティアの言う通り『花の都』という大衆食堂に向かうイサークとジャスパー。
年に一度の盛大な祭りという事もあり、町は大いに賑わっていた。
午後からは花の精霊に仮装した女性達のパレードもあるのだという。
「しっかし・・・お互い誰なのか本当にわからないくらいの変装っすね」
二人とも当然髪の色を変え、服装も旅人の様な少しくたびれた格好をし、顔半分を隠すようにストールを巻き、マントを羽織る。
「名前もミドルネームは使うなと言うお達しだし・・・・」
この世界にはミドルネームを持つ国も少なくない。帝国とフルール国もまたその一つで、クロエの本当に名は、クロエ・ノア・フルールと言う。
イサークはイサーク・ルイ・フェルノアというのがフルネームである。
前の生で帝国に嫁いでいたクロエはイサークの事をミドルネームのルイと呼んでいたので偽名として使ってしまえば、ばれる確率が大きくなるのだ。
ジャスパーに関してはクロエとは初対面になるらしい。
前の生での側近は候補のうちに除外したらしい。何から何まで徹底している。そして父やルナティア、まだ会う事ができないルドルフ国王には感謝の一言では納まりきらない感情が胸を満たす。
「今から俺はジャス。お前はイサだ」
「あー、互いの名前を交換しただけなんて・・・まぁ、ばれなきゃいいんだけどね」
そう言いながら、食堂へ向かったのだった。
その店は何処にでもある大衆食堂だった。
昼少し前ではあるが、既に店内は多くの客で忙しそうに店員が走り回っている。
その中でひときは目を惹く少女。茶色い髪に眼鏡をかけてはいるが青く澄んだ瞳。その顔立ちは昨日見た愛しい姫とそっくりで、イサークは暫し立ちつくしてしまった。
そんな彼に彼女は「お食事ですか?」と声を掛けてきた。
「あ、ええ。二人ですが」
「畏まりました。こちらへどうぞ」
と笑顔で席を案内してくれる彼女から目が離せない。
え・・・?彼女は姫だよな?絶対、クロエ姫だ。何故ここで働いているんだ?
席に座ってからも彼女を目で追うイサークに、隣にいた男がニヤニヤしながら声を掛ける。
「あんたもノアちゃんに一目惚れか?」
「え?彼女、ノアさんと言うのか?」
「そうさ。この店の看板娘で、彼女目当ての男がいっぱいいるんだぜ。ほら、周りよく見てみ」
そう言われ、ぐるりと見渡せば若い男たちがしまりのない顔で彼女を見つめ、何かにつけ呼んでいた。
そんな客にも嫌な顔一つせず、笑顔で対応していく彼女。
昨夜の夜会での強張った顔とは全く違い、楽しそうな笑顔全開だ。
あんな笑顔を自分にも向けられたい・・・そんな欲望と、その子は俺の婚約者だ、という独占欲で知らず知らずのうちに握る拳に力が入る。
「兄ちゃんよ。そんな目で睨んでも周りが怖がるだけだって」
そう言われ肩を叩かれ、はっとした様にクロエから視線を外した。
「まぁ、彼女は誰が告白しても絶対に落ちないから、諦めな。それより兄ちゃん、見かけない顔だな。何処から来たんだい?」
「あぁ、今旅の途中で東の方から帝国に向う所なんだが、この国で祭りがあると聞いて立ち寄ったんだ」
「へぇ、じゃあ、初めてかい?」
「そうなんだ。随分と活気のある国なんだな」
「まぁね。今の国王夫妻が頑張ってくださっているからな」
「へぇ、随分と人気があるんだな。この国の王様は」
ジャスパーが感心したように漏らす。
「国王夫妻は誰もが敬愛している。だが・・・王太子夫妻は、ダメだ」
「もしかして王太子妃?」
「そうだ・・・あの婚約騒動は他国にも知れ渡るほどの醜聞だからな」
「王太子は優秀だと聞くが・・・」
「どんな優秀な人間も、女で躓きゃあ全てパァさ。第一王女に比べ第二王女なんて母親にそっくりで目も当てられないそうだしな」
「・・・・いいのか?そんな事言って」
「いいんだよ。皆が言ってる事だからな。クロエ王女が将来的に王位を継いでくれればいいが、あの女が絶対邪魔すると思うんだよな」
あの女、とは当然マルガリータの事。誰かに聞かれ不敬に問われるのではと、イサーク達の方がハラハラしてしまうが、彼はどこ吹く風だ。
「ま、王子が国王になった時点でこの国はどうなるんだか。人口が一気に減るかもな」
何とも不吉な事を言い、がははっと笑いながら酒を呷る彼に圧倒されていると、クロエが食事を運んできてくれた。
「お待たせしました」
「あぁ、ノアちゃんありがとよ。そうそう、またノアちゃんのファンが増えちまったぜ。罪作りだよなぁ」
「ベレンさんてば、またそんなこと言って」
「いやいや、本当だって。特にこの兄ちゃんが・・・って、名前なんての?」
「あ、ジャスだ。こっちはイサ」
「このジャスって兄ちゃん、一目惚れだって」
そんなベレンの事など慣れたもので、クロエはにっこり笑う。
「ベレンさん、他のお客様に絡むのであればお酒はもう出しませんよ。奥様にも言われていますからね」
「なに!?カミさんに?それは困る!!内緒にしといてくれ!!」
「ふふふ、今回だけですよ。ジャスさん、イサさん、ごめんなさいね。どうぞごゆっくり」
そう言って立ち去るクロエに、イサークの胸は乙女の様にキュンキュンだ。
待ってくれ・・・何だあの可愛らしさは・・・ルナティア様は俺の士気を上げるためと言っていたが・・・参った・・・上がりすぎてどうしていいかわからん!
悶絶するイサークに呆れたように苦笑するジャスパー。
この国に滞在する間、毎日のように店に通い、そして帝国に戻ってからも数か月に一度は必ず長期の休暇をもぎ取り、その度フルール国へと通い始めるけなげなイサーク。
おかげでクロエにめでたく名前を覚えてもらうまでになっていた。
そして今日、彼女が嫁いできた。
全てから解き放たれたかのように楽しそうに笑うクロエの笑顔が、イサークの慰めでもあり希望だった。
だから、何の憂いもなく心から笑えるような世界にしなくてはいけない。
そんな決意と共に顔を上げるイサークは、正に『氷の皇帝』。
「明日、姫の所に伺う。ユミル、ロイド達に連絡を」
「承知しました」
「ジャスパー、リージェ国とアドラ姫の監視を強めろ」
「御意」
「アランド、他国の動きを至急調べろ。ユミルの影を使え。一応ルナティア様が守っていたとはいえ、姫の優秀さは皆が知る所。ただ指をくわえるていという事はないだろう」
「即急に手配します」
皆が室内から出ていくとイサークは一人窓の外に目をやる。
思い浮かべるのはクロエの屈託のない笑顔と、恐怖に強張る顔。
そして窓に映るのは、自信なさげな自分の顔。
しっかりしろ!今世の俺は俺だ。彼女を幸せにするのは俺だ。
ギュッと目を閉じそして開けば、そこに居るのは何時もの自信に満ちた己の顔だった。
41
あなたにおすすめの小説
差し出された毒杯
しろねこ。
恋愛
深い森の中。
一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。
「あなたのその表情が見たかった」
毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。
王妃は少女の美しさが妬ましかった。
そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。
スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。
お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。
か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。
ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。
同名キャラで複数の作品を書いています。
立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。
ところどころリンクもしています。
※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!
完 独身貴族を謳歌したい男爵令嬢は、女嫌い公爵さまと結婚する。
水鳥楓椛
恋愛
男爵令嬢オードリー・アイリーンはある日父が負った借金により、大好きな宝石だけでは食べていけなくなってしまった。そんな時、オードリーの前に現れたのは女嫌いと有名な公爵エドワード・アーデルハイトだった。愛する家族を借金苦から逃すため、オードリーは悪魔に嫁ぐ。結婚の先に待ち受けるのは不幸か幸せか。少なくとも、オードリーは自己中心的なエドワードが大嫌いだった………。
イラストは友人のしーなさんに描いていただきました!!
引きこもり少女、御子になる~お世話係は過保護な王子様~
浅海 景
恋愛
オッドアイで生まれた透花は家族から厄介者扱いをされて引きこもりの生活を送っていた。ある日、双子の姉に突き飛ばされて頭を強打するが、目を覚ましたのは見覚えのない場所だった。ハウゼンヒルト神聖国の王子であるフィルから、世界を救う御子(みこ)だと告げられた透花は自分には無理だと否定するが、御子であるかどうかを判断するために教育を受けることに。
御子至上主義なフィルは透花を大切にしてくれるが、自分が御子だと信じていない透花はフィルの優しさは一時的なものだと自分に言い聞かせる。
「きっといつかはこの人もまた自分に嫌悪し離れていくのだから」
自己肯定感ゼロの少女が過保護な王子や人との関わりによって、徐々に自分を取り戻す物語。
どちらの王妃でも問題ありません【完】
mako
恋愛
かつて、広大なオリビア大陸にはオリビア帝国が大小合わせて100余りある国々を治めていた。そこにはもちろん勇敢な皇帝が君臨し今も尚伝説として、語り継がれている。
そんな中、巨大化し過ぎた帝国は
王族の中で分別が起こり東西の王国として独立を果たす事になり、東西の争いは長く続いていた。
争いは両国にメリットもなく、次第に勢力の差もあり東国の勝利として呆気なく幕を下ろす事となった。
両国の友好的解決として、東国は西国から王妃を迎え入れる事を、条件として両国合意の元、大陸の二大勢力として存在している。
しかし王妃として迎えるとは、事実上の人質であり、お飾りの王妃として嫁ぐ事となる。
長い年月を経てその取り決めは続いてはいるが、1年の白い結婚のあと、国に戻りかつての婚約者と結婚する王女もいた。
兎にも角にも西国から嫁いだ者が東国の王妃として幸せな人生を過ごした記録は無い。
令嬢から成り下がったメイドの分際で、侯爵様と目が合ってしまって
真好
恋愛
彼はメイドの私に手を差し出した。「私と、踊っていただけませんか?」
かつては公爵令嬢として、誰もが羨む生活を送っていたエルナ。
しかし、国家反逆罪で家は没落し、今は嫌な貴族の下で働く「身分落ち」のメイド。
二度と表舞台に立つことなどないはずだった。
あの日の豪華絢爛な舞踏会で、彼と目が合うまでは。
アルフォンス・ベルンハルト侯爵。
冷徹な「戦場の英雄」として国中の注目を集める、今もっともホットで、もっとも手が届かない男。
退屈そうに会場を見渡していた彼の視線が、影に徹していた私を捉えて。
彼は真っ直ぐに歩み寄り、埃まみれの私に手を差し出した。
「私と、踊っていただけませんか?」
メイドの分際で、英雄のパートナー!?
前代未聞のスキャンダルから始まる逆転劇。
元男装傭兵、完璧な淑女を演じます。――嫁ぎ先はかつての団長でした!?
中野森
恋愛
貧乏男爵家の長女クラリスは、弟の学費を稼ぐために男装して傭兵団へ入団した。
副団長にまで上り詰め、団長をはじめとした仲間から信頼を得るが、決して正体は明かさなかった。
やがて戦争が終わり、傭兵団は解散となる。
出稼ぎするために流した嘘の悪評により、修道院入りを覚悟していたクラリスだったが、帰郷した彼女を待っていたのは父からの「嫁ぎ先が決まった」という一言だった。
慌ただしく始まる淑女教育、そして一度も未来の夫と顔合わせすることなく迎えた結婚式当日。
誓いの言葉を促され隣からきこてくる声に、クラリスは凍りつく。
……嘘でしょ、団長!?
かつての想い人でもある傭兵仲間が今は夫となり、妻の正体には気づいていない――気づかれてはいけないのだ、絶対に!
本作品はゆるふわ設定、ご都合主義、細かいことは気にしたら負け!
※この小説は、ほかの小説投稿サイトにも投稿しています。
冷徹公爵閣下は、書庫の片隅で私に求婚なさった ~理由不明の政略結婚のはずが、なぜか溺愛されています~
白桃
恋愛
「お前を私の妻にする」――王宮書庫で働く地味な子爵令嬢エレノアは、ある日突然、<氷龍公爵>と恐れられる冷徹なヴァレリウス公爵から理由も告げられず求婚された。政略結婚だと割り切り、孤独と不安を抱えて嫁いだ先は、まるで氷の城のような公爵邸。しかし、彼女が唯一安らぎを見出したのは、埃まみれの広大な書庫だった。ひたすら書物と向き合う彼女の姿が、感情がないはずの公爵の心を少しずつ溶かし始め…?
全7話です。
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
弟を探す旅の途中、身分を隠して村で薬師として生きていたセラは、
ハープの音に宿る才を、名も知らぬ貴族の青年――王弟レオに見初められる。
互いの立場を知らぬまま距離を縮めていく二人。
だが、ある事件をきっかけに、セラは彼の屋敷で侍女として働くことになり、
知らず知らずのうちに国を巻き込む陰謀へと引き寄せられていく。
人の生まれは変えられない。
それでも、何を望み、何を選ぶのかは、自分で決められる。
セラが守ろうとするものは、弟か、才か、それとも――
キャラ設定・世界観などはこちら
↓
https://kakuyomu.jp/my/news/822139840619212578
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる