16 / 32
16
しおりを挟む
後始末は役人に任せ、私たちはお城へと戻って来た。勿論、子供達も一緒にだ。
子供達はその身体を綺麗にしてもらうために、侍女たちに任せ入浴中。
「あ~、疲れたぁ~」
なんか、妙な達成感と心地良い疲れ、ちょっとだけの罪悪感に浸りながら、私たち三人はお茶をしながら一息付けてると、リズが「本気ですか?」と突然聞いてきた。
「あの子たちの事?」
「そうです。本気で引き取る気ですか?」
「そのつもりだけど。あ、大丈夫。町に家を借りてそこでみんなで住もうと思っているから!」
やっぱり町に出て仕事探して、家を借りて自立よね!
「えっ!サクラ、此処から出て行くの!?」
アリオスが焦った様に立ち上がった。
「前にも言ったじゃない。私の未来計画。あの時は自分の状況が今一つわかってなかったし、暗殺だとか色々脅されてたし」
「脅しではありません。事実です」
「まぁ、それが事実でも・・・この間までは竜樹達と契約しても、外で生活しようとは思わなかったんだけど・・・」
でも、今日で事態は急変してしまった。
「なんかさ、守るべきものができると、人間って強くなれるんだね!!」
あぁ、この世界に来て初めてやる気スイッチ入ったわ!!
思わず立ち上がりグッと拳を握ると、リズが何時もの様に私の立てたフラグをへし折り始めた。
「やる気を出しているところ申し訳ないのですが、それは無理かと思います」
「へ?」
「まず、子供達を引き取る事に関しては、厳格な規定があります。サーラ様はそれを何一つ満たしてはおりません」
何度も言うが、この国、この世界に魔法使いは少ない。そして血筋も絶対ではない。
そうなると、貴族様達は一人でも多くの魔法使いを抱えたい。
平民の子で魔力があると、後ろ盾と言う形でその貴族の家に抱えられる・・・まぁ、簡単に言うと『就職』かなぁ。
だって、その貴族の家の為に働くんだから。
通常はそうなんだけど、中には養子として迎えたりもする。
一つの貴族が養子をもらいまくると、そこの家だけ力を誇示してしまうので、それを避けるため養子縁組に関してはかなり厳しい規定を設けられているのだそうだ。
「既定の一つに財産。親となるものの出自の明確。そして両親が揃っている事。もしくは、婚姻の予定のある者、ですね。他にも事細かにありますが・・・残念なことに、サーラ様はどれも満たしておりません」
「っ!な・・・なんですって・・・・」
どれをとっても無理じゃん!最近働き始めて貯金なんてないし、異世界落ちで身分証明できるのは遙か時空の彼方。しかも、婚約者どころか恋人もいないってのに・・・・
「ハードル高すぎっ!!」
思わず蹲り頭を抱えていると、お風呂から帰って来た子供達が驚いたように立ち尽くしていた。
話を聞いてしまったっ!と焦る私に、ルカがどこか諦めたような顔で、私に・・・というよりは、此処にいる人間に聞いてきた。
「僕たち、又、何処かに行かないといけないの?」
あぁ・・こんな顔をさせてしまった・・・
それほどまでに子供達の浮かべるそれぞれの表情。その根底には絶望が揺らめいていた。
私はすぐには何も言えず拳を握りしめる。
何とかできないか・・・他の施設には・・・できれば渡したくない。
他人と住むという事は、ましてや家族と言う形で生活していくという事が、とても大変だという事くらいは、馬鹿な私でも知っている。
でも、彼等・・・ルカ達と出会ってしまった。今はそれが全てで、とても大事な事なのだと、私は思うんだ。
なのに・・・今の私は無力だ・・・悔しいほど、無知なんだ。
でも、どうにかしたい・・・諦めたくない・・・・
五人一緒に・・・という事に固執しなければ、事は簡単に進んでいくと思う。
でも、私はあのナントカ伯爵に宣言している。
皆を引き取ると。
これは、くだらない私の意地とプライドだ。これ以上彼等を傷つけたくはない。私の単なる自己満足と偽善だ。
でも、・・・それでもあきらめたくはない。
私は子供達を抱きしめながら、脳みそをフル回転させる。
要は、私の身分を何とかすればいいんだよね・・・
「ねぇ、リズ」
「・・・何でしょうか」
そう言いながら、苦虫を潰した様な表情を私に向けてきた。
「ちょっと、言う前から何でそんな嫌な顔してんのよ」
「何を言い出すのか、大体想像がつくからです。なので、お断りします」
「えっ!?やっぱりリズって心が・・・・」
「読めません!」
「え~!じゃあ、何で私が言う前から断るのよ」
「大方、サーラ様が私の家の養女に入れないかと、そんな事を考えてたのでしょう?」
「!!凄い!大当たり!やっぱリズって・・・」
「心は読めません。サーラ様が単純で顔に出過ぎるのです」
リズは呆れたように溜息を吐いた。
「それも一つの方法かもしれませんが、子供達全員を引き取ることはできません」
つまり、貴族が養子を、魔力のある子供を迎える場合は人数制限がある。前にも言ったように、一貴族にのみ力を持たせないためだ。
リズも王族とはいえ側室の子供。尚更、魔力を持つ養子を迎えるには色々、デリケートな問題が出てくる。
あぁ・・・詰み・・・か・・・
諦めかけた時、「ですが、一つだけ方法があります」とリズが言った。
「え?」
「子供達を全員引き取ることができます」
「・・・・それって、私が敢えて避けてきた方法?」
ナニ・・とは言わない。でも、リズもアリオスもわかってると思う。
「そうですね。子供達にとってはいい事尽くめですわね。離れ離れになることもなく、家族もできて。まさに一石二鳥ですわ」
「そうだけど・・・・」
私はそれだけ言うと、口を真一文字に閉じた。
子供達はその身体を綺麗にしてもらうために、侍女たちに任せ入浴中。
「あ~、疲れたぁ~」
なんか、妙な達成感と心地良い疲れ、ちょっとだけの罪悪感に浸りながら、私たち三人はお茶をしながら一息付けてると、リズが「本気ですか?」と突然聞いてきた。
「あの子たちの事?」
「そうです。本気で引き取る気ですか?」
「そのつもりだけど。あ、大丈夫。町に家を借りてそこでみんなで住もうと思っているから!」
やっぱり町に出て仕事探して、家を借りて自立よね!
「えっ!サクラ、此処から出て行くの!?」
アリオスが焦った様に立ち上がった。
「前にも言ったじゃない。私の未来計画。あの時は自分の状況が今一つわかってなかったし、暗殺だとか色々脅されてたし」
「脅しではありません。事実です」
「まぁ、それが事実でも・・・この間までは竜樹達と契約しても、外で生活しようとは思わなかったんだけど・・・」
でも、今日で事態は急変してしまった。
「なんかさ、守るべきものができると、人間って強くなれるんだね!!」
あぁ、この世界に来て初めてやる気スイッチ入ったわ!!
思わず立ち上がりグッと拳を握ると、リズが何時もの様に私の立てたフラグをへし折り始めた。
「やる気を出しているところ申し訳ないのですが、それは無理かと思います」
「へ?」
「まず、子供達を引き取る事に関しては、厳格な規定があります。サーラ様はそれを何一つ満たしてはおりません」
何度も言うが、この国、この世界に魔法使いは少ない。そして血筋も絶対ではない。
そうなると、貴族様達は一人でも多くの魔法使いを抱えたい。
平民の子で魔力があると、後ろ盾と言う形でその貴族の家に抱えられる・・・まぁ、簡単に言うと『就職』かなぁ。
だって、その貴族の家の為に働くんだから。
通常はそうなんだけど、中には養子として迎えたりもする。
一つの貴族が養子をもらいまくると、そこの家だけ力を誇示してしまうので、それを避けるため養子縁組に関してはかなり厳しい規定を設けられているのだそうだ。
「既定の一つに財産。親となるものの出自の明確。そして両親が揃っている事。もしくは、婚姻の予定のある者、ですね。他にも事細かにありますが・・・残念なことに、サーラ様はどれも満たしておりません」
「っ!な・・・なんですって・・・・」
どれをとっても無理じゃん!最近働き始めて貯金なんてないし、異世界落ちで身分証明できるのは遙か時空の彼方。しかも、婚約者どころか恋人もいないってのに・・・・
「ハードル高すぎっ!!」
思わず蹲り頭を抱えていると、お風呂から帰って来た子供達が驚いたように立ち尽くしていた。
話を聞いてしまったっ!と焦る私に、ルカがどこか諦めたような顔で、私に・・・というよりは、此処にいる人間に聞いてきた。
「僕たち、又、何処かに行かないといけないの?」
あぁ・・こんな顔をさせてしまった・・・
それほどまでに子供達の浮かべるそれぞれの表情。その根底には絶望が揺らめいていた。
私はすぐには何も言えず拳を握りしめる。
何とかできないか・・・他の施設には・・・できれば渡したくない。
他人と住むという事は、ましてや家族と言う形で生活していくという事が、とても大変だという事くらいは、馬鹿な私でも知っている。
でも、彼等・・・ルカ達と出会ってしまった。今はそれが全てで、とても大事な事なのだと、私は思うんだ。
なのに・・・今の私は無力だ・・・悔しいほど、無知なんだ。
でも、どうにかしたい・・・諦めたくない・・・・
五人一緒に・・・という事に固執しなければ、事は簡単に進んでいくと思う。
でも、私はあのナントカ伯爵に宣言している。
皆を引き取ると。
これは、くだらない私の意地とプライドだ。これ以上彼等を傷つけたくはない。私の単なる自己満足と偽善だ。
でも、・・・それでもあきらめたくはない。
私は子供達を抱きしめながら、脳みそをフル回転させる。
要は、私の身分を何とかすればいいんだよね・・・
「ねぇ、リズ」
「・・・何でしょうか」
そう言いながら、苦虫を潰した様な表情を私に向けてきた。
「ちょっと、言う前から何でそんな嫌な顔してんのよ」
「何を言い出すのか、大体想像がつくからです。なので、お断りします」
「えっ!?やっぱりリズって心が・・・・」
「読めません!」
「え~!じゃあ、何で私が言う前から断るのよ」
「大方、サーラ様が私の家の養女に入れないかと、そんな事を考えてたのでしょう?」
「!!凄い!大当たり!やっぱリズって・・・」
「心は読めません。サーラ様が単純で顔に出過ぎるのです」
リズは呆れたように溜息を吐いた。
「それも一つの方法かもしれませんが、子供達全員を引き取ることはできません」
つまり、貴族が養子を、魔力のある子供を迎える場合は人数制限がある。前にも言ったように、一貴族にのみ力を持たせないためだ。
リズも王族とはいえ側室の子供。尚更、魔力を持つ養子を迎えるには色々、デリケートな問題が出てくる。
あぁ・・・詰み・・・か・・・
諦めかけた時、「ですが、一つだけ方法があります」とリズが言った。
「え?」
「子供達を全員引き取ることができます」
「・・・・それって、私が敢えて避けてきた方法?」
ナニ・・とは言わない。でも、リズもアリオスもわかってると思う。
「そうですね。子供達にとってはいい事尽くめですわね。離れ離れになることもなく、家族もできて。まさに一石二鳥ですわ」
「そうだけど・・・・」
私はそれだけ言うと、口を真一文字に閉じた。
12
あなたにおすすめの小説
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~
高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。
先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。
先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。
普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。
「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」
たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。
そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。
はちみつ色の髪をした竜王曰く。
「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」
番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる