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学生時代からの腐れ縁。
それは正に、レクターとレイモンドの関係を表わす言葉である。
レクターとレイモンドは学園に入ってから知り合い、なんとなくウマが合い、なんとなくいつも行動を共にするようになっただけで、友人とか親友とかと呼べるような仲ではなかった。
ただ、容姿が抜群に良い二人が揃っていれば当然、周りの注目を集め人が集まってくる。主に令嬢達が。
だが、レイモンドの不機嫌な表情と冷たい態度、レクターの温和な表情に似合わず出てくる、辛辣な言葉。
そんな彼等に泣かされた令嬢は数知れず。だが、彼女等も近づきさえしなければ目の保養とばかりに、遠巻きに眺める・・・・いわゆる眼福物件になっていた。
中には、己の美貌に自信満々で告白する令嬢も居たが、あえなく撃沈。そんな彼女等を皆は『勇者』と呼んだ。
あくまでも友人でも親友でもないと言い張る二人ではあるが、物を貸し借りする位は仲が良かった。
レイモンドが授業で出された課題に必要な本を、たまたまレクターが持っている事が分かり、それを借りにクラーク家に寄ったある日。
レクターの部屋へ案内され、本を取に行った彼を待っていた時の事。
外から声が聞こえ何気なく窓を開け覗けば、美しい花々が咲き乱れる庭が見えた。
その花々にも負けないほどの美しい少女が、自分と同じくらいの男に求婚しているところだった。
この貴族社会、女性から男性への求婚など今まで聞いたことが無かった。そんな勇気ある令嬢もいるのかと、驚きよりも興味が先に立ち、心の隅で応援しつつも野次馬のごとくレイモンドは身を乗り出しその成り行きを見守る。
だが、レイモンドのささやかな応援の甲斐も無く少女の求婚は上手くいかなかったようで、気丈に男を見送った後に少女は使用人の腕の中で泣いていた。声も上げずに、肩を震わせて。
そんな彼女の姿に、レイモンドは目を逸らす事が出来なかった。
そして、これまで感じた事のない感情と衝動が沸き上がり、思わず首を傾げた。
先程見た出来事をレクターに話せば、求婚していたのは彼の妹で、相手は幼馴染のユアン・ルソー伯爵令息だと知る。
「メイはユアンに一目惚れしてね、彼と会う度求婚しては振られている。そして、その度に泣いているよ」
少し呆れたような、そして悲しそうに目を伏せ「馬鹿な妹さ」と呟いた。
「彼に求婚を受け入れてもらえる見込みはないのか?」
「多分、無いだろうなぁ。ユアンも、もっときっぱり断ればいいものを・・・だから、メイは諦めきれないんだ」
「そうか・・・・なぁ、レクター。俺がお前の妹を嫁に貰ってもいいか?」
「そうだなぁ、・・・って、えっ!?お前何言ってんの!??」
「どうやら俺は、お前の妹が気になって仕方が無い」
きっと縁談には困ることは無い位の美しい令嬢が、心の求めるままに好いた男に求婚をする。
それだけでも衝撃的だったのに、何度振られても諦めないその強さ。
―――容姿ではなく、彼女の存在そのものが美しいと思った。
泣いている彼女を慰めたい。抱きしめたい。涙に濡れたその瞳に、己の姿を映したい。それは悲しい涙ではなく、嬉し涙に限られるが。
そして彼女に求婚されながらも、あいまいな言葉で彼女を傷つけた男に酷く醜い感情を抱きつつ、先程の求婚劇を少しでも応援していた自分を殺したい。
飾る事なく思った事を淡々と話すレイモンドに、レクターは驚きそして「それって、完璧な嫉妬だから」と、呆れ顔だ。
これが嫉妬という感情なのか・・・・と、どこか納得したようなレイモンドに、レクターは厳しい表情を作った。
「言っておくが、ただ気になるってだけじゃ、大事なメイは渡せない。あの子ただ一人を愛し抜くくらいの気持ちが無ければ、例えお前でも駄目だ」
「愛し抜く・・・・悪いが、俺は誰かを愛したことは無い」
「お前なぁ、恥ずかしげもなくメイを抱きしめたいとか何とか言っといて・・・・相手の男に嫉妬している時点で、お前はメイに恋してるんだよ!」
レクターに言われ、彼女へ抱く気持ちが恋情なのだと初めて知った。
そして胸の奥でモヤモヤと渦巻いていた得体の知れない感情に名前が付き、途端に霧が晴れたようなそんなすっきりとした感覚になる。
初めて周りの景色を認識し、美しいものだと感じるという、とても不思議な気持ち。周りの景色などいつもと変わらないのに。
「なんだよ、もしかして初恋の相手がうちの妹?・・・・さっきの無自覚な妹への想い・・・ものすごく重そうな愛だな・・・・」
「重い?そうなのか?」
「はぁ・・・まだ言葉も交わした事もないのに、嫁にしたいだなんて・・・お前の考えてることが、よくわかんねぇよ」
いつもと変わらない表情で、冷静に己の気持ちを明け透けに語るレイモンド。本当にメイリフローラに気持ちがあるのかと疑ってしまうのは仕方が無い。
だが、窓から見えるメイリフローラに向けるレイモンドの眼差しは、レクターが初めて見る柔らかいもの。
愛がわからない、恋が分からないと言いながら、しっかりメイに恋してるじゃないか・・・・
レクター的には優柔不断な断り文句しか言わないユアンよりも、はっきり物事を言うレイモンドの方に好感が持てる。だが、告白するにしても今はダメだろうと、妹を眺めながら思う。
「レイモンド。今、メイに告白したとしても、多分受け入れられることは無い。あいつはまだユアンを諦めてないからな」
「あぁ・・・腹立たしいが、理解してる」
「妹がユアンを諦めるまで、お前は待てるのか?」
「あぁ、待てる」
迷いなく答えるレイモンドにレクターは目を見張る。
「いつになるかわからないぞ?」
「かまわない。他の女には興味がないから」
その簡潔な答えにレクターは苦笑。
十七歳にして遅い初恋を迎えたレイモンド。思いがけず一年ほどで好機が訪れるとは、その時は誰も思わなかった。
メイリフローラが、初恋に見切りをつけたと聞きレイモンドはすぐに行動を起こそうとしたが、抜け殻のようになっている妹に見ず知らずの男から急に求婚されても受け入れられないだろうと、レクターに止められた。
「メイの気持ちが落ち着くまではダメだ」
それもそう待たせることは無いと言われ、レイモンドは大人しく待っていた。メイリフローラへの想いを育てながら。
レクターからようやく許しを得たのが、ユアンと決別してからひと月ほど経った頃だった。
レイモンドは、メイリフローラが立ち直るにはもっと時間がかかると思っていたのだが、思いのほか早い許可にレイモンドの方がレクターに何度も確認してしまった。
「おい、レクター。彼女は本当に大丈夫なのか?」
聞けば十年越しの片思いだという。たかだかひと月ちょっとで気持ちを整理する事ができるのだろうか。
恋を知らなかったレイモンドですら、そのくらいはわかるつもりだ。
「まぁ、見た目は明るく過ごしているんだよなぁ。強がりだとかカラ元気とかじゃなくて」
それこそ振られてしばらくは、まさに抜け殻の様だった。
だが、今ではどこか晴れ晴れとしたものを感じる位は明るく、毎日を過ごしている。
あれから何度かユアンから手紙が来たり、屋敷を訪れてメイリフローラの事を聞いてきたが、彼女には一切伝えていないし会わせてもいない。
正直なところ、今更何故ユアンがメイリフローラを追いかける様なまねをするのかもわからない。
幼馴染ではあるが、ユアンはこの十年間彼女をずっと振っていたのに。あの日を境に彼のもとを訪れなくなったとたん、幼馴染として心配だとメイリフローラの心の傷に塩を塗るような真似をしようとする。
ユアンのそう言う無神経な所が、レクターは嫌いだ。
わかってやっているのか、わからないでやっているのか・・・・まぁ、どっちだったとしても、質が悪いがな・・・
今迄、ユアンしか見ていなかった。だからこそ、愛する妹には新しい出会いを沢山して欲しいと思っていた。
思っていたのだが、もしかしたらそれは叶わないかもしれないなと、レクターはメイリフローラを愛おしそうに見つめるレイモンドを見て溜息を吐いた。
それは正に、レクターとレイモンドの関係を表わす言葉である。
レクターとレイモンドは学園に入ってから知り合い、なんとなくウマが合い、なんとなくいつも行動を共にするようになっただけで、友人とか親友とかと呼べるような仲ではなかった。
ただ、容姿が抜群に良い二人が揃っていれば当然、周りの注目を集め人が集まってくる。主に令嬢達が。
だが、レイモンドの不機嫌な表情と冷たい態度、レクターの温和な表情に似合わず出てくる、辛辣な言葉。
そんな彼等に泣かされた令嬢は数知れず。だが、彼女等も近づきさえしなければ目の保養とばかりに、遠巻きに眺める・・・・いわゆる眼福物件になっていた。
中には、己の美貌に自信満々で告白する令嬢も居たが、あえなく撃沈。そんな彼女等を皆は『勇者』と呼んだ。
あくまでも友人でも親友でもないと言い張る二人ではあるが、物を貸し借りする位は仲が良かった。
レイモンドが授業で出された課題に必要な本を、たまたまレクターが持っている事が分かり、それを借りにクラーク家に寄ったある日。
レクターの部屋へ案内され、本を取に行った彼を待っていた時の事。
外から声が聞こえ何気なく窓を開け覗けば、美しい花々が咲き乱れる庭が見えた。
その花々にも負けないほどの美しい少女が、自分と同じくらいの男に求婚しているところだった。
この貴族社会、女性から男性への求婚など今まで聞いたことが無かった。そんな勇気ある令嬢もいるのかと、驚きよりも興味が先に立ち、心の隅で応援しつつも野次馬のごとくレイモンドは身を乗り出しその成り行きを見守る。
だが、レイモンドのささやかな応援の甲斐も無く少女の求婚は上手くいかなかったようで、気丈に男を見送った後に少女は使用人の腕の中で泣いていた。声も上げずに、肩を震わせて。
そんな彼女の姿に、レイモンドは目を逸らす事が出来なかった。
そして、これまで感じた事のない感情と衝動が沸き上がり、思わず首を傾げた。
先程見た出来事をレクターに話せば、求婚していたのは彼の妹で、相手は幼馴染のユアン・ルソー伯爵令息だと知る。
「メイはユアンに一目惚れしてね、彼と会う度求婚しては振られている。そして、その度に泣いているよ」
少し呆れたような、そして悲しそうに目を伏せ「馬鹿な妹さ」と呟いた。
「彼に求婚を受け入れてもらえる見込みはないのか?」
「多分、無いだろうなぁ。ユアンも、もっときっぱり断ればいいものを・・・だから、メイは諦めきれないんだ」
「そうか・・・・なぁ、レクター。俺がお前の妹を嫁に貰ってもいいか?」
「そうだなぁ、・・・って、えっ!?お前何言ってんの!??」
「どうやら俺は、お前の妹が気になって仕方が無い」
きっと縁談には困ることは無い位の美しい令嬢が、心の求めるままに好いた男に求婚をする。
それだけでも衝撃的だったのに、何度振られても諦めないその強さ。
―――容姿ではなく、彼女の存在そのものが美しいと思った。
泣いている彼女を慰めたい。抱きしめたい。涙に濡れたその瞳に、己の姿を映したい。それは悲しい涙ではなく、嬉し涙に限られるが。
そして彼女に求婚されながらも、あいまいな言葉で彼女を傷つけた男に酷く醜い感情を抱きつつ、先程の求婚劇を少しでも応援していた自分を殺したい。
飾る事なく思った事を淡々と話すレイモンドに、レクターは驚きそして「それって、完璧な嫉妬だから」と、呆れ顔だ。
これが嫉妬という感情なのか・・・・と、どこか納得したようなレイモンドに、レクターは厳しい表情を作った。
「言っておくが、ただ気になるってだけじゃ、大事なメイは渡せない。あの子ただ一人を愛し抜くくらいの気持ちが無ければ、例えお前でも駄目だ」
「愛し抜く・・・・悪いが、俺は誰かを愛したことは無い」
「お前なぁ、恥ずかしげもなくメイを抱きしめたいとか何とか言っといて・・・・相手の男に嫉妬している時点で、お前はメイに恋してるんだよ!」
レクターに言われ、彼女へ抱く気持ちが恋情なのだと初めて知った。
そして胸の奥でモヤモヤと渦巻いていた得体の知れない感情に名前が付き、途端に霧が晴れたようなそんなすっきりとした感覚になる。
初めて周りの景色を認識し、美しいものだと感じるという、とても不思議な気持ち。周りの景色などいつもと変わらないのに。
「なんだよ、もしかして初恋の相手がうちの妹?・・・・さっきの無自覚な妹への想い・・・ものすごく重そうな愛だな・・・・」
「重い?そうなのか?」
「はぁ・・・まだ言葉も交わした事もないのに、嫁にしたいだなんて・・・お前の考えてることが、よくわかんねぇよ」
いつもと変わらない表情で、冷静に己の気持ちを明け透けに語るレイモンド。本当にメイリフローラに気持ちがあるのかと疑ってしまうのは仕方が無い。
だが、窓から見えるメイリフローラに向けるレイモンドの眼差しは、レクターが初めて見る柔らかいもの。
愛がわからない、恋が分からないと言いながら、しっかりメイに恋してるじゃないか・・・・
レクター的には優柔不断な断り文句しか言わないユアンよりも、はっきり物事を言うレイモンドの方に好感が持てる。だが、告白するにしても今はダメだろうと、妹を眺めながら思う。
「レイモンド。今、メイに告白したとしても、多分受け入れられることは無い。あいつはまだユアンを諦めてないからな」
「あぁ・・・腹立たしいが、理解してる」
「妹がユアンを諦めるまで、お前は待てるのか?」
「あぁ、待てる」
迷いなく答えるレイモンドにレクターは目を見張る。
「いつになるかわからないぞ?」
「かまわない。他の女には興味がないから」
その簡潔な答えにレクターは苦笑。
十七歳にして遅い初恋を迎えたレイモンド。思いがけず一年ほどで好機が訪れるとは、その時は誰も思わなかった。
メイリフローラが、初恋に見切りをつけたと聞きレイモンドはすぐに行動を起こそうとしたが、抜け殻のようになっている妹に見ず知らずの男から急に求婚されても受け入れられないだろうと、レクターに止められた。
「メイの気持ちが落ち着くまではダメだ」
それもそう待たせることは無いと言われ、レイモンドは大人しく待っていた。メイリフローラへの想いを育てながら。
レクターからようやく許しを得たのが、ユアンと決別してからひと月ほど経った頃だった。
レイモンドは、メイリフローラが立ち直るにはもっと時間がかかると思っていたのだが、思いのほか早い許可にレイモンドの方がレクターに何度も確認してしまった。
「おい、レクター。彼女は本当に大丈夫なのか?」
聞けば十年越しの片思いだという。たかだかひと月ちょっとで気持ちを整理する事ができるのだろうか。
恋を知らなかったレイモンドですら、そのくらいはわかるつもりだ。
「まぁ、見た目は明るく過ごしているんだよなぁ。強がりだとかカラ元気とかじゃなくて」
それこそ振られてしばらくは、まさに抜け殻の様だった。
だが、今ではどこか晴れ晴れとしたものを感じる位は明るく、毎日を過ごしている。
あれから何度かユアンから手紙が来たり、屋敷を訪れてメイリフローラの事を聞いてきたが、彼女には一切伝えていないし会わせてもいない。
正直なところ、今更何故ユアンがメイリフローラを追いかける様なまねをするのかもわからない。
幼馴染ではあるが、ユアンはこの十年間彼女をずっと振っていたのに。あの日を境に彼のもとを訪れなくなったとたん、幼馴染として心配だとメイリフローラの心の傷に塩を塗るような真似をしようとする。
ユアンのそう言う無神経な所が、レクターは嫌いだ。
わかってやっているのか、わからないでやっているのか・・・・まぁ、どっちだったとしても、質が悪いがな・・・
今迄、ユアンしか見ていなかった。だからこそ、愛する妹には新しい出会いを沢山して欲しいと思っていた。
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