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「あの・・・ファーラ様。今の小鳥達は・・・・」
アシアスの視線は、小鳥が消えたテーブルとファーラとを忙しなく行き来している。
「あの子たちは今、城内の情報を集める為に飛び回っているわ」
「五羽だけで?」
「まさか。あの子たちは自分の意志で分身を作ったり、自宅までついて行く場合は対象者に卵を産み付けて、邸内に潜入するの」
「え?卵ってそういう・・・・」
「やぁねぇ。寄生虫みたいに産み付ける訳じゃないわよ。髪の中とかポケットの中とか、すぐに飛び立てるトコに卵を入れるの。で、目的地に着いたら速攻で孵化して自由に飛び回って情報を集めるのよ」
ちなみに卵の大きさは、ウズラの卵より一回り小さい。
「な、なるほど・・・」
「ほら、情報が欲しいけど二人にも限界があるし、必要以上動けばそれこそ命が脅かされる可能性だってあるでしょ?ただでさえ毒を盛られてたんだから。だから安全性と機能性を兼ね備えた式神を作ったってわけ。だから二人には無理のない程度に動いてほしいの」
ファラトゥールの底知れぬ魔力と知識に、驚きと尊敬と、そして・・・・
なんだよ!会う度に惚れ直してしまうだろ・・・・一体どれだけ好きになればこの気持ちは納まるんだ・・・・
アシアスは心の中で、頭を抱えた。
初めて出会った時から、まだひと月も経っていない。
だが、アシアスはその前からファーラの写真を見つけ、憧れ恋い慕っていた。
しかし、そんな淡い恋心にはどこか諦めも混じっていた。何故なら、大魔法使いファーラは五百年前の人なのだから。
そしてその想いは、現実逃避をしているだけなのだともわかっていた。
将来は腐った貴族達の令嬢の誰かと結婚しなくてはいけないという、現実から。
なのに、ここにファーラ様が生きている。転生だとは言っているけれど、写真の中のファーラ様そのままで・・・
これで彼女を好きになるななんて・・・絶対無理だ!
こもり始めた熱を逃がすように大きく息を吐きファラトゥールに視線を戻せば、ルイナがファラトゥールに抱き着いているところだった。
くっそー!ルイナが羨ましいっ!!
女同士だという事で、何の遠慮もなく抱き合って触れ合って。
先程までファーラ様に抱きしめられていたけれど・・・足りないっ!!。柔らかさと温もりと、花の様な香りと・・・・あんな短時間ではなくずっとずっと抱きしめてほしかった!
と、羨ましそうにルイナを見ながらアシアスは拳を握る。
ファラトゥールは、自分が転生者であることは兄妹には告げていたが、この世での名前や立場は一切告げてはいない。
告げたところで、それが強みになるどころか邪魔になる可能性があったからだ。それにこの土地を取り戻すのはファーラであってファラトゥールではない。
公爵と離縁した後は、ファラトゥールの名を捨てて、ただのファーラに戻るつもりなのだから。
それに二人の前だと、自分を偽る事なく過ごせるから楽なのよね。
今世の私の身分なんて、知りもしないんだから。
前世も前々世も平民だったし。たまたま今世は王族だったから、義務が生じて結婚なんてしなきゃいけなくなったけど。
さっさとこの国の問題を片付けて、自由にならなきゃ。
一人決意を新たにしていると、抱き着いてきたルイナと反対側に座るアシアスが今以上に体を寄せてきた。
「アシアス?」
名を呼ばれてもそれに答える事無く、ファラトゥールの肩に額を擦り付けてくる。
何だが大きな犬のようだなと、ファラトゥールは抱きしめる様にアシアスの頭を引き寄せ、己の頭をコツンとぶつけた。
ファラトゥールに触れられたのが嬉しくて幸せで、真っ赤になった顔を見られるのが恥ずかしく、しばらくは顔を上げる事が出来なさそうだった。
アシアスの視線は、小鳥が消えたテーブルとファーラとを忙しなく行き来している。
「あの子たちは今、城内の情報を集める為に飛び回っているわ」
「五羽だけで?」
「まさか。あの子たちは自分の意志で分身を作ったり、自宅までついて行く場合は対象者に卵を産み付けて、邸内に潜入するの」
「え?卵ってそういう・・・・」
「やぁねぇ。寄生虫みたいに産み付ける訳じゃないわよ。髪の中とかポケットの中とか、すぐに飛び立てるトコに卵を入れるの。で、目的地に着いたら速攻で孵化して自由に飛び回って情報を集めるのよ」
ちなみに卵の大きさは、ウズラの卵より一回り小さい。
「な、なるほど・・・」
「ほら、情報が欲しいけど二人にも限界があるし、必要以上動けばそれこそ命が脅かされる可能性だってあるでしょ?ただでさえ毒を盛られてたんだから。だから安全性と機能性を兼ね備えた式神を作ったってわけ。だから二人には無理のない程度に動いてほしいの」
ファラトゥールの底知れぬ魔力と知識に、驚きと尊敬と、そして・・・・
なんだよ!会う度に惚れ直してしまうだろ・・・・一体どれだけ好きになればこの気持ちは納まるんだ・・・・
アシアスは心の中で、頭を抱えた。
初めて出会った時から、まだひと月も経っていない。
だが、アシアスはその前からファーラの写真を見つけ、憧れ恋い慕っていた。
しかし、そんな淡い恋心にはどこか諦めも混じっていた。何故なら、大魔法使いファーラは五百年前の人なのだから。
そしてその想いは、現実逃避をしているだけなのだともわかっていた。
将来は腐った貴族達の令嬢の誰かと結婚しなくてはいけないという、現実から。
なのに、ここにファーラ様が生きている。転生だとは言っているけれど、写真の中のファーラ様そのままで・・・
これで彼女を好きになるななんて・・・絶対無理だ!
こもり始めた熱を逃がすように大きく息を吐きファラトゥールに視線を戻せば、ルイナがファラトゥールに抱き着いているところだった。
くっそー!ルイナが羨ましいっ!!
女同士だという事で、何の遠慮もなく抱き合って触れ合って。
先程までファーラ様に抱きしめられていたけれど・・・足りないっ!!。柔らかさと温もりと、花の様な香りと・・・・あんな短時間ではなくずっとずっと抱きしめてほしかった!
と、羨ましそうにルイナを見ながらアシアスは拳を握る。
ファラトゥールは、自分が転生者であることは兄妹には告げていたが、この世での名前や立場は一切告げてはいない。
告げたところで、それが強みになるどころか邪魔になる可能性があったからだ。それにこの土地を取り戻すのはファーラであってファラトゥールではない。
公爵と離縁した後は、ファラトゥールの名を捨てて、ただのファーラに戻るつもりなのだから。
それに二人の前だと、自分を偽る事なく過ごせるから楽なのよね。
今世の私の身分なんて、知りもしないんだから。
前世も前々世も平民だったし。たまたま今世は王族だったから、義務が生じて結婚なんてしなきゃいけなくなったけど。
さっさとこの国の問題を片付けて、自由にならなきゃ。
一人決意を新たにしていると、抱き着いてきたルイナと反対側に座るアシアスが今以上に体を寄せてきた。
「アシアス?」
名を呼ばれてもそれに答える事無く、ファラトゥールの肩に額を擦り付けてくる。
何だが大きな犬のようだなと、ファラトゥールは抱きしめる様にアシアスの頭を引き寄せ、己の頭をコツンとぶつけた。
ファラトゥールに触れられたのが嬉しくて幸せで、真っ赤になった顔を見られるのが恥ずかしく、しばらくは顔を上げる事が出来なさそうだった。
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