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元亡霊は転生しても性質があまり変われません
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避難しているみんなに合流したら、村長が結構元気になっていた。
既に報告を受けていたので、スムーズに報告が出来た。
最後の監視員が神に祈っていたことを伝えると皆がちょっと、暗くなったけど。
「勇者が来なきゃこんなことにならなかったのに。」
と今まで搾取されていたこと自体には村人たちは文句なかったようなことを口々に皆呟いていた。
そう、なんだよね。
実は、搾取されていたことあんまり気になっていなかったのだ。
だって、その代わり、兵が常駐していて、魔獣の脅威は無かったし、薪は大変だったけど、別段死にそうな目にあうことも無かったのだ。
誰かが病気になった時も監視員が医者を連れてきてくれることさえあったほど。
だから、国に対して、そこまで恨みがましいことは考えていないのだ。
困ったことに私たちは貧乏性だから、大金があってもきっと使えないしね。
だから、困った。
どう頑張っても、私たちは国の庇護に戻ることはできない。だって、死体も発見されちゃっているしね。
真っ先に殺された勇者のお付きの人に対しては同情の余地もないけど、ついでに殺されてしまったその時の村の監視員の人たちには、同情したし、可哀そうだとも思ったしね。
話し合いは難航した。
でも、一人がこう言った。
「他の村に冒険者としていけばいいのでは?」
と。
村には冒険者の定義や仕事などは全く分からなかった。
だって、居なかったから。
でも、発言したその人物は監視員と結構仲がいい人だったので、知っていたらしい、
と言っても、そこまで深くは知らないけれど。
冒険者とは
冒険者ギルドに登録している魔獣討伐や採取などに優れた集団のこと。街に行けば、掃除なんかもしてくれる何でも屋。
依頼するにはお金をギルドを通して渡さなきゃいけなくなるし、中抜きされるので、掃除程度は依頼するべきじゃないとのこと。
魔獣なんかは魔獣の強さごとに様々きめられているらしく、この森の魔獣の討伐はかなり金貨を積まなきゃいけないんだそうだ。私たちには問題なくても外からしたらこの森の魔獣は結構強いんだそうだ。
薬草採取依頼なんかもあるが、自分で採取した方が良い。だって、薬草一本ごとに銅貨20枚も支払わなきゃいけないから。とのこと。ちなみに銅貨20枚は端切れ20枚分。端切れを作るのに1週間もかかるので、大却下だ。
でも、自分たちは採取になれているから、頼む必要はないね。とのこと。
依頼する側の話しかほとんど聞かなかったけど、依頼される側なら、自分たちで出来そうじゃないかという意見。
その説明に村人は一斉に感嘆の息を吐いた。
「「「おおおぉお!」」」
皆が皆、周りの人に
「おれ、ワイバーンくらいならやれる。」
「掃除得意!」
「薬草採取のプロここに見参!」
「ワーイプドック位ならやれるわ。」
と口々に言い合った。
「私もホワイトボアやビックベアも狩れるもん!」
と親に言ったら
「その程度でいいのかなぁ?」
とか言っていた。
それで、この森に居続けるのは得策じゃないので、この国から出ようと言うことになった。
加えて、勇者が居ないところにしようと満場一致で決まった。
この国に居たら、最悪勇者に会うかもしれないから。
なので、皆で旅に出る準備を始めた。
そうしたら、村で飼っている蜘蛛がまるで
「いかないで」
と言うように見つめてきた。
でも、頷くわけにはいかないし、連れて行くわけにもいかないので、村長を含んだ数名が説得。
結果、こぶし大よりも小さいかその位の小さい蜘蛛だけ一緒に旅に出ることになった。
総勢20名。
一人1匹~3匹の蜘蛛と一緒に私たちは森の外に出ることにした。
初めて出た森の外は案外、なーんにも無かった。整備された道もあるにはあるんだけど、ほぼ獣道。騎士団たちが往復したせいで出来た轍レベル。
元々あったであろう街道のような道は馬車の幅より若干広い程度の幅で両端に適度におかれた石でわかるんだけど、それさえも草に埋もれている。
多分、1年に一度しか来ない商人の人はこれらをどうにかしながら、頑張って来ていたんだろうと思われる。
20人とは言え、冬越しするための薪を毎年一気に運ぶように国から言われていたのだから、馬車以外で来るのは不可能なのに、この荒れよう。大変だったと思う。
森を抜けたと分かる理由は木々が無くなったからってだけ、ほとんど木が生えていない草原がだだっ広く広がっている。
冬が近づいているから、草の高さは膝丈程度。
昨年、薪を買わない分で買った嗜好品と思っていた旅行グッツを使って、私たちは徒歩で旅に出た。
襲い掛かる魔獣をつっからつっから、倒して、毛皮があるのは解体して、力のある人が持つ。
肉は解体。食べられるだけ食べて、それ以外は冷凍して、持てるだけは持つ。持てない分は、すれ違った人に売った。
結果、なんやかんやあったけど、比較的簡単に国境越えできた。
20人で一気に冬手前の村や町に入るなんて非常識だと思った私たちは村や町によらずに真っすぐ進んだ。
意外にも食料には困らなかった。
水は魔法でみんな出せたので、無問題。
服はぼろくなったけど、洗濯やお風呂にも定期的に入れたので、汚くはない。
もちろん、魔法で土鍋みたいにして風呂桶作って、風呂は入ったよ。洗濯も土鍋みたいなの作って、そこでやった。
途中、商人に会えた時にみんな分のロープも買ったので、おそろいになった。ちょっと嬉しい。
ちょっと問題があるかなって言われているのは、私の討伐の仕方ぐらい。
「ねぇ、フラン。なんで、君は執拗に魔獣の左目を取るんだい?」
とか言われるけど、別に問題ないよね?だって、目は食べられないし、毛皮にもならないし、薬草代わりの効能も多分無いもんね。もしもあっても、魔獣の右目は健在なんだから、問題ないよね?
この世界は凄いよね。旅していた時にすれ違う人たちに聞いた。盗賊なんかの同じ人種であっても殺していいって。公的に『私の右目』を選んでいいってことだ。
魔獣なんかの『私の右目』をとっても基本的には誰にも文句は出ない。
今は自前であるので、入れ替えて比べるなんかはしないけど、それでも収集するのは別に問題ないよね?
気に入らないものとか腐ったものは捨てちゃうけど、私たちは基本的に冷凍の魔法が使えるので、ほとんどそう言ったことは無い。
ちょっと変わった趣味程度でこの世界では位置付けられている。だって、討伐部位を抉って取るのが冒険者。それを素材に防具を皆つけているくらいなんだし、魔道具の道具レベルの認識でとらえられるレベルなのだ。
だから、私が答える言葉はこれで問題ないのだ。
「なんとなく。」
「そう。まあ、ちょっと変わってるけど、他の冒険者よりはマシだよね。」
との返事がきた。
そうなのだ。下手したらオークの顔をほとんど残したままの皮鎧着こんでいる人いるし、ワイルドベアの手を手の甲に付ける防具にしている人もいる。だから、無問題!
最終的に元遭った村から国を2つ離れたところにある奴隷解放運動を街中でしていると言う噂の国の無人島にたどり着けた。本当は各個人で村又は街に移住するつもりだったけど、いろんな意味で私たちはそう言う選択ができなかった。
この国に来るまで町や村に全く入れなかったのもそう言った理由から。
でも、もう少しで本格的な冬が来るので、ためらうことはできないと話し合いが行われ、20人が分かれて乗れる小舟合計5艘を購入。分かれるつもりで船旅に出たけど結局同じ島に漂着。
無人の島でたくさん木々もあり、以前と植生は違うものの魔獣も強くないし、食べられる植物が多く在った。中でも芋と稲のようなもの。通常稲は水田が必要だけど、この稲はそう言った状態じゃないところに雑草のように生えている。それに、実が大きく数が少ない。通常の稲だと脱穀に木の棒で叩くって言うのがあるけど、これはちょっとそれはできなさそう。
豆みたいにひとつひとつ皮をむくかそれ以外の方法を考えなきゃいけないかもしれない。
でも、味はまんま米だった。
島の中の森の奥には豆もあった。
皆で島を駆け回った結果、この島には人はいないし、食べ物は豊富。移り住めると判断。
速攻で村を作りました。
今は時より出てくる魔獣を倒しつつ、のんびりどの国にも干渉を受けず、暮らしている。
先日、ドラゴンに乗った青年が食料を補充しに来た時はちょっとビビったけど、それ以外は結構平和に暮らしています。
既に報告を受けていたので、スムーズに報告が出来た。
最後の監視員が神に祈っていたことを伝えると皆がちょっと、暗くなったけど。
「勇者が来なきゃこんなことにならなかったのに。」
と今まで搾取されていたこと自体には村人たちは文句なかったようなことを口々に皆呟いていた。
そう、なんだよね。
実は、搾取されていたことあんまり気になっていなかったのだ。
だって、その代わり、兵が常駐していて、魔獣の脅威は無かったし、薪は大変だったけど、別段死にそうな目にあうことも無かったのだ。
誰かが病気になった時も監視員が医者を連れてきてくれることさえあったほど。
だから、国に対して、そこまで恨みがましいことは考えていないのだ。
困ったことに私たちは貧乏性だから、大金があってもきっと使えないしね。
だから、困った。
どう頑張っても、私たちは国の庇護に戻ることはできない。だって、死体も発見されちゃっているしね。
真っ先に殺された勇者のお付きの人に対しては同情の余地もないけど、ついでに殺されてしまったその時の村の監視員の人たちには、同情したし、可哀そうだとも思ったしね。
話し合いは難航した。
でも、一人がこう言った。
「他の村に冒険者としていけばいいのでは?」
と。
村には冒険者の定義や仕事などは全く分からなかった。
だって、居なかったから。
でも、発言したその人物は監視員と結構仲がいい人だったので、知っていたらしい、
と言っても、そこまで深くは知らないけれど。
冒険者とは
冒険者ギルドに登録している魔獣討伐や採取などに優れた集団のこと。街に行けば、掃除なんかもしてくれる何でも屋。
依頼するにはお金をギルドを通して渡さなきゃいけなくなるし、中抜きされるので、掃除程度は依頼するべきじゃないとのこと。
魔獣なんかは魔獣の強さごとに様々きめられているらしく、この森の魔獣の討伐はかなり金貨を積まなきゃいけないんだそうだ。私たちには問題なくても外からしたらこの森の魔獣は結構強いんだそうだ。
薬草採取依頼なんかもあるが、自分で採取した方が良い。だって、薬草一本ごとに銅貨20枚も支払わなきゃいけないから。とのこと。ちなみに銅貨20枚は端切れ20枚分。端切れを作るのに1週間もかかるので、大却下だ。
でも、自分たちは採取になれているから、頼む必要はないね。とのこと。
依頼する側の話しかほとんど聞かなかったけど、依頼される側なら、自分たちで出来そうじゃないかという意見。
その説明に村人は一斉に感嘆の息を吐いた。
「「「おおおぉお!」」」
皆が皆、周りの人に
「おれ、ワイバーンくらいならやれる。」
「掃除得意!」
「薬草採取のプロここに見参!」
「ワーイプドック位ならやれるわ。」
と口々に言い合った。
「私もホワイトボアやビックベアも狩れるもん!」
と親に言ったら
「その程度でいいのかなぁ?」
とか言っていた。
それで、この森に居続けるのは得策じゃないので、この国から出ようと言うことになった。
加えて、勇者が居ないところにしようと満場一致で決まった。
この国に居たら、最悪勇者に会うかもしれないから。
なので、皆で旅に出る準備を始めた。
そうしたら、村で飼っている蜘蛛がまるで
「いかないで」
と言うように見つめてきた。
でも、頷くわけにはいかないし、連れて行くわけにもいかないので、村長を含んだ数名が説得。
結果、こぶし大よりも小さいかその位の小さい蜘蛛だけ一緒に旅に出ることになった。
総勢20名。
一人1匹~3匹の蜘蛛と一緒に私たちは森の外に出ることにした。
初めて出た森の外は案外、なーんにも無かった。整備された道もあるにはあるんだけど、ほぼ獣道。騎士団たちが往復したせいで出来た轍レベル。
元々あったであろう街道のような道は馬車の幅より若干広い程度の幅で両端に適度におかれた石でわかるんだけど、それさえも草に埋もれている。
多分、1年に一度しか来ない商人の人はこれらをどうにかしながら、頑張って来ていたんだろうと思われる。
20人とは言え、冬越しするための薪を毎年一気に運ぶように国から言われていたのだから、馬車以外で来るのは不可能なのに、この荒れよう。大変だったと思う。
森を抜けたと分かる理由は木々が無くなったからってだけ、ほとんど木が生えていない草原がだだっ広く広がっている。
冬が近づいているから、草の高さは膝丈程度。
昨年、薪を買わない分で買った嗜好品と思っていた旅行グッツを使って、私たちは徒歩で旅に出た。
襲い掛かる魔獣をつっからつっから、倒して、毛皮があるのは解体して、力のある人が持つ。
肉は解体。食べられるだけ食べて、それ以外は冷凍して、持てるだけは持つ。持てない分は、すれ違った人に売った。
結果、なんやかんやあったけど、比較的簡単に国境越えできた。
20人で一気に冬手前の村や町に入るなんて非常識だと思った私たちは村や町によらずに真っすぐ進んだ。
意外にも食料には困らなかった。
水は魔法でみんな出せたので、無問題。
服はぼろくなったけど、洗濯やお風呂にも定期的に入れたので、汚くはない。
もちろん、魔法で土鍋みたいにして風呂桶作って、風呂は入ったよ。洗濯も土鍋みたいなの作って、そこでやった。
途中、商人に会えた時にみんな分のロープも買ったので、おそろいになった。ちょっと嬉しい。
ちょっと問題があるかなって言われているのは、私の討伐の仕方ぐらい。
「ねぇ、フラン。なんで、君は執拗に魔獣の左目を取るんだい?」
とか言われるけど、別に問題ないよね?だって、目は食べられないし、毛皮にもならないし、薬草代わりの効能も多分無いもんね。もしもあっても、魔獣の右目は健在なんだから、問題ないよね?
この世界は凄いよね。旅していた時にすれ違う人たちに聞いた。盗賊なんかの同じ人種であっても殺していいって。公的に『私の右目』を選んでいいってことだ。
魔獣なんかの『私の右目』をとっても基本的には誰にも文句は出ない。
今は自前であるので、入れ替えて比べるなんかはしないけど、それでも収集するのは別に問題ないよね?
気に入らないものとか腐ったものは捨てちゃうけど、私たちは基本的に冷凍の魔法が使えるので、ほとんどそう言ったことは無い。
ちょっと変わった趣味程度でこの世界では位置付けられている。だって、討伐部位を抉って取るのが冒険者。それを素材に防具を皆つけているくらいなんだし、魔道具の道具レベルの認識でとらえられるレベルなのだ。
だから、私が答える言葉はこれで問題ないのだ。
「なんとなく。」
「そう。まあ、ちょっと変わってるけど、他の冒険者よりはマシだよね。」
との返事がきた。
そうなのだ。下手したらオークの顔をほとんど残したままの皮鎧着こんでいる人いるし、ワイルドベアの手を手の甲に付ける防具にしている人もいる。だから、無問題!
最終的に元遭った村から国を2つ離れたところにある奴隷解放運動を街中でしていると言う噂の国の無人島にたどり着けた。本当は各個人で村又は街に移住するつもりだったけど、いろんな意味で私たちはそう言う選択ができなかった。
この国に来るまで町や村に全く入れなかったのもそう言った理由から。
でも、もう少しで本格的な冬が来るので、ためらうことはできないと話し合いが行われ、20人が分かれて乗れる小舟合計5艘を購入。分かれるつもりで船旅に出たけど結局同じ島に漂着。
無人の島でたくさん木々もあり、以前と植生は違うものの魔獣も強くないし、食べられる植物が多く在った。中でも芋と稲のようなもの。通常稲は水田が必要だけど、この稲はそう言った状態じゃないところに雑草のように生えている。それに、実が大きく数が少ない。通常の稲だと脱穀に木の棒で叩くって言うのがあるけど、これはちょっとそれはできなさそう。
豆みたいにひとつひとつ皮をむくかそれ以外の方法を考えなきゃいけないかもしれない。
でも、味はまんま米だった。
島の中の森の奥には豆もあった。
皆で島を駆け回った結果、この島には人はいないし、食べ物は豊富。移り住めると判断。
速攻で村を作りました。
今は時より出てくる魔獣を倒しつつ、のんびりどの国にも干渉を受けず、暮らしている。
先日、ドラゴンに乗った青年が食料を補充しに来た時はちょっとビビったけど、それ以外は結構平和に暮らしています。
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