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転生王子と土の巫女
おまけ2
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私はとある辺境の果てに生まれた。父は平民だったが、功績を一杯上げて、準男爵になった人だった。私の母は彼の副官・・・そう、男性だった。初めは、そりゃあもう反抗した。
しかし、いつの間にか私は母を恋愛的な意味で好きになっていることに気付いた。
そして、それに、父も気付いた。
気付いた父の行動は素早かった。成人して間もない私に爵位を譲り、自分は母を連れて逃げたのだ。母は押しに弱い人だったので、押し負けると思ったんだろう。
勿論、追おうと思ったし、しようと思った。
そんな中、戦争勃発。しかも起点が、この辺境だった。戦争はあまり長くは続かなかった。私がポンポンと敵将の首を刎ねまくったからだ。早く母に会いたいために焦ったのだ。
結果、私は、祖国に雁字搦めにされることになった。王の親戚の男を副官に迎え、起きる戦争を片っ端から任せられた。
無理矢理、副官の彼とも婚姻をさせられ、私は腐った。
しかし、副官、ライオニルはそんな私を一生懸命支えてくれた。
彼は臆病な人だった。
彼はとても敬虔な人だった。
彼は戦争で人を殺した後、とても悲しむ人だった。
気付けば、私は彼のことを心の底から愛していることに気付いた。
彼が居なければ、世界はとても冷たくつまらないものと気付いた。
彼は、私からのプロポーズにかなり警戒した様子を見せた。
彼、ライオニルに私のことを嫌いなのかと聞いたら、真っ赤な顔で否定して、大好きだと答えられた。
今度は私が真っ赤になる。
結婚から3年も経った頃、私たちはようやく夫婦になったのだ。
色々と戦争で時間を食ったが、ようやく陛下も戦争をするのを止めてくれたので、私たちはようやく子作りを行うことになった。教会から薬を貰い、HOWTO本で勉強して、かなりオドオドしながらも初体験をすることになった。
正直、初めは何が何だか分からなくなって、ある意味失敗した気がする。ライオニルも血だらけになってしまったし。
でも、根気よく繰り返してやっていると良いところがわかる様になり、上手になった。
そうして、結婚からかなり経ってから、ようやく息子が生まれた。
私のクローンかと思える位とてもよく似た息子だった。唯一、ライオニルの外見的に似ているのは唇だけ。下唇がぷっくりと大きい。たらこ唇って程ではないが、ちょっと色っぽい子だった。
それからだ。ライオニルが体調を崩すようになったのは。
ライオニルはなかなか妊娠できないのが、自分のせいだと思って、いろんな薬に手を付けていたらしい。年齢的なものもあったんだろうに、それを許せなかったようだ。
彼は私より10年上だった。確かに適齢期は既に過ぎていたが、それは女性の適齢期。男性は70でも一応孕めるのだ。気にしなくていいのに、彼は気にしていたのだ。
私が気付かなかったのも原因であるのはわかる。
でも、気付いた時には遅かった。
彼は薬の副作用で、息子を産んで1年もしないうちに亡くなった。
それからの私は抜け殻だった。
息子を見ると当時の自分を見る様でつらかった。ほとんどの世話を使用人に任せ、王に言われた任務を粛々とこなす日々。そんな中、息子が執事になりたいと言い出した。誰のかと聞いたら、一番末の王子だと言う。
警戒して、部下に調べさせたが、王子にも息子にも問題は無いと判明。
好きにしろと言うと喜んで、家を出ていった。
そう、家を出ていったのだ。
予想してなかった・・・。
荷物と何人かの使用人を連れて、城に引っ越してしまったのだ。
俺は落ち込みながらも仕事をこなした。
そして、あの恐るべき出来事が起こる。
第一王子駆け落ち。第二王子が激怒。王都の植物が枯れ果てる。悪夢のような出来事の連発。
王はその罪をすべて第三王子に擦り付けた。
第三王子が悪くないのは、城のものはほとんど知っていたが、国の為に犠牲になるのは確定していたようで、誰も彼も彼を助けることは無かった。もちろん、第三王子の使用人たちは別だが。
しかし、権力と数の暴力で、彼は国外に追放されることとなった。
私は国王から国外に出たらすぐに殺せと言われ、彼のもとに現れた。
転移魔法は、いつの間にか使えるようになっていたので、さっさとやって、さっさと帰るつもりだった。
しかし、その考えは第三王子を一目見て変わった。
彼はあるべき主君だと本能がそう訴えた。
彼の前に跪づくのが正しい在り方だと、そう確信したのだ。一目で。
そこから先は、目まぐるしい日々の連続だ。
森からは定期的に魔獣が出てくる。ドラゴンはいつも遊びに来る。私以外の騎士は魔法技術は優れていても物理的な暴力に慣れていないので、魔獣討伐には不向き。
つまり、魔獣に対して動けるのが、私以外いなかったのだ。
訓練した。
騎士を魔獣に対抗できるくらいに鍛えた。指導した。
物理的な暴力はすぐには身につかない。繰り返してこその暴力だ。
必要なのは、力と持続力。
訓練に訓練を重ねさせ、皆が一騎当千の猛者になるまで訓練させた。
たまに視察に来てくれる元第三王子・・・レオン様が
「いつも、ありがとう。これからもよろしくね。」
と言ってくれるので、調子に乗ったと言うのもあるが、前の国で言うS級冒険者程度には鍛えた。
レオン様は素晴らしい。
少ない民ではあるのだが、それでも一国の王になられたのに、偉ぶらず、自分を律することを止めるそぶりさえない。慎ましい様も実に素晴らしい。王族とは思えない。どちらかと言うと聖職者だ。
聖王子と祖国にいるときも呼ばれていたので、他の人間から見ても、彼は聖人なのだろう。
レオン様の一日は7歳の時、私が彼を主と仰いだ時から、過密スケジュールにもほどがあるものだった。
お祈り、食事、視察、視察を兼ねた食事、書類整理、食事、風呂、お祈り、就寝。
文字で書くとこんだけ?と思うかもしれないが、視察がとにかく長いのだ。一人一人にある程度時間が取れるように回っているもんだから、一般の視察が終わるころには日も暮れているし、日が暮れてから孤児院のある教会に最後に行くんだけど、それは相談も兼ねているから短くできないし、教会から帰る時には夜の10時を超えている。それから書類整理しながら、食事を摂り、終わったら烏の行水のような風呂。しっかり、お祈りをして、終わるころには夜の2時を回っている。なのに、起床は6時なのだ。
まだ、7歳なのにこれは酷い。
なので、レオン様に内緒でスケジュールの見直し案を皆に聞いてみた。
私が思っていたことは、みんなも思っていたらしく、自由時間の間、少なくとも書類整理の手伝いはできるだろうと言うことになり、レオン様に打診してみた。
レオン様からすぐにOKが貰えて、皆
「やった!これで、レオン様の仕事が減らせた。」
と思ったら、その分違う仕事を始めた。
彼は頭が回りが良い分、損するタイプらしい。
自国の発展のためにも頑張って、特産品をつくったり、防衛のための案を考え、設計図を描いたりして・・・。
ならば、自分らも手伝おうではないか!と周りはさらに頑張った。
結果、遠い未来の武器や料理が生まれまくった。技術も進歩が半端なく進んだ。
彼は献身的に国に仕えた。国の王なのに、ふんぞり返るようなことは無い。謙虚に献身的に仕事をする。民が健やかにあれるようにとお祈りも欠かすことが無い。
結果、神が降臨された。
民のほぼすべてに恩恵が与えられ、すべての民に不老長寿の能力が与えられた。
長い人生になる。
急ぐ必要が無い。
そうなって、やっとレオン様の仕事のペースが落ちた。良かったとみんなで喜んだ。
その間にいろんなこともあった。
祖国は無くなっていたし、レオン様の兄であるランス様には5人も子供が出来ていた。レオン様の初恋も悲しい結果に終わったし、邪魔者(祖国陛下と不良土の巫女と第二王子)がいつの間にか処刑されていたし。
そんな中、一番ピックアップすべき出来事は、セバス(むすこ)が主であるレオン様の嫁になったことだ。
初恋が破れて、落ち込んでいたレオン様にセバスはアタックしたらしい、ちなみに、私もアタックした。
まぁ、二人ともフラれたが。
始めから好きだった。そういった意味も含んだ好きだった。もちろん、主としての忠誠も嘘じゃない。しかし、性的な意味で彼はとても魅力的なのだ。
なので、男らしいところを積極的にアピールしまくった。
邪魔者(人化ドラゴン)を押しのけ、家庭的なところもあるぞと料理を作ってアピールなんかもした。
しかし、彼は手強かった。
告白を受け入れてくれたのは、セバス(むすこ)が15歳になったばかりのレオン様に媚薬を盛って、上に乗った後だった。
まさか、セバス(むすこ)が嫁になりたいと思っていたとは思わなかった。
しかし、そのおかげで、あまり罪悪感を覚えることなくレオン様にアピールして、受け入れてもらえた。私は、さすがに掘られたことが無いので、乗れなかった・・・。
結果、息子と一緒にレオン様と結婚式だ。
セバスも着飾り、そこそこ綺麗だった。レオン様は天使・・・いや、女神と言っていいほど美しかった。初夜は3P。そして、その時見事妊娠したらしい。
まぁ、当然と言えば当然かもしれない。初夜にあの薬を使った。妊娠薬。しかも、かなり特殊なもの。男でも妊娠できる妊娠薬を直接神様から貰ったのだ。
このことはレオン様は知らない。
神様から
「君たちの子供は私のいとし子となるだろう。」
と言われた。
セバスも私もそれを受け入れ、神に感謝した。
それまでは、特に祈りをしなかったが、それを境に毎日の祈りを行うことにした。
今、私たちは6人の子供に囲まれている。セバスの産んだ子3人とレオン様が産んだ子2人だ。最後の一人は?それは、セバスだ。まぁ、仕方ない。趣向が同じなのだ。嫁と婿で建前が違うので、許してほしい。
セバス以外の子供にはすべて土の巫女の紋章がついている。
神様の言ったいとし子なんだろう。
しかし、私は思うのだ、子には自由にあって欲しいと。レオン様は特に強くは言わないものの、巫女は大事にしようとする。自分の子だからと言うよりずっと大事にしている気がした。
しかし、私は、子は子らしくあるべきだと説得。
彼ら彼女らのしたい様に、人に迷惑をかけない程度に遊ばせたのだ。
もちろん、教育は教育。締(し)めるとこは締(し)めた。
あれから、どれだけの時間が経ったんだろうか?子は大人になり、今は色んな意味で成長した。いとし子である彼らは通常の人間よりも元のステータスが高かった。それこそ、レオン様と比べたら、ネズミと竜ほどに差があるくらいに彼らは強かった。
しかし、偉ぶること無く、自分を律し、人のために働くいい子に育った。
その頃には元第一王子のランス様は50人のひ孫持ちになり、そして、亡くなった。
この国から出た土の巫女もどこかの国の王妃になり、現在は孫持ち。かなりの高齢となっている。人と同じように年老いていると聞くので、恐らく人の寿命で亡くなるんだろう。
そんな中、レオン様が亡くなった。
意味が分からなかった。
彼は私や子供たちといつもと同じように会話し、祈り、眠った。それから、起きることが無くなったのだ。
老いることのない体の筈なのに、病気にもなっていなかったのに、なぜか彼は死んでしまったのだ。意味が分からない。セバスは混乱して、自殺を図った。子供たちが止めたので、今は生きているが、ある意味死んでしまった。
そこに神様のお告げを聞いた末息子が教えてくれた。
「お母さまは別の神様に連れ去られた。」
のだと。
末の息子が聞いた話によるとこの世界の他に別の世界があり、その世界にも別の神様がいるんだそうだ。元々レオン様はそちらの出身だったらしく、今頃と言っていいのかわからないが、そのことに気付いたあちらの神様がレオン様の魂を元の世界に戻しちゃったのだと言う。
私とセバスは話し合い、神様にお願いすることにした。
「私たちをレオン様のいる世界に連れていってほしい。」
と。神様は現れ、渋った。難しいんだそうだ。そもそも魂の器質が違い過ぎるらしい。レオン様がこちらの世界の能力に乏しかったように、私たちもあちらの世界に行ったら、能力はかなり乏しくなるんだそうだ。それこそ、農民以下という。
しかも、レオン様自身、あちらに戻ったと同時に記憶を失っていると思われるんだそうだ。
だけど、それでも私たちはお願いをした。
彼は、とても渋りながら、別の動物になってもいいのならと了承してくれた。
セバスは猫に。私は九官鳥になった。カラスはレオン様のもとで生活できないと言われたからだ。何故、犬じゃないかって?それは知らない。
今は、とても短い寿命になってしまったがそれでも、レオン様と入れる幸せを噛み締めている。
今は、人ではないから、前の様な接し方はできないが、とても幸せに暮らしている。
しかし、いつの間にか私は母を恋愛的な意味で好きになっていることに気付いた。
そして、それに、父も気付いた。
気付いた父の行動は素早かった。成人して間もない私に爵位を譲り、自分は母を連れて逃げたのだ。母は押しに弱い人だったので、押し負けると思ったんだろう。
勿論、追おうと思ったし、しようと思った。
そんな中、戦争勃発。しかも起点が、この辺境だった。戦争はあまり長くは続かなかった。私がポンポンと敵将の首を刎ねまくったからだ。早く母に会いたいために焦ったのだ。
結果、私は、祖国に雁字搦めにされることになった。王の親戚の男を副官に迎え、起きる戦争を片っ端から任せられた。
無理矢理、副官の彼とも婚姻をさせられ、私は腐った。
しかし、副官、ライオニルはそんな私を一生懸命支えてくれた。
彼は臆病な人だった。
彼はとても敬虔な人だった。
彼は戦争で人を殺した後、とても悲しむ人だった。
気付けば、私は彼のことを心の底から愛していることに気付いた。
彼が居なければ、世界はとても冷たくつまらないものと気付いた。
彼は、私からのプロポーズにかなり警戒した様子を見せた。
彼、ライオニルに私のことを嫌いなのかと聞いたら、真っ赤な顔で否定して、大好きだと答えられた。
今度は私が真っ赤になる。
結婚から3年も経った頃、私たちはようやく夫婦になったのだ。
色々と戦争で時間を食ったが、ようやく陛下も戦争をするのを止めてくれたので、私たちはようやく子作りを行うことになった。教会から薬を貰い、HOWTO本で勉強して、かなりオドオドしながらも初体験をすることになった。
正直、初めは何が何だか分からなくなって、ある意味失敗した気がする。ライオニルも血だらけになってしまったし。
でも、根気よく繰り返してやっていると良いところがわかる様になり、上手になった。
そうして、結婚からかなり経ってから、ようやく息子が生まれた。
私のクローンかと思える位とてもよく似た息子だった。唯一、ライオニルの外見的に似ているのは唇だけ。下唇がぷっくりと大きい。たらこ唇って程ではないが、ちょっと色っぽい子だった。
それからだ。ライオニルが体調を崩すようになったのは。
ライオニルはなかなか妊娠できないのが、自分のせいだと思って、いろんな薬に手を付けていたらしい。年齢的なものもあったんだろうに、それを許せなかったようだ。
彼は私より10年上だった。確かに適齢期は既に過ぎていたが、それは女性の適齢期。男性は70でも一応孕めるのだ。気にしなくていいのに、彼は気にしていたのだ。
私が気付かなかったのも原因であるのはわかる。
でも、気付いた時には遅かった。
彼は薬の副作用で、息子を産んで1年もしないうちに亡くなった。
それからの私は抜け殻だった。
息子を見ると当時の自分を見る様でつらかった。ほとんどの世話を使用人に任せ、王に言われた任務を粛々とこなす日々。そんな中、息子が執事になりたいと言い出した。誰のかと聞いたら、一番末の王子だと言う。
警戒して、部下に調べさせたが、王子にも息子にも問題は無いと判明。
好きにしろと言うと喜んで、家を出ていった。
そう、家を出ていったのだ。
予想してなかった・・・。
荷物と何人かの使用人を連れて、城に引っ越してしまったのだ。
俺は落ち込みながらも仕事をこなした。
そして、あの恐るべき出来事が起こる。
第一王子駆け落ち。第二王子が激怒。王都の植物が枯れ果てる。悪夢のような出来事の連発。
王はその罪をすべて第三王子に擦り付けた。
第三王子が悪くないのは、城のものはほとんど知っていたが、国の為に犠牲になるのは確定していたようで、誰も彼も彼を助けることは無かった。もちろん、第三王子の使用人たちは別だが。
しかし、権力と数の暴力で、彼は国外に追放されることとなった。
私は国王から国外に出たらすぐに殺せと言われ、彼のもとに現れた。
転移魔法は、いつの間にか使えるようになっていたので、さっさとやって、さっさと帰るつもりだった。
しかし、その考えは第三王子を一目見て変わった。
彼はあるべき主君だと本能がそう訴えた。
彼の前に跪づくのが正しい在り方だと、そう確信したのだ。一目で。
そこから先は、目まぐるしい日々の連続だ。
森からは定期的に魔獣が出てくる。ドラゴンはいつも遊びに来る。私以外の騎士は魔法技術は優れていても物理的な暴力に慣れていないので、魔獣討伐には不向き。
つまり、魔獣に対して動けるのが、私以外いなかったのだ。
訓練した。
騎士を魔獣に対抗できるくらいに鍛えた。指導した。
物理的な暴力はすぐには身につかない。繰り返してこその暴力だ。
必要なのは、力と持続力。
訓練に訓練を重ねさせ、皆が一騎当千の猛者になるまで訓練させた。
たまに視察に来てくれる元第三王子・・・レオン様が
「いつも、ありがとう。これからもよろしくね。」
と言ってくれるので、調子に乗ったと言うのもあるが、前の国で言うS級冒険者程度には鍛えた。
レオン様は素晴らしい。
少ない民ではあるのだが、それでも一国の王になられたのに、偉ぶらず、自分を律することを止めるそぶりさえない。慎ましい様も実に素晴らしい。王族とは思えない。どちらかと言うと聖職者だ。
聖王子と祖国にいるときも呼ばれていたので、他の人間から見ても、彼は聖人なのだろう。
レオン様の一日は7歳の時、私が彼を主と仰いだ時から、過密スケジュールにもほどがあるものだった。
お祈り、食事、視察、視察を兼ねた食事、書類整理、食事、風呂、お祈り、就寝。
文字で書くとこんだけ?と思うかもしれないが、視察がとにかく長いのだ。一人一人にある程度時間が取れるように回っているもんだから、一般の視察が終わるころには日も暮れているし、日が暮れてから孤児院のある教会に最後に行くんだけど、それは相談も兼ねているから短くできないし、教会から帰る時には夜の10時を超えている。それから書類整理しながら、食事を摂り、終わったら烏の行水のような風呂。しっかり、お祈りをして、終わるころには夜の2時を回っている。なのに、起床は6時なのだ。
まだ、7歳なのにこれは酷い。
なので、レオン様に内緒でスケジュールの見直し案を皆に聞いてみた。
私が思っていたことは、みんなも思っていたらしく、自由時間の間、少なくとも書類整理の手伝いはできるだろうと言うことになり、レオン様に打診してみた。
レオン様からすぐにOKが貰えて、皆
「やった!これで、レオン様の仕事が減らせた。」
と思ったら、その分違う仕事を始めた。
彼は頭が回りが良い分、損するタイプらしい。
自国の発展のためにも頑張って、特産品をつくったり、防衛のための案を考え、設計図を描いたりして・・・。
ならば、自分らも手伝おうではないか!と周りはさらに頑張った。
結果、遠い未来の武器や料理が生まれまくった。技術も進歩が半端なく進んだ。
彼は献身的に国に仕えた。国の王なのに、ふんぞり返るようなことは無い。謙虚に献身的に仕事をする。民が健やかにあれるようにとお祈りも欠かすことが無い。
結果、神が降臨された。
民のほぼすべてに恩恵が与えられ、すべての民に不老長寿の能力が与えられた。
長い人生になる。
急ぐ必要が無い。
そうなって、やっとレオン様の仕事のペースが落ちた。良かったとみんなで喜んだ。
その間にいろんなこともあった。
祖国は無くなっていたし、レオン様の兄であるランス様には5人も子供が出来ていた。レオン様の初恋も悲しい結果に終わったし、邪魔者(祖国陛下と不良土の巫女と第二王子)がいつの間にか処刑されていたし。
そんな中、一番ピックアップすべき出来事は、セバス(むすこ)が主であるレオン様の嫁になったことだ。
初恋が破れて、落ち込んでいたレオン様にセバスはアタックしたらしい、ちなみに、私もアタックした。
まぁ、二人ともフラれたが。
始めから好きだった。そういった意味も含んだ好きだった。もちろん、主としての忠誠も嘘じゃない。しかし、性的な意味で彼はとても魅力的なのだ。
なので、男らしいところを積極的にアピールしまくった。
邪魔者(人化ドラゴン)を押しのけ、家庭的なところもあるぞと料理を作ってアピールなんかもした。
しかし、彼は手強かった。
告白を受け入れてくれたのは、セバス(むすこ)が15歳になったばかりのレオン様に媚薬を盛って、上に乗った後だった。
まさか、セバス(むすこ)が嫁になりたいと思っていたとは思わなかった。
しかし、そのおかげで、あまり罪悪感を覚えることなくレオン様にアピールして、受け入れてもらえた。私は、さすがに掘られたことが無いので、乗れなかった・・・。
結果、息子と一緒にレオン様と結婚式だ。
セバスも着飾り、そこそこ綺麗だった。レオン様は天使・・・いや、女神と言っていいほど美しかった。初夜は3P。そして、その時見事妊娠したらしい。
まぁ、当然と言えば当然かもしれない。初夜にあの薬を使った。妊娠薬。しかも、かなり特殊なもの。男でも妊娠できる妊娠薬を直接神様から貰ったのだ。
このことはレオン様は知らない。
神様から
「君たちの子供は私のいとし子となるだろう。」
と言われた。
セバスも私もそれを受け入れ、神に感謝した。
それまでは、特に祈りをしなかったが、それを境に毎日の祈りを行うことにした。
今、私たちは6人の子供に囲まれている。セバスの産んだ子3人とレオン様が産んだ子2人だ。最後の一人は?それは、セバスだ。まぁ、仕方ない。趣向が同じなのだ。嫁と婿で建前が違うので、許してほしい。
セバス以外の子供にはすべて土の巫女の紋章がついている。
神様の言ったいとし子なんだろう。
しかし、私は思うのだ、子には自由にあって欲しいと。レオン様は特に強くは言わないものの、巫女は大事にしようとする。自分の子だからと言うよりずっと大事にしている気がした。
しかし、私は、子は子らしくあるべきだと説得。
彼ら彼女らのしたい様に、人に迷惑をかけない程度に遊ばせたのだ。
もちろん、教育は教育。締(し)めるとこは締(し)めた。
あれから、どれだけの時間が経ったんだろうか?子は大人になり、今は色んな意味で成長した。いとし子である彼らは通常の人間よりも元のステータスが高かった。それこそ、レオン様と比べたら、ネズミと竜ほどに差があるくらいに彼らは強かった。
しかし、偉ぶること無く、自分を律し、人のために働くいい子に育った。
その頃には元第一王子のランス様は50人のひ孫持ちになり、そして、亡くなった。
この国から出た土の巫女もどこかの国の王妃になり、現在は孫持ち。かなりの高齢となっている。人と同じように年老いていると聞くので、恐らく人の寿命で亡くなるんだろう。
そんな中、レオン様が亡くなった。
意味が分からなかった。
彼は私や子供たちといつもと同じように会話し、祈り、眠った。それから、起きることが無くなったのだ。
老いることのない体の筈なのに、病気にもなっていなかったのに、なぜか彼は死んでしまったのだ。意味が分からない。セバスは混乱して、自殺を図った。子供たちが止めたので、今は生きているが、ある意味死んでしまった。
そこに神様のお告げを聞いた末息子が教えてくれた。
「お母さまは別の神様に連れ去られた。」
のだと。
末の息子が聞いた話によるとこの世界の他に別の世界があり、その世界にも別の神様がいるんだそうだ。元々レオン様はそちらの出身だったらしく、今頃と言っていいのかわからないが、そのことに気付いたあちらの神様がレオン様の魂を元の世界に戻しちゃったのだと言う。
私とセバスは話し合い、神様にお願いすることにした。
「私たちをレオン様のいる世界に連れていってほしい。」
と。神様は現れ、渋った。難しいんだそうだ。そもそも魂の器質が違い過ぎるらしい。レオン様がこちらの世界の能力に乏しかったように、私たちもあちらの世界に行ったら、能力はかなり乏しくなるんだそうだ。それこそ、農民以下という。
しかも、レオン様自身、あちらに戻ったと同時に記憶を失っていると思われるんだそうだ。
だけど、それでも私たちはお願いをした。
彼は、とても渋りながら、別の動物になってもいいのならと了承してくれた。
セバスは猫に。私は九官鳥になった。カラスはレオン様のもとで生活できないと言われたからだ。何故、犬じゃないかって?それは知らない。
今は、とても短い寿命になってしまったがそれでも、レオン様と入れる幸せを噛み締めている。
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