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ヒロインですが、悪役令嬢の妹になりました
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目を覚ますと下水道みたいなところだった。
暗いし、湿っているし、臭いしで、ちょろちょろとドブネズミが歩いていました。
最後の記憶は、病院のベッドの上で、ナースコールのボタンを押したところ。そこからの記憶がありません。恐らく、その時、死んだのでしょう。
なんで、記憶が残ったままここにいるんだろうと思いつつ、頑張って起き上がろうとしましたが、布に包まれていて、手も足も出ません。
(あー、もしかしたら、すぐに死ぬ運命だから、記憶が残っていたのかな?)
とか思いながら、人生諦めモードに入りそうになった時、5歳位の男の子が私を覗き込むようにして見ていました。
(こんにちは!)
「あぅあぅあー。」
一応、挨拶してみました。案の定、言葉になりませんでした。
・・・やっぱり、私は赤ちゃんになっているようです。
「****、***?」
男の子は知らない言葉で私に何か聞いてきました。日本語では無いことだけは確かです。さっぱりわかりません。
「あぁう?」
「**、****?」
なんとなく、男の子が俺と一緒に行くか?と言っている気がしました。ここで野垂れ死にたくないので、頷きました。
「**!*****。」
男の子が何かしら言って、私を抱っこしてくれました。寒くて、眠くて、お腹が減って、私の意識は遠く遠く・・・・。
目を覚ますと石造りの建物の中でした。木窓が開いていて、寒い空気が入ってきました。
「くしゅん。」
寒くて、くしゃみをしたら、シスターみたいな人が現れ、毛布を掛けてくれました。窓は引き続き、開けっぱなしの模様。
しばらくしたら、拾ってくれた男の子が、湯気が多少のぼったお椀を持ってきました。匂い的にミルクの模様。男の子がフーフーしてくれて、スプーンで飲ませてくれました。
「あばぁばぁ!」
「*****?」
「あい!」
多分、美味しいか?って聞いた気がしたので、頷いて返事すると男の子はにっこり笑ってくれました。男の子はとても育児慣れしていて、特に困ること無く、私はすくすく育ちました。
3年後、この世界のことが徐々にわかりました。
この世界には、魔法があるようです。
しかし、現代でいう洗濯や料理位にしか一般人は使えない模様。全く使えない人もいる位。一杯、魔力があるのは貴族の血筋くらいらしいです。一応、この国は昨年から実力主義になった為、平民でも魔力が無くても役職に就けるようになったらしいのですが、まだまだ偏見は多い模様。しかし、事務とか内官関係はじわじわ平民の優秀者が採用されているらしい。騎士とかはまだ無理らしいけど。
後、現代でいう家電製品は魔道具としてあるにはある。しかし、あまり威力は無いし、高価。ほとんどのものは手に入らない。しかも、維持に魔石が必要になる。魔石は簡単に言うと電池だ。電池式の家電製品・・・無いわー。
継続的に使用は困難な模様。金持ち以外は。
私は王都の孤児院に拾われたらしい。
拾ってくれたのは、ナージェルという少年。今は私の『お父さん』だ。
年齢は12歳しか離れていないのだが、ナージェルが「お父さんと呼べ!」と言うので、お父さんと呼んでいる。お父さんも孤児でシスターに15年前拾われたらしい。お父さんはいつもは食堂で働いていて、たまに冒険者ギルドで手伝いをしている。この教会はメイリス伯爵の寄付で成り立っているが、30人近くいる子供たちの養育には足りていない。その為、お父さんが仕事をして、私たちのご飯を賄ってくれているのだ。
一応、5歳を過ぎた子供たちは、冒険者ギルドで雑用の手伝いをさせてもらい、お金を稼いでいるが・・・まぁ、少量だ。
私はまだ、3歳なので働いていない。その代わり、一生懸命、文字やら計算やらの勉強をさせてもらっている。いずれは、お父さんの手伝いをしたいなぁと思いながら、幼いながら頑張った。
私が5歳の頃、大変なことが起こった。
お父さんを伯爵が迎えに来たのだ。
お父さん・・・ナージェルはメイリス伯爵の庶子らしい。この度、メイリス伯爵の嫡男に問題が発生して、ナージェルを実子として迎えることにしたらしい。お父さんを孤児院に入れたのもこのメイリス伯爵らしい。いざと言うときのためのストックに孤児院に入れたらしい。寄付金を入れていたのも彼を育てるため・・・だったらしい。つまり、慈悲の念は無い模様。
・・・貴族きらーい。
お父さんは、伯爵の家に行くのに条件を付けた。
・私をお父さん(ナージェル)の養子として迎えること。
・孤児院への寄付を止めないこと
・教育時間以外は自由行動を許すこと
私のこと以外は了承された。
そう、私を養子の養子は無理だと言われた。しかし、お父さんはあきらめなかった。というか、貴族になりたくないらしい。・・・まぁ、私も貴族にはなりたくない。でも、メイリス伯爵は、私に豪勢に暮らしたいだろう?と聞いてきた。
「いいえ。お父さんと一緒なら、貧乏でもお金持ちでもどっちでもいい。」
と答えるとお父さんはデレデレと笑って、私を抱きしめてくれた。私もにっこり。
メイリス伯爵は物凄く嫌そうにこっちを見ている。
非常に憤慨しているのは見て分かる。
なんとなく、このままだと孤児院を壊しそうな勢いだ。
困った。それは、困る。
なんとなく、シスターもその未来を容易に想像できているようで、頭を抱えている。
困った。
「実力を示してみせろ。問題のある兄よりもお前とお前の子が有益だと思える様を見せろ。」
と伯爵が滅茶苦茶怖い顔でそう言った。そして、一つの水晶玉を渡してきた。
「魔力をそれに入れろ!」
と伯爵は言う。魔力?使い方なんてわからない。使ったことが無い。そもそも、孤児院の連中はほとんど魔力が無い。だから、魔力の使い方はわからない。
でも、お父さんは知っていたようだ。
どうやら、食堂で食事を作っているときに使い方を教わったらしい。
お父さんが魔力を入れると水晶玉は緑色に一杯光り輝いた。物凄くまばゆい光。
お父さんは、私に
「川が体の中に流れているだろう?それの延長線で・・・うーん。水晶を真ん中に置くんだよ。」
と教えてくれた。
なんとなく、血管の流れを思い浮かべた。血を流すんだ、水晶に。体温を移すみたいに。
そう考えているとおもむろにお父さんから水晶を渡された。
思ったことを実践してみた。
水晶はお父さんには劣るが、とても明るく青緑色に光った。
「・・・素晴らしい。」
メイリス伯爵はそう言って、私も養子にすることにしたようだった。
・・・つまり、お父さんはお兄ちゃんになるらしい。
「ナーコは、俺の娘なのに!」
とお父さん・・・ナージェル兄さまは叫ぶけど、まぁ、このくらいの妥協は必要だよね。
現在、私5歳。ナージェル兄さま17歳の春だった。
暗いし、湿っているし、臭いしで、ちょろちょろとドブネズミが歩いていました。
最後の記憶は、病院のベッドの上で、ナースコールのボタンを押したところ。そこからの記憶がありません。恐らく、その時、死んだのでしょう。
なんで、記憶が残ったままここにいるんだろうと思いつつ、頑張って起き上がろうとしましたが、布に包まれていて、手も足も出ません。
(あー、もしかしたら、すぐに死ぬ運命だから、記憶が残っていたのかな?)
とか思いながら、人生諦めモードに入りそうになった時、5歳位の男の子が私を覗き込むようにして見ていました。
(こんにちは!)
「あぅあぅあー。」
一応、挨拶してみました。案の定、言葉になりませんでした。
・・・やっぱり、私は赤ちゃんになっているようです。
「****、***?」
男の子は知らない言葉で私に何か聞いてきました。日本語では無いことだけは確かです。さっぱりわかりません。
「あぁう?」
「**、****?」
なんとなく、男の子が俺と一緒に行くか?と言っている気がしました。ここで野垂れ死にたくないので、頷きました。
「**!*****。」
男の子が何かしら言って、私を抱っこしてくれました。寒くて、眠くて、お腹が減って、私の意識は遠く遠く・・・・。
目を覚ますと石造りの建物の中でした。木窓が開いていて、寒い空気が入ってきました。
「くしゅん。」
寒くて、くしゃみをしたら、シスターみたいな人が現れ、毛布を掛けてくれました。窓は引き続き、開けっぱなしの模様。
しばらくしたら、拾ってくれた男の子が、湯気が多少のぼったお椀を持ってきました。匂い的にミルクの模様。男の子がフーフーしてくれて、スプーンで飲ませてくれました。
「あばぁばぁ!」
「*****?」
「あい!」
多分、美味しいか?って聞いた気がしたので、頷いて返事すると男の子はにっこり笑ってくれました。男の子はとても育児慣れしていて、特に困ること無く、私はすくすく育ちました。
3年後、この世界のことが徐々にわかりました。
この世界には、魔法があるようです。
しかし、現代でいう洗濯や料理位にしか一般人は使えない模様。全く使えない人もいる位。一杯、魔力があるのは貴族の血筋くらいらしいです。一応、この国は昨年から実力主義になった為、平民でも魔力が無くても役職に就けるようになったらしいのですが、まだまだ偏見は多い模様。しかし、事務とか内官関係はじわじわ平民の優秀者が採用されているらしい。騎士とかはまだ無理らしいけど。
後、現代でいう家電製品は魔道具としてあるにはある。しかし、あまり威力は無いし、高価。ほとんどのものは手に入らない。しかも、維持に魔石が必要になる。魔石は簡単に言うと電池だ。電池式の家電製品・・・無いわー。
継続的に使用は困難な模様。金持ち以外は。
私は王都の孤児院に拾われたらしい。
拾ってくれたのは、ナージェルという少年。今は私の『お父さん』だ。
年齢は12歳しか離れていないのだが、ナージェルが「お父さんと呼べ!」と言うので、お父さんと呼んでいる。お父さんも孤児でシスターに15年前拾われたらしい。お父さんはいつもは食堂で働いていて、たまに冒険者ギルドで手伝いをしている。この教会はメイリス伯爵の寄付で成り立っているが、30人近くいる子供たちの養育には足りていない。その為、お父さんが仕事をして、私たちのご飯を賄ってくれているのだ。
一応、5歳を過ぎた子供たちは、冒険者ギルドで雑用の手伝いをさせてもらい、お金を稼いでいるが・・・まぁ、少量だ。
私はまだ、3歳なので働いていない。その代わり、一生懸命、文字やら計算やらの勉強をさせてもらっている。いずれは、お父さんの手伝いをしたいなぁと思いながら、幼いながら頑張った。
私が5歳の頃、大変なことが起こった。
お父さんを伯爵が迎えに来たのだ。
お父さん・・・ナージェルはメイリス伯爵の庶子らしい。この度、メイリス伯爵の嫡男に問題が発生して、ナージェルを実子として迎えることにしたらしい。お父さんを孤児院に入れたのもこのメイリス伯爵らしい。いざと言うときのためのストックに孤児院に入れたらしい。寄付金を入れていたのも彼を育てるため・・・だったらしい。つまり、慈悲の念は無い模様。
・・・貴族きらーい。
お父さんは、伯爵の家に行くのに条件を付けた。
・私をお父さん(ナージェル)の養子として迎えること。
・孤児院への寄付を止めないこと
・教育時間以外は自由行動を許すこと
私のこと以外は了承された。
そう、私を養子の養子は無理だと言われた。しかし、お父さんはあきらめなかった。というか、貴族になりたくないらしい。・・・まぁ、私も貴族にはなりたくない。でも、メイリス伯爵は、私に豪勢に暮らしたいだろう?と聞いてきた。
「いいえ。お父さんと一緒なら、貧乏でもお金持ちでもどっちでもいい。」
と答えるとお父さんはデレデレと笑って、私を抱きしめてくれた。私もにっこり。
メイリス伯爵は物凄く嫌そうにこっちを見ている。
非常に憤慨しているのは見て分かる。
なんとなく、このままだと孤児院を壊しそうな勢いだ。
困った。それは、困る。
なんとなく、シスターもその未来を容易に想像できているようで、頭を抱えている。
困った。
「実力を示してみせろ。問題のある兄よりもお前とお前の子が有益だと思える様を見せろ。」
と伯爵が滅茶苦茶怖い顔でそう言った。そして、一つの水晶玉を渡してきた。
「魔力をそれに入れろ!」
と伯爵は言う。魔力?使い方なんてわからない。使ったことが無い。そもそも、孤児院の連中はほとんど魔力が無い。だから、魔力の使い方はわからない。
でも、お父さんは知っていたようだ。
どうやら、食堂で食事を作っているときに使い方を教わったらしい。
お父さんが魔力を入れると水晶玉は緑色に一杯光り輝いた。物凄くまばゆい光。
お父さんは、私に
「川が体の中に流れているだろう?それの延長線で・・・うーん。水晶を真ん中に置くんだよ。」
と教えてくれた。
なんとなく、血管の流れを思い浮かべた。血を流すんだ、水晶に。体温を移すみたいに。
そう考えているとおもむろにお父さんから水晶を渡された。
思ったことを実践してみた。
水晶はお父さんには劣るが、とても明るく青緑色に光った。
「・・・素晴らしい。」
メイリス伯爵はそう言って、私も養子にすることにしたようだった。
・・・つまり、お父さんはお兄ちゃんになるらしい。
「ナーコは、俺の娘なのに!」
とお父さん・・・ナージェル兄さまは叫ぶけど、まぁ、このくらいの妥協は必要だよね。
現在、私5歳。ナージェル兄さま17歳の春だった。
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