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寂しいと言ってみた
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~リリームス・カリン・エヴァルドside~
享年10歳10か月。
ライナル・ロゼリア少年は、父であるロゼリア伯爵の性的暴行により、衰弱死した。
もっと、早く助け出せればよかったのに。
どうして、どうして、こんなことになったんだろう?
やはり、誕生日の日に両親にあわせなきゃよかった。
彼の脱出に協力してくれたハンナ、ヨハン、カール。
ずっと、彼の身の回りの世話をやってくれた人たち。
俺を含めて、皆、衛兵に捕まった。
やっても居ない罪を次々に着せられ、今処刑台の前にいる。
昔、ライナル少年は言っていた。
「死んだら、生まれ変われる」
と。
「あぁ、出来ることならば、どうか、来世では彼が幸せになれますように。」
首に縄をかけられ、底板が抜かれた。
一気に首に体重がかかる。
なかなか死ねない。
苦しい。
足を引っ張る市民の人たち。
俺が早く死ねるように必死に引っ張ってくれている。
市民は知っている。
俺のことを。
ハンナ、ヨハン、カールのことを。
市民は知っていた。
これは、無実の処刑だと。
それでもそれを助けるすべは無いのだとも知っていた。
だから、通常なら石が飛び交う処刑場で、俺たちは石を投げられることもなく、足をみんなに引っ張られて直ぐに死ぬことが出来た。
あぁ、済まない。
辛い目をさせてしまった。
本当に済まない。
そこで、俺たちの人生も終わった。
~???side~
「あぁ、やっぱり、駄目だったかー。」
一人の少年が雲の合間から下を見てそう言った。
「本当に趣味の悪いことしてやがんな。」
一人の青髪の青年が少年に向かってそう言った。
「えー、僕自身はそんなことをしているつもりはないよ?
僕のいとし子を顕現して欲しいと信者から言われたから、異界の報われない魂の子をちゃんといとし子として顕現させようと思って、ちゃんと神託を下したよ?
なのに、結局、信者は気付かずにいとし子を保護しなかった。
いとし子を助けようとして動いた人たちが無実だって知っても止めなかったし、やっぱり、信者に価値なんか無いことが証明されたんじゃない?」
少年が抗議したら、青髪の青年は軽くぽこんと少年の頭を叩いた。
「そっちじゃない。
あの子とその周りの事だ。何であんな過酷な運命にしたんだ?」
青年は静かに怒っていた。
「・・・仕方が無いよ。」
少年はちょっと難しそうな顔でそう返した。
「何が仕方が無いんだ?意味が分からん。」
「因果がそうさせるんだ。僕の一存ではないよ。」
「は?」
「因果って、そりゃ、お前・・・。」
「干渉は不自由。」
「・・・。無理、じゃなくて、不自由なんだな?」
「うん。」
「そっか・・・。」
「なら、来世なら?」
「そうだね、来世なら、・・・でも、、あの魂はもう、駄目かもしれないよ・・・。」
「・・・。なら、ほんの少しだけでも、幸大きことを。」
「そうだね、彼の最後の生に、幸大きことを。」
~とある農家side~
一人の男の子が今、産声を上げた。
とても弱弱しいけど、小さな我が子だった。
私たちには前世の記憶がある。
悲しい少年を守れなかった記憶。
それに、神託を貰った。
ハンナとヨハンの間に生まれてくる子は、全く記憶をなくしてはいるけど、ライナル坊ちゃんの生まれ変わりなんだそうだ。恐らく長くは生きられないけど、幸せにしてほしいと言われた。
神様のことは毎週教会に行くけどあまり信じていなかった。
でも、初めて信じるようになった。
ハンナは生まれ変わっても同じ名前のハンナだった。
ヨハンもそう。
カールは、今の名前はディベルアル・ギミニーク伯爵夫人。この領地の良き領主夫人をしている。
リリームス先生の今の名前はカリス・エヴォーク・ギミニーク伯爵。この領地の良き領主をしている。
今生で、二人には会ったことは無いけど、この地を富ませてくれる二人のことは神託で知っている。
おかげで飢饉が起きても、ちゃんと食べていけたし、病が流行った時もとてもすごく早く終息した。
生まれた子にはケインと名付けた。
同じ名前にしたら、また、嫌なことが起きそうな気がしたからだ。
ケインはライナル坊ちゃんよりももっと静かな子供だった。
それにとても病弱だった。
医者が言うには10歳を迎えるのも困難だと言われた。
それでも、ケインを大事に大事に育てた。
ケインはよく笑う子だった。
ケインはお手伝いを自分からしようとする子だった。
この子の7つのお祝いをしている中、ケインは倒れ、帰らぬ人になった。
幸せそうに眠ったケインは、幸せになれたんだろうか?
今でも、私もヨハンもケインのことを忘れられない。
~あとがき~
『寂しいと言ってみた』は永遠バッドエンド作品です。
輪廻転生とはよく言ったもので、彼は3つ前までの人生でどんな悪いことをしたのかは私は知りはしません。
しかし、???sideで書かれてことと同様に彼は救われて死ぬことは許されていませんでした。
おまけの7年間は本当に???sideの青髪の方の恩情です。
それも、彼、ライナルの為の恩情ではありません。
???sideで言った通り、彼の魂の因果はそれほどまでに深い業を持っていたので、こちらとしても申し訳ないのですが、救われてはいけないものだったようです。夢の中の彼女は少なくともそう考えていました。
よくはわかりません。
この7年間のハンナとヨハンの子供としての人生を終えた彼の魂はそのまま消滅いたします。
それが本当の意味での救いなので仕方が無いと彼女は言っていました。
私にはまだ理解できませんが、それが彼女にとって救いならば、そう私は信じてやみません。
しかし、青髪の???がどうして、ハンナたちの為に7年用意したのかが、私にも彼女にも未だに理解できていません。
しかし、それも必要なことなんだと彼が言っている気もします。
でも、彼とはいったい誰なのかは、どうにも理解を拒みます。
確実に彼は青髪でも少年???でも無いのは確かなのですが、理解をしようとすると何かが壊れそうなので、止めることにします。
享年10歳10か月。
ライナル・ロゼリア少年は、父であるロゼリア伯爵の性的暴行により、衰弱死した。
もっと、早く助け出せればよかったのに。
どうして、どうして、こんなことになったんだろう?
やはり、誕生日の日に両親にあわせなきゃよかった。
彼の脱出に協力してくれたハンナ、ヨハン、カール。
ずっと、彼の身の回りの世話をやってくれた人たち。
俺を含めて、皆、衛兵に捕まった。
やっても居ない罪を次々に着せられ、今処刑台の前にいる。
昔、ライナル少年は言っていた。
「死んだら、生まれ変われる」
と。
「あぁ、出来ることならば、どうか、来世では彼が幸せになれますように。」
首に縄をかけられ、底板が抜かれた。
一気に首に体重がかかる。
なかなか死ねない。
苦しい。
足を引っ張る市民の人たち。
俺が早く死ねるように必死に引っ張ってくれている。
市民は知っている。
俺のことを。
ハンナ、ヨハン、カールのことを。
市民は知っていた。
これは、無実の処刑だと。
それでもそれを助けるすべは無いのだとも知っていた。
だから、通常なら石が飛び交う処刑場で、俺たちは石を投げられることもなく、足をみんなに引っ張られて直ぐに死ぬことが出来た。
あぁ、済まない。
辛い目をさせてしまった。
本当に済まない。
そこで、俺たちの人生も終わった。
~???side~
「あぁ、やっぱり、駄目だったかー。」
一人の少年が雲の合間から下を見てそう言った。
「本当に趣味の悪いことしてやがんな。」
一人の青髪の青年が少年に向かってそう言った。
「えー、僕自身はそんなことをしているつもりはないよ?
僕のいとし子を顕現して欲しいと信者から言われたから、異界の報われない魂の子をちゃんといとし子として顕現させようと思って、ちゃんと神託を下したよ?
なのに、結局、信者は気付かずにいとし子を保護しなかった。
いとし子を助けようとして動いた人たちが無実だって知っても止めなかったし、やっぱり、信者に価値なんか無いことが証明されたんじゃない?」
少年が抗議したら、青髪の青年は軽くぽこんと少年の頭を叩いた。
「そっちじゃない。
あの子とその周りの事だ。何であんな過酷な運命にしたんだ?」
青年は静かに怒っていた。
「・・・仕方が無いよ。」
少年はちょっと難しそうな顔でそう返した。
「何が仕方が無いんだ?意味が分からん。」
「因果がそうさせるんだ。僕の一存ではないよ。」
「は?」
「因果って、そりゃ、お前・・・。」
「干渉は不自由。」
「・・・。無理、じゃなくて、不自由なんだな?」
「うん。」
「そっか・・・。」
「なら、来世なら?」
「そうだね、来世なら、・・・でも、、あの魂はもう、駄目かもしれないよ・・・。」
「・・・。なら、ほんの少しだけでも、幸大きことを。」
「そうだね、彼の最後の生に、幸大きことを。」
~とある農家side~
一人の男の子が今、産声を上げた。
とても弱弱しいけど、小さな我が子だった。
私たちには前世の記憶がある。
悲しい少年を守れなかった記憶。
それに、神託を貰った。
ハンナとヨハンの間に生まれてくる子は、全く記憶をなくしてはいるけど、ライナル坊ちゃんの生まれ変わりなんだそうだ。恐らく長くは生きられないけど、幸せにしてほしいと言われた。
神様のことは毎週教会に行くけどあまり信じていなかった。
でも、初めて信じるようになった。
ハンナは生まれ変わっても同じ名前のハンナだった。
ヨハンもそう。
カールは、今の名前はディベルアル・ギミニーク伯爵夫人。この領地の良き領主夫人をしている。
リリームス先生の今の名前はカリス・エヴォーク・ギミニーク伯爵。この領地の良き領主をしている。
今生で、二人には会ったことは無いけど、この地を富ませてくれる二人のことは神託で知っている。
おかげで飢饉が起きても、ちゃんと食べていけたし、病が流行った時もとてもすごく早く終息した。
生まれた子にはケインと名付けた。
同じ名前にしたら、また、嫌なことが起きそうな気がしたからだ。
ケインはライナル坊ちゃんよりももっと静かな子供だった。
それにとても病弱だった。
医者が言うには10歳を迎えるのも困難だと言われた。
それでも、ケインを大事に大事に育てた。
ケインはよく笑う子だった。
ケインはお手伝いを自分からしようとする子だった。
この子の7つのお祝いをしている中、ケインは倒れ、帰らぬ人になった。
幸せそうに眠ったケインは、幸せになれたんだろうか?
今でも、私もヨハンもケインのことを忘れられない。
~あとがき~
『寂しいと言ってみた』は永遠バッドエンド作品です。
輪廻転生とはよく言ったもので、彼は3つ前までの人生でどんな悪いことをしたのかは私は知りはしません。
しかし、???sideで書かれてことと同様に彼は救われて死ぬことは許されていませんでした。
おまけの7年間は本当に???sideの青髪の方の恩情です。
それも、彼、ライナルの為の恩情ではありません。
???sideで言った通り、彼の魂の因果はそれほどまでに深い業を持っていたので、こちらとしても申し訳ないのですが、救われてはいけないものだったようです。夢の中の彼女は少なくともそう考えていました。
よくはわかりません。
この7年間のハンナとヨハンの子供としての人生を終えた彼の魂はそのまま消滅いたします。
それが本当の意味での救いなので仕方が無いと彼女は言っていました。
私にはまだ理解できませんが、それが彼女にとって救いならば、そう私は信じてやみません。
しかし、青髪の???がどうして、ハンナたちの為に7年用意したのかが、私にも彼女にも未だに理解できていません。
しかし、それも必要なことなんだと彼が言っている気もします。
でも、彼とはいったい誰なのかは、どうにも理解を拒みます。
確実に彼は青髪でも少年???でも無いのは確かなのですが、理解をしようとすると何かが壊れそうなので、止めることにします。
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