皇國の防戦記

第二章 次の戦いへの備え

１７ 第２中隊の中核戦力

事務作業にほぼ目処が付いたグレンは、残りをヴィクトルに任せ自分は先程会話に出た小隊長の二人




ガラン＝ヒルツ・グラドとヴォルゲン・ランドロフの様子を伺うために酒保に戻る事にした。




時刻はすでに昼過ぎだ。




流石に目を覚ましているだろうと考えていたグレンの予想は綺麗に裏切られた。




「ヌック！」




巨漢の小隊長は未だに酔い潰れ、大イビキを立てて、それぞれ机の上と地べたに眠りこけていた。




「ああ！グレンやっと来たのか！さっさとコイツら連れ出してくれ！一般の客が入ってこれないよこんなんじゃ！」




「ヌック」




「見ろ、このザマ！」




グレンに気がついた酒保の運営管理者、通称❝店主❞は憤りを隠さない。




「何と言うか・・・申し訳ない。内のパープリン共がいつも迷惑を掛けて。コイツらはしばき倒した後に、強力かつ無慈悲な折檻を食らわします。本当に申し訳ない」




グレンは部下の不始末を店主に詫びる。




「まあ、いいさ・・・いつもの事さ・・・こいつらも大変だよ、まさかこんなに長く戦が続くとは思っていなかったからな」




「そんなもんですよ、戦なんて。誰も何も予測なんか立たない」




陰りのある店主に対し、グレンはいつもと変わらぬ様子で答えながら、意識不明の巨漢の二人をそれぞれ片手で引きずり出す。




「さっきはああ言ったが、あんまりキツイことはしてやるな？いろいろと抱えてんだよそいつらも」




万が一目を覚ましたところで逃さぬように、首根っこを掴もうかと考えたが、握りつぶしても厄介なので温情で足首にしておいた。




「どうもご迷惑をおかけしました。失礼します」




「今度は一人で来い、ゆっくりとな・・・一杯ぐらい奢ろう・・・・・・それと、アイラはしばらく来させるなよ・・・？ここの事業所取り潰しになるぞ・・・」




「フフッまた伺いますよ、そのときは付き合って下さいな」




「またな」




「はい、それでは」




店主との会話を終えグレンは隊舎に踵を返した。







この後、二人はグレンにしばき倒され、ヴィクトルに吐くまで説教をされた。