皇國の防戦記

長上郡司

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第四章 亡霊少女

61 学生兵 アクレシア・レッドグレイヴの苦悩

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「グレン千人将の教え方、本当に分かりやすいです・・・凄い」



「それはどうも」 



結局、恩師の強引な要請をはね除ける事は叶わず、グレンはアクレシア・レッドグレイヴ五年兵の苦手科目の歴史関係を、噛み砕き、一つずつ丁寧に教えている。




「これだけ理解できるなら、別に問題はないのでは?」




「いえ、まだまだ分からないことだらけです」



「自分も、分からないままで卒業した分野が在るけど、意外と何とかなるよ」



「千人将は、強いからそうかもしれません・・・ですが、私は・・・」



「戦闘訓練が、苦手?」



「・・・はい」



「成る程、力不足を頭で補おうと?」




「兵士であれば、戦闘は避けられない事は、重々承知しています」




「苦手を人並み以上にするには、それこそ他の事柄を犠牲にしないといけない」




「・・・」




「君は、別に自ら弓矛を振るう必要は無い・・・」




「・・・ですが」




「納得がいかないか?」




「はい・・・」




「分かった」




俯くアクレシアの前から立ち上がり、グレンはアルフォンスと何かを話す。




やがて会話が終わり、再び彼女の元に寄る。





「戦闘訓練を行う」



「はい?」



アクレシアは、目をぱちくりとさせる。




「アルフォンス先生に許可を頂いた、問題ないよ」



「え、いや・・・そんな急に・・・」



「強くなりたいんだろ?」  




「・・・はい」



「では、練兵場で」




              グレンとエリアとアイラの会話



「端から聞いていりゃあ・・・隊長気持ち悪いですね?いつもの辛辣無慈悲はどうしたんですか?」



「俺は基本的にこんな感じだよ、エリア・パープリン・シュナイダー君?」



「ま~た嘘ばっか告いてるよこの人」



「隊長、どこに行くの?」




「もう着くよ」



「練兵場?」




「なにするの?」



「練兵場でやるって言えば一つだろ」



「アイラ、思いっきりクシャボコにしちゃってください」



「え~?めんどくさい」



「俺じゃねえから、アイラその矛どっかに置いて?」



「グレン千人将準備完了しました」



「あぁ、来たね」



「?」



「さっきの子?」



「エリア」




「はい?」




グレンは木刀のような物をエリアに手渡した。




「え?」




「え?じゃねえ、お前が、やるんだよ」



「いや・・・」




「やれ」





「・・・はい」




             次回 エリア先生の近接戦闘指南の巻




「私がやれば良いんじゃないの?」



「お前、あんな子供に生涯消えねえトラウマ刻み込むつもりか?俺やヴォルゲンみてぇのをよ・・・?」



「もう隊長は、大袈裟何だから」



「ほぉ、そうか・・・ならそれを、俺の目ェ見て言ってみろや・・・おい、首反らしてねェでこっち向けよ・・・なあ?」



アイラは最後まで目を会わせる事は無かった。
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