親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐します。

ふるか162号

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1章 親友が酷い目に遭わされたので

16話 紫頭が仲間になりました

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 私は紫頭の首に紐を巻きつけて、引きずってお城の中を歩きます。
 紫頭は首が締まらないように必死について来ています。その光景を見て兵士さん達は顔を青褪めさせています。

 姫様は王の間にいるはずです。私は王の間の扉を勢い良く開けます。そして、紫頭を投げ入れます。

「ほら。入りなさい」
「痛ぇ!?」

 王の間には姫様やレッグさん、それに宰相さんなどがいました。
 突如放り込まれた紫頭の存在に三人は驚愕しています。

「れ、レティシアちゃん!?」
「はい。戻りました。これは戦利品です」
「せ、戦利品?」

 レッグさんはもう一度紫頭に視線を移しました。

「おい。こいつは魔族だろう? なんで、レティシアちゃんと一緒にいるんだ?」
「え? 脅したら寝返ったので、連れてきました。いわゆる戦利品です」
「い、いや。戦利品って、そいつは危険じゃないのか?」
「危険なんですか?」

 私は紫頭に聞いてみます。

「い、いや……」
「裏切りますか? 裏切るから危険ですか? ここで殺しますか?」
「う、裏切らねぇよ!? だ、だから殺さないでくれ」
「だ、そうですよ」

 紫頭は小刻みに震えています。少し、ゾクゾクしますねぇ……。

「レッグさん、姫様。紫頭は面白いですし、姫様の部下に使わないですか? もしかしたら有能かもしれませんよ」
「だ、ダメだ!? ね、ネリー姫の近くに魔族を置くなんて危険すぎる!」

 レッグさんは焦っている様ですね。その後に、こいつイケメンだし……と呟いたのも聞こえていますよ?

 イケメンですか?
 この半泣きの紫頭がイケメンですか?

「顔が気に入らないなら、変形させましょうか?」
「ひ、ひぃいいい!!」
 
 こんなに怯えきった間抜けな顔をした人がイケメンとは思えません。まぁ、私は良く分かりませんけど。

「な、何を言っているかは知らんが、俺は人間の雌をどうこう思う事はないぞ。それに、魔族には性別は無い」

 ん? それは初耳です。

「魔族に性別はないのですか? じゃあ、魔族はどうやって増えるんですか?」
「あぁ。魔族は突然発生するんだ。しかも、幼体も老体も無いから、全ての魔族が生体として生まれる。俺も生まれた時からこの姿だ」
「え? いきなり成体ですか? 気持ち悪い」
「そう言うな。俺達だって好きでこの姿に生まれたわけじゃないんだ」

 それはそうです。私だってこんな幼児体形に生まれたくはありませんでしたし、これは悪い事を言いましたね。
 
「ごめんなさい」

 私は素直に謝りますが、紫頭の顔は恐怖で引きつっていました。

「レティシアちゃん。俺も魔族こいつに聞きたい事があるんだ。聞いていいか?」
「え? どうぞ」
「なぁ、お前は魔族だろう 人間を恨んでいないのか?」
「お前は、どこかで……。思い出せないな。まぁ、いい。なぜ魔族が人間を恨む? 魔族は人間と争う。そう作られている・・・・・・だけだが?」
「作られている?」
「あぁ。そうブレイン様に聞いたぞ。それに戦う理由も無いだろう。俺はこのバケモ……、いや、この強き者に負けてしまったからな。死んでいないの・・・・・・・ならば・・・もう戦う必要はない」

 死んでいないのならば?
 死んでしまったら、もう戦えないと思うのですが……。
 まぁ、詳しい話は後で聞くとして、今は紫頭の処遇です。

「レッグさん。紫頭が裏切る事はそうないです。それと、恐らくですがレッグさんは紫頭よりも強いと思います。まぁ、そんなに姫様が心配ならば、傍にずっといればいいだけです」
「た、確かにそうなのだが……」
「姫様はどうですか?」
「その前に一ついいかしら? レティ。紫頭さんの名前はなんていうの?」
「はい?」
「その紫頭さんの名前を教えて欲しいの。流石に紫頭さんでは失礼でしょ?」

 名前ですか……。
 そういえば何か言っていましたね。
 うーん。
 何でしたかねぇ……。

 私が思い出せずに悩んでいると、紫頭が口を開きました。

「俺はケンっていう名前だ。それよりも、人間の姫さん。俺は魔族だ。そこは問題じゃないのか?」
「ケンさんね……。貴方の種族が魔族というだけでしょう? それにさっきの話では魔族は人間と争うように作られているのでしょう? でも貴方は私達と戦おうとしないじゃない。ならば、問題はないでしょう?」

 確かにその通りですね。

「それにね。この世界には様々な種族がいるわ。この世界は人間だけのモノじゃないのよ。それなのに魔族だからと言って排除するのはおかしいわ」
「そ、そういうモノなのか?」

 紫頭は近くにいた私に確認を取ってきますが、私はそんな事は知りません。私にとって種族なんてどうでも良いですから。

「まぁ、姫さんがそういうなら、俺はこの国に仕えよう。俺の事をケンさんなんて言わなくていい。ケンと呼んでくれ」
「分かったわ。よろしくね、ケン」
「あぁ。よろしく頼む。ネリー姫」

 こうして紫頭は姫様に仕える事になりましたが、聞きたい事もあります。

「紫頭」
「なんだ?」
「さきほど殺した指揮官が勇者と戦った事があると言っていましたが、紫頭は勇者と対峙したことがありますか?」
「うーん。勇者と名乗る奴と勇者と思われるほど強い奴とは戦った事があるな。しかし、勇者と自分で名乗るアイツは本当に勇者だったのだろうか……? ファビエ王国で潜入捜査をしている時に一度対峙した事があるが、アレは弱かった。逃げる時も「俺は勇者だ」と言って逃げて行ったが、どうなんだろうな」

 それがウジ虫かどうかは謎ですが、そこそこ強いという事でしょう。もう一人の事も気になりますが、まぁ、良いでしょう。

「そうですか。姫様の傍に常にレッグさんがいれば安全です。そこに紫頭もいれば問題ないでしょう」

 私がそう言うと、レッグさんと姫様は顔が赤くなります。紫頭は二人の様子が良く分からないのか、首を傾げています。

「紫頭。私が出かけている時に勇者が戻ってきたら、命懸けで二人を守ってください。レッグさんは貴方よりも強いと思いますが、この二人はこの国に必要・・です。貴方も逃げてもいいですけど、二人を逃がしてから逃げてくださいね。理解・・しましたか?」
「あぁ、理解・・した。俺も死にたくないからな。万が一の時は二人を連れて逃げるさ」

 そうです。
 それでいいのです。私は頷き部屋を後にします。

 王の間を出てすぐに転移魔法陣を取り出します。
 さきほど、紫頭の頭の中から魔王城の場所を読み取っておきました。
 私は転移魔法陣を使い魔王城の近くに移動します。
 魔族を根絶やしにするために……。

 魔王城のある大陸を不毛の大地といい、空気中に存在する魔力濃度がファビエ王国の三倍の濃さがあります。

 私は目を凝らします。
 あの遠くに見えるのが魔王城ですね。見た目は禍々しいです。

「さて、この魔力濃度では、慣れるまで動きが少しだけ悪くなるかもしれませんね……気を付けて行きましょう」

 私は、魔王城に向かって歩き出します。
 私がここに来ている事をブレインならば気付いているでしょう。この辺りで何かを言ってくるのが定番だと思うのですがしかし、暫く歩いてもブレインが何も言ってくる事はありませんでした。
 まったく、面白くありません。

 魔王所に近付くにつれ、数々の殺気と敵意が私に向いてくるのが良く分かります。恐らくはブレインから魔族の軍隊に命令が下ったのでしょう。
 前方から魔族の軍隊が迫ってきます。
 ざっと見て千匹くらいでしょうか。
 あの程度の数ならば、接近戦で殺せますが今から四天王と遊ぶというのに体力の無駄ですね。そうです。さっき使った魔法を撃ちこみましょう。

 私は〈スパークボール〉に爆発効果を混ぜた魔法を魔族の集団に撃ち込みます。今回は一発ではなく、何発も投げますよ……。

 私の投げた電撃球は、魔族の集団に着弾して爆発します。それも何発もです。
 こ、これは面白いです。

 暫くすると、前方の魔族が静かになりました。
 全滅しましたかね?

 私がゆっくり歩いて近付くと、殆どの魔族が死に絶えていました。

「うぐぐぐ……」

 おや? まだ生きているのがいるみたいです。
 私がとどめを刺そうとすると、更にと奥からおかわりの魔族の軍隊がやってきました。
 はぁ、数が多いですねぇ……。

 私は生き残っていた魔族の足を掴みます。
 紫頭の部隊を殺した時みたいにこれを武器にしましょう。

 私はおかわりの魔族の集団の中心まで駆けていきます。
 さて、ここからが楽しいんですよ。

 私は足を持った死にかけの魔族を振り回します。すると、魔族達は悲鳴を上げて吹き飛んでいきます。

 あ、壊れました。次です。

 魔族を壊しては振り回し、壊しては振り回しているうちに、おかわりの魔族達もいなくなってしまいました。

「もう終わりですか。残念です」

 私は魔王城に視線を移します。
 ……さて、次はあの人ですね。
 
 少し離れたところに、少しだけ強そうな魔族が立っています。
 魔族は赤い髪で、角が生えていて、筋肉の鎧を着ているように体が大きいです。これはパワータイプですね。
 そういえば、頭脳メインの馬鹿がブレインって名前でしたし、もしかしてあの筋肉の名前はパワーですかね?

 ……確かめてみますか。

「貴方がパワーですか?」

 私が名前? を訪ねてみると筋肉は少しだけ驚いて、一人で納得したように私を睨みつけてきます。

「そうか。裏切り者ケンに聞いたのだな。お前を殺し「違いますよ。貴方達、魔族の名前はわかりやすくて容易に分かるだけです。少しは捻ってください」て……。貴様ぁ……魔王様に頂いた名前にケチをつけるのか?」

 魔王が名付けた? 
 まさか、こんな安直な名前を魔王が付けたんですか? 魔王も思ったより頭がよろしく無いようですね。

「まぁ、いいです。それよりも聞いていいですか?」
「遺言なら聞いておいてやろう。さて、話すといい」
「遺言? 馬鹿を言ってはいけません。私はブレインという頭の弱そうな四天王に、四天王全員でかかって来いと言ったのですが、なぜ一人なんですか? 一人で私に勝てるとでも?」
「な、なんだと?」

 私の言葉に筋肉は肩を震わせます。なんですか? 今頃恐怖でも感じましたか?

「ふざけるな!! 貴様など、この力の四天王パワー様が殺してくれるわ!!」

 そう言って、筋肉は殺気を飛ばしてきます。

 それなりに強い殺気です。
 ただ、私はこう思ってしまいました……。

 ……あぁ。この程度・・・・ですか。
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