愛しの君へ

秋霧ゆう

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第1章

第6話 体育祭準備

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 放課後、山田先生に呼び出され1年C組に向かった。
 今日は山田先生の担当する部活、園芸部、妖精部、そして、漫画研究会が集まっていた。
 扉を開き、山田先生が入ってきて話を始める。

「お待たせしました。今日皆に集まってもらったのは来月の学校イベント、体育祭についてお話しようと思います。本校の体育祭、といってもクラス対抗のスポーツ大会といったところですかね」

 2年生、3年生が少し嫌そうそうな顔をした。

「そのスポーツ大会の種目の1つに部活対抗リレーというのがあります。1人50m×4人の200mで競うリレーとなります」
「昨年は散々だったよな~」
「本校は部活動が多いですからね、40の部活と争わなければなりません」
「40!?」
「はい。40部あるので顧問の兼部が多いんですよ。なので、40ある部活を10部×4回でやるんです」
「へぇ」
「それでですね、運動部、文化部公正にするためにどの部活もハンデをつけることになっていまして、園芸部はバトンの代わりにスコップ。漫画研究会はバトンの代わりにGペン。妖精部はどうしましょうか」
「そうっすね…」

 誰も見えない暁をバトン代わりにすることは出来ない。かといって、何か特別な活動をしている訳でもない妖精部。

「妖精部って妖精は存在するのかどうか調べてんだろ」
「はい」
「じゃあ妖精のコスプレして走ればいいんじゃね!」
「絶対に嫌だ」

 間髪入れずに断る旭。

「つうか他の部はどうしてんすか!」
「色々あるぞ。運動部は基本ユニフォームでバトンの代わりにボールやらラケット。文化部は指揮棒とかスティックとか本とかカメラ。ただ、水泳部と柔道部と相撲部に関してはユニフォームだけ」
「水泳部ってことは水着でってことですか?」
「もちろん。つまり、お前らは妖精の衣装で走れるってことだ」
「俺らのユニフォームは妖精の衣装じゃないんで」
「じゃあどうすんだ?」
「オカルト雑誌持って走るとかはありですか?」
「えー、コスプレしろよ」
「い・や・で・す」

 園芸部、漫画研究会の2年生、3年生にガヤを入れられるも断固拒否する旭。

「他には無さそうですしオカルト雑誌で交渉してみましょう」
「交渉?」
「はい。全部活、公平にするために部長会議で話し合いをするのですよ」
「部長会議?」
「あれ?お伝えしていませんでしたっけ。ではここで、来週の金曜日16時から、3年B組の教室で行われます」
「3年…」
「そりゃそうだろ。部長は基本3年だし」
「基本は部長1人で参加しますが、もし不安でしたら副部長も一緒で大丈夫ですよ」
「そっか!なら蒼、よろしくな」
「了解」
「では改めて挨拶をしときましょう。まずは園芸部部長の花井君。副部長の木村君。そして、漫画研究会部長の小鳥遊たかなし君。副部長の月見里やまなし君。何か困ったことがあったらこの4人に相談してみて下さい。きっと優しく教えてくれるでしょう。それでは、今日はこれで解散です」

 山田先生は教室を出ていった。
 旭達も退散しようとしていると、園芸部部長・副部長、漫画研究会部長・副部長がやってきた。

「改めてよろしくな。俺は園芸部部長の花井誠司」
「副部長の木村良樹」
「漫研部長の小鳥遊将吾です」
「漫研副部長の月見里優希。よろしくね」
「おなしゃーす」

 旭が月見里のことをじっと見つめる。
 月見里はゆるふわ系というのか、可愛らしい見た目をしている。

「ああ、食われないように気をつけろよ」
「えっ!?」
「こいつ、バイだから。今までだってこいつの見た目に惑わされて食われたやついるからな」
「えっっ!?」
「俺はね女の子も男の子もだぁいすき」

 月見里が旭の耳元で呟く。
 緊張する旭。
 手を出すなと突っかかろうとも届かない暁。

「それはさておき、何かあれば相談しろ。答えられる範囲なら答えてやる」
「あ、あざす」
「部活関連でも部活関連でなくても」
「どういうことっすか?」
「んー?テストとか」
「え!?」
「お前この前の中間、赤点ギリギリだったんだろ」
「…なんで知ってんすか」
「山田先生に聞いた」
「良樹君は学年一位だから馬鹿でも分かるように優し~く教えてくれるよ」
「学年一位!?おなしゃす」
「それじゃあね、ばいば~い」

 次々に教室を出ていった。

「旭、僕たちも行こうか」
「あぁ」
「今日は部活どうする?」
「あー、今日はもうしたってことでいいんじゃね?」
「そうだね」

 少し呆れたような顔をする蒼だったが旭、暁、蒼、椿の4人で帰って行った。


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