俺と可愛い死神

ヴルペル

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俺から見た世界

七日目

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清々しい朝だ。
昨日は上司に怒られることもなかったし、自分の仕事ができたことにより心に余裕が生まれていた。
いつものように顔を洗い、死神が用意してくれた朝ごはんを食べる。

「行ってきます」

のんびり朝の支度ができた俺は足取りが軽やかになり、会社に向かう勇気が出てくる。

「? 何かいい事でもあったのかい?」

頭の上から死神に話しかけられた。

「いんや? いい事というか……この頃体が動かしやすいんだよね! 死神が作ってくれる料理のおかげかな?」

冗談交じりでにこやかにそういうと死神はドヤ顔を見せつけながら鼻を鳴らした。

「ふっふーん! 僕のおかげだね!」

感謝したまえよーと頭の上から見下ろしてくる。
実の所体調が良くなったことは本当だ。
ずっとカップ麺ばかりの生活をしていたから栄養が足りてなかったこともある。

会社に着くとまず、自分の仕事が新たに増えていないかどうかの確認。
結構な頻度で仕事が増やされていることが多いが、今日は大丈夫そうだ。

俺の部署は企画開発部で主に新しい商品を発案したり、我社の商品について研究をしている。
仕事に取り掛かろうとした時。
急に後ろから声をかけられ、振り向いたらそこにはにこやかに笑顔をうかべる課長の小野田さんが立っていた。

「ちょっといいかな?」

「え? は……はい」

俺は言われるがままに課長について行った。

「この書類作ったの君だよね?」

俺が前回作った書類を目の前に広げられる。徹夜をしながら一生懸命調べあげて作った懇親の出来だと自負していた。

「はい。俺が作りました……」

何か言われるのだろうか? 俺は身構えながら課長の言葉を待つ。

「んー……悪くないんだけどねぇ……これ」

「全部やり直しね」

(……え?)

突然の事で頭が真っ白になる。

「え……いや……ちょっと待ってください! 具体的にどこがダメだったか教えて頂けますか?」

完璧にできていると思っていたものを理由もなくやり直しと言われて納得出来るはずもない。しかも全部となると相当の仕事量になる。
きちんと説明を貰えないと困る。

「んー……具体的って言われてもねぇ……? なーんかこぅ……ピンと来ないんだよねぇ」

「ってことで頼んだよ! 次はもっといいものを作ってくれ! 君には期待をしているんだ! きっとこれ以上にすごいものを作ってくれると信じているよ!」

(は?)

肩をポンッと叩かれ、課長は書類を俺の机に置いた後逃げるように去っていく。

(は??)

呆然としたまま立ち尽くしていた。
全部……やり直し??
これを全部終わらせるとしたら今日の自分の仕事ができる訳もなく、残業が確定した。

自分の作った書類を睨みつけながらどこがダメだったか考えたが全く思いつかない。
でも上司の言われたことは絶対だ。

俺は仕方がなく書類を作り直した。前と同じものを作ったらまた全部やり直しする羽目になると思うと怖くなり、違う商品の開発案を作ることにした。

いつまでたっても終わる気配がない書類。同じ部署の人の笑い声。かなりストレスが溜まる……

少し頭を落ち着かせるためにコーヒーを入れて一息つく為に、休憩室に入ったら部屋にいた人達がいっせいに俺を見る。

一瞬の間が長く感じられた。

なんとも言えない目で見られて次々と人が休憩室から出ていく。

(はは……避けられてるな……俺)

明らかに避けられた反応を取られてしょげるが、前から俺は良く避けられていたからそこまで傷つかなかった。
理由がわからず避けられていたが、理由がわかったらわかったで悲しくなるのであまり深く考えないようにしていた。

落ち着いた俺は仕事に戻ってさっきの書類の作成を続けた。
一人でいた方が落ち着く。誰とも関わらなくていいし、変に気を使わなくていい。

しきりにポジティブ思考を働かせ心の安定を保つ。

「んー!!! 今日も頑張った俺!」

外はすっかり暗くなっており、室内には俺しかいなかった。
みんなが余裕の顔で仕事をこなし、俺より先に帰っていくのを見ながらの作業はなかなかに辛いものではあるが。
"いつもの事"として認識をしていた。

パソコンの横を見るとまた死神がこちらを見ていた。

「終わった?」

「あぁ……お待たせ。とりあえず書類は全部やり直せたよ。これであとは明日提出し直すだけ」

「お疲れ様! 今日のご飯は鮭さけのフライ作ってみたいと思うんだけど……手伝ってくれないかな?」

鮭さけのフライか……久しぶりの魚料理だった。

「いいぞ! あ……でも冷蔵庫に鮭さけがなかったから今日買って帰ろうな」

「うん!」

パソコンをログアウトし、帰りにスーパーに寄って帰る。

その日の夜ご飯は衣がサクサクな鮭フライが出てきた。
死神が料理の腕を上げてる……!
美味しそうに白米と鮭フライにがっつく俺を死神は微笑ましそうに見守っていた。
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