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俺から見た世界
二十五日目
しおりを挟む「よし! 準備万端!」
俺は早起きしてスーツに着替えて鏡の前で表情の確認をしていた。
昨晩、広報部や広告会社を調べまくって三社ほど応募して、今日がちょうど会社説明兼面接の日なのだ。緊張で顔が強ばっているので、頬を撫でたり、笑ったりして表情筋をやわらげていた。
「おはよー!」
死神がソファの上に座ってお出迎えをしてくれた。どうやら死神も毛並みを揃えてついて来る気満々らしい。
「よし! いくぞー!」
「「おう!!」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「本日はお忙しい中企業説明に参加いただきありがとうございます。詳しくはお渡しした資料をお見せしながらご説明致します。弊社は色々な企業様から広告の作成のお仕事を頂きまして、実際にデパートやスーパーの入口ののぼり旗などを作っております。また、最近はウェブ広告にも力を入れており、ウェブデザインができる方を募集しております。」
「初めのうちはお教え致しますが、率先して仕事をこなせるようになっていただく事が第一条件でございます。なにかご質問はございますか?」
「はい!」
「どうぞ」
「会社からはどのような人材を募集しておりますか? また、それに必要な資格などございましたらお教え頂きたいです」
「ご質問ありがとうございます。人材としては、やはり一般常識を身につけて、マナーを守って報連相(ほうれんそう)ができる人材を求めております。我社の社訓が当たり前の仕事を丁寧に行うことなので、基礎を大切にしております。どのような人間でも知らないことは出来ないので、事務マニュアルを常に最新のものに変え、新人教育を徹底して行い、安心して働ける職場を目指しております。他に質問ございますか?」
事務マニュアルがあるのか……初めのうちは徹底して教えていただけるのはめっちゃありがたい。
前の会社は見て覚えろ系だったからな。
「大丈夫です」
「ありがとうございます。では続いて面接に入ります」
え!? もう!? 早くない!? まだ心の準備できてないんだけど!
採用担当者が席を立ち机を移動させて向かい合うように椅子を並べる。あっという間に面接のステージが出来てしまった。心の準備をする間もなく。
「では簡単な質問をいくつかさせていただきます」
「はい! よろしくお願い致します」
「前の会社ではどの部署でなんの仕事をしていましたか?」
「はい! 以前働かせて頂いていた会社では文房具の企画開発部に所属しており、毎月のアイデア出しの際に新商品を企画し、発表で二回ほど商品化したことがございます」
「それは凄いですね。やりがいはありましたか?」
「はい! やはり自身で企画してプレゼンをしたので自身のアイデアに自信を持って発表をすることができ、仲間のみんなと協力する楽しさと達成感を得ることが出来ました!」
「ありがとうございます。では、続いて前の会社はなぜ辞めたのですか?」
この質問来たー……前どの企業の面接でもボロボロだったんだよな……
焦る気持ちを宥め、深く息を吸った。
「はい。先程言いました通りやりがいのある仕事ではございましたが、社訓と私が将来見ているビジョンに相違を感じたので辞めさせていただきました。その際にこちらの企業の社訓を拝見させて頂き、私の理想と近いものを感じたので応募させて頂きました」
「あなたの理想とはどのようなものですか?」
突然な流れに汗が流れる。理想とはどういうものか?? 全く答えを用意していなかったのだ。何か答えないと不自然になるので声を振り絞って震える声を悟られないように虚勢を張る。
「はい。私の理想は……まさにこちらの企業と同じように一つ一つを丁寧にし、一歩一歩確実に成果を上げていくことでございます。私の性格は真面目で丁寧な仕事を好むので、こちらの企業理念に合致しているものと存じます」
「……ありがとうございます。そうですね……では最後に、あなたが弊社に入社しましたらどのような目標で貢献しますか?」
「はい! 持ち前の真面目さと根気強さで一つ一つの仕事を丁寧に行い、かつ取引相手の方により満足していただけるように一つ一つを疑問に持ち、より良いものを作り上げていきたいと思います」
「ありがとうございました。これにて面接は終了致します」
「ありがとうございました」
「お忘れ物が無いようにお気をつけて退出してください」
「失礼致します」
パタンッ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
…………めっっっちゃ緊張した!!!! 何あれ威圧感が半端なさすぎる……
カバンを抱きしめるように抱えて会社をあとにする。
自分でさっきの面接を分析してみたが、ところどころ発言する時につまづいてしまったりしたので今回もお祈りメール(不合格通知)が来ることを覚悟した。
「だってまさか理想はなんだとか聞かれるとは思わないだろ……今回もダメかな」
しょげながら帰りのバスに乗り込んだ。隣に気配を感じ、視線を落とす。
「お疲れ様!」
「あぁ……死神か」
「どうしたの? 手応えあった?」
「いや……今回もダメだろうな」
「そっかぁ……今日もお疲れ様!」
死神はバスの椅子の上で立ち上がり、俺の頭を撫でる動作をするが、身長が足りず足がプルプルしていた。
それを見た俺はすかさず死神に分からないように少し頭を傾けてやると、死神は俺の頭を撫で始めた。
「絶対君のことを見つけてくれる会社が現れるはずさ!」
「……うん。ありがとう」
小声で会話をし、次の面接に向けて気合いを入れ直した
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