俺と可愛い死神

ヴルペル

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俺から見た世界

二十六日目

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ピピピッピピピッ
起床のアラームが鳴る。重いまぶたを押し上げて手探りでアラームを止めた。ふわふわとした物が顔に触れる。

「ん??」

横を見ると布団の上に大の字で横たわって死神が寝ていた。
試しにつついてみる。

……つんつん

「んぁ!  ……すぴぃ」

……つんつん

「なんだい~?  もう食べられないよぉ~」

死神は俺の手を食べ物と勘違いしたのか指を口に含んでしゃぶりはじめた。幸せそうなので起こすのが気が引けるが……ヨダレまみれで気持ちが悪い……
しゃぶるのを辞めたかと思いきや口を大きく開いて俺の手を噛んできた。

「いっっった!!」

容赦なく牙を立てていたので手から少し血が出ている。あまりの痛さについ飛び上がってしまい、さっきの衝撃で死神を起こしてしまった。

「んえ……?  ふぁぁ~おはよ~……どうしたの……」

「!?  え!?  血が出てる!  なんで!?  早く止めなきゃ!」

慌てふためく死神を他所に救急セットから絆創膏を取り出しておもむろに貼る。いいことを思いついた!  死神をからかってやろう。

「あーあ、誰かさんが寝ぼけて噛み付いたので俺の体は傷ついちゃいましたーどうしてくれるんでしょうかねー?」

いつもいじられているので、仕返しを企てた。
(死神はどんな反応をするんだろうか?)
ワクワクしながら死神に背を向けて拗ねた素振りをする。さ

……あれ?  何も言ってこないぞ?
不審に思い恐る恐る後ろを振り返ると、目を見開いて絶望の表情で硬直していた。
ちょっとやりすぎたか?

「あー!  ごめん!  冗談だから怒ってないから!  な??」

なんとか死神に元気を戻してもらおうと、必死にアピールをするがまだ信じられないと言った顔で俺の手を見つめていた。

「僕が噛んだ……?  ごめんよ覚えてなくて……」

「そりゃ寝ぼけてたんだから仕方ないよ!!」

「でも……」

「あー!!  もうこの話終わり!  ご飯食べよ!  な!」

布団から飛び起きるとパジャマを脱いで私服に着替える。Tシャツに半ズボンというラフな格好だ。
俺はキッチンに立つと、食パンをトースターに入れ、目玉焼きを焼いた。久しぶりに台所に立ったもあり、新鮮な感じがして料理が楽しく思えた。
焼きあがったパンを大きめのお皿に盛り付けて、目玉焼きを上に乗せた。

「ご飯食べよ」

まだ奥でしょげている死神に朝ごはんのお皿をチラつかせながら呼び、なんとか布団の部屋から出てきてくれた。

「いただきます!」

パンにかぶりつくと少し焦げがあるが、俺にしては頑張った方だ。普通に美味しくできている。
死神の方に目をやると、顔はまだしょげているが食べる手が早まり、しっぽをゆらゆらと動いていた。

機嫌が戻ってきてくれたようで安心した。食器を片付けて、昨日の反省をした。

「昨日説明聞いたところがコンワで教えてもらった会社なんだよなー……でも面接の時に少し止まっちゃったからやっちまったかもしれない……新しく他の企業も応募するしかないか……」

俺はスマホを手に取り、コンワのアプリを開いた。初めてコンワを利用した時にアプリの登録を勧められたので、そこで登録してそれ以降はアプリから企業を探すのに利用していた。直接企業にメールが送れるので、面接の日取りも決めやすく、カレンダー機能もあるので予定がわかりやすい。

「いい会社ねぇ……ブラックだとしてもみんな同じようなこと書いてるから見分けつきにくいんだよな」

広報部や、ポスター系の会社を検索かけて画面をスライドさせる。

ピコンッ

「ん?なにか通知来た」

メールボックスに新着メールが入り、開いてみる。もしかしたら昨日の会社からのメールかもしれない……
お祈りメール出ないことを祈りながらメールを開く。

「なになに?  この度は弊社の求人にご応募いただきありがとうございます。選考の結果……ぜひ次の面接に進んでいただきたいと考えております!?!?  え!?  まじで!? 」

驚きのあまりソファから立ち上がり、部屋をぐるぐる回る。その間もメールの文章をスクロールしていた。

「え!?  え!?」

死神は明らかに反応がおかしくなった俺を見て、不安げな顔をして俺の顔を覗き込んだ。俺はにやける顔を必死に隠したが、絶対気持ち悪い顔をしていたと思う。
俺は無言でスマホの画面を死神に見せた。

「ふむふむ??  面接日時を追ってご連絡致します。それでは引き続き何卒よろしくお願い致します!?  え!?  合格してる!!」

「やったよ!  合格してるよ!!  おめでとう!!」

死神とハイタッチしながら部屋をぐるぐる回った。嬉しすぎる。それ以外の感情が浮かばず、ずっと踊って回った。

「あーーー!!  明日面接行く!!  面接の練習しないと!!」

二回目の面接は私服で受けることになっていたため、ネットで面接用の私服を調べたが、いい服が見つからなかったので急遽服を買いに行った。
家に帰ると死神が机をセッティングしており、面接の練習に付き合ってくれた。

明日絶対成功させたい!  その一心で色々な対策を練った。
ベッドに入ったがなかなか眠れない……興奮でぎらつく目を瞑り、無心になる。
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