俺と可愛い死神

ヴルペル

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俺から見た世界

二十七日目

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「いよいよ今日が来た」

優しい風でカーテンが揺れ動く。優しい光が俺の目を刺激した。そんな中俺は……緊張のあまり睡眠が浅かった!!

執拗に鏡の前の俺を睨みつけ、クマを消した。
今日二回目の面接がある日なので、緊張が収まらない。むしろ昨日よりも緊張している気すらした。

「大丈夫だ……俺ならできる……大丈夫……」

本命の会社だからこそ失敗してはならないという暗示にかかり、必要以上に自分にプレッシャーを与えてしまう。
何度も手に人と書いて飲み込んだり普段飲みもしないハーブティを入れて飲んだりしたからお腹が水分でたぽたぽになってしまった。

「おっはよー!  早起きだね!  いよいよ今日だもんね、僕も近くで応援してるから!!」

緊張で震える手を死神の肉球で包まれる。ゆっくりとおでこをくっつけるようにして体をなすり付けてきた。

おかげで緊張がだいぶ落ち着いてきたので、面接会場(かいしゃ)へと向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「早々に確認していただきありがとうございます。それでは面接を始めさせていただきます」

「はい!  よろしくお願い致します!」

前回は緊張でガチガチだったけど今日はなんか行ける気がする……!!
根拠の無い自信が俺を押し上げた。

「まず、ここまではどうやって来ましたか?」

「はい!  自宅から徒歩で五分のところにバス停がございますので、そちらの十五番の浜織線(はまおりせん)に乗って三駅後の街並多(かいならた)で降りて十分ほど歩いてきました」

「ありがとうございます。ちなみに弊社をどのように知ったのですか?」

「はい!  私は写真を撮ることが好きで……高校の時はコンクールに応募して賞を頂いたことがございます。その経験や、写真を撮るにあたり、自分に向いていると思いまして広報誌や、ポスターを作成するお仕事を探しましてこちらの会社に応募させて頂きました!  もちろん撮った写真を組み合わせて部屋に飾ったりもしておりまして、どのような配置でどの文章を入れたら目を引くかなど考えながら作るのも楽しんでおります」

「おぉ!  それは凄いですね!  またいつか部屋の写真を見てみたいものです」

「はい!  是非見てもらいたいです」

「それでは最後に質問をさせていただきます。立ってください」

「?  はい」

「手を出してください」

「??  はい」

手を出してください??  そんな質問もあるのか??  わけも分からないがとりあえず指示に従うことにした。

「手を動かしてください」

「はい」

「手を上げてください」

「はい」

「ありがとうございます。座ってください」

「はい」

面接官の人はなにやらメモを取っているみたいだが、いったい何が見たかったんだ??

「質問はこれで以上でございます。また後日結果をお伝え致しますのでご確認お願い致します」

「ありがとうございました」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カバンを手に持ち、深くお辞儀して会社を後にした。

「????????」

いくら考えてもさっきの質問の意図が分からない……何が見たかったんだ??

「お疲れ様!!  どうだった!?  前より落ち着いてできた?」

頭の上から元気な死神の声が聞こえてきた。

「あー、ありがとう……うーんそれなんだけどな」

「浮かない声出してどうしたのさ!  まさかやらかした……?」

おれはさっきされた質問を死神に話した。

「なんか、コンワで面接練習もさせて貰えたんだけど……その時とか、予想できる範囲の質問じゃない質問ばかりされて。特に手を動かしてとか手を上げてとかが意味不明でな……何を見たかったんだろうか」

「うーん。それはきっと予想できないことを言われたらどんな反応するか見たかったとかじゃないのかな?」

「うん。俺もそれは思ったんだよ……でもなんか他にもあるような気がしてな……」

「例えば?」

「例えば、その人が素直に動くかどうかとか、上からの命令は聞く人間かどうか見極められてる気がしてね……」

「あー……あながち否めないところはあるよね。でも面接官の人に聞くしかないんじゃないかな?いくら考えても答えは出てこないと思うよー」

「だよなぁ……」

結果は後日にないと分からない。特に今日へましたとかそんなことは思い当たらなかったので、あとは祈るのみとなった。

今日は久しぶりに死神がご馳走を作ってくれるらしいので、そのために必要な材料を買って家に帰った。

家に帰ると死神に買ってあげたレシピ本はページがおられており、ところどころ肉球のマークが料理の画像の横にあった。
食べたいものリストということだろうか?

いつか作ってあげよう。

静かにレシピ本を閉じて、ソファでくつろいだ。

「あ、やべ。服にシワができるところだった」

面接用に新しく買った服だが、新品ってこともあり気を使った。デザインも日常で使えそうなオシャレなものだったのでなにか大切な日が出来たらこれを着よう。

服を綺麗に畳んでクローゼットの中にしまい込んだ。

ちょうど料理ができたようだ。キッチンの方から死神の呼ぶ声と美味しそうな匂いが部屋中漂わせる。
面接の結果が出るまでの間、しばらく休むとしよう。

クローゼットを閉めて、あたたかい空間へ向かった
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