初恋をぶち壊した友人(仮)が周り回って報いを受けました!気分も新たに恋を始めるつもりが…えっ?やり直し⁈

花椰菜

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第一章・始まりは…

04・王宮騎士団 副隊長オリフェウス

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 オリフェウスはリュシフェルの背中を見送ることを本来、好まない。

 あの『願いの泉』での一件を思い出してしまうからである。

 だが、皮肉なことに、あの一件からオリフェウスはリュシフェルの背中を見送ることしかできなくなってしまった。


 リュシフェルがヴィクトァールにそのか細い肩を抱かれているというのに、茫然と佇むオリフェウスは手出しをすることさえできずにいる。

 やがてリュシフェルは青褪めた顔を俯け、ヴィクトァールに守られるようにして女神像の前で拳を握るオリフェウスの元から去っていく。

 学院生制服を纏うリュシフェルの後ろ姿はとても弱々しいもので…オリフェウスは自らの手で守りたいと思わずにはいられなかった。

 こちらを振り返り、見下すようにオリフェウスを見遣るヴィクトァールの眼。

 
ーー忘れ去ることなど、とてもじゃないが俺にはできやしない。

 苦しいほどに後悔の募る、自己嫌悪しか残らない不快な記憶ーー


 今、思い出しても胸が掻きむしられそうな想いが体の奥底から駆け上がってくる。


 オリフェウスは漆黒の髪を長い指で掻き上げると、大きくかぶりを振る。


ーーまだ、大丈夫だ。


 リュシフェルは未来の女伯爵を目指し文官の道を突き進んでおり、ノワール伯爵家に婿入りする者が居るという婚約話も耳に入ることはない。

 例え、僅かでも可能性がある件は片端から潰していっているという自信もオリフェウスにはある。


ーー愛しいリュシフェルを妻に迎えることさえ叶えられるならば、形振なりふりなど構うものか!


 無論、リュシフェルが望むならば、女伯爵となったリュシフェルを支える夫の形だろうと、自らがノワール伯爵を継ぐことも厭うつもりなどない。


ーーリュシフェルと共に一生ありたい、それだけなんだ。


 偽らざるオリフェウスの本心であり、唯ひとつの願い、だった。


 そんな唯ひとつの願いを叶えるには、自らへ課せられた条件を果たしつつ、外堀を埋める為に牽制してゆかねばならない。


 目的を果たすには王宮騎士団へと所属することは非常に都合が良かった。

 騎士団に入る者は貴族の次男以降が殆どを占める。つまり婿入り可能な物件が軒並み揃っているのだ。

 偶に、騎士爵の長男などもいるが、騎士爵の者など侯爵子息であるオリフェウスには遠く及ばない。

 婿入り可能な年齢に達している有力貴族の子弟を片端から潰していかねば、落ち着いてなどいられなかった。


 王立学院時代、寝耳に水の形で知らされたリュシフェルの婚約者候補ヴィクトァールの存在はオリフェウスの心に根深く傷を残していた。


 王宮騎士団の副隊長という立場は、そんなオリフェウスにとり有益なものでしかない。

 団長や隊長まで報告が上がる前に、副隊長である自分の元へと事前報告が上がってくる。

 つまり、団長や隊長決裁という大事に至る前に芽を摘み、火消しができるのだ。


 上がってきた情報をつぶさに精査する。

 手続きを行う前段階においてオリフェウスは調査という名目を用い、リュシフェルの結婚相手となり得る者は片端から徹底的に潰していった。


 オリフェウス自身はといえば、父のアラットロ侯爵へ頭を下げて乞い願い、ノワール伯爵家へ婿入る許しを得ることに既に成功している。

 許しを得る為にアラットロ侯爵から提示された交換条件は王宮騎士団 副隊長の座だった。

 幸い、遮二無二励んだお陰で、この若さで見事 副隊長の座に収まることもできた。


ーー父は愚かな息子の願いを見越していたのだろうか。


 自分と同じアクアマリンの瞳を持つアラットロ侯爵を思い浮かべると心から感謝の祈りを捧げる。

 それ程までに王宮騎士団 副隊長の座はオリフェウスにとり、非常に有利に働いてくれるものであった。




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