初恋をぶち壊した友人(仮)が周り回って報いを受けました!気分も新たに恋を始めるつもりが…えっ?やり直し⁈

花椰菜

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第一章・始まりは…

15・なんで、そうなるの?!

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 溢れ来る想いを堪え、ひたすら沈黙を守りながら静かに涙を流すリュシフェルを見詰めていたヴィクトァールが遂に口を開いた。


「…リュシフェル嬢、心に想う男性ひとの元へ行きなさい。
 何の心配も要らぬ。元々、私が何とかしなければならないことだったのだ」

「ヴィクトァール様…」


 リュシフェルの想いを慮るヴィクトァールの声は限りなく柔らかで穏やかな優しさに満ち溢れていた。

 リュシフェルの脳裡に、ここ数ヶ月に渡るヴィクトァールとの思い出が過ぎる。


 一旦、始めると決意したことならば、何が起ころうとも最後までやり遂げてみせましょう…私の覚悟を篤とご覧あそばせ!

 非のないヴィクトァール様を大事な場面で裏切ってまで今すべきことなど何ひとつとしてないもの!!


 友人の仮面を被り平気な顔をして裏切るミナールと自分は違うのだ!という矜持がリュシフェルを支え、ヴィクトァールが見せた思い遣りが大きな力を与えていく。

 アメジストの瞳から降っていた雨はいつしか止み、今は晴れやかな光りが差すように輝いている。



 リュシフェルは跪くヴィクトァールの目線の高さに合わせて腰を落とすと、もう片方の自分の手もヴィクトァールの大きな手へと重ねる。


「私が心に想うのは、ただひとり。
…ヴィクトァール様、貴方様だけです」


 目線を合わせ真っ直ぐに見詰めるリュシフェルを、瞬きも忘れるほど驚いた様子でヴィクトァールは凝視する。

 強い意思が込められたアメジストの瞳は驚愕に見開く翡翠の瞳を真っ直ぐに映し出すのみ。


 覚悟を決めたリュシフェルの意を汲んだヴィクトァールは重ねられたリュシフェルの手へ自らの手を更に重ね、柔らかく包み込むように両の手を握り締める。


「ありがとう…!リュシフェル嬢。心からの感謝と想いを君へ贈りたい。
 私は君に永遠の愛を捧げよう。この命果てるまで、否、この命が尽きようとも…私の魂は永遠に君のものだ」


 瞳を合わせ誓いの言葉を語るヴィクトァールの重ねられた両手には想いの強さを示すかのように力がこめられている。




 リュシフェルに対して心からの愛を誓うヴィクトァールの真摯な態度をオリフェウスも間近で見ていた。
 

 真っ直ぐに差し出していた手を下げて、オリフェウスはやおら立ち上がる。そしてヴィクトァールへと向き直り、深く深く頭を下げて詫びの言葉を告げた。


「折角の誓いを邪魔してしまい申し訳ない!…どうか許してもらえないだろうか」


 直角を過ぎるほど深々と頭を下げるオリフェウスへと顔を向けたヴィクトァールは了承の意を示して大きく頷いてみせる。


「フェ…いや、リュシフェルもどうか幸せになってくれ。ごめんな、邪魔をして…」


 断腸の思いでオリフェウスの花向けの言葉を聞くリュシフェルは想いを振り切るようにしっかりと頷いてみせたのだった。



「何よ!何よ!何を丸く収めてるの?こんなこと、信じられない!!
 私は認めないわ!絶対に認めないんだから!」


 ミナールは大激怒しているかと思いきや、いつも強気な榛色の瞳いっぱいに涙を浮かべながらも最後の悪あがきを披露している。

 そんなミナールに対して慳貪な思いしか抱けないヴィクトァールは秀麗な眉を顰め嫌悪を浮かべてミナールを見遣った。

 吐き捨てるように溜め息をひとつ溢すと気持ちを切り替えるように大きく息を吸い込む。


 ヴィクトァールはリュシフェルの腕を引くとスッと立ち上がり、そのままその肩を抱き寄せた。懐からハンカチを取り出すとリュシフェルの頬に僅かに残る涙の跡を優しく押さえたりと甲斐甲斐しく世話を焼いている。

 励ますようにリュシフェルの背をそっと摩りながら振り向いたヴィクトァールはミナールをギッと睨み据えた。


 一瞬で全てが凍り付くほどに冷やかな蔑みの眼差しを全身に受け、ミナールは喚く口を閉ざさるを得ない。

 悔しさからか唇を噛み締め、向けられる冷やかな蔑む視線にミナールは身を縮こまらせて事態の終わりを受け入れることしかできなかった。


 か細い肩ながら腕の中で背筋を伸ばそうと懸命なリュシフェルを労わるように、ヴィクトァールは静かだがハッキリとした声音で告げる。


「行こう、リュシフェル嬢」

「…はい、ヴィクトァール様」


 何者からも守ってみせるという思いが強く滲むヴィクトァールに連れ出されながら無意識の内に気を張っていたリュシフェルは肩の力を抜いて安堵の息を吐き出す。

 嵐のような『願いの泉』をやっと離れることができた瞬間であった。


 離れた場所からオリフェウスを見遣るヴィクトァールは知らず呟いていた。

「…オリフェウスの良さは真っ直ぐな所だが、率直過ぎるあまり『見えない真実』には気付けないだろう……」


 学院の建物が近づくにつれてバタバタとした周囲の物音が耳元に響いてくる。

 その喧騒にかき消され、リュシフェルはヴィクトァールの呟きを聞き逃してしまった。



゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. 

徐々にスッキリとなっていく所存ですが、
…お待たせしてしまい御免なさい🙇‍♀️

今暫くお付き合いくださいませꕤ*.゚




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