初恋をぶち壊した友人(仮)が周り回って報いを受けました!気分も新たに恋を始めるつもりが…えっ?やり直し⁈

花椰菜

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第一章・始まりは…

22・君を守りたいのに…

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「…それだけ、なのか?」

「ふっ…オリフェウス、君はリュシフェル嬢の気持ちの行方が心配なのか?」

「お父上のクレピュス辺境伯だけが顔合わせした訳ではないのだろう?無論、ヴィクトァールもフェルと会った筈だ」

「以前、君と話し合った通りのことをリュシフェル嬢へ行ったまでに過ぎぬ。既に、彼女は限界を超えていた」

「そのことについてならば、俺からも礼を言わせてくれ、ヴィクトァール。フェルを救ってくれたことに心からの感謝を…」

「オリフェウスの為にしたことは何一つない。これはリュシフェル嬢の為にしたことだ。故に、君に礼など言われる謂れは私にはない。
 私はリュシフェル嬢が心配だった、それだけに過ぎぬ」

「俺ではきっとフェルの役になど立てはしなかった…力不足なのは俺とて自覚している。
 悔しいが、ヴィクトァールでなければフェルをあんな笑顔にはできなかっただろう」

「随分と謙虚なのだな、今日は」 


この度の一件で、オリフェウスは自らの至らなさを痛いほど自覚させられていた。


「ハッキリと言おう。フェルを救えるのは俺じゃない…心底から悔しいが、ヴィクトァールなんだ!」

「私は私の出来得る最善を尽くしたまでに過ぎぬ。オリフェウスが気に病む必要など欠片も無い」

「俺じゃ駄目なんだ。フェルはあの頃の小さな女の子ではもう居てくれなくて…俺の力など、もう遠く及ばぬほどフェルは大人になってしまっている」

「オリフェウスもリュシフェル嬢と同じく、今は小さな子供ではあるまい?…何を躊躇う必要があるのだ」

「俺にはヴィクトァールのようにフェルが溜め込んでいた鬱屈した想いを吐き出させてやることなど、できない…」

「何故だ?」

「気が付いたんだ。俺はフェルを、フェル自身を見ていなかったことに。
 はは…あんなに近くに居たのに、何一つ気付いてやれなかったんだ、俺は」

「私の見ているリュシフェル嬢と、オリフェウスの見ている『フェル』は異なると言いたいのか?」

「前に、俺はヴィクトァールに言ったことがあるよな?同じ人を想うのに異なる想いを抱くなど理解できない、と」

「確かに言っておったな。単細胞なオリフェウス、と私は切って捨てたが」

「俺はヴィクトァールが言うように単細胞なんだ!恋する人の気持ちさえ分からない…良い人の仮面を被った愚か者だったのだ。
 フェルが言ったか言わないかは分からないが、あながち間違いではない。的を得た事実があの言葉だったのだ」

「それで?単細胞というより阿呆のオリフェウス!お前は何が言いたいのだ?」

「俺はヴィクトァールに恩義がある。もし貴方とフェルが結ばれるようなことがあれば潔く引き下がろうと考えていた。
 ただ、万が一フェルを傷つけるようなことがあれば容赦などしない!と決めて」

「リュシフェル嬢の騎士ナイトという訳か?」

「だからこそ、ヴィクトァールに告げず独断でフェルに関わることを我慢していたと思っていた。だが、違う!
 俺は今のフェルを手助けすることさえできやしないんだ。それが分かっているからこそ、こうして指を咥えて見ていることしかできないだけ…」

「リュシフェル嬢も日々成長しているのだ。いつまでも真綿で包むように守るだけが、彼女を守る術ではないだろう?」

「今回のことで、俺の中にあった奢り、その気持ちもスッカリ消え失せた…フェルを守ることができるのは俺だけじゃない、否、フェルのことを真実思うならば俺は引くべきなのだ、と強く思い知らされた。こんな悔しい想いは二度としたくはない。
 これから俺は強くなってみせる!フェルを何者からも守ることのできる男になってみせるよ…覚えておいてくれ、ヴィクトァール」

「相変わらずゆとりのない返答だ。今回はオリフェウスにできない役割ゆえ私が行ったに過ぎない。
 オリフェウスにはオリフェウスにしかできぬ役割とてあろう…まぁ、多分そのような役割など無いだろうが、な」

「ヴィクトァールには口では勝てやしない!」

「口ではなくだと思うが…?」

「頭ではなく、そのひねくれっぷりだろう?」

「まあ、いい…無礼も許そう。恋敵ライバルでありでもあるオリフェウスの発言だからな」

「…だ、誰が、友人だって?!」

「違うのか?私はオリフェウスが『願いの泉』で手を差し出してきた時、君のことを感心した思いでみたものだ…まあ些細な事など今更いいが」

「些細って…なんだよ!上げたり下げたり振り回しやがって」

「友人と聞いて気持ちが上向いたのか?…意外とオリフェウスも素直ではないな」

「素直じゃない、ひねくれっぷりは流石のヴィクトァールには負ける!」

「ふむ、オリフェウスも私のことを理解し始めたようだね?嬉しいよ…それよりもリュシフェル嬢のことをもう少し知りたくはないか」

「そうだ!フェルのことを教えてくれ、ヴィクトァール」

「私にとってリュシフェル嬢は水鳥のような存在だ。水面に浮かぶ表面上は淑女然と振る舞っているが、目に見えない水面下では必死にもがき足掻いている。
 その必死な努力を重ねる姿が私の心を捉えて離さぬのだ…彼女を労り支えながら隣で微笑んでやりたいと思わせる」

「ヴィクトァールの口からそんな言葉を聞くとは思わなかった…フェルのことを随分と深く見て思い遣っているんだな。まるでフェルの庇護者のようだ」

「私は一度懐へ入れた人間には限度など設けたりしない主義だ」

「俺にも適用されるのか…?」

「分からないとは…オリフェウスはやはり鈍い」

「だ・か・ら!一言多いんだよ、ヴィクトァールは!」

「そんなことを気にするとはオリフェウスは私のことが好きなのか?」

「違う!!俺が好きなのはフェルだ!…いや、ヴィクトァールのこともす、好きだぞ。ゆ、友人としては、な。
 大体、フェルは負けず嫌いなくせに不器用だからいつも放って置けなくなるんだ。俺が助けてやらねばとついつい世話を焼いてしまいたくなる。
 今まではそうしてきたが、これからは直接手を下すのではなく、フェルを見守り陰ながら手を貸すしか手立てはないのか…」

「ありがとう、私もオリフェウスのことを友人として好ましく思っている。
 オリフェウスも分かってくれたか?私はリュシフェル嬢を見守り、いつでも私の手を必要とした時は貸す用意がある。
 その為に己の持つ全てを生かすことができるよう励むことを誓っておくよ」

…って…既にフェルには誓いを捧げ済みなのか、ヴィクトァール!」

「仕方ない…物事には流れや順序がある。断りを入れる時間がなかったのだ、許せ。
 頼りないオリフェウスに笑われぬよう、これからも励みながら遠い地ロックフォースからリュシフェル嬢のことを見守り励ましていくとしよう」

「やっぱりロックフォースから出て来なくて結構! 
 それに俺は騎士となり、フェルから全面的に頼られる男になってやるからな!
 ヴィクトァールが油断している隙に俺が掻っ攫ってみせる!その時になって後悔するなよ?」



゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. 


《7/23追記》
 7/23より更新再開と告知しておりましたが、なかなか私生活が落ち着かず…大変申し訳ございませんけれども、8/6までお休み延長させていただきます🙇‍♀️

 お待ちくださっていらした方には心よりお詫び申し上げます🙇‍♀️

 また、お休み中にも関わらず、お気に入りに登録ありがとうございます😊大変励みになります♪


《7/14追記》
 いつもありがとうございます😊読んでくださる皆様のおかげで何とか第一章を終えることができました♪

 大変申し訳ございませんが、7/23まで諸用の為に更新をお休みさせていただきます🙇‍♀️ 

 お休み明けの7/23には学院時代の小話などを挟み、第二章を順次UPしていきたいと考えております♪

 それでは、皆様もお体に気をつけてお過ごしくださいませꕤ*.゚





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