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⑭色づいた果実は結実する
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指先に触れる、ドロッとしたそれは、かつての婚約者のモノより黄色みが強く、また、匂いはそこまで酷くなかった。
マリエッタは、己の肌蹴た腹の上にぶちまけられた子種を指で掬い取り、何の抵抗も抱くことなく、小さな舌で舐め、未だに羞恥で横に倒れている伴侶となる青年を見て、ふんわりと微笑んだ。
あどけなく、無垢な微笑みに、もしこの寝室に他者がいれば、二人の交わりは疎外されることになっただろうが、生憎と寝室には無垢な笑みを浮かべるマリエッタと、彼女の夫となる青年だけであった。
ちゅくちゅくと腹に飛んだものを全て指で掬い、舐め終えたマリエッタは、顔を覆っている愛おしい人の顔から彼自身の手をよけ、桃色の唇を押し付けた。
情欲ではない、ただの信頼と愛しさを伝えるための口付けは、誤射で落ち込んでいた男の心を慰めた。
そうだ、最初から彼女は私の失敗を笑ったりはしなかった。
なのに勝手に嫉妬して、言葉も交えず、同意もなしに身体を交えようとしてしまった。
グレイルは腹筋に力を籠め、その力だけで起き上がり、正面からマリエッタを抱きしめた。(ここでは関係ないが、神官とは意外と体力を使うので、身体はバッキバキに鍛えられていることの方が多い。)
こつんと額と額を合わせ、囁くように、祈るように、グレイルはマリエッタに想いを告げた。
「私は侯爵夫人と国王の不義の子です。一度は親に捨てられ、神官らに嬲られた経歴もありますが、それでも、私を愛して下さいますか、シュタットではなく、私を」
祈りであり、告解であり、懺悔にも似た哀願は、頬に触れた優しい感触と、包容で応えられ、そのまま再び寝台の上で横になった二人は、手を合わせ、舌を絡め、お互いの唾液を啜り合い、お互いの乱れた服を脱がせ合った。
一糸も纏わぬ、生まれた姿のままになった二人は、マリエッタが下になり、脚を広げたところでグレイルの分身も再び立ち上がり、先程より大きく、しかも先端から滲み出ているモノがあった。
その中にも、子を孕ませるものがあるとうっすらとどこかで聞いたことがあったな、と、マリエッタは緊張から逃げるために思考を逸らしていたが、いよいよ、めりめりと音が聞こえてきそうなほど大きな楔が打ち込まれれば、痛みと幸福感から自然とポロポロと涙が流れだしていた。
グレイルはグレイルで、初めての女性の胎内に入り、得た、腰がとろけるような快感に、すぐに子種が出そうになるのを堪えるのに必死で、マリエッタの秘所から出た鮮血に気付くのが遅れた。
グレイルがようやくマリエッタの変化に気付いた時、彼は、泣きたくなるほどの──実際彼は泣いていたが──特別な感情を抱き、ぎゅうっと、細いマリエッタの身体を抱きしめ、マリエッタの身体から力が抜けた瞬間、奥まで挿入した。
はぁはぁと、荒い息はどちらのモノなのか、もはや二人には判断はつかない。
ただお互いが唯一という感情と、一つになれた幸福感に包まれていた。
グレイルが動き出せば、マリエッタは痛みだけではない感覚に戸惑いながらも懸命に受け入れ。
「...ンあっ......そこっ、いやぁ...」
甘く、全く嫌そうではない声で啼き、時々内壁を煽動させ、グレイルのモノを締め付け、搾り取ろうと蠢き、グレイルは彼女の快感を引き出そうと、我慢に我慢を重ねたせいで、凄絶な色気を我知らずと放っていた。
ぐちゃぐちゃと、二人が腰を打ち付け合う度に、体液が飛び散り、汗が滲み、快楽の声が寝室を支配する。
「マリエッタ、マリー、私だけのマリー、愛しい人......っく、」
「がまん、しないで下さい、ませ、ぐれいるさま」
ドクン、ドクン、と、マリエッタの膣内でグレイルの陰茎が大きく脈動し、先端から白濁としたものが放出された時と等しく、神界では一つの奇跡が起きていた。
だが、今の二人にはそんなことは関係なく。
やがて力尽きた二人は、翌朝、公爵家の使用人が起しに来るまでぴったりと寄り添いあいながら、眠りに就いたのだった。
後年、スーデン家を継いだ、元神官の当主となった男は、国の官僚から妻の身体しか知らぬ童貞と揶揄われたが、その反論として彼は。
「私の子だと胸を張って言い切れる私が妬ましいのですね」と、爽やかに言い返し、揶揄った官僚の大きなプライドを打ち砕いたと言う。
そして、その時には既に、王妃となっていたかつての従僕には公爵家の特性の品物を贈ったと、スーデン家の記録には残されている。
「マリエッタ、私の愛、希望。どうか生涯私と共に」
「グレイル、わたくしの最愛、愛おしい人。生まれ変わっても共に」
チェリーは色づき、実を結ぶ。
マリエッタは、己の肌蹴た腹の上にぶちまけられた子種を指で掬い取り、何の抵抗も抱くことなく、小さな舌で舐め、未だに羞恥で横に倒れている伴侶となる青年を見て、ふんわりと微笑んだ。
あどけなく、無垢な微笑みに、もしこの寝室に他者がいれば、二人の交わりは疎外されることになっただろうが、生憎と寝室には無垢な笑みを浮かべるマリエッタと、彼女の夫となる青年だけであった。
ちゅくちゅくと腹に飛んだものを全て指で掬い、舐め終えたマリエッタは、顔を覆っている愛おしい人の顔から彼自身の手をよけ、桃色の唇を押し付けた。
情欲ではない、ただの信頼と愛しさを伝えるための口付けは、誤射で落ち込んでいた男の心を慰めた。
そうだ、最初から彼女は私の失敗を笑ったりはしなかった。
なのに勝手に嫉妬して、言葉も交えず、同意もなしに身体を交えようとしてしまった。
グレイルは腹筋に力を籠め、その力だけで起き上がり、正面からマリエッタを抱きしめた。(ここでは関係ないが、神官とは意外と体力を使うので、身体はバッキバキに鍛えられていることの方が多い。)
こつんと額と額を合わせ、囁くように、祈るように、グレイルはマリエッタに想いを告げた。
「私は侯爵夫人と国王の不義の子です。一度は親に捨てられ、神官らに嬲られた経歴もありますが、それでも、私を愛して下さいますか、シュタットではなく、私を」
祈りであり、告解であり、懺悔にも似た哀願は、頬に触れた優しい感触と、包容で応えられ、そのまま再び寝台の上で横になった二人は、手を合わせ、舌を絡め、お互いの唾液を啜り合い、お互いの乱れた服を脱がせ合った。
一糸も纏わぬ、生まれた姿のままになった二人は、マリエッタが下になり、脚を広げたところでグレイルの分身も再び立ち上がり、先程より大きく、しかも先端から滲み出ているモノがあった。
その中にも、子を孕ませるものがあるとうっすらとどこかで聞いたことがあったな、と、マリエッタは緊張から逃げるために思考を逸らしていたが、いよいよ、めりめりと音が聞こえてきそうなほど大きな楔が打ち込まれれば、痛みと幸福感から自然とポロポロと涙が流れだしていた。
グレイルはグレイルで、初めての女性の胎内に入り、得た、腰がとろけるような快感に、すぐに子種が出そうになるのを堪えるのに必死で、マリエッタの秘所から出た鮮血に気付くのが遅れた。
グレイルがようやくマリエッタの変化に気付いた時、彼は、泣きたくなるほどの──実際彼は泣いていたが──特別な感情を抱き、ぎゅうっと、細いマリエッタの身体を抱きしめ、マリエッタの身体から力が抜けた瞬間、奥まで挿入した。
はぁはぁと、荒い息はどちらのモノなのか、もはや二人には判断はつかない。
ただお互いが唯一という感情と、一つになれた幸福感に包まれていた。
グレイルが動き出せば、マリエッタは痛みだけではない感覚に戸惑いながらも懸命に受け入れ。
「...ンあっ......そこっ、いやぁ...」
甘く、全く嫌そうではない声で啼き、時々内壁を煽動させ、グレイルのモノを締め付け、搾り取ろうと蠢き、グレイルは彼女の快感を引き出そうと、我慢に我慢を重ねたせいで、凄絶な色気を我知らずと放っていた。
ぐちゃぐちゃと、二人が腰を打ち付け合う度に、体液が飛び散り、汗が滲み、快楽の声が寝室を支配する。
「マリエッタ、マリー、私だけのマリー、愛しい人......っく、」
「がまん、しないで下さい、ませ、ぐれいるさま」
ドクン、ドクン、と、マリエッタの膣内でグレイルの陰茎が大きく脈動し、先端から白濁としたものが放出された時と等しく、神界では一つの奇跡が起きていた。
だが、今の二人にはそんなことは関係なく。
やがて力尽きた二人は、翌朝、公爵家の使用人が起しに来るまでぴったりと寄り添いあいながら、眠りに就いたのだった。
後年、スーデン家を継いだ、元神官の当主となった男は、国の官僚から妻の身体しか知らぬ童貞と揶揄われたが、その反論として彼は。
「私の子だと胸を張って言い切れる私が妬ましいのですね」と、爽やかに言い返し、揶揄った官僚の大きなプライドを打ち砕いたと言う。
そして、その時には既に、王妃となっていたかつての従僕には公爵家の特性の品物を贈ったと、スーデン家の記録には残されている。
「マリエッタ、私の愛、希望。どうか生涯私と共に」
「グレイル、わたくしの最愛、愛おしい人。生まれ変わっても共に」
チェリーは色づき、実を結ぶ。
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