思想学部

ケーキ

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一年生

絵本

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みんなで自分の思想を語ったその日の放課後、僕とすすむくんの元に、上の学年の人がやってきた。

「君が思想学部の部長さん?」男はそう言って、すすむくんに話しかける。

「うん、そうだよ。」

「僕も入れてくれないか!」

そう言いとても目を輝かせている。

「歓迎する!」

「ありがとう!僕の名前は青野だよ。3年生だから、短い間だけどよろしく!」

「僕はすすむで、こっちは間くん。これからよろしく。」

すすむくんはそう言い、彼の右肩を叩いた。

それから、思想学部のメンバー全員が集まる。

「5人集まった!
これで思想学部は部活として認められる!」

そう喜んだあと、最後に来た人に向かって言う。

「先生の元に行く前に、新しく来た青野くん、君の思想を聞かせて欲しいんだ!」

彼がそういうと、嬉しそうに1歩前に出た

「まず、僕は、思想という名前に惚れたんだ。なぜなら…!」

「絵本が好きだから!そう、僕の思想、それは卒業までに自分だけの思想を作ること」

僕の頭にはハテナが浮かんだ。

「絵本は関係ないのでは…?」

「そう思うだろう。」

青野くんはコホンと咳をつくと続けた。

「僕は生まれてまもない頃から今まで、ずっと絵本が好きなんだ。」

「最初は純粋に好きだったが、色々な見方ができたり、メッセージが込められてるものもある!」

「それらのおかげで、今まで好きでいられた!だから、これからは自分でそれをうみだしたいんだ!」

「そうなんだね!」僕はこくりと頷く。

「しかし、そのためにはまず思想が必要。思想学部、君たちを見つけて思った!一緒に居れば、きっと思想が見つかるって!」

すすむくんは「ありがとう」と笑顔になった。

これで、とりあえず、5人そろった。

あとは先生と、部活として認められるだけだ。

しかし、そんなに上手く行かず、先生はつかなかったのである。

その後、部活のみんなで悩んだ。

どうすれば先生がつくだろうかと。

すると最後に部活に入ってきた青野くんが、何やら得意気にしていた。

「きっと名前がいけないじゃない?」

僕はすすむくんに提案してみた。

「そうかな~。名前はこのままがいいよ。」

「一般的に考えると、危ない集団みたいだけどね…。」

そう小声で言うと、おとねさんが入ってくる。

「私も…名前考えたいな!可愛い名前!」

すすむくんは「名前変えるの確定なんだ。そのままにしようよ~。」と言う。

すると、おとねさんはぷくーっと頬を膨らませて、すすむくんをじーっとみつめる。

「ごめん、おとねさん。分かった。部活の名前変えよう。」

見渡すと、みちかさんはその様子をただ微笑みながら見守っていた。

すると、奥で溜まったものを全て出すかのように、青野くんが「みんな、僕の話を聞いて欲しい!」と。

癒し熊部と書かれたノートを持ったおとねさん。そして、すすむくん達みんなが、彼の方に目線を向けた。

「今から、ここから脱却するためのいい方法を教えたいんだ!」

「それは…?」

すすむくんが前に出ていく。

「絵本をつかって、この状況に相応しいものを選ぶ!」

「なるほど!それいいね!」すすむくんはとても元気に笑う。

おとねさんや、みちかさんも「私も読みたい」と出てくる。

苦渋の決断だったが、僕も顔をひきつらせながら、したい…と言った。

そして、青野くんが偶然何冊か、絵本を持ってきていたらしく、放課後ということで、みんなで手分けして読むことになった。

普通であることを目標としていた僕としては、絵本を読むことがどうしてもそう思えない。

更には、その場にいるみんなが真剣に絵本を読むさまを、普通の状況として捉えることができなかった。

僕は一体何をしているんだろう?

そして、心の中で決着をつけて、やむなく、絵本を手にとる。

題名は『真ん中のうさぎ』表紙には、仲の良さそうな、うさぎと猿が描かれていた。

橋の真ん中にうさぎが居た。

右側で橋を渡った先には、うさぎの大好きな食べ物がある。

そして、左側にはかけっこができそうな野原が広がっている。

僕はなんだかその話に心をうばわれた。

しかし、直後、先生の声が聞こえた。

外を見てみると、あたりは真っ暗になっている。下校の時間だ。

「今日はここまでだね。」青野くんはそう言って、みんなの絵本を回収して自分のリュックにしまう。

その後、みんなは解散し、次回にすることになった。

そして、僕はさっきの本を最初までしか読んでいなかったはずだった。

しかし、家に帰っても、あの絵本がずっと残り続ける。

続きが気になる。僕はその日、ずっとあの絵本のことを考えていたのだった──────
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