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路地裏で
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女の人の叫び声で、人がどんどん集まってきた。
皆、僕を見るなり顔を歪めて罵詈雑言を叫んでくる。
「穢らわしい忌人め!町にくんじゃねえ!」
感情的に怒鳴る人もいれば、
「....」
軽蔑の眼差しで只々睨んでくる人もいた。
皆、僕を忌人と呼んでいるけれど、忌人って何なんだろう。
最初は純粋に驚いていた僕だけど、大衆に軽蔑されているこの現状にたまらなくゾクゾクしてきてしまった。
何年もMとして興奮する中で、僕はほぼ無表情で興奮を隠す術を身に着けていたので、傍から見たら何も感じていないように見えるだろう。
しかし、僕は初めて痛みに快感を感じた日と同じくらい興奮していた。
(知らない場所で知らない人に蔑まれてる...!どうしよ、興奮おさまんないっ...)
僕が罵られて悦んでるとはつゆ知らず、町の住人達は更に僕を罵る。
沢山のひとが集まり、便乗してとうとう収集がつかなくなったとき。
異世界漫画の主人公みたいな金髪の美丈夫が大衆の中に割って入り、大声で言った。
「やめろ!!!」
皆呆気にとられて彼を見る。
大衆の中の誰かが、
「冒険者様・・・」
と呟いた。
彼は大衆を睨みながら、続けて言う。
「この男の子に何かされた者がいるのか!?黒髪なだけで、彼は彼奴等ではない!」
彼の声に大衆は黙り込んだ。
(彼奴等・・・?忌人がますます分からなくなってきた。)
皆、納得いかなそうだったが地面に目をそらし、うつむいていた。
大衆が、一人、また一人と路地裏から帰っていく。
数分後、路地には僕と彼以外いなくなってしまった。
僕は、大衆を一瞬で動かした彼に驚いたと同時に、罵られなくなって少し残念な気持ちになった。
でも、収集がつかず動けなかったから、ありがたい。
感謝が真っ先に出てこなかったので、少し申し訳なくなった。
「君、大丈夫かい?」
ふと、金髪の美丈夫に声をかけられた。
「はい。ありがとうございます。えっと...」
「僕はアーベル。助けるのは当たり前だから礼はいらないよ。」
彼はアーベルと名乗ってくれた。
「君は?」
「えっと、侑です。」
「そうか、ユウか。いい名前だな。ユウ」
アーベルさんは快活に笑う。
世の女子はこの笑顔でイチコロだな、なんて考えていた。
しかし次の瞬間、アーベルさんは途端に真剣な表情になる。
僕がキョトンとしてる間に、アーベルさんは僕を錆びた扉の前に連れていき、そこを開け僕を中に入れた。
馬の足音、鎧が擦れる音が聞こえる。それはどんどんこちらに近づいてきていた。
アーベルさんは人差し指を口元に立て「シーッ」と囁き、ドアの中に隠れて出てこないように言う。
音は、どんどん近付いてきた。
何が起こってるのかさっぱり分からないけれど、今僕が出ていけば良くない目に合うことだけは分かった。
それでも気になって、ちらりとドアの隙間から様子を覗き見る。
馬の足音が止んだと思ったら、今度は靴の音が鳴った。
鋭く響く足音と共に路地裏に入ってきたのは、無表情だけれどアーベルさんに勝るとも劣らない美形の騎士だった。
あんな人に貶され、罵られてみたいと思ったが、それどころじゃないなと思考にストップをかける。
男は、冷たい目でアーベルさんに問いかけた。
「ここで忌人を見たという知らせを受けた。知っていることを全て話せ。」
アーベルさんは飄々とした態度で答えた。
「俺はそんなの知らないけど。二丁目の路地じゃないの?ここと似てるし。」
男の騎士は表情を変えず、只々冷たい目で言った。
「嘘は吐かなくて良い。お前が忌人に群がる民衆を帰らせたと聞いた。まさかとは思うが、その後、忌人を逃したりしていないだろうな。」
途端に強まる圧。
その場の空気ははち切れんばかりだった。
ジッと、騎士を見る。
すると、騎士と目があった。
ヤバ、と思ったのもつかの間。
次の瞬間には僕は路地の真ん中にいて、後ろから騎士に剣を突きつけられていた。
皆、僕を見るなり顔を歪めて罵詈雑言を叫んでくる。
「穢らわしい忌人め!町にくんじゃねえ!」
感情的に怒鳴る人もいれば、
「....」
軽蔑の眼差しで只々睨んでくる人もいた。
皆、僕を忌人と呼んでいるけれど、忌人って何なんだろう。
最初は純粋に驚いていた僕だけど、大衆に軽蔑されているこの現状にたまらなくゾクゾクしてきてしまった。
何年もMとして興奮する中で、僕はほぼ無表情で興奮を隠す術を身に着けていたので、傍から見たら何も感じていないように見えるだろう。
しかし、僕は初めて痛みに快感を感じた日と同じくらい興奮していた。
(知らない場所で知らない人に蔑まれてる...!どうしよ、興奮おさまんないっ...)
僕が罵られて悦んでるとはつゆ知らず、町の住人達は更に僕を罵る。
沢山のひとが集まり、便乗してとうとう収集がつかなくなったとき。
異世界漫画の主人公みたいな金髪の美丈夫が大衆の中に割って入り、大声で言った。
「やめろ!!!」
皆呆気にとられて彼を見る。
大衆の中の誰かが、
「冒険者様・・・」
と呟いた。
彼は大衆を睨みながら、続けて言う。
「この男の子に何かされた者がいるのか!?黒髪なだけで、彼は彼奴等ではない!」
彼の声に大衆は黙り込んだ。
(彼奴等・・・?忌人がますます分からなくなってきた。)
皆、納得いかなそうだったが地面に目をそらし、うつむいていた。
大衆が、一人、また一人と路地裏から帰っていく。
数分後、路地には僕と彼以外いなくなってしまった。
僕は、大衆を一瞬で動かした彼に驚いたと同時に、罵られなくなって少し残念な気持ちになった。
でも、収集がつかず動けなかったから、ありがたい。
感謝が真っ先に出てこなかったので、少し申し訳なくなった。
「君、大丈夫かい?」
ふと、金髪の美丈夫に声をかけられた。
「はい。ありがとうございます。えっと...」
「僕はアーベル。助けるのは当たり前だから礼はいらないよ。」
彼はアーベルと名乗ってくれた。
「君は?」
「えっと、侑です。」
「そうか、ユウか。いい名前だな。ユウ」
アーベルさんは快活に笑う。
世の女子はこの笑顔でイチコロだな、なんて考えていた。
しかし次の瞬間、アーベルさんは途端に真剣な表情になる。
僕がキョトンとしてる間に、アーベルさんは僕を錆びた扉の前に連れていき、そこを開け僕を中に入れた。
馬の足音、鎧が擦れる音が聞こえる。それはどんどんこちらに近づいてきていた。
アーベルさんは人差し指を口元に立て「シーッ」と囁き、ドアの中に隠れて出てこないように言う。
音は、どんどん近付いてきた。
何が起こってるのかさっぱり分からないけれど、今僕が出ていけば良くない目に合うことだけは分かった。
それでも気になって、ちらりとドアの隙間から様子を覗き見る。
馬の足音が止んだと思ったら、今度は靴の音が鳴った。
鋭く響く足音と共に路地裏に入ってきたのは、無表情だけれどアーベルさんに勝るとも劣らない美形の騎士だった。
あんな人に貶され、罵られてみたいと思ったが、それどころじゃないなと思考にストップをかける。
男は、冷たい目でアーベルさんに問いかけた。
「ここで忌人を見たという知らせを受けた。知っていることを全て話せ。」
アーベルさんは飄々とした態度で答えた。
「俺はそんなの知らないけど。二丁目の路地じゃないの?ここと似てるし。」
男の騎士は表情を変えず、只々冷たい目で言った。
「嘘は吐かなくて良い。お前が忌人に群がる民衆を帰らせたと聞いた。まさかとは思うが、その後、忌人を逃したりしていないだろうな。」
途端に強まる圧。
その場の空気ははち切れんばかりだった。
ジッと、騎士を見る。
すると、騎士と目があった。
ヤバ、と思ったのもつかの間。
次の瞬間には僕は路地の真ん中にいて、後ろから騎士に剣を突きつけられていた。
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