リライフ・リユース

若手高校教師、さらに若返る

 「三年生という大事な学年をなぜ任されたかな……」
といい四半月。二年目にして高校三年生の担任を任されることになった咲夜は、帰りの電車で愚痴っていた。
 高二の時、大きな怪我で半年間学校に行けなかった時期があった彼は、当時の担任にとても助けてもらったことがあり、それで教師になろうと決意した。
「ただいま～」
 家に着いて、羽織っていたジャケットをハンガーにかけて、ズボンとネクタイ、シャツを洗濯機に入れる。
「おかえり～」
聞こえたのは、彼の許嫁の柚葉。
大学の同級生で学部こそ違うものの、サークルで知り合い、交際に至った。
「ひと段落着いたら、入籍、する？ 」
 と、言われたが、そのひと段落がなかなか片付かない。それで最初に言われたのが三ヶ月前だから、それからずっと何かに追われているわけだ。

実際には良くあることらしく、最近流行りのChatgptで調べると良くあることらしく、慰めのつもりで打ち込んでみたものの、逆に気持ちが下がってしまった。

「ご飯にしよっか」
「先にお風呂入ってくるね」

服を脱いで、浴室に向かう。シャワーを浴びて、体と頭を洗い、湯船に浸かる。
「はぁぁ……」
 疲れが押し寄せてくると共に水に流れていく。
 そろそろ上がろうと思い、立ち上がり、右足を外に出す。そして、左足も外に出そうと立ち上がって床についた時。

足が滑って体が倒れていく。痛みはない。しかし赤い血液と、意識が遠のいていく。

「……くん！ さっくん！ 」
目を覚ますと、柚葉が膝枕で出迎えてくれた。幸せだ。

「さっくん、さっくんって何回も言っていたけど、本当にさっくんだよね？ 」
何を言っているんだろう。と指を指された先に姿見があったので、覗くとそこには、自分が受け持っている生徒と同じくらいの少年がそこに立っていた。

「な、なんじゃこりゃ～！？ 」
「私が聞きたいんだけど～！？ 」