異世界に召喚されたら職業がストレンジャー(異邦”神”)だった件【改訂版】

ぽて

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5章 潜入!魔族の国……な件

人任せサプライズは考えもの

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 舞台を用意してくれ、とは言った。重要な部分を他人任せにした俺にも責任はあると思う。

 ……けどな、このサプライズはあんまりだと思うんだ。国を挙げて応援しろと誰が頼んだよ? 個人的な協力で良かったんだって!

 魔国首都の真ん中でプロポーズ大作戦とか誰得なんだよぉぉぉ!!





「初めてあった時に彼女から告白されはしたんだが、そういうのに慣れてない俺はとっさに断った訳だ」
「出会い頭に絶望を振りまくとは流石は邪神様」
「そこは邪神とか関係ねぇよ!?」

 リア充って訳でもない奴が、いきなりシータレベルの美少女に「責任とれ」とか言われたら普通に引くだろ!? あとな、さりげなく人を何かの災厄みたいに言うのは止めろや魔王。

「――にもかかわらずシータ様はめげなかったのですね。こちらも流石としか言いようがない!」

 あれっ? この展開で何故かシータの評価がうなぎのぼりなんですけど……?

「つーかあいつの場合は余計に火が付いた感じだったよ。……まあ、今はそれに助けられてる訳だが」

 そこで縁が切れていたら、俺が「シータってめっちゃイイ女子じゃね? やっぱ告白すっか!」とか思う事も無かったからな。今は旅のパートナーにしろ、戦闘のパートナーにしろ、どちらも良い感じだし。

「……まあ、そんなこんなでシータに告白などしてみるのはどうかと思うんだ」

 それもただ告白するのではなく、サプライズ的な印象深いやつで。彼女のハートをズッキュンとブチ抜くにはその位は必要だろう。一緒に過ごすくらいじゃいつもと変わらないし。

「ルージオ、お前にはサプライズ部分を手伝ってもらいたい。俺一人だと限界があるからな」
「畏まりました! 不肖ルージオ、粉骨砕身の覚悟で協力させていただきます!」

 粉骨砕身って、いちいち重いなお前は!





 その結果がこれである。首都の住民でぎゅうぎゅう詰めになった広場のど真ん中。特設ステージの上でシータと向かい合うハメに……。

「さーて、我らが邪神様は乙女のハートをゲットできるのかぁ!?」

 わあっと盛り上がる民衆たち。

 ……なんか無駄に民衆を煽る司会役がオマケで付いてるんだが、こんなサービスはいらん! つーか、ほとんど答え言ってんじゃねーか! やりづらい!! ほらあ、シータもこのイベントが何なのか察して頬を染めてるじゃねーか! この状況で告白すんの、俺!?

 この場にあっちの知り合いが居なくて良かった……。絶対に「羞恥プレイ乙w」とか言われるパターンだこれ。

「あー、その、だな……シータ」
「……はい、な、何でしょうかリュージ」

 照れつつ髪を一房指でクルクルしてる仕草が可愛いなチクショー! ――ではなくて。

「お、行くか邪神様! 言っちゃいますか!?」

 だから司会うるせぇ! そして急に静かになる民衆。……固唾をのむとはこういう状況をいうんだなー……。俺たちにめっちゃ視線が集中しているのを感じる。

 おれしってる。こういうときはしょうきにもどっちゃだめって。

「実は、心に決めた人がいるってのはウソだ!」

 髪をクルクルしてたシータの手が止まる。

「そう、でしたの?」
「キッカケがスキルってのが引っかかってたのもあるが……正直、俺じゃ釣り合わないと思ってた」
「そんな事は……!」
「まあ今でも釣り合ってるとは言いがたいんだが、最初に比べればマシになったと思う!」

 そして心を決める。勢いにまかせて言うなら今しかない!

「だから――正式にお付き合いさせてください!」

 後ろ手に隠していたバラの花束を彼女に差し出した。プレゼントの一つもないと格好がつかないからな。ルージオからは指輪を推されたんだが、いくらなんでも早すぎだし、重すぎるだろう……?

 しばしの沈黙。とはいえ答えは明白だ。彼女は常々言っていたのだから。あとは俺の心一つという段階だった。

「わ、私で良ければ喜んで!」

 ――ほらな?
 しかし、彼女の目から涙が溢れる。

「――え、ちょ、なんで泣いて」
「その、嬉しくて……」

 まさか泣くほど嬉しがられるとは想定外だ! でもこれからはもっともっと一緒に冒険とかしような!

 あまりの可愛さに思わず彼女を抱きしめてしまったのだが――忘れてた、ここ、民衆のど真ん中……。

「邪神様、シータ様、ご婚約おめでとうございまぁぁぁす!!」

 司会のセリフに「ワァァ」と群衆が興奮の雄叫びを上げた。舞台袖ではルージオが「良かったですね」と呟きながらハンカチを涙で濡らしていた。


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