この宇宙に平和と秩序をもたらすために ヒロ艦長死を恐れず

たんぽぽ

文字の大きさ
4 / 12
第1章

訓練の時間

しおりを挟む
「いっちにーさんし!ごーろくしちはち!」

青い空の下、威勢のいい隊員たちの声が広いグラウンドに響く。
その中にはヒロもいる。

「よし、次はグラウンド10周!」

監督の声。1周400mある。だからつまり4kmを走らなければいけない。
ザッザッザッザッザッザッザ
リズムのいい足音。

横2列、縦20列、つまり第2隊総勢40人でグラウンドを走っている。
1週間に大体4回くらいこれはある。だから大分慣れてきた。
しかし、やはりいつも最後の3周くらいになるときつい。
そこは自分の意地に任せる。
最後の1周、自分で自分を励ましながら何とか頑張る。

そして最後の1周を駆け抜ける。

「はあ、はあ、今日もきつかった‥」

「うん‥」
隣にはカナがいる。

「次は‥確か制御システムの整備訓練だったような‥」

「ああ、うん。カナってそういう‥なんというか機械系できたっけ?」

「いや‥あんまり得意じゃない」

「・・・お前一応機械エンジニアだろ」

「‥いや‥完全にできないわけじゃなくて」

「頼んだぞ・・」

こう見えても、彼女は艦隊制御エンジン全般の責任者、3級宇宙航海士なのである。
ついでに俺は第2駆逐艦隊艦長であると同時に、第2隊の隊長である。
艦長というと少し善さげに聞こえるが、実際のところ普通の会社で言うところの
課長‥の1つ下ぐらいである。そして‥向こうに立っている監督らしき人物が鬼川課長。俺もいつか課長くらいにはなりたい。しかし大きい組織というだけあって、
それほどの功績を残さなければ滅多に昇進できない。

「集合!」

「はい!」
怒ると怖い。だからみんな普段は課長を警戒して、返事の声がやたら大きい。
もちろん俺も。

「連絡がある。これからの訓練のメニューの変更についてだ。
 今から戦闘機操縦訓練をしてもらう。急きょ上からの指示だ。
 分かったな?」

「はい!」

「訓練用第15エリアに戦闘機が常時配備されている。そしてそこで訓練を行う。
 だから今から30分以内にそこ集合しておくこと。遅れたものは夜10時より
 このグラウンドで罰として8km走ってもらう」

「はい!」

厳しい‥まあ、遅れなければいいのだが。
第15エリアまでここから全力で自転車をこいでも11分、だいたい4kmある。
まあ余裕はある。戦闘機の操縦訓練は月に10回程度。
もちろんその戦闘機は戦艦に搭載する用のもの。
この訓練は戦艦の操縦をするうえで、もっとも基礎となる訓練である。
戦艦は、この戦闘機の応用の応用の応用版‥といったところだろう。

ゴゴオオオオオーー

近くまで行くと戦闘機のエンジン音が聞こえてくる。
音が大きいうえに重低音が響き、一瞬映画の戦闘シーンを見ている気分になる。
戦闘機が滑走路に接地しすぐに離陸していく。
どうやらほかの隊がタッチアンドゴーという訓練をやっているようだ。
非常にうまくできている。

格納庫の前に課長の車が止まっている。どうやらあの辺に集合すればよさそうだ。
自転車置き場に止める。今日は、格納庫の中には3機、外には20機の戦闘機が
並べてある。昔あった戦闘機とは違い、飛行機なのに垂直に離陸、着陸ができる
戦艦の中に入れやすいような構造になっている。
もちろん、これらは訓練用であって
実際に使われるものではない。格納庫のはるか後方にはビルがたくさん並んでいるのが見える。
見晴らしのいいところだ。

15年前までは両親とともにあんな感じのビルに住んでいた。
しかし今はこの施設‥宇宙防衛対策基地本部‥の寮に住んでいる。
1か月に1~3回くらいは基地から自由に出ることができる。
その時には両親のところに行ったり、リュウヤ達と遊びに行ったりする。その他、基地を離れるのは
主に出張や派遣、有給休暇の場合である。ついでにまだ有給休暇はとったことがない。

「集合!」
向こうから鬼川課長の声が聞こえてくる。すぐに格納庫目がけて走る。

「遅れたものはいないようだな。では始める。
  今日は、見ての通り戦闘機を使った訓練を行う。
  第2隊は目標が地上にいると仮定した場合の戦闘訓練を行い、
  正確な射撃能力を磨いてもらう。標的は空中から見て
  分かりやすいように赤で○がしてある。質問はあるか?」

「はい!監督」

「何だトモキ」

「今日の訓練は隊列を組んで行うのですか。それとも個人でですか?」

「今日は個人での射撃訓練だ。隊列の前に個人の腕前を上げておく必要がある。
 他にはいないか?」

「はいはい!」

鬼川課長の顔が少しくずれた。

「今度はなんだカナ」

「23機しか数えたところ戦闘機がないのですが、あまった人は休憩していても
 いいんですか?」

「‥な分けないだろ!戦闘機に乗っていない間は走れ!」

「はい‥」
監督がにやける。‥絶対今思いついただろ‥。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

処理中です...