幸運冒険者とダメなヒロインたちのほのぼの冒険譚(仮)

かる

文字の大きさ

大中小

1 / 8

死と転生

しおりを挟む

死というものは突然にやってくる。
特に自然災害というものは予測ができないため余計にだ。

俺の名は「ユウキ」
高校生だ。

「じゃんけんポン！俺の勝ち！今回も掃除当番頼むぜ。」

「クッソおおおおお。これで56連敗かよ。」

「今日は勉強する予定があるからな～お先～。」

「まじめだなぁ、おい。」

「そりゃあ将来心配だしな。またなー！」

「じゃあな！」

俺は家に向かって帰りだしたそのころ少し暗雲が立ち込めていて、雷も見えた。

「雨が降りそうだな…。」

濡れる心配があったので俺は走り出した。

「ん？あれは…。」

木から降りることのできない子猫がいる

「しょうがねえな…。」

俺は急いで木に登り子猫を抱いた。

そして俺は…

死んだ

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

目が覚めると謎の場所にいた。

「ここは…。」

「ここは転生の間です。」

「なんでこんなところに俺がいるんだ？」

「あなたが死んでしまったからです。」

「死んだ？」

こういっては何だが俺は運に関してはかなりの自信があった。じゃんけんは負けたことないし、ガラポンを回せば一等がポンポン出るレベルだ。

「はい。あなたは運が良すぎたのです。あなたの運の良さによって科学が発展しすぎてしまい老衰をせずに生き続ける可能性があったからです。それでは地球の崩壊を招きかねません。ですからあなたは意図的に殺されました。」

「意図的だと？運が良いという割には結構簡単に殺せるんだな」

「いいえ。あなたが助けた子猫の色はなんでしたか？」

「色…確か黒だったような…黒！？」

「あの子猫はいわゆるあなたの逆です。しかも不幸の具合があなたの幸運より強いのです。ですからあなたはあの子猫の不運に巻き込まれて死んだのです。」

「じゃあ…あの子猫は…死んじまったのか？」

「一度死んでいただきました。そして不幸を払った後現世に帰っていただきました」

「じゃあ俺も幸運を取られた後現世に戻されるのか？」

「好きなほうが選べます。一つはあなたが今言った通りです。そしてもう一つが、別の世界に転生をしてもらいあなたの幸運を頼りに魔王を倒してもらうことです」

考えるまでもなかった。

「転生する。俺はいちご100％な展開を作り上げる！」

「わかりました。まぁあなたでは渋柿100％ってところじゃないですか？まぁ、頑張ってください。」

渋柿だけに渋い展開ってか。泣きたい。

「とりあえず頑張るわ！行ってくる！」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「どこだ？ここ…。」

世界観とかいろいろ聞いておけばよかった…とりあえず結構大きな中世ヨーロッパのような町であるようだ。

「とりあえず聞いて回りつつ、軍資金でも稼ぐかな。」

「おっさん、賭け事しないか？」

「賭け事？俺は賭けるもの何も持ってないぞ。」

お！日本語は通じるみたいだな。

「この町の情報について賭けてよ。」

「いいけど、お前さんは何について賭けるんだ？」

「そうだな…俺自身を賭けよう。」

「自分自身の体を売るだと！？お前正気じゃねえぜ！」

「その代わりあんたにもそれ相応のものを賭けてもらうぜもし俺が勝ったら金貨3枚と正直にこの町について3個答えてもらう。」

「おもしれえな！わかった、何でするんだ？」

「コイントスでどうだ？俺がコイントスをするから3回やって3回とも裏か表だったら俺の勝ち、それ以外だったらあんたの勝ちでいいぞ。」

「嘘だろ？しかしお前さんが何か仕込んでないか確認するために俺のコインを使ってくれ。」

「鼻からそのつもりだ。よし、じゃあはじめるぞ。」

コインを思いっきり弾き飛ばして手のひらと手の甲で挟む。

「表だ。」

「お前さんはこれでもう表以外出たら俺の勝ちだな。」

「わかってる。二回目。」

「表だ」

おっさんの額に汗が浮かぶ。

「ラストだ。」

当然答えは、

「表だ。」

「俺の勝ちだ。金貨三枚と質問に正直に話してもらうぞ。」

良かったー！これで転生されるときに幸運奪われてたらどうしようかと思ったぞ…。

「ぐっ…仕方ねえ、賭けは賭けだしな。ほらよ、あと質問だっけか？」

「サンキュー！で質問１、この町はなんだ？」

「ここは駆け出しの冒険者が集まる街、「シャロンド」だ。この町に来たくせに名前も知らないのか？」

「田舎モンで悪いな。２、この町の冒険者ギルドはどこにある？」

「ついてこい。」

おっさんに連いていくと大きな石造りの建物の前に着いた。

「ここだ。」

「ありがとよ！三つ目の質問はやっぱりいいや！」

「なんだそれ。」

おっさんは呆れたように笑ったあと、応援をくれた。

「頑張れよ！」

「おう！」

おっさんに礼を告げた後ギルドに入った。

?

「どこで応募するんだろ。」

「すみません、ギルドに登録をしたいんですけど…。」

「ギルドに登録ですね！こちらに氏名など記入をお願いします！」

「職業ねぇ…学生ってのはないしな…仕方ない、無職で行くか。」

「すみませんここ、ご希望の職業なんですけど…。」

恥ずかしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい！！！！

「あ！すみません！そうですよね！」

何がそうなのかよくわかってないけどとりあえずこの現状から抜け出したくて必死になっていた。

「んー、何も考えていなかったしな…もう旅芸人とか遊び人でもいいんじゃね。」

「ステータスを測定すればおすすめの職業などがご提示できますよ！」

「お願いします。」

「THE・ふつうって感じですね。しいて言うならMPが高めなので魔法使い、僧侶、レンジャーとかどうですかね。」

一般人だししょうがない。運は反映されてないっぽいな。

「じゃあレンジャーでお願いします。」

「わかりました！では登録料を少々いただきます。」

「はい。」

さっきお金も賭けといてよかった。宿屋で寝泊まりするためだったが、意外にもギルドに登録料ってあるんだな。

「はい！登録完了です！こちらのペンダントがギルド所属の証となります。」

「ありがとうございます。」

「クエストの受注などでは少し契約金がかかりますのでご了承ください。」

「わかりました、今から受けることってできますか？」

「え！できなくはないですけど、装備とか整ってないのでは？」

「これから買う予定なので大丈夫です。」

「まぁ、それならいいですけど…。」

「それじゃあ、これにしようかな。」

「ビッグワームの討伐依頼」

「契約金頂きました。では、頑張ってください！」

「うーっす。」

「とりあえず武器屋のほうに向かうか。」

何も考えてなかった。おっさんに3つ目の質問で武器屋の位置を聞いておくべきだった。

「とりあえず、こっち行ってみるか。」

「お！あれじゃね？」

剣と盾のRPGでよく見たマークだ。

「すみませーん、武器が欲しいんですけど。」

「いいけど、職業は？」

「レンジャーです。」

「そうなると武器は弓か短剣だな。」

「両方は無理なんですか？」

「できないことはないけど、荷物になるし、とっさに出せないから持ち歩く人は少ないんだよ。」

「じゃあとりあえず弓と矢をお願いします。」

「初心者にはこれだな。」

そういって武器屋の人は木製の弓と鉄で先端ができた矢を渡してきた。

「じゃあそれで。」

「あんた、防具は？」

「今から取りに行く予定です。」

俺は会計を素早く済ませた後、討伐に向かった。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「うわぁ、でっけえ…。」

横にした人間と同じくらいの大きな芋虫が4～5匹いるのが分かった。

「こうして…こうかな？」

俺の放たれた弓は一直線に飛んでいき、ビッグワームに刺さった。適当に放ったつもりだったがかなりの手ごたえがあった。

「ん？動かなくなったぞ…今の手ごたえが会心の一撃か。」

それから俺は矢を5本しか消費をせずに討伐することができた。

「これ…もしかして…全部会心の一撃出たの…？」

どうやら会心の一撃は運によって発動されるようだった。

しおりを挟む