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第一章
心臓怪火 8
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◇
そしてその日の夜二十三時半過ぎ。
俺とアイリスの二人は犯行のあった場所の近くまでやって来ていた。
因みにアイリスの格好は先程と変わらず和装のままだが、髪型をハーフポニーテールから普通のポニーテールに変えていた。
どうやら、戦闘時のみは一つ結びに変えるという何かしらのポリシーでもあるらしい。
……知らんけど。
「さて、相手が派手にやらかしてくれれば分かりやすいんだが」
「私、上から眺めてくるね」
そう言うと、アイリスはまるで猫の様にぴょんぴょんと近くの建物の壁をジャンプで跳ねながらものの数秒で十階建マンションの屋上まで辿り着いた。
「まじであいつの跳躍力は何なんだよ……」
アイリスの人並外れた身体能力を間近で見せつけられて俺は溜め息を吐く。
すると、静寂な闇夜の街の中、遠くの方から男性の叫び声が聞こえてきた。
「う、うわぁぁ!!」
それと同時に上に登ったアイリスから携帯に着信が入る。
「南南西方面二十メートル先のマンションの奥上。
誰か人がやられてる」
それだけ手短に喋るとアイリスはすぐに通話を切った。
「大分早いお出ましだな」
俺は携帯をズボンのポケットにしまいつつもアイリスに言われた通りの場所を目指して走り出した。
◇
「さて、と」
リトに上から見てくると言い残して私は屋上の上へとやって来た。
すると何処からともなく現れた三毛猫に私はそのまま問い掛ける。
「サクラ、何か怪しいモノでも見つけた?」
私が問い掛けると、サクラはにゃーんと一声鳴いた。
それから私は奥にあるマンションの屋上を見やる。
そこから男性の叫び声とともに、赤い炎がチラッと見えた。
私はすぐに懐にしまっていた携帯……と言っても、実は私もリトも携帯自体持っていない為、連絡手段として情報屋さんが二つとも貸してくれたスマートフォンなのだが、そちらに連絡を入れる。
それから手短に場所だけ伝えてリトとの通話を切り、建物の上からその叫び声のした場所目掛けて走り出した。
ぴょんぴょんと近場の屋上へと走って飛び移りながら目標のビルの隣まで移動し、それから上に向かってグッと足に力を入れて高くジャンプした。
目標が見えた所で空中で日本刀を鞘から抜いて、何やら右腕を警察官に突き刺し殺そうとしている相手目掛けて斬りかかる。
「ーーっ!!?」
それから私はそのまま刀で相手の右腕を斬り落として捕まえられていた警察官を抱き抱えて一旦距離を取った。
突然上から腕を斬られた相手は驚きながらこちらを睨む。
その相手の瞳は鮮やかに赤く光っていた。
「や、やめろっ!!
俺に寄るなぁ!」
そう男の様な声で叫んだ相手の斬られた腕からは血ではなく炎が燃え上がりそこから更に紫のシャクヤクの花が咲いた茎の束がうねうねと生え出していた。
それを気にせず私は警察官の方を見やる。
「……」
しかし、警察官の男は既に心臓付近に刺されたかの様な穴が空いており、意識がなくなっていた。
穴から血が出ていない所を見るに、恐らくまた心臓が焼けてしまったのだろう。
「……五人目、か」
私は警察官の亡き骸を地面に置いてそう小さく呟く。
それから片腕からシャクヤクの花を咲かせている相手の方へと向きなおった。
暗闇の中よくよく見てみると、どうやら歳は三十代位の、金髪のスーツを着た男だった。
そしてその日の夜二十三時半過ぎ。
俺とアイリスの二人は犯行のあった場所の近くまでやって来ていた。
因みにアイリスの格好は先程と変わらず和装のままだが、髪型をハーフポニーテールから普通のポニーテールに変えていた。
どうやら、戦闘時のみは一つ結びに変えるという何かしらのポリシーでもあるらしい。
……知らんけど。
「さて、相手が派手にやらかしてくれれば分かりやすいんだが」
「私、上から眺めてくるね」
そう言うと、アイリスはまるで猫の様にぴょんぴょんと近くの建物の壁をジャンプで跳ねながらものの数秒で十階建マンションの屋上まで辿り着いた。
「まじであいつの跳躍力は何なんだよ……」
アイリスの人並外れた身体能力を間近で見せつけられて俺は溜め息を吐く。
すると、静寂な闇夜の街の中、遠くの方から男性の叫び声が聞こえてきた。
「う、うわぁぁ!!」
それと同時に上に登ったアイリスから携帯に着信が入る。
「南南西方面二十メートル先のマンションの奥上。
誰か人がやられてる」
それだけ手短に喋るとアイリスはすぐに通話を切った。
「大分早いお出ましだな」
俺は携帯をズボンのポケットにしまいつつもアイリスに言われた通りの場所を目指して走り出した。
◇
「さて、と」
リトに上から見てくると言い残して私は屋上の上へとやって来た。
すると何処からともなく現れた三毛猫に私はそのまま問い掛ける。
「サクラ、何か怪しいモノでも見つけた?」
私が問い掛けると、サクラはにゃーんと一声鳴いた。
それから私は奥にあるマンションの屋上を見やる。
そこから男性の叫び声とともに、赤い炎がチラッと見えた。
私はすぐに懐にしまっていた携帯……と言っても、実は私もリトも携帯自体持っていない為、連絡手段として情報屋さんが二つとも貸してくれたスマートフォンなのだが、そちらに連絡を入れる。
それから手短に場所だけ伝えてリトとの通話を切り、建物の上からその叫び声のした場所目掛けて走り出した。
ぴょんぴょんと近場の屋上へと走って飛び移りながら目標のビルの隣まで移動し、それから上に向かってグッと足に力を入れて高くジャンプした。
目標が見えた所で空中で日本刀を鞘から抜いて、何やら右腕を警察官に突き刺し殺そうとしている相手目掛けて斬りかかる。
「ーーっ!!?」
それから私はそのまま刀で相手の右腕を斬り落として捕まえられていた警察官を抱き抱えて一旦距離を取った。
突然上から腕を斬られた相手は驚きながらこちらを睨む。
その相手の瞳は鮮やかに赤く光っていた。
「や、やめろっ!!
俺に寄るなぁ!」
そう男の様な声で叫んだ相手の斬られた腕からは血ではなく炎が燃え上がりそこから更に紫のシャクヤクの花が咲いた茎の束がうねうねと生え出していた。
それを気にせず私は警察官の方を見やる。
「……」
しかし、警察官の男は既に心臓付近に刺されたかの様な穴が空いており、意識がなくなっていた。
穴から血が出ていない所を見るに、恐らくまた心臓が焼けてしまったのだろう。
「……五人目、か」
私は警察官の亡き骸を地面に置いてそう小さく呟く。
それから片腕からシャクヤクの花を咲かせている相手の方へと向きなおった。
暗闇の中よくよく見てみると、どうやら歳は三十代位の、金髪のスーツを着た男だった。
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