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第一章
心臓怪火 21
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「……また日課の野良猫の餌やりか?」
俺は皮肉も含めてそう尋ねる。
何せ路地で育った俺としては自分一人だけ生きるので精一杯で、野良猫なんぞに構ってる余裕なんてなかった。
しかしアイリスの奴は元がどうやら何処ぞのお嬢様だったらしく、近所の野良猫に名前を付けては餌やりなどの世話している。
俺からしたら猫に餌をやるくらいなら自分の飯を買った方がマシなのに、馬鹿らしい事してるなと思えてならない。
「まあね。
後今晩のご飯買ってくる」
俺はご飯という単語にピクッと反応した。
「……肉がいい」
かくいう俺はアイリスの事が殺したい程には嫌いなのだが、こいつの唯一良い所は、料理が凄く美味いのだ。
まあ腐っても元お嬢様というだけの事はあるのだろう。
悔しいけれど、そこだけは素直に認めざるを得ない。
しかし、面倒臭がりな性格故に気乗りしている時しか料理らしい料理をせず、ざらに三食カップ麺なんて事もある。
「面倒じゃなかったらね」
そうして、アイリスはアパートを出て行った。
◇
「おや、アイリスさんこんにちは。
今日も猫達に餌やりですか?」
私が外へ出ると、ちょうどお隣の一〇一号室から細身に黒縁眼鏡をかけているサラサラの黒髪に濃い青眼の男性が話しかけてきた。
この男性は物腰が落ち着いており、実際は二十代前半なのだが、それより少し歳上にも見えるとよく言われるらしい。
「大家さん、こんにちは」
私はその男性に挨拶を返した。
そう、この男性はここのアパートの大家なのだ。
なんでも十数年程前にこのアパートを建てた祖父が亡くなったとかで、元は父親が経営していたところ今はこの男性が引き継いで大家を務めているとの事だった。
確か、初対面の時そんな話を聞かされた気がする。
「ごめんなさいね、アイリスさん。
うちのアパートではペット不可なものですから……」
「いえ、別に飼うつもりもないんで良いです」
申し訳なさそうに謝る大家さんに私がそう返事をすると、大家さんは優しく微笑みながら問い掛けてきた。
「アイリスさんは、猫がお好きなのですね?」
「……分かりません」
私がそう答えると、大家さんは少し驚いた表情をした後、ぽんぽんと私の頭を優しく撫で出した。
「そうですか。いつか分かる日が来ると良いですね」
「……ありがとうございます」
そう優しい言葉を掛けてくれる大家さんに、私は軽く会釈してから猫達のいる路地へと向かった。
◇
「サクラ、コウメ、モモコ、餌持ってきたよ」
私はアパートの横に入った路地にいる3匹の猫に雑にスライスした鰹節を渡す。
すると、猫達はにゃーにゃーと鳴き声をあげて鰹節にかぶりついていた。
「よしよし……ねぇ、兄弟愛って何だろうね?」
「ニャー」
私がそう問い掛けると、その言葉に応えるかの様にサクラが擦り寄ってきた。
それに続いてコウメとモモコも側に寄ってくる。
「……そっか。ありがとね」
そんな三匹の猫達に、ふふっとアイリスは無理矢理笑ってみせた。
俺は皮肉も含めてそう尋ねる。
何せ路地で育った俺としては自分一人だけ生きるので精一杯で、野良猫なんぞに構ってる余裕なんてなかった。
しかしアイリスの奴は元がどうやら何処ぞのお嬢様だったらしく、近所の野良猫に名前を付けては餌やりなどの世話している。
俺からしたら猫に餌をやるくらいなら自分の飯を買った方がマシなのに、馬鹿らしい事してるなと思えてならない。
「まあね。
後今晩のご飯買ってくる」
俺はご飯という単語にピクッと反応した。
「……肉がいい」
かくいう俺はアイリスの事が殺したい程には嫌いなのだが、こいつの唯一良い所は、料理が凄く美味いのだ。
まあ腐っても元お嬢様というだけの事はあるのだろう。
悔しいけれど、そこだけは素直に認めざるを得ない。
しかし、面倒臭がりな性格故に気乗りしている時しか料理らしい料理をせず、ざらに三食カップ麺なんて事もある。
「面倒じゃなかったらね」
そうして、アイリスはアパートを出て行った。
◇
「おや、アイリスさんこんにちは。
今日も猫達に餌やりですか?」
私が外へ出ると、ちょうどお隣の一〇一号室から細身に黒縁眼鏡をかけているサラサラの黒髪に濃い青眼の男性が話しかけてきた。
この男性は物腰が落ち着いており、実際は二十代前半なのだが、それより少し歳上にも見えるとよく言われるらしい。
「大家さん、こんにちは」
私はその男性に挨拶を返した。
そう、この男性はここのアパートの大家なのだ。
なんでも十数年程前にこのアパートを建てた祖父が亡くなったとかで、元は父親が経営していたところ今はこの男性が引き継いで大家を務めているとの事だった。
確か、初対面の時そんな話を聞かされた気がする。
「ごめんなさいね、アイリスさん。
うちのアパートではペット不可なものですから……」
「いえ、別に飼うつもりもないんで良いです」
申し訳なさそうに謝る大家さんに私がそう返事をすると、大家さんは優しく微笑みながら問い掛けてきた。
「アイリスさんは、猫がお好きなのですね?」
「……分かりません」
私がそう答えると、大家さんは少し驚いた表情をした後、ぽんぽんと私の頭を優しく撫で出した。
「そうですか。いつか分かる日が来ると良いですね」
「……ありがとうございます」
そう優しい言葉を掛けてくれる大家さんに、私は軽く会釈してから猫達のいる路地へと向かった。
◇
「サクラ、コウメ、モモコ、餌持ってきたよ」
私はアパートの横に入った路地にいる3匹の猫に雑にスライスした鰹節を渡す。
すると、猫達はにゃーにゃーと鳴き声をあげて鰹節にかぶりついていた。
「よしよし……ねぇ、兄弟愛って何だろうね?」
「ニャー」
私がそう問い掛けると、その言葉に応えるかの様にサクラが擦り寄ってきた。
それに続いてコウメとモモコも側に寄ってくる。
「……そっか。ありがとね」
そんな三匹の猫達に、ふふっとアイリスは無理矢理笑ってみせた。
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