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第一章
心臓怪火 20
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◇
「よお二人とも、ごくろーさん!
まさか一日で解決しちゃうとはね、おじさん驚いちゃった♪
はい、これ今回の報酬な」
翌日、情報屋が上機嫌にそんな事を言いながら金を渡してきた。
「ったく、こんな面倒な仕事寄越しやがって、もっとマシな仕事くれよな?」
結局昨日の一件もほぼアイリスが一人で戦っていたので、はっきり言って俺としてはやりがいがなかった。
「まあまあ、ああいう案件はアイリスちゃんにしか出来ないから、必然的にそっちに回すしかなくなるんだよ、悪いな。
ところで、ニュースはもう見たかい?」
情報屋に問われて俺はああ、と首を縦に振る。
「怪奇焼殺事件五人目の被害者は警察官、そして警察官を助けようとしたのかその弟は両腕が無く、心臓が刺された状態で発見された……。
まるで美しい兄弟愛の如く語られてて見てて馬鹿らしいぜ」
俺は鼻で笑う様にそう言った。
何せ事実はその弟の方が警察官の兄を怪奇焼殺した犯人で、その弟を殺した犯人こそ部屋でそのニュースを見ているあの和服の女なのだから。
「そんで、事件の全貌はその弟さんの怒りの感情が原因だったと。
まあ怪火を起こすくらいには感情が強かったんだろうな」
どうやら情報屋曰く、あの核の花は人の感情を吸って成長するらしく、その感情をエネルギーとして人を攻撃しているらしい。
その構造はよく知らないが、何ともおかしな話である。
「ところで、リト」
「あ?
……!」
情報屋にいきなりグイッと腕を掴まれて俺は玄関から無理矢理外に連れ出された。
「っんだよいきなり!」
「お前、アイリスちゃんに人を殺させたのか?」
すると、いつになく真剣な声で情報屋がそう問い掛けてくる。
「あ?
ああ。俺が行った時にはもう既に今回の犯人を殺してたよ。
とは言え、その犯人も放っといてももう助からなかっただろうし……。
それがどうかしたのか?」
何でこいつはアイリスが人を殺したかどうかをそんなに気にするのだろうか?
俺は訳が分からずにそう問い掛ける。
「……いや、間に合わなかったんなら仕方ない。
ま、今後とも引き続き人を殺させない様によろしくな。
それじゃあ俺はもう行くわ」
情報屋はそう言って片手をひらひらと振って去って行った。
「何なんだよ、一体……」
俺は頭をボリボリと掻きながらアパートの中へと戻る。
部屋に入ると、昨日のニュースの特番が組まれており、それをアイリスがジーッと無表情に眺めていた。
「兄弟愛だとか馬鹿らしい……仲の良い兄弟なら、殺したりなんてしないだろ」
俺がそう呟くと、アイリスは珍しく返事をしてきた。
「兄弟愛はあったよ。
酷く歪んでいたけど」
そう言うアイリスの表情は、いつも通り無表情な筈なのに、何処となく怒っている様にも見えた。
「歪んだ兄弟愛?
なんだそりゃ」
「さぁ、なんなんだろうね?」
「はぁ?」
訳が分からず訊き返したのに、逆に訊き返されてしまった。
「でも、きっと仲は良かったんだよ。
凄く憎かっただけで」
「それは仲が良いとは言えるのか?」
「ねぇ、リトは兄弟いる?」
俺がアイリスの言葉に反論すると、それを無視してアイリスはそんな事を突然訊いてきた。
「あ? 居ねぇよ。
つーか居たとしても分かんねぇし」
「そっか」
質問しておきながら、どうやらアイリスはそこまで興味がなかったのか、テレビを切って出掛ける準備をし出した。
「よお二人とも、ごくろーさん!
まさか一日で解決しちゃうとはね、おじさん驚いちゃった♪
はい、これ今回の報酬な」
翌日、情報屋が上機嫌にそんな事を言いながら金を渡してきた。
「ったく、こんな面倒な仕事寄越しやがって、もっとマシな仕事くれよな?」
結局昨日の一件もほぼアイリスが一人で戦っていたので、はっきり言って俺としてはやりがいがなかった。
「まあまあ、ああいう案件はアイリスちゃんにしか出来ないから、必然的にそっちに回すしかなくなるんだよ、悪いな。
ところで、ニュースはもう見たかい?」
情報屋に問われて俺はああ、と首を縦に振る。
「怪奇焼殺事件五人目の被害者は警察官、そして警察官を助けようとしたのかその弟は両腕が無く、心臓が刺された状態で発見された……。
まるで美しい兄弟愛の如く語られてて見てて馬鹿らしいぜ」
俺は鼻で笑う様にそう言った。
何せ事実はその弟の方が警察官の兄を怪奇焼殺した犯人で、その弟を殺した犯人こそ部屋でそのニュースを見ているあの和服の女なのだから。
「そんで、事件の全貌はその弟さんの怒りの感情が原因だったと。
まあ怪火を起こすくらいには感情が強かったんだろうな」
どうやら情報屋曰く、あの核の花は人の感情を吸って成長するらしく、その感情をエネルギーとして人を攻撃しているらしい。
その構造はよく知らないが、何ともおかしな話である。
「ところで、リト」
「あ?
……!」
情報屋にいきなりグイッと腕を掴まれて俺は玄関から無理矢理外に連れ出された。
「っんだよいきなり!」
「お前、アイリスちゃんに人を殺させたのか?」
すると、いつになく真剣な声で情報屋がそう問い掛けてくる。
「あ?
ああ。俺が行った時にはもう既に今回の犯人を殺してたよ。
とは言え、その犯人も放っといてももう助からなかっただろうし……。
それがどうかしたのか?」
何でこいつはアイリスが人を殺したかどうかをそんなに気にするのだろうか?
俺は訳が分からずにそう問い掛ける。
「……いや、間に合わなかったんなら仕方ない。
ま、今後とも引き続き人を殺させない様によろしくな。
それじゃあ俺はもう行くわ」
情報屋はそう言って片手をひらひらと振って去って行った。
「何なんだよ、一体……」
俺は頭をボリボリと掻きながらアパートの中へと戻る。
部屋に入ると、昨日のニュースの特番が組まれており、それをアイリスがジーッと無表情に眺めていた。
「兄弟愛だとか馬鹿らしい……仲の良い兄弟なら、殺したりなんてしないだろ」
俺がそう呟くと、アイリスは珍しく返事をしてきた。
「兄弟愛はあったよ。
酷く歪んでいたけど」
そう言うアイリスの表情は、いつも通り無表情な筈なのに、何処となく怒っている様にも見えた。
「歪んだ兄弟愛?
なんだそりゃ」
「さぁ、なんなんだろうね?」
「はぁ?」
訳が分からず訊き返したのに、逆に訊き返されてしまった。
「でも、きっと仲は良かったんだよ。
凄く憎かっただけで」
「それは仲が良いとは言えるのか?」
「ねぇ、リトは兄弟いる?」
俺がアイリスの言葉に反論すると、それを無視してアイリスはそんな事を突然訊いてきた。
「あ? 居ねぇよ。
つーか居たとしても分かんねぇし」
「そっか」
質問しておきながら、どうやらアイリスはそこまで興味がなかったのか、テレビを切って出掛ける準備をし出した。
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