何れ人か神の花〜今日も殺し損ねた少女と一つ屋根の下で暮らしています〜

本田ゆき

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第二章

合縁奇縁 11

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 しかし、俺に睨まれても少女は怯むどころかそれならさ、と話しかけてきた。

「私を狙うんなら、さっきの提案を飲んでくれればやりやすいんじゃない?」
「は? さっきの提案?」

「そう。私の家に住み込みで虫を退治するバイト」

 少女の言葉に情報屋はまたはははっ! と豪快に笑いだした。

「いいねぇそのバイト!
おいリトル・グリムリーパー、引き受けてやればいいじゃんか!」
「何で虫退治のバイトなんか引き受けるんだよ!?」
「住み込みで働けるとか良いじゃねーか!
お前どうせ金がある割にはろくな場所に住んでねーだろ?
殺したい相手と一緒に住めば、何かしら対策とか隙をついて殺す事も出来るし、お前にもメリットがあるじゃんか」

 面白可笑しくそう言う情報屋に俺は呆れた。
 あまりにも馬鹿らしい会話に頭がズキズキと痛くなる。

「……リトル・グリムリーパー?」

 すると、横で俺達の会話を聞いていた少女が不思議そうに訪ねてきた。

「ああ、こいつガキの頃親に捨てられたのか、名前が無くてな。
名前代わりにそう呼ばれてるんだ」
「へぇ、リトル・グリムリーパー、ね。
……じゃあ長いからリトでいい?」

「はあっ!?」

 今度は何を言い出すかと思えば、少女は真顔でそんな事を言い出した。

「お! いいんじゃねーか?
良かったな! 良い名前が出来て!」
「いや、勝手に変な名前作るんじゃねーよ!
第一よりによって小さいリトルから取られるのが気に食わねえ!」
「んー、じゃあグリムから取ってグリでも良いけど」
「いや、それもなんか嫌だ」

 グリだなんてまるでどこぞの絵本にでもありそうな名前で個人的に嫌だった。

「何だよ、我が儘ばっか言うなよな。
それじゃあリトで決定な!」
「は!? だからお前が勝手に決めんじゃねーよ!」

 否定する俺をよそに、情報屋は俺にビシッと指さして言ってきた。

「じゃあ俺これから勝手にリトって呼ぶから」
「私も」
「話聞かねー奴らばっかかよ!」

 頼むからまともな奴が一人でも居てくれと心底思った。

 本当何なんだよこいつら……。

「そもそもお前最初に名前なんてないから好きに呼べって言ってたじゃねーか。
なら別に良いだろ?」
「ぐっ……確かに昔はそう言ったけどよ」
「それに、リトル・グリムリーパーって呼ばれるのも、あんま好きじゃないだろ?」
「それは……」

 何で知ってんだよと思いつつ俺は返事に困る。

「なら良いじゃねーか、よし決定!」

 こうして、俺の呼び名がまた勝手に決められてしまったのだった。
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