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第三章
戒心散花 14
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◇
「遺族の方ですね。
鑑識が終わったので入っても大丈夫ですよ。
ただし、爆発のあった付近の物には近付かない様にして下さい」
「分かりました。
ありがとうございます」
警察官からそう軽く忠告されて、私とローガンはナターシャの母の案内の元アパートの一室へと通された。
因みにローガンはナターシャの彼氏として、私は一応ナターシャの家族という体で警察に話してある。
「あの、爆発した場所を見る事は出来ますか?」
私がそう問い掛けると、警察官のお兄さんは本気かと言いたげな眼差しで質問する。
「見る分には構わないが……あんまりおすすめはしない。
血飛沫が至る所に飛んでるからな」
「構いません」
「……正気か? まあ、途中で具合が悪くなったらすぐに声を掛けてくれ」
警察官はやれやれといった感じで私を案内してくれた。
因みにローガンやナターシャの母は見るのはやめておくとの事でリビングで待っているとの事だ。
「ここだよ」
警察官はそう説明しながらゆっくりと扉を開けた。
そこにはピンクを基調としたベッドやベッドの上のクッションやぬいぐるみ、カーテン、更にはアパートの真っ白な壁やフローリングの床など至る所まで血が四方に飛び散り元々可愛らしかったであろう部屋は見るも無惨な惨状だった。
私はマジマジとその惨状を見て疑問に思った。
「被害者のナターシャさんは木っ端微塵だったんですよね?」
「まあ、この惨状を見て貰えばすぐに分かると思うがな」
「なら、他に焼けたり爆破した部分はないんですか?」
私の質問に警察官は頭をがしがしと掻きながら答える。
「そこは俺達も不思議に思ってるんだが……これだけ人をバラバラにする程殺傷能力が高い爆弾なのに、何故か部屋や他の物に関しては何一つ傷ついてないんだよ。
……というかお嬢ちゃん、よくこんな部屋詳しく観察出来るな?
鑑識の奴等ですら辟易としてたのに」
警察に心底おかしなものを見る様な眼で見られたが私は無視してしばらく部屋を眺めていた。
すると、机の上に何か日記の様な物が開かれていたのが見えた。
「あの、あれは?」
「ん? ああ、あれは確か被害者の日記だったな。
一応自殺の線も疑って目を通したが、それを仄めかす文章も特に無かったから、写真だけ撮って遺族に渡す予定だったんだ」
「へえ」
「何ならお嬢ちゃんに渡しとくぞ?
鑑識はさっき写真撮ってもういいと言ってたし。
家族だったんだろ?」
「え?
……あ、はぁ」
こんな時、咄嗟に嘘を吐けるローガンが羨ましいなと思った。
「何だその微妙な間は。
まあいいや。俺達警察には分からない事でも遺族なら分かる事があるかもしれんし、取り敢えずその日記は渡しておく」
「はあ、ありがとうございます」
それから私は警察官から渡された日記を飛ばし飛ばしで読みながらローガンとナターシャの母が待っているリビングへと向かった。
その途中、トイレに行っていたローガンと出会した。
「そんで? 部屋はどうだったんだ?」
「凄い量の血だったよ。
それに、結構な範囲で血飛沫が飛んでた」
「……うわぁ、想像しただけで気持ち悪りぃ。お前よくそんなの見てケロッとしていられるな?」
「あ、それと警察から遺族の方にって日記を貰ったよ」
「日記?」
ローガンはそれを聞いて私の手から日記を取ってパラパラと読み始めた。
「……何だ、そういう事かよ……」
それからローガンは日記をバタンと閉じた後自分の鞄の中にしまいだしたのだ。
「それ、ナターシャさんのお母さんに見せないの?」
「見せれるかよこんなもん。
母親を安心させる為だけに適当な男と付き合っていただなんて」
確かに、日記にはこんな事が書かれていた。
「4月14日
最近、母さんがやけに彼氏はいつ出来るとうるさくなってきた。
なので、この前バーで飲んでた時に言い寄ってきた金持ちの男と取り敢えず付き合う事にした。
彼氏が出来れば一先ず母も落ち着くだろう」
「6月15日
新しい彼氏は何やら身体だけが目当ての様だ。
でもお金は持ってるし、適当にブランド物をねだってお金に変えよう。
結婚するならもっと誠実な人が良いし、とりあえずキープしつつ新しい人探そうと思う」
「9月3日
今度は結婚式やら孫の話まで飛び出してきた。
私はまだ23だし、結婚よりまだ働いたり遊んでいたいと伝えても中々聞いてくれない。
仕方ないので今の彼氏と結婚の話が出てると伝えた。
これで母さんが落ち着いてくれればいいけど。
これでダメなら今度病院に連れて行こうかな」
「10月10日
あれから毎日の様に母さんから電話が来る。
何をそんなに焦っているのだろう?
半年前まではこんな事なかったのに。
更年期という奴だろうか?
本当に病院へ行った方がいいかもしれない」
大体こんな感じの内容だった。
ナターシャの母も娘にプレッシャーになっていたかもしれないと言っていたが、どうやらナターシャ自身は母がおかしくなったと感じていた様である。
しかし、遺族の方へと言われた物を、ローガンが持っていていいのかと私は思ったが、これ以上口出すのも面倒なので取り敢えず日記の件は放置する事にした。
「遺族の方ですね。
鑑識が終わったので入っても大丈夫ですよ。
ただし、爆発のあった付近の物には近付かない様にして下さい」
「分かりました。
ありがとうございます」
警察官からそう軽く忠告されて、私とローガンはナターシャの母の案内の元アパートの一室へと通された。
因みにローガンはナターシャの彼氏として、私は一応ナターシャの家族という体で警察に話してある。
「あの、爆発した場所を見る事は出来ますか?」
私がそう問い掛けると、警察官のお兄さんは本気かと言いたげな眼差しで質問する。
「見る分には構わないが……あんまりおすすめはしない。
血飛沫が至る所に飛んでるからな」
「構いません」
「……正気か? まあ、途中で具合が悪くなったらすぐに声を掛けてくれ」
警察官はやれやれといった感じで私を案内してくれた。
因みにローガンやナターシャの母は見るのはやめておくとの事でリビングで待っているとの事だ。
「ここだよ」
警察官はそう説明しながらゆっくりと扉を開けた。
そこにはピンクを基調としたベッドやベッドの上のクッションやぬいぐるみ、カーテン、更にはアパートの真っ白な壁やフローリングの床など至る所まで血が四方に飛び散り元々可愛らしかったであろう部屋は見るも無惨な惨状だった。
私はマジマジとその惨状を見て疑問に思った。
「被害者のナターシャさんは木っ端微塵だったんですよね?」
「まあ、この惨状を見て貰えばすぐに分かると思うがな」
「なら、他に焼けたり爆破した部分はないんですか?」
私の質問に警察官は頭をがしがしと掻きながら答える。
「そこは俺達も不思議に思ってるんだが……これだけ人をバラバラにする程殺傷能力が高い爆弾なのに、何故か部屋や他の物に関しては何一つ傷ついてないんだよ。
……というかお嬢ちゃん、よくこんな部屋詳しく観察出来るな?
鑑識の奴等ですら辟易としてたのに」
警察に心底おかしなものを見る様な眼で見られたが私は無視してしばらく部屋を眺めていた。
すると、机の上に何か日記の様な物が開かれていたのが見えた。
「あの、あれは?」
「ん? ああ、あれは確か被害者の日記だったな。
一応自殺の線も疑って目を通したが、それを仄めかす文章も特に無かったから、写真だけ撮って遺族に渡す予定だったんだ」
「へえ」
「何ならお嬢ちゃんに渡しとくぞ?
鑑識はさっき写真撮ってもういいと言ってたし。
家族だったんだろ?」
「え?
……あ、はぁ」
こんな時、咄嗟に嘘を吐けるローガンが羨ましいなと思った。
「何だその微妙な間は。
まあいいや。俺達警察には分からない事でも遺族なら分かる事があるかもしれんし、取り敢えずその日記は渡しておく」
「はあ、ありがとうございます」
それから私は警察官から渡された日記を飛ばし飛ばしで読みながらローガンとナターシャの母が待っているリビングへと向かった。
その途中、トイレに行っていたローガンと出会した。
「そんで? 部屋はどうだったんだ?」
「凄い量の血だったよ。
それに、結構な範囲で血飛沫が飛んでた」
「……うわぁ、想像しただけで気持ち悪りぃ。お前よくそんなの見てケロッとしていられるな?」
「あ、それと警察から遺族の方にって日記を貰ったよ」
「日記?」
ローガンはそれを聞いて私の手から日記を取ってパラパラと読み始めた。
「……何だ、そういう事かよ……」
それからローガンは日記をバタンと閉じた後自分の鞄の中にしまいだしたのだ。
「それ、ナターシャさんのお母さんに見せないの?」
「見せれるかよこんなもん。
母親を安心させる為だけに適当な男と付き合っていただなんて」
確かに、日記にはこんな事が書かれていた。
「4月14日
最近、母さんがやけに彼氏はいつ出来るとうるさくなってきた。
なので、この前バーで飲んでた時に言い寄ってきた金持ちの男と取り敢えず付き合う事にした。
彼氏が出来れば一先ず母も落ち着くだろう」
「6月15日
新しい彼氏は何やら身体だけが目当ての様だ。
でもお金は持ってるし、適当にブランド物をねだってお金に変えよう。
結婚するならもっと誠実な人が良いし、とりあえずキープしつつ新しい人探そうと思う」
「9月3日
今度は結婚式やら孫の話まで飛び出してきた。
私はまだ23だし、結婚よりまだ働いたり遊んでいたいと伝えても中々聞いてくれない。
仕方ないので今の彼氏と結婚の話が出てると伝えた。
これで母さんが落ち着いてくれればいいけど。
これでダメなら今度病院に連れて行こうかな」
「10月10日
あれから毎日の様に母さんから電話が来る。
何をそんなに焦っているのだろう?
半年前まではこんな事なかったのに。
更年期という奴だろうか?
本当に病院へ行った方がいいかもしれない」
大体こんな感じの内容だった。
ナターシャの母も娘にプレッシャーになっていたかもしれないと言っていたが、どうやらナターシャ自身は母がおかしくなったと感じていた様である。
しかし、遺族の方へと言われた物を、ローガンが持っていていいのかと私は思ったが、これ以上口出すのも面倒なので取り敢えず日記の件は放置する事にした。
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