49 / 82
第三章
戒心散花 16
しおりを挟む
◇
「昨日はねー、仕事がお休みだからって、お母さん、朝からウキウキしててねー、楽しそうだったの。
ずっと一緒に遊びに付き合ってくれてねー。
だけど、夕飯作るって言って、キッチンに行ったんだけど、そしたらね、バーンって大きな音がなって、私、お母さんが料理に失敗したんだと思って、キッチンに行ったらね、そこら中、真っ赤で……怖くて、電話で、きゅーきゅーしゃ呼んだの。
お母さんが、料理失敗して、死んじゃったって」
女の子は話してる途中にその光景を思い出したのか、声も震えており、手足もカタカタと震えだしていた。
「そっか……辛かったね、辛い事を思い出させてごめんね」
警察官は申し訳なさそうな顔で謝っていた。
「全く、可哀想な話だな」
ローガンがそう口を開くと、女の子はローガンを見てあ、と思い出した様に話し出した。
「お母さんのおしごとの人……」
「あ? 俺はお母さんの友達で、仕事は関係ないぞ?」
「でもお母さん、二つ仕事してたよ。
いつもはお昼に近くのデパートで働いてるんだけどね。
たまに夜に仕事だからって出掛けてた。
一度こっそり起きて見てたら、お母さん、おじさんと一緒に出掛けてたから、おじさんがお仕事の人なんでしょ?」
「は? あ、いや、まあ……」
言い淀んでいるローガンを無視して、私は納得した様に呟いた。
「なるほどね、まあ確かにシングルマザーのお母さんならお金がいるだろうし、ちょうど金持ちの遊び人引っ掛ければ、楽にお金が稼げるし、本当、良い仕事だよね」
「俺はそんな風に見られてたって事か!?」
「じゃあ貴方はジェシカさんの事本気だったの?」
「いや、それは……」
「ならお互い様じゃない?」
「……」
一度怒りかけたローガンは、私の問いに返せず最終的には黙ってしまった。
「それとね、お姉ちゃんにだけこっそり教えてあげる」
そう言って、女の子は私を手招きした。
「何の話をしてるんだい?」
「おじさん達には内緒ー!」
「お、おじ……」
警察官の男性はまだ若そうだが、そう言われてしょぼんと落ち込む。
そんな事は露知らず、女の子は私に一枚の絵を見せてきた。
その絵には丸いピンクで、花の様なものが描かれている。
「あのねー、昨日大きな音がする前にね、窓からきれいなお花が入ってきたの!」
「お花?」
「うん! こんな感じのー!
でもね、ふわふわ浮いてお母さんと一緒にキッチンのドアの方に行っちゃってね。
本当はもっと間近で見たかったんだけど、お姉ちゃん、探せる?」
「……そうだね、お姉ちゃんもその花に興味があるから、探してみようかな」
私は女の子の絵を見ながら話を聞いた後、すぐ様キッチンへとやって来た。
キッチンは少し爆発で卵が割れてたり粉物が舞っていたりと荒れていたが、やはり建物事態への被害はそこまで大きくなさそうだった。
「つまり、ピンポイントに人だけ狙ってる、と。
それに、被害は最小限……」
つまり、他の人は巻き込まない様にしている。
さっきの女の子の話からすると、恐らく昨日ジェシカは一日中家に居たのだろう。
それなら、花をいつでも家に送って爆破出来ただろうに。
しかし、爆発は娘と離れてキッチンに行った時に起こった……。
それは偶然か、もしくは娘には被害が及ばない様にしたのか。
「あくまで殺したいのはジェシカさんだけだった、と」
「ちょ、君! 困るよ勝手に現場に入っちゃ!」
私がキッチンで色々と物色していると、先程の警察官が慌てた様子でやって来た。
「全く、本来部外者の君は家にも入っちゃ駄目なんだけど……。
まあ私が子供相手がちょっと苦手でお願いした手前、悪くは言いませんが、うろつくのだけはやめて下さいね」
「あ、ごめんなさい。
道に迷ってしまったみたいで」
「こんな家の中で迷うなんておかしいでしょ?
もうすぐ親戚の方が来るそうなので、今日はもうお引き取り下さい」
そうお礼を言われて私とローガンはナターシャの家を後にした。
「あ、後、女の子の世話ありがとうございました。
私一人では難しかったので、そこは助かりました」
「いえ、私も特に何もしてませんけど」
「ばいばーい、お姉ちゃん!」
警察官の後ろから大きく手を振る女の子に、私も手を少し振り返して後ろに向き直った。
「お前、子供から好かれんのか?」
「どうだろう? 気にした事ないけど……でも、子供なら男の人よりは女の人の方に懐きやすいんじゃない?」
「まあ、それもそうか」
それから私とローガンはそのまま三件目へと向かったのだった。
「昨日はねー、仕事がお休みだからって、お母さん、朝からウキウキしててねー、楽しそうだったの。
ずっと一緒に遊びに付き合ってくれてねー。
だけど、夕飯作るって言って、キッチンに行ったんだけど、そしたらね、バーンって大きな音がなって、私、お母さんが料理に失敗したんだと思って、キッチンに行ったらね、そこら中、真っ赤で……怖くて、電話で、きゅーきゅーしゃ呼んだの。
お母さんが、料理失敗して、死んじゃったって」
女の子は話してる途中にその光景を思い出したのか、声も震えており、手足もカタカタと震えだしていた。
「そっか……辛かったね、辛い事を思い出させてごめんね」
警察官は申し訳なさそうな顔で謝っていた。
「全く、可哀想な話だな」
ローガンがそう口を開くと、女の子はローガンを見てあ、と思い出した様に話し出した。
「お母さんのおしごとの人……」
「あ? 俺はお母さんの友達で、仕事は関係ないぞ?」
「でもお母さん、二つ仕事してたよ。
いつもはお昼に近くのデパートで働いてるんだけどね。
たまに夜に仕事だからって出掛けてた。
一度こっそり起きて見てたら、お母さん、おじさんと一緒に出掛けてたから、おじさんがお仕事の人なんでしょ?」
「は? あ、いや、まあ……」
言い淀んでいるローガンを無視して、私は納得した様に呟いた。
「なるほどね、まあ確かにシングルマザーのお母さんならお金がいるだろうし、ちょうど金持ちの遊び人引っ掛ければ、楽にお金が稼げるし、本当、良い仕事だよね」
「俺はそんな風に見られてたって事か!?」
「じゃあ貴方はジェシカさんの事本気だったの?」
「いや、それは……」
「ならお互い様じゃない?」
「……」
一度怒りかけたローガンは、私の問いに返せず最終的には黙ってしまった。
「それとね、お姉ちゃんにだけこっそり教えてあげる」
そう言って、女の子は私を手招きした。
「何の話をしてるんだい?」
「おじさん達には内緒ー!」
「お、おじ……」
警察官の男性はまだ若そうだが、そう言われてしょぼんと落ち込む。
そんな事は露知らず、女の子は私に一枚の絵を見せてきた。
その絵には丸いピンクで、花の様なものが描かれている。
「あのねー、昨日大きな音がする前にね、窓からきれいなお花が入ってきたの!」
「お花?」
「うん! こんな感じのー!
でもね、ふわふわ浮いてお母さんと一緒にキッチンのドアの方に行っちゃってね。
本当はもっと間近で見たかったんだけど、お姉ちゃん、探せる?」
「……そうだね、お姉ちゃんもその花に興味があるから、探してみようかな」
私は女の子の絵を見ながら話を聞いた後、すぐ様キッチンへとやって来た。
キッチンは少し爆発で卵が割れてたり粉物が舞っていたりと荒れていたが、やはり建物事態への被害はそこまで大きくなさそうだった。
「つまり、ピンポイントに人だけ狙ってる、と。
それに、被害は最小限……」
つまり、他の人は巻き込まない様にしている。
さっきの女の子の話からすると、恐らく昨日ジェシカは一日中家に居たのだろう。
それなら、花をいつでも家に送って爆破出来ただろうに。
しかし、爆発は娘と離れてキッチンに行った時に起こった……。
それは偶然か、もしくは娘には被害が及ばない様にしたのか。
「あくまで殺したいのはジェシカさんだけだった、と」
「ちょ、君! 困るよ勝手に現場に入っちゃ!」
私がキッチンで色々と物色していると、先程の警察官が慌てた様子でやって来た。
「全く、本来部外者の君は家にも入っちゃ駄目なんだけど……。
まあ私が子供相手がちょっと苦手でお願いした手前、悪くは言いませんが、うろつくのだけはやめて下さいね」
「あ、ごめんなさい。
道に迷ってしまったみたいで」
「こんな家の中で迷うなんておかしいでしょ?
もうすぐ親戚の方が来るそうなので、今日はもうお引き取り下さい」
そうお礼を言われて私とローガンはナターシャの家を後にした。
「あ、後、女の子の世話ありがとうございました。
私一人では難しかったので、そこは助かりました」
「いえ、私も特に何もしてませんけど」
「ばいばーい、お姉ちゃん!」
警察官の後ろから大きく手を振る女の子に、私も手を少し振り返して後ろに向き直った。
「お前、子供から好かれんのか?」
「どうだろう? 気にした事ないけど……でも、子供なら男の人よりは女の人の方に懐きやすいんじゃない?」
「まあ、それもそうか」
それから私とローガンはそのまま三件目へと向かったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
悪役令嬢として断罪された聖女様は復讐する
青の雀
恋愛
公爵令嬢のマリアベルーナは、厳しい母の躾により、完ぺきな淑女として生まれ育つ。
両親は政略結婚で、父は母以外の女性を囲っていた。
母の死後1年も経たないうちに、その愛人を公爵家に入れ、同い年のリリアーヌが異母妹となった。
リリアーヌは、自分こそが公爵家の一人娘だと言わんばかりにわが物顔で振る舞いマリアベルーナに迷惑をかける。
マリアベルーナには、5歳の頃より婚約者がいて、第1王子のレオンハルト殿下も、次第にリリアーヌに魅了されてしまい、ついには婚約破棄されてしまう。
すべてを失ったマリアベルーナは悲しみのあまり、修道院へ自ら行く。
修道院で聖女様に覚醒して……
大慌てになるレオンハルトと公爵家の人々は、なんとかマリアベルーナに戻ってきてもらおうとあの手この手を画策するが
マリアベルーナを巡って、各国で戦争が起こるかもしれない
完ぺきな淑女の上に、完ぺきなボディライン、完ぺきなお妃教育を持った聖女様は、自由に羽ばたいていく
今回も短編です
誰と結ばれるかは、ご想像にお任せします♡
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる