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第三章
戒心散花 17
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三軒目のお宅に着く頃にはもう夕暮れ時で、私は内心今日の夕飯はどうしようかと考えつつ一軒家の家のインターホンを押した。
するとその家から若い男性が一人出てきた。
「すみません、ちょっとサリーさんの事について聞きたいんですが」
私がそう尋ねると、男はやつれた顔に光のない瞳で私達を見ていた。
「ああ、妻について、ですか?
君らは警察か何かでしょうか?」
「いえ、警察ではないですけど、一応犯人を探してる感じです」
「そうですか……質問には答えてもいいですけど、正直私も殆ど何も分からないのですが……。
それでも良ければ」
男は力無くそう答えた。
「分かりました。それじゃあ早速……そのサリーさんって、どんな最期だったか見てましたか?」
「え?」
「お、お前! またストレートに訊きやがって!」
ローガンはまたも慌てながらはあ、と盛大に溜め息を吐く。
「すいません、こいつが人の気も知らずに」
「いえ、大丈夫です。
それより、人の気も知らないのは貴方の方では?」
男はニコリと優しそうな笑みを浮かべながら、しかし声色は冷たくそう言い放った。
「……え?」
その様子に、ローガンは口を開けて間抜けな面で固まる。
「貴方、サリーの浮気相手ですよね?」
「な、何を急に言ってるんですか~。
そ、そんな訳……」
それから誤解だと言い逃れようとしたローガンに、男は至極冷静に話出した。
「先月、たまたま仕事が早く終わって家に帰ったら、貴方と妻がソファで抱き合ってる姿が見えましてね。
あれから、妻と貴方を訴える準備は整えていたんですよ」
「な、何!?」
「てっきり今日は亡くなったサリーの事を弔いに来たのかとも思いましたが、どうやらそうでもないようですしね。
しかし、妻には困ったものです。折角心置きなく訴えておさらばしようとしたのに、まさかこんな形で逃げられるだなんて……」
そう話す男の瞳には少し涙が溜まっていた。
「サリーさんの事、そんなに好きだったんですか?」
私が尋ねると男はやや困った様に笑みを浮かべながら答えた。
「……いや、きっと、ただ悔しかっただけだよ。
それで、話を戻すとして、妻の亡くなった時の話なら、部屋の中で話そうか」
男はそう言うと私とローガンを家へと招き入れた。
「妻が亡くなった時は、部屋に妻が一人で居た時だったよ。
急にボンッて大きな爆発音がしてね。
てっきり何か燃えたのかと思って駆けつけたら……そこには、妻と思わしき人がバラバラになっていた」
そう話す男は最後の方でその光景を思い出したのか、青ざめた顔をしている。
「……。
それからすぐに警察や救急車を呼んだよ。
その後は警察に連れて行かれてすぐに事情聴取された。
それと、浮気の証拠を集めるために部屋に隠しカメラを仕掛けてて、それは無事だったから、そこに一部始終が写っているよ。
警察も見て参るほどショッキングな映像が平気なら見るかい?」
「はい。お願いします」
男の質問に私がそう即答すると、男はまるで目を点にして驚かせた後再度尋ねてきた。
「お嬢さん、本気で言ってるのかい?
いや、まあ見せるのはいいんだが」
「はい。大丈夫です」
すると、今度は私の隣からローガンが正気を疑うかの如く質問してくる。
「おい、人が爆発するシーンなんて、そんなスプラッタ映像見るのかよ?」
「嫌ならおじさんは見ないでいいよ。
私一人だけで見るから」
「……是非そうしてくれ」
こうして、私は一人で映像を確認する事になった。
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