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第三章
戒心散花 19
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◇
「まさか君がここに来るとは思いませんでしたよローガンさん」
「あ、ああ、そうだな……」
一方、隣の部屋でアイリスを待っていたローガンに男は冷ややかな空気感で話していた。
「一体どんな気持ちでここに来たのかと思ったのですが、貴方はサリーを愛してはいなかったんですか?」
「……お前だって男なら遊び心くらいあるだろ?」
「生憎、私は周りに迷惑をかけてまで遊びたいだなんて気持ちは、これっぽっちも持ちあわせておりません」
「そ、そうか……」
男から返事を棘棘しく返されたローガンは心底アイリスを恨んでいた。
昨日といい今日といい、あの少女のせいで俺はずっと嫌な気分させられて最悪だ……。
今日だって、本当なら嫌な事忘れるべくランホアちゃんをホテルに連れ込んで……なのにランホアちゃんにも財布すられるし……最近の少女達って何なんだよ……。
ムカつく。
殺してやりてぇ。
いや、殺すじゃ勿体ない。
折角あんな綺麗なツラしてんだ。
売り飛ばせば結構な額稼げるだろう。
どれだけ強かろうが大の大人の男が複数かかれば流石に逆らえないはず……。
「お待たせ」
俺がそんな妄想を考えていると、相変わらずその少女は涼しい顔をして戻ってきた。
一応スプラッタとも言える動画を見てきたはずなのに、顔色は何も変わっていない様だ。
「これ、ありがどうございました。
ところで、今日はどちらかの記念日だったの?」
少女に訊かれた俺は何の事だと首を捻る。
今日の日付はなんて事ないただの休日だ。
しかし、同じく悩んだ素振りを見せたサリーの旦那が、ああ、と思い出した様に口を開いた。
「そう言えば、今日は結婚5年目の日だったんだ。
記念日なんてこれまで祝ってこなかったから、忘れていたよ。
それがどうかしたかい?」
不思議そうに尋ねる男にアイリスはなんて事なく答えた。
「サリーさん、昨日の爆破される前に明日の服を楽しそうに選んでいたんだけど、一瞬暗い顔して呟いていた」
「でも……どうせあの人は今年も気付かないのでしょうね」
「……え?」
「あー、そういやサリ……そちらの奥さん、いつも愚痴ってたな。
『あの人はもう昔の様には私を見てくれない。私の事なんてきっともうどうでもいいんだと思ってる。私はただの都合の良い家政婦と何ら変わらない』ってな。
愛してくれるなら誰でも良い、みたいな感じで半ば自暴自棄みたいな感じもしたぜ。
まあ女の浮気する理由の大半は寂しいからとも言われてるしな。
お陰で落しやすかったけどよ」
「……寂しい?」
ローガンの言葉に男は心底分からないといった顔で呟く。
そんな男の心境などまるで興味ないかの様にアイリスは淡々とお礼を述べた。
「今日はありがとうございました」
そして、呆然としている男をおいて二人はサリーの家を後にした。
「まさか君がここに来るとは思いませんでしたよローガンさん」
「あ、ああ、そうだな……」
一方、隣の部屋でアイリスを待っていたローガンに男は冷ややかな空気感で話していた。
「一体どんな気持ちでここに来たのかと思ったのですが、貴方はサリーを愛してはいなかったんですか?」
「……お前だって男なら遊び心くらいあるだろ?」
「生憎、私は周りに迷惑をかけてまで遊びたいだなんて気持ちは、これっぽっちも持ちあわせておりません」
「そ、そうか……」
男から返事を棘棘しく返されたローガンは心底アイリスを恨んでいた。
昨日といい今日といい、あの少女のせいで俺はずっと嫌な気分させられて最悪だ……。
今日だって、本当なら嫌な事忘れるべくランホアちゃんをホテルに連れ込んで……なのにランホアちゃんにも財布すられるし……最近の少女達って何なんだよ……。
ムカつく。
殺してやりてぇ。
いや、殺すじゃ勿体ない。
折角あんな綺麗なツラしてんだ。
売り飛ばせば結構な額稼げるだろう。
どれだけ強かろうが大の大人の男が複数かかれば流石に逆らえないはず……。
「お待たせ」
俺がそんな妄想を考えていると、相変わらずその少女は涼しい顔をして戻ってきた。
一応スプラッタとも言える動画を見てきたはずなのに、顔色は何も変わっていない様だ。
「これ、ありがどうございました。
ところで、今日はどちらかの記念日だったの?」
少女に訊かれた俺は何の事だと首を捻る。
今日の日付はなんて事ないただの休日だ。
しかし、同じく悩んだ素振りを見せたサリーの旦那が、ああ、と思い出した様に口を開いた。
「そう言えば、今日は結婚5年目の日だったんだ。
記念日なんてこれまで祝ってこなかったから、忘れていたよ。
それがどうかしたかい?」
不思議そうに尋ねる男にアイリスはなんて事なく答えた。
「サリーさん、昨日の爆破される前に明日の服を楽しそうに選んでいたんだけど、一瞬暗い顔して呟いていた」
「でも……どうせあの人は今年も気付かないのでしょうね」
「……え?」
「あー、そういやサリ……そちらの奥さん、いつも愚痴ってたな。
『あの人はもう昔の様には私を見てくれない。私の事なんてきっともうどうでもいいんだと思ってる。私はただの都合の良い家政婦と何ら変わらない』ってな。
愛してくれるなら誰でも良い、みたいな感じで半ば自暴自棄みたいな感じもしたぜ。
まあ女の浮気する理由の大半は寂しいからとも言われてるしな。
お陰で落しやすかったけどよ」
「……寂しい?」
ローガンの言葉に男は心底分からないといった顔で呟く。
そんな男の心境などまるで興味ないかの様にアイリスは淡々とお礼を述べた。
「今日はありがとうございました」
そして、呆然としている男をおいて二人はサリーの家を後にした。
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