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俺の彼女が魔法少女でした。後編
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跡を追いかけるとは言ったものの。
「ぜぇー、はぁー、はぁ、アイツ、マジで、はぁ、早すぎるだろ」
あっという間に見逃してしまった。
「あー、くそ、何処に行ったんだよ、てかここ何処だよ。」
取り敢えず当てもなく適当に歩き出す。
すると細い路地から、眩い光が見えた。
かと思ったら、またすぐそこは暗闇に戻ってしまった。
「?なんか今光った様な…」
俺は薄暗い路地に足を踏み入れる。
一歩、また一歩と慎重に進んでいく。
「なんか、路地って漫画やドラマだと綺麗に描かれてるけど普通に汚いし臭いな」
まさか生きている上で細い路地を歩く日が来るとは。
俺はそこでふと疑問を抱く。
よくよく考えたらこんなところに卯月が来るか?
「無いな、帰るか」
そう踵を返そうとした時である。
「あ、待て!待ちなさい!」
聴き覚えのある声に、俺はそこを振り向いた。
路地の先、少し開けたところで。
春野卯月は魔法少女になっていた。
「え?
は?」
驚きで言葉が出ない。
俺は今何を見ているのだろうか。
顔は卯月にそっくりだが、何かと戦っているであろう少女は長いピンクの髪に緑のメッシュが入っており、目もなんか少し赤い。
全体的にピンクのフリフリした、ロリータファッション的なものには、所々卵のデザインがあしらわれている。
どことなく、最近流行りのイースターっぽい様な…
見れば見るほど、いつもの春野卯月ではない。
ではそっくりさんか?
いや、それよりもコレは一体どういう状況なのだろうか?
ピンク髪の少女は、見えない何かと戦っているらしい。
しかも、右手に持っている武器であろうそれは、どこからどう見ても100均にありそうなピコピコハンマーだ。
ただし、ものすごくでかい。
ピコピコハンマーが、少女の頭身以上あるのだ。
あんなメガサイズ見たことない。
そしてその巨大ピコピコハンマーを、少女はものともせずぶんぶん振り回している。
側から見ると大分シュールな光景だ。
戦っているであろうものが見えていないせいで、コスプレした少女が巨大ピコピコハンマーをひたすら振り回している光景にしか見えない。
さっき待てと言っていたのはおそらくこの見えない敵に対してなのだろうと納得しつつも、疑問が浮かぶ。
そもそも少女は本当に何かと戦っているのだろうか?
そう思った瞬間、彼女のピコピコハンマーからドシューン!!と壮絶な音が鳴ったかと思ったら、何やら黒いハートが一瞬見え、またそれがすぐに思いっきり弾けて、結果キラキラと消えてしまった。
「ふぅ、討伐完了、だね!」
と、戦い終わった少女がくるりとこちらを向いた為、ばっちりと目が合ってしまった。
「…え、あ、蒼?」
そう言いながら目の前の少女は一瞬で姿が変わって、すっかり俺の見覚えのある春野卯月になっていた。
「マジか…」
誰に言うでもなく、俺はそう呟いた。
「ぜぇー、はぁー、はぁ、アイツ、マジで、はぁ、早すぎるだろ」
あっという間に見逃してしまった。
「あー、くそ、何処に行ったんだよ、てかここ何処だよ。」
取り敢えず当てもなく適当に歩き出す。
すると細い路地から、眩い光が見えた。
かと思ったら、またすぐそこは暗闇に戻ってしまった。
「?なんか今光った様な…」
俺は薄暗い路地に足を踏み入れる。
一歩、また一歩と慎重に進んでいく。
「なんか、路地って漫画やドラマだと綺麗に描かれてるけど普通に汚いし臭いな」
まさか生きている上で細い路地を歩く日が来るとは。
俺はそこでふと疑問を抱く。
よくよく考えたらこんなところに卯月が来るか?
「無いな、帰るか」
そう踵を返そうとした時である。
「あ、待て!待ちなさい!」
聴き覚えのある声に、俺はそこを振り向いた。
路地の先、少し開けたところで。
春野卯月は魔法少女になっていた。
「え?
は?」
驚きで言葉が出ない。
俺は今何を見ているのだろうか。
顔は卯月にそっくりだが、何かと戦っているであろう少女は長いピンクの髪に緑のメッシュが入っており、目もなんか少し赤い。
全体的にピンクのフリフリした、ロリータファッション的なものには、所々卵のデザインがあしらわれている。
どことなく、最近流行りのイースターっぽい様な…
見れば見るほど、いつもの春野卯月ではない。
ではそっくりさんか?
いや、それよりもコレは一体どういう状況なのだろうか?
ピンク髪の少女は、見えない何かと戦っているらしい。
しかも、右手に持っている武器であろうそれは、どこからどう見ても100均にありそうなピコピコハンマーだ。
ただし、ものすごくでかい。
ピコピコハンマーが、少女の頭身以上あるのだ。
あんなメガサイズ見たことない。
そしてその巨大ピコピコハンマーを、少女はものともせずぶんぶん振り回している。
側から見ると大分シュールな光景だ。
戦っているであろうものが見えていないせいで、コスプレした少女が巨大ピコピコハンマーをひたすら振り回している光景にしか見えない。
さっき待てと言っていたのはおそらくこの見えない敵に対してなのだろうと納得しつつも、疑問が浮かぶ。
そもそも少女は本当に何かと戦っているのだろうか?
そう思った瞬間、彼女のピコピコハンマーからドシューン!!と壮絶な音が鳴ったかと思ったら、何やら黒いハートが一瞬見え、またそれがすぐに思いっきり弾けて、結果キラキラと消えてしまった。
「ふぅ、討伐完了、だね!」
と、戦い終わった少女がくるりとこちらを向いた為、ばっちりと目が合ってしまった。
「…え、あ、蒼?」
そう言いながら目の前の少女は一瞬で姿が変わって、すっかり俺の見覚えのある春野卯月になっていた。
「マジか…」
誰に言うでもなく、俺はそう呟いた。
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