BLACK Tier【黒い怪物】

愛優

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二章  狼

狼奪還計画4

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亜蓮の師匠といわる人物がリヤの情報源から出てきたのは奪還日の数日前だった。亜蓮に知らせることはしなかったがあまりいい情報ではなかった。仮説として立てたあまりよくない方に転がって行ってしまったのだ。亜蓮が返ってこないと師匠は殺す。だから、死んでも帰って来いと。リスクはあるが出来ないことではない。
「変更する。明日の深夜に奇襲する。亜蓮の師匠の回収。顔の割れている開花と快気、マチに現場は頼む。黒也も車での待機、場合によっては援助をお願いする。くれぐれも殺すな」
「了解」
「俺も行かしてほしい」
亜蓮が秋斗を見てそう言った。
「君は寝返る可能性がある以上こちらとしても戦力は減らしておきたい」
「いいよ。俺が許可しよ~」
秋斗の拒否にかぶるように快気がそう答える。
「快気?」
「いいじゃん。逆に考えればこちらの戦力ともなる。なんかあれば俺が責任もって殺すから。秋斗~。悪い話じゃないんじゃない?」
そういうと秋斗はため息をついてそれを許した。快気が責任持ってくれるのであれば私も特にダメという点が見つからない。
「亜蓮くんもそれでいいね?」
「分かりました」
二人の会話を聞きながら開花は資料へと目を落とす。相手の陣地について知っていることは資料にある分だけ。行ったこともない場所で土地の有利は向こうにある。それでいて私たちは一人の人質を助け帰らなければならない。今回は相手になどしない。私はただまっすぐに地下に向かい彼女を助ければいい。相手も目的が分かっているからそれなりの対処はしてくるからそれもどうにかしなければ。
「危ないと思ったら引いてくれ。深堀はしなくていい。亜蓮、もし私たちが助けることができないと判断したら君が判断してくれていい。蒼鳥に行くもこちらに残るも」
けど、そうなった場合はこちらも容赦はしない、と。実際のところ拒否権など存在しないところ秋斗らしいか。目を付けられてしまった亜蓮が災難としか言いようがないな。これに関しては。
「開花、僕も行きましょうか?」
隣で黒がそう聞いてくる。
「秋斗の判断で私たちだけで行けると判断したのであれば大丈夫だよ」
「そうですか」
身長が180代の黒もこの瞬間だけが少し小さく感じた。黒髪が目にかかり少し邪魔そうではあるがストレートの髪がよく似合っている。白は逆に真っ白の髪で少し癖のある髪をいつも後ろに結わいてる。身長は同じくらいだが顔は正反対だなと並ぶといとも思ってしまう。
「開花と二人にはここにある武器店に行ってきてほしい」
そう秋斗に言われ黒と白と一緒に車に乗り込み家を出る。

「秋斗」
リヤはそう秋斗を呼び止める。
「どうした?」
みんなはもう出て行ってしまっていない。リヤの部屋に二人きりで沈黙が続いた。
「西の虎はどうなった」
やっとのことで聞いたその質問を秋斗は「なんだ。その話か」と笑いこちらをちゃんと向いた。
「別に変わりないよ。ただ少し意見が嚙み合わなかっただけ」

「こんばんは」
いきなり車に強い衝撃があたり停止する。外から聞こえるこの声と関係が大ありだろう。
「なにか私たちに用でも?」
黒と白の対応する声が聞こえる。どこかの組か。それともただのチンピラか。開花は一瞬出た隠しきれなかった殺気をわずかながら感じた。
「黒、白、危ない!」
その言葉で二人は気が付き離れる。私も車の外にでてその殺気を出した男を探す。見える範囲にはいない。捨てられた街と言われるこの場所はあまり見通しがよくない。建物が多く荒れている。
「よそ見してんじゃねーよ」
振り下ろされた拳は私の目の前で止まり黒が蹴り飛ばす。白も他の処理をしてくれておかげで目的が分かった。秋斗からもらった地図を破り捨てる。
「要件は何?」
屋根の上で見ている男に声をかけると男は面白そうに口元を歪ませた。
「やはり、使えなかった」
そう呟くと銃を取り出し倒れている男たちを撃つ。部下じゃないのか…?
「なんで?」
「答える義務はない」
いいながら男は煙草に火をつける。スーツを身にまとった一人の男に私は勝てる気がしなかった。名前も知らないがこの人は何かがやばいと脳が訴えてきているのが分かる。重力などないかのように屋根から降りてきて男は紙袋を差し出す。
「例のもんだ。しっかり届けてくれよ。嬢ちゃん」
顔に煙が吐かれ男のサングラス越しに見える目が光っているのに気が付いた。黒と白が一歩前に出て銃を向ける。
「やめろ。二人とも。下ろすんだ」
そういうと二人は静かに従いながらも警戒し続けている。
「よく飼いならしているな。羨ましい限りだよ」
驚くほど低い声でそういうと笑って路地に消えて行ってしまった。今まで感じたことのない殺気。私には勝てない。今の実力では傷もつけられるだろうか…。秋斗はすべて把握していて私に行かせたのだろう。地図に書かれた行けば分かるの文字が浮かびもう見えない消えていった路地を照らす。
「帰ろう」
そう言って私は車に乗り込んだ。
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