死するべき華

愛優

文字の大きさ
上 下
10 / 19

拒否

しおりを挟む
「おはよう」
そう声をかけても彼女から返事が返ってくることはなかった。ただ何も言わずに机の上に広げられたルーズリーフを見ていて反応すらしない。
「亜紀ちゃんおはようー!」
「おはよう」
そう答えてる姿が私の目の前で繰り広げられた。なんで?どうして?そんな疑問とともに私は席に着いた。単純に彼女が私以外と話して笑っている姿が耐えられないかった。
「どうしたの?」
そう声をかけてきた舞ちゃんの目を見て私はやっと声を出した。
「何でもない」
本当は今にも泣きそうなくらいにつらかった。彼女に無視された理由。そんなん考えなくても簡単に分かった。
あぁ…。私の気持ちが友達以上なのだと察したのだ。気持ち悪いのいのだ。私という存在が。異色である私が怖いのだ。そんな気持ちを抱えたまま一日過ごした。舞ちゃんには、彼がいる。私より先に優先すべき彼氏がいる。だから相談なんてできなかった。絶対的な見方がいる人間にわかるはずなどないのだから。私はまた好きな人に拒否されたのだ。一人の信頼できるにんげんを失ったのだ。死んでしまいたい。彼女を知らない普通の人間に戻りたい。そんな感情が毎日頭の中で渦を巻いていた。私のことを一番に考えてくれる人間なんていないのだ。好きという感情がどれほど私の心をえぐるのか。すべてがいやになり怖くなった。学校に行けば彼女は笑ってほかの子と話しているのに私とは話してくれない。その現実が苦しいほどに目に見えて伝えられた。行きたくない。けど、行かないわけにはいかない。そんな毎日で私は限界を迎えた。私には抱きついてくれないに。私には笑ってくれないのに。私がかわいくないから?面白くないから?お願いだから教えてよ…
「ねぇ、いまどこにいるの?」
朝、学校の最寄り駅行きの電車に乗ったはずが外の景色は知らない景色だった。
「ごめんなさい」
そう返して電車を降りた。学校はとっくに始まっており先生や舞ちゃんからもメッセージが来ていた。私がこんなになるまで気づかなかったのに手遅れだよ。そんな理不尽な考えになる自分に嫌気がさした。
「どこで間違えたのかな」
泣かないように言いながら笑った。笑う努力はした。しんどいな。人間…。そう考えながら帰リ道へ足を向けた。彼女のいない道へと…。
しおりを挟む

処理中です...