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2.初めて選びたいと思ったのは、君だけだった
追憶 12/次なんてあるんですか?
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最初のカフェデート……だと俺は思っている……の日に、優花は言った。
「彼氏はいたことがないから、男性と二人でいる時のマナーがわからず……申し訳ないです」
と。
彼女は、申し訳ないと言った。
けれど、俺にとっては、それが嬉しかった。
初めての男が俺でありたいう欲望が熱を生み、身体中に広がった。
けれど……どうすれば彼女の初めての男になれるのかという、難題が同時に降りかかってきた。
これまで俺が関わってきた女性であれば、恋愛関係に関する何かしらのワードを自分たちから匂わせてきた。
「ねえ、彼女にするならどんなタイプ?」
「恋人とも、こんな風に過ごすの?」
などと、間接的に聞いてくるケースが多かった。
中には
「私が恋人になるって考えたことないの?」
などと、直接的に聞いてくる女性もいた。
しかし彼女については一向に、そういう匂わせはしてこない。
メッセージでのやり取りでも、すでに感じていたが……彼女は傾聴が上手い。
ただ頷くだけではない。
良いタイミングで頷いたり、欲しいと思う返答を返してくれる。
だからなのだろう。
彼女との会話は、とても気持ちが良い。
内容は、俺の好きな映画や本の話が中心。
自分が話やすい形で会話をさせてくれるから……というのが、気持ちよさの理由の1つだろう。
だけど、それだけではない。
優花の返答を聞くのがまた、とても心地よい。
ふわふわのクッションに包まれるかのように。
だから、もっと俺は話題を作ろうと頭を捻る。
そして彼女の声を聞きたいと、必死になる。
このキャッチボールを、もし許されるならずっと続けたいと思うほど、俺はこの時間を楽しんでいた。
だからこそ、俺は焦りもした。
彼女は、付き合った男はいないと謝った。
でも、好きな男がいないとは、言っていない。
その一方で……俺に対しての好意も、全く見えてこなかった。
彼女から嫌われていないのは、分かる。
嫌いな異性の話を、いくら彼女の性格が善良だからと言って、長時間聞き続けられるものだろうか?
少なくとも、俺が知っている女性たちは、その辺は容赦なかったと記憶している。
優花は、彼女自身の恋愛に関わる話はきっかけすら与えない。
そういう話題にならないように、上手に避けているのだと、数時間、話をし続けたことで、ようやく分かった。
まるで、彼女の心が、カーテンに覆われているかのようだった。
(何故、頑なに自分自身の恋愛の話を拒むだろう?)
その理由を知りたくて、ランチからディナーの時間まで会話を引き伸ばして探ったが、結局何も出てこず終わってしまった。
次に会う約束のきっかけすら、彼女からは引き出せなかった。
「それで、どうしましょうか?」
「どうしましょうか……とは?」
俺が決死の覚悟で次の話をした時、彼女はさも当たり前のように
「次なんてあるんですか?」
と言いたげな顔をした。
もし、この時無理やりにでも次に繋げる提案をしなければ、きっと彼女は自然と俺と連絡を取ることをやめてしまうかもしれない。
何故か、そんな予感がした。
だから考えた。
どうすれば、彼女との縁が切れないようにできるか。
そして覚悟した。
小さなきっかけの欠片が1つでもあれば……それを利用して、彼女に恋愛対象としてもらえるように仕向けようと。
そしてそのきっかけを手に入れることができたのは、思いの他……早かった。
「彼氏はいたことがないから、男性と二人でいる時のマナーがわからず……申し訳ないです」
と。
彼女は、申し訳ないと言った。
けれど、俺にとっては、それが嬉しかった。
初めての男が俺でありたいう欲望が熱を生み、身体中に広がった。
けれど……どうすれば彼女の初めての男になれるのかという、難題が同時に降りかかってきた。
これまで俺が関わってきた女性であれば、恋愛関係に関する何かしらのワードを自分たちから匂わせてきた。
「ねえ、彼女にするならどんなタイプ?」
「恋人とも、こんな風に過ごすの?」
などと、間接的に聞いてくるケースが多かった。
中には
「私が恋人になるって考えたことないの?」
などと、直接的に聞いてくる女性もいた。
しかし彼女については一向に、そういう匂わせはしてこない。
メッセージでのやり取りでも、すでに感じていたが……彼女は傾聴が上手い。
ただ頷くだけではない。
良いタイミングで頷いたり、欲しいと思う返答を返してくれる。
だからなのだろう。
彼女との会話は、とても気持ちが良い。
内容は、俺の好きな映画や本の話が中心。
自分が話やすい形で会話をさせてくれるから……というのが、気持ちよさの理由の1つだろう。
だけど、それだけではない。
優花の返答を聞くのがまた、とても心地よい。
ふわふわのクッションに包まれるかのように。
だから、もっと俺は話題を作ろうと頭を捻る。
そして彼女の声を聞きたいと、必死になる。
このキャッチボールを、もし許されるならずっと続けたいと思うほど、俺はこの時間を楽しんでいた。
だからこそ、俺は焦りもした。
彼女は、付き合った男はいないと謝った。
でも、好きな男がいないとは、言っていない。
その一方で……俺に対しての好意も、全く見えてこなかった。
彼女から嫌われていないのは、分かる。
嫌いな異性の話を、いくら彼女の性格が善良だからと言って、長時間聞き続けられるものだろうか?
少なくとも、俺が知っている女性たちは、その辺は容赦なかったと記憶している。
優花は、彼女自身の恋愛に関わる話はきっかけすら与えない。
そういう話題にならないように、上手に避けているのだと、数時間、話をし続けたことで、ようやく分かった。
まるで、彼女の心が、カーテンに覆われているかのようだった。
(何故、頑なに自分自身の恋愛の話を拒むだろう?)
その理由を知りたくて、ランチからディナーの時間まで会話を引き伸ばして探ったが、結局何も出てこず終わってしまった。
次に会う約束のきっかけすら、彼女からは引き出せなかった。
「それで、どうしましょうか?」
「どうしましょうか……とは?」
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もし、この時無理やりにでも次に繋げる提案をしなければ、きっと彼女は自然と俺と連絡を取ることをやめてしまうかもしれない。
何故か、そんな予感がした。
だから考えた。
どうすれば、彼女との縁が切れないようにできるか。
そして覚悟した。
小さなきっかけの欠片が1つでもあれば……それを利用して、彼女に恋愛対象としてもらえるように仕向けようと。
そしてそのきっかけを手に入れることができたのは、思いの他……早かった。
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