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Fight4 僕にはチャンス、くれないのか?

13.待ってたんだ!君から誘われるのを……

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息が掛かるほどの、至近距離。
それも。
真正面からこの顔を見るのは……初めてかもしれない。
が、今はそんな事をぼけっと考えている場合じゃない!

「加藤さん!ちょっと!どいてください……!」
「やだ」
「やだってなんですか!」

加藤さんが、何だか子供のように駄々をこね始めた。
もしかしなくても……。

「……もしかして……酔ってます?」
「酔ってない!」

いや、明らかに呂律が回ってない。

「加藤さんもお水飲みましょう……!」

私は、加藤さんがくれた蜂蜜レモン水のおかげか、だんだん酔いが覚めていた。
同じものを飲ませれば、今のありえない状況に気づいてくれるだろう……!
私は体をよじり、どうにか加藤さんの腕の中から出ようとするが

「どこに行くつもりだ」

体をがっしり固定される。

「水!取ってきますから!!」
「必要ない」
「必要大ありじゃないですか!正気じゃないですよ!」
「正気じゃないのは君の方だ」
「……はい?」
「そもそも、僕とはランチ行かないじゃないか」

待て。
今の今で、何故その話?

「ランチの約束って……もしかしてぽんぽこの日のこと言ってます!?」
「…………他に何があるんだ」
「あの時、ドタキャンしたのは加藤さんの方じゃないですか!急にトラブル対応が入ったからって!!」

そう。
結局あの後。
こっちが言われた通り、ちょっとオシャレでお高そうな、ランチができるレストランを見つけたので、クーポン付き予約サイトのURLを送ったと言うのに、肝心なお昼時になって

「急にクライアント対応入った、違う日にして」

と言ってドタキャンしてきたのだ。加藤さんの方が。
それなのに

「私が責められるのおかしくないですか!?」
「僕は違う日にしてと言った!それなのに、ちっとも動かなかったじゃないか。即断即決が仕事のコツだと教えただろう!?」
「これ仕事じゃない!それに何で私がセッティングしなきゃいけないんですか!そっちがキャンセルしたんだから、そっちがやればよかったじゃないですか!むしろドタキャンされたのはこっちですよ!」
「…………それは……っ!」

そう言うと、加藤さんは顔を真っ赤にした。
な……何だ……?
私は次の言葉を、息を飲みながら待った。

「…………てたんだ……」

……は?
今何と……?
小声すぎて、良く聞こえなかった。

「すみません、聞こえなかったのでもう1回いいですか……?」
「だから!待ってたんだ!君から誘われるのを……」
「…………は?」

はああああああ!!?
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