65 / 164
3.リーゼVSそれぞれ
お連れ様を少しお借りしてもよろしいでしょうか〜
しおりを挟む
時がきたのは、それからたった数分後のこと。
「………………何を…………しているんだ………………?」
「おかわりのお紅茶、持ってきてあげましたわよ」
リーゼが笑顔で「おいしいおいしい」とケーキを頬張っているのと対照的に、エドヴィン王子は頼んだ紅茶のおかわりを持ってきたウェイトレスを見て、ひどくげんなりした表情を浮かべた。
「あれ?今の声、アレクサンドラ様ですか?」
「リーゼ嬢、すまない、実は」
「いいえー私はーただのーウェイトレスですわー」
「っ!?」
アレクサンドラは、鼻をつまみ、普段は絶対出さないような電波声で返答した。
とはいえ、リーゼは推しをこよなく愛し、常に研究をし尽くしているような人間だ。
じーっと、リーゼはウェイトレス姿をしたアレクサンドラを、目を細めて頑張って認識しようとしていた。
アレクサンドラはその間、呼吸を止めながら、リーゼが離れるのを待った。
リーゼは、くんっと匂いを嗅ぎながら
「アレクサンドラ様がおつけになっている香水とは、違う……?」
とぶつぶつ、アレクサンドラと目の前のウェイトレスとの違いを呟いた。
「最初お声は似ていらしたけど……でもその後聞いたオウムのような変なお声は、アレクサンドラ様の神々しい声帯から出せるはずもないし」
リーゼがここまで言ったところで、エドヴィン王子は我慢できなくて吹き出した。
もちろん、アレクサンドラはエドヴィン王子には非常に厳しいので、そんな様子を見逃すはずもなく。
「お嬢様~大変申し訳ないのですが~お連れ様を少しお借りしてもよろしいでしょうか~」
リーゼ曰く、アレクサンドラの声帯は出さないようなオウム声を出しながら、アレクサンドラはエドヴィン王子の首根っこを捕まえた。
「あ、は、はい……?」
「り、リーゼ嬢すまない!ここで待っていて欲しい……!」
「は、はぁ……」
困惑するリーゼに謝りながら、エドヴィン王子は無惨にもずるずるとアレクサンドラに裏まで引き摺られた。
その一連の流れを遠くから見ていたニーナは、吹き出すのを堪えるのがやっとで、呼吸困難になりかけたとか。
「………………何を…………しているんだ………………?」
「おかわりのお紅茶、持ってきてあげましたわよ」
リーゼが笑顔で「おいしいおいしい」とケーキを頬張っているのと対照的に、エドヴィン王子は頼んだ紅茶のおかわりを持ってきたウェイトレスを見て、ひどくげんなりした表情を浮かべた。
「あれ?今の声、アレクサンドラ様ですか?」
「リーゼ嬢、すまない、実は」
「いいえー私はーただのーウェイトレスですわー」
「っ!?」
アレクサンドラは、鼻をつまみ、普段は絶対出さないような電波声で返答した。
とはいえ、リーゼは推しをこよなく愛し、常に研究をし尽くしているような人間だ。
じーっと、リーゼはウェイトレス姿をしたアレクサンドラを、目を細めて頑張って認識しようとしていた。
アレクサンドラはその間、呼吸を止めながら、リーゼが離れるのを待った。
リーゼは、くんっと匂いを嗅ぎながら
「アレクサンドラ様がおつけになっている香水とは、違う……?」
とぶつぶつ、アレクサンドラと目の前のウェイトレスとの違いを呟いた。
「最初お声は似ていらしたけど……でもその後聞いたオウムのような変なお声は、アレクサンドラ様の神々しい声帯から出せるはずもないし」
リーゼがここまで言ったところで、エドヴィン王子は我慢できなくて吹き出した。
もちろん、アレクサンドラはエドヴィン王子には非常に厳しいので、そんな様子を見逃すはずもなく。
「お嬢様~大変申し訳ないのですが~お連れ様を少しお借りしてもよろしいでしょうか~」
リーゼ曰く、アレクサンドラの声帯は出さないようなオウム声を出しながら、アレクサンドラはエドヴィン王子の首根っこを捕まえた。
「あ、は、はい……?」
「り、リーゼ嬢すまない!ここで待っていて欲しい……!」
「は、はぁ……」
困惑するリーゼに謝りながら、エドヴィン王子は無惨にもずるずるとアレクサンドラに裏まで引き摺られた。
その一連の流れを遠くから見ていたニーナは、吹き出すのを堪えるのがやっとで、呼吸困難になりかけたとか。
0
あなたにおすすめの小説
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
【完結】初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
藍生蕗
恋愛
子供の頃、一目惚れした相手から素気無い態度で振られてしまったリエラは、異性に好意を寄せる自信を無くしてしまっていた。
しかし貴族令嬢として十八歳は適齢期。
いつまでも家でくすぶっている妹へと、兄が持ち込んだお見合いに応じる事にした。しかしその相手には既に非公式ながらも恋人がいたようで、リエラは衆目の場で醜聞に巻き込まれてしまう。
※ 本編は4万字くらいのお話です
※ 他のサイトでも公開してます
※ 女性の立場が弱い世界観です。苦手な方はご注意下さい。
※ ご都合主義
※ 性格の悪い腹黒王子が出ます(不快注意!)
※ 6/19 HOTランキング7位! 10位以内初めてなので嬉しいです、ありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。
→同日2位! 書いてて良かった! ありがとうございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
年増令嬢と記憶喪失
くきの助
恋愛
「お前みたいな年増に迫られても気持ち悪いだけなんだよ!」
そう言って思い切りローズを突き飛ばしてきたのは今日夫となったばかりのエリックである。
ちなみにベッドに座っていただけで迫ってはいない。
「吐き気がする!」と言いながら自室の扉を音を立てて開けて出ていった。
年増か……仕方がない……。
なぜなら彼は5才も年下。加えて付き合いの長い年下の恋人がいるのだから。
次の日事故で頭を強く打ち記憶が混濁したのを記憶喪失と間違われた。
なんとか誤解と言おうとするも、今までとは違う彼の態度になかなか言い出せず……
【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
【完結】無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない
ベル
恋愛
旦那様とは政略結婚。
公爵家の次期当主であった旦那様と、領地の経営が悪化し、没落寸前の伯爵令嬢だった私。
旦那様と結婚したおかげで私の家は安定し、今では昔よりも裕福な暮らしができるようになりました。
そんな私は旦那様に感謝しています。
無口で何を考えているか分かりにくい方ですが、とてもお優しい方なのです。
そんな二人の日常を書いてみました。
お読みいただき本当にありがとうございますm(_ _)m
無事完結しました!
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!
たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。
なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!!
幸せすぎる~~~♡
たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!!
※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。
※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。
短めのお話なので毎日更新
※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。
※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。
《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》
※他サイト様にも公開始めました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる