幼馴染でマジカルなアレが固くなる

余るガム

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第一章 幼年編

魔性の女は何度笑う?(なじみ視点)

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 ビグン、と体が跳ねる。
 『イク』というやつだ。ケーくんに教えてもらった、とってもとっても気持ちいいこと。いけないこと。

 私がイクのをみて、ケーくんが寝ちゃった。
 気持ちよくって仕方がないけど、ケーくんを起こしてまでイクことがしたいわけじゃない。

 ケーくんに嫌われたら、死んでしまう。

 ケーくんに迷惑かけないように、ケーくんにいい子だって思ってもらえるように。
 だって、あんな気持ちいいこと教えられたら大好きになってしまう。

 私から言わないとケーくんはチューしてくれない。
 ケーくんから言うときは、私から言い出せない時ばかりだ。

 寝ているところにいきなりチューされたときはびっくりしたけど、もっと嬉しかった。
 だって、チューは好きな人としかしちゃいけない。それでケーくんが私にしてくれたのなら、それはケーくんが私のこと好きっていうことだ。

 うるさい私を黙らせるためじゃなくて、チューしたくてチューしてるんだ。
 それが分かって凄くうれしかった。

 ケーくんの顔を見る。
 寝ている顔を見るのは初めてだ。ケーくんはいつも私より後に寝て、先に起きてる。それでずっとそばにいてくれる。
 それがわかるだけで凄く幸せだ。

 そうだ、まどかにも見せてあげよう。
 まどかはケーくんに憧れてたし、きっと嬉しいはずだ。

 ケーくんにくっつけた腕と足をゆっくりと離す。
 寂しい、同じ布団の中なのに、ずっと遠くにいるみたい。これで布団の外になんて出たら、どうなってしまうんだろう。

 でもだめ、まどかにも見せてあげなきゃ。
 おねーちゃんだもん、独り占めはだめだよね。

 決死の思い、という感じで布団から出て、部屋からもでる。
 寂しいけど、我慢できる。

 我慢できないと、嫌われるかもしれないんだ。
 がんばんなくちゃ。

 まどかの部屋は私の部屋の斜め向かい側。
 夜の廊下は薄暗くて少しこわい。

 ヒタヒタという足音に驚いたら、それが自分のものだと気付いて変な気分。

 まどかの部屋の扉を開けて、中を見る。
 私の部屋と同じ間取りの部屋で、ベッドの場所も同じだからすぐわかった。
 まどかはスヤスヤと寝ている様だ。チューの気持ちよさを知らない良い子は寝る時間だもんね。

 まどかを起こそうとゆっくり忍び寄って、声をかけて揺さぶる。

「まどか、まどか」

 起きない。
 じゃあしょうがない。

「おにいちゃん」
「ひゅい!?」

 起きた。
 というかこれで起きるのか。

「あれ、おねーちゃん? どうして私の部屋に?」
「ケーくんが寝ちゃったから、ケーくんの寝顔一緒に見に行こ?」
「ホント!? 見たいみたい」

 むふー、やっぱりまどかもケーくんの寝顔を見たいのだ。
 それがわかるなんてやっぱりおねーちゃんだ。
 むふー。

 私たちは移動してゆっくりと私の部屋に戻る。
 ケーくんを起こさないように、慎重にドアを開ける。

 ケーくんは寝ている。

「うわーほんとに寝てる。絶対寝顔なんて見せないって感じなのに」
「油断しきってるよね、安心しきってるよね」
「安心院だけにね」

 うわうわと言いながらケーくんの寝顔を観察する。
 やっぱりまどかを連れてきてよかった。

 けどこのままではテンションが上がりすぎてケーくんを起こしてしまいそうだ。
 いったんまどかの部屋に戻る。

 私たちはケーくんに聞こえないよう、まどかの布団に入ってお話する。

「すごかったねー」
「カッコよかったねー」
「おにいちゃんってかんじだよねー」
「ひゅい!?」
「あー、やっぱりまどかケーくんのことおにいちゃんって呼びたいんでしょ」
「そんにゃことにゃいみょん!」
「まどか猫だー」

 そんなことを話していたら、いつの間にか眠っていた。



 お母さんは意地悪だ。
 私が起きてくるまでケーくんのこと引き止めてくれてもいいのに。
 というかお母さんは全体的にケーくんに冷たい気がする。

 結局土日はケーくんに全然会えなかった。
 月曜日は学校だけど、クラスも登校班も違うから帰る時ぐらいしか会えない。
 寂しい。



 やっと下校時間だ。
 授業中も休み時間もずっとイライラしていて、友達にも心配されてしまったけど、それもケーくんに会えれば全部終わる。

 おや?

 私の下駄箱に何か入ってる。
 手紙だ。封筒に入った手紙。よくあるラブレターというやつだろう。

 きっとケーくんが私に出したに違いない。
 だってケーくんも私のことが大好きなのだ。早く会いたくてしょうがなかったんだ。だから呼び出したんだ。
 もしかして、『好き』なんて面と向かって言われちゃうのだろうか。もう何回か言われてるけど、ケーくんに言われるなら何度言われてもうれしいしドキドキする。
 そのまま恋人になっちゃったりするんだろうか。

 えーと、『西棟2階のトイレの前』だね。

 わざわざあんな遠いところに呼び出すなんて。
 こういう時は・・・『味なマネしやがる』っていうのかな?
 国語の教師か! おめーはよぉー!



「蝶ヶ崎さん、好きです、付き合ってください!」

 別人でした。

「えっと、ごめんなさい。私他に好きな人が居るので」
「そっそうですか・・・」

 トボトボと歩いていく男子だが。

 あれ誰?

 いや、本当に誰?
 うちのクラスの人?
 見たことないよ?

 どうやらあのラブレターを出したのはケーくんではなかったらしい。
 よくよく考えてみれば、ケーくんはそんな回りくどいことする必要がない。直接言えばすぐOKを出して終わりなのだから。

 酷い勘違いであった。
 私もトボトボと下駄箱に戻る。

 ケーくんはその内ここを通るはずだ。
 待っていればそのうち会える。



 30分ほどたった。

 ケーくんが来ない。
 まさかもう帰った?
 確かに結構時間かかったし、もう帰ってもおかしくないのかもしれない。
 でも私は会いたくてしょうがない。ここで待ってれば少しでも望みはある。
 このまま帰れば今日はもうケーくんに会えないだろう。絶対に嫌だ。少なくとも今日だけは会いたい。ケーくん成分が不足しているのだ。ケーくん依存症だ。責任取ってもらわなきゃ。

 なんて考えてるうちに、待望の背中が見えてきた。

「ケーくん!」
「え?」

 私は走り寄って話しかける。

「おそーい! 私がどれだけ待ってると思ってたの!?」
「え? ああ、ごめん・・・」

 全く、こんなに焦らすなんてケーくんは罪な男子だ。
 本当に、どれだけ待ったと思っているんだ。

「あれ? ケーくんランドセルは?」
「ああ、教室に・・・」
「もー! 待っててあげるからさっさと取りに行きなさい!」
「え、ああ・・・」
「早く!」

 そうしてくれないと、一緒に帰れない。
 一緒に取りに行ってもいいけど、そうしたら絶対ゆっくり歩いて早く帰れない。
 どうせ帰り道でゆっくり歩くんだから、少しでも早く行動しないとお母さんに怒られてしまう。

「なじみ!」
「なーに?」
「えっと、この前はごめん」

 いきなり話しかけてくれたのは良いけど、いったい何を言ってるんだろう。

「この前って?」
「金曜日に、泊まった時」
「あの時がどうしたの?」

 あの時について謝るなら、むしろ私の方だと思う。勝手にケーくんの寝ている顔をまどかと一緒に見たんだから。

「俺は、なじみを、なじみに、あんなことを・・・」

 ケーくんが何を言いたいのか、結局わかんないけれど。

「ケーくん」
「なじみ」

 ケーくんが、とってもおびえた顔をしてたから。

「ケーくん、なに? ケーくんの言いたいこと言っていいんだよ? 私はずっとケーくんの味方だよ?」

 本当に今更な事を言った。

 その後は、ケーくんがマシンガンみたいにたくさんしゃべった。
 ケーくんは本当に色々考えてる。それが全部私のためだってわかって嬉しくてしょうがない。

「ケーくん」

 でも、ちょっと意地悪したくなって。

「許さない」

 そんなこと言ってしまった。
 ケーくんの顔がさっと青くなって、本当に怖がらせてしまったのだと後悔する。

「だから罰として」

 罰なんて言い訳だ。
 本当は私がそうして欲しいだけなのに。

 ぐいと持ち上げたケーくんが泣いてたから、思わず涙を舐めとってしまった。

「ずっと私の傍にいること!」

 でも、これくらいいいよね?
 ずっと、待たされたんだからさ。
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