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第二話:霊 猫夜と犬飼
お宅様方はいったい……
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「それでねえ、頭のいいあたしたちは気づいたわけ。生きてる人間は欲で動く。欲にまみれて生きすぎると、人は人を殺すってね。殺された人は幽霊になるのよ。それで、殺したやつに取り付くか、今生を忘れたい一心で逃げるように上に逝くの」
昭子が侍の言葉を引き取り、指で上を指し『あの世』を示した。侍同様に目をギラつかせて猫夜と犬飼をじいっと見る。
猫夜と犬飼は顔を見合わせ、唾を飲んだ、猫夜の耳が後ろに倒れている。犬飼の尻尾は腹にぺったりとつけて隠れていた。
「そこでだ、俺たちはこの幽霊を相手にこの世を楽しもうと考えたわけさ。まず俺がその辺をふらふらして、おまえらみたいな恨み辛みを纏ってどうにもならない幽霊を捕まえる。そして、お前らの恨みを晴らさせてやる代わりにお前えらに起こったことを話してもらう。ようは死に様だ。それが酒の肴にもってこいなんだよ。これは前にも言ったろ? 話ってもんは最高の肴でな。その約束ができたら取引完了だ。殺した奴が死ぬ時期にお前らが現れるように細工し、復讐の機会を与えてやる。でもだ、俺一人じゃそれはできねえ。しかしこの二人がいたら可能なんだよ。そういうことだ。わかったか?」
侍がメロンソーダのグラスをまるでワイングラスのように手の内で回している。
犬飼は何かしゃべらないと己の身になにか怖いことが起こりそうな気がして、口を開こうとしたところで猫夜にその開いた口をパンチされる。
「はあ、なるほど。お三人方があたしらの無念を晴らすお手伝いをしてくださるということですね」
猫夜が喉の奥でうにゃんと唸った。
「長年この地に住み着いているとうことは、みなさま方はよもや幽霊ではなく、もしやあの影の内に潜むという」
「妖怪って言いたいのかい?」
猫夜の疑問を素早く引き取って太郎が先に答える。相手がどう出るのかを楽しんでいるのが見え見えだった。
「違うんですか? あたしの母猫が昔あたしに教えてくれたことがあります。この世には猫又という猫の妖怪がいる。猫又は猫の大妖だ。我々を守ってくれる存在だ。妖怪というのは神出鬼没なものだ。いつどこで会うかわからない。妖怪は昔からこの地にいる地の神だ。その時々に姿を変え、人の世に混ざり、人の生を楽しんでいる。出会ったら幸運。何を言われても何をやられても神様には絶対に逆らうな。そうすればおまえをきっと助けてくれるよ。と。だから、よもやあなた方はきっと」
「さあな、どうだろうなあ。しかし、なかなか面白いことを言う」
含むように笑った三人を見て、猫夜は理解したとばかりに大きく頷くが、犬飼は眉間あたりに皺を寄せたまま頭を傾けていた。
そんな犬飼を猫夜はこバカにしたように黄色い目を糸のように細めて睨んでいた。
昭子と侍が後ろで、あたしらは神様だってよ。この前は守り神とか言われたねえ、そうだ、これからは神と名乗ろう。あたしらはたぶん神だね。そうだと思ってましたよ。やっぱりねえ。神か。これはおもしろい。などと、嬉しそうな声で有る事無い事言い合っていた。
「よし、じゃあ、そんなところで、神の話はおしまいにして、そろそろ行くぜ」
神に興味のない太郎は、己のこれからの楽しみを想像し、やはりギラつく視線を犬飼と猫夜に向けたのであった。
昭子が侍の言葉を引き取り、指で上を指し『あの世』を示した。侍同様に目をギラつかせて猫夜と犬飼をじいっと見る。
猫夜と犬飼は顔を見合わせ、唾を飲んだ、猫夜の耳が後ろに倒れている。犬飼の尻尾は腹にぺったりとつけて隠れていた。
「そこでだ、俺たちはこの幽霊を相手にこの世を楽しもうと考えたわけさ。まず俺がその辺をふらふらして、おまえらみたいな恨み辛みを纏ってどうにもならない幽霊を捕まえる。そして、お前らの恨みを晴らさせてやる代わりにお前えらに起こったことを話してもらう。ようは死に様だ。それが酒の肴にもってこいなんだよ。これは前にも言ったろ? 話ってもんは最高の肴でな。その約束ができたら取引完了だ。殺した奴が死ぬ時期にお前らが現れるように細工し、復讐の機会を与えてやる。でもだ、俺一人じゃそれはできねえ。しかしこの二人がいたら可能なんだよ。そういうことだ。わかったか?」
侍がメロンソーダのグラスをまるでワイングラスのように手の内で回している。
犬飼は何かしゃべらないと己の身になにか怖いことが起こりそうな気がして、口を開こうとしたところで猫夜にその開いた口をパンチされる。
「はあ、なるほど。お三人方があたしらの無念を晴らすお手伝いをしてくださるということですね」
猫夜が喉の奥でうにゃんと唸った。
「長年この地に住み着いているとうことは、みなさま方はよもや幽霊ではなく、もしやあの影の内に潜むという」
「妖怪って言いたいのかい?」
猫夜の疑問を素早く引き取って太郎が先に答える。相手がどう出るのかを楽しんでいるのが見え見えだった。
「違うんですか? あたしの母猫が昔あたしに教えてくれたことがあります。この世には猫又という猫の妖怪がいる。猫又は猫の大妖だ。我々を守ってくれる存在だ。妖怪というのは神出鬼没なものだ。いつどこで会うかわからない。妖怪は昔からこの地にいる地の神だ。その時々に姿を変え、人の世に混ざり、人の生を楽しんでいる。出会ったら幸運。何を言われても何をやられても神様には絶対に逆らうな。そうすればおまえをきっと助けてくれるよ。と。だから、よもやあなた方はきっと」
「さあな、どうだろうなあ。しかし、なかなか面白いことを言う」
含むように笑った三人を見て、猫夜は理解したとばかりに大きく頷くが、犬飼は眉間あたりに皺を寄せたまま頭を傾けていた。
そんな犬飼を猫夜はこバカにしたように黄色い目を糸のように細めて睨んでいた。
昭子と侍が後ろで、あたしらは神様だってよ。この前は守り神とか言われたねえ、そうだ、これからは神と名乗ろう。あたしらはたぶん神だね。そうだと思ってましたよ。やっぱりねえ。神か。これはおもしろい。などと、嬉しそうな声で有る事無い事言い合っていた。
「よし、じゃあ、そんなところで、神の話はおしまいにして、そろそろ行くぜ」
神に興味のない太郎は、己のこれからの楽しみを想像し、やはりギラつく視線を犬飼と猫夜に向けたのであった。
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