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カースト最下位落ちの男と生徒会長。
04※
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たった数十秒、それでも俺にとっては遥かに長い時間のように感じた。
沈黙が辺りに流れる。このまま蹴り飛ばされようが、はたまた無視されようが仕方ないとわかっていた。そうなれば、足にまたしがみつくだけだ。
けれど、
「……顔を上げろ」
頭上から落ちてきた九重の声にはっとする。
釣られて顔をあげれば、そのまま九重に腕を掴まれるのだ。「立て」と九重に強い力で引っ張られ、ぎょっとする。
「っ、ぁ、……」
「ここでは目立つ。……ついてこい」
――どういうことなのか。もしかして、九重が俺の話を聞いてくれようとしているということなのか。
まだ九重の真意は分からない。糠喜びだけはするな、と自分に言い聞かせながらも俺は先を歩いていく九重の後を追いかけた。
九重に連れられてやってきたのは生徒指導室だった。
俺を生徒指導室に押し込めた九重はそのまま内鍵を閉める。そして、「そこに座れ」と指導室の中央に置かれた椅子を軽く蹴る。
まだ、なにをされるか分からない。見えてこない九重の真意を探りつつも、俺は九重の言葉に従った。そうすることしかできなかったのだ。
椅子に腰をかければ、対面の椅子にやつが腰をかけた。九重は「それで」と机に肘をついたままこちらに視線を向けてくる。
「一番ケ瀬に手を出すなと言ってたな」
「……はい」
「元はと言えばお前が四軍としての役目を放棄したから、一番ケ瀬のやつに助けを求めたからこうなったということは理解できているか」
「わ、……かってます」
何故こうもこの男はいちいち人に威圧感を与えてくるような話し方をするのだろうか。
押し潰されるような、心臓ごと握られるような息苦しさの中、言葉を絞りだす。九重はただじっとそんな俺を見ていた。
「それで、どうするつもりだ」
「……っ」
「一番ケ瀬のやつは説得でなんとかできるほど物分りのいい男じゃないぞ」
言葉は口だけでなんとかなる段ではない、と暗に言われているようだった。
考える。必死に脳を回転させ、どうすればこの最悪の状況を乗り切れるかを考えた。けれど、痛みと動揺で低下した思考力ではなにも浮かばない。
それは、と口籠ったままなにも言えなくなる俺に痺れを切らしたようだ。九重は小さく息を吐く。
「立て」
突然の九重の言葉に、え、と凍りつく。思わず顔を上げれば、こちらを見ていた九重と目が合った。
視線がぶつかれば、「こっちへ来い」と九重は顎でしゃくるのだ。
「……っ、は、い」
一番ケ瀬のこともある、断ることなどできなかった。今はこの男の機嫌を損ねないことが最優先事項だろう。恐る恐る近づけば、そのまま胸ぐらごとネクタイを掴まれた。
「っ、……ッ!」
「……誠意を見せろ、四軍」
「せ、いいって……」
「お前のその口はなんのために付いてる?」
まさか、と頭の奥がぢり、と熱くなる。
「しゃぶれ」
なにを、などと聞かずとも理解してしまった。
屈辱のあまり、顔が焼けるように熱くなった。
なんで俺が、と喉元まで出かけた言葉を飲み込んだ。
「……っ、はい」
これは恐らく、最後のチャンスだろう。
ここで上手く立ち回れば、一番ケ瀬のことを許してもらう。その結果俺の立場がどうなろうが、知ったことではない。なんなら今より悪くなることは早々ないだろうと思えるほど、既に今更な話ではあったからだ。
九重の足元に座り込み、そのまま膝を掴んだままやつの足の間に割って入る。
少なからず俺はこの男にこういう趣味があるとは思わなかった。そんなことを言えば八雲もそうだが、九重には何故か潔癖な印象があったから、余計。
勃起すらしていない性器を勃起させるところから始まる地獄のような時間だった。
試しているのだろう、この男は。1ミリも俺に性的興奮を覚えることもないくせに、こうして無茶振りをして試している。俺がどこまでできるのかを見定めてるのだ。
「……っ、」
スラックスの上から性器に触れるが反応しない。こういうときどうしたらいいのかなど俺には分からない。
ベルトを緩める九重。現れた下着に息を飲み、俺は半ばやけくそになりながら下腹部に手を伸ばす。
取り出した性器は萎えた状態空でも分かるほどの大きさで、それだけで酷く自分が惨めになる。唾液を絡めるようにとろりと性器に垂らし、そのまま恐る恐る手を伸ばす。
そしてそのままぬちぬちと手を動かせば、自分でその感触に声が漏れそうになった。対する九重はと言うと眉を動かすことすらしない。
「……っ、ぅ……」
「随分と不慣れのようだが、一番ケ瀬とはしなかったのか」
突然問いかけられ、思わず手が止まりそうになる。
一度もしなかったわけではない。けれど、あいつは俺が嫌だといえば無理強いするようなことはしてこなかった。――他のやつらと違って。
「……あまり、してません」
「何故だ」
「何故って……ぉ、俺が……嫌だって言ってたから」
「一番ケ瀬のことが好きなんだろう、あいつ以外に抱かれたくないわけじゃないのか?」
それは純粋な疑問のようだった。
何故そんな恋愛話をこんな糞のような状況でしなければならないのかと思ったが、会長様の問を無視することもできなかった。
「……あいつに抱かれることも、嫌だったので」
そう口にしたとき、自分でしまったと思った。
これから四軍として全うすると言ってしまった手前、性行為が耐えられないと初っ端からぶちまけていでは台無しだ。
慌てて撤回しようとしたが、九重は変わらない。それどころか、何かを考えているようだ。
先程から必死に撫でていたそこが僅かに芯を持ち始めるのを感じ、少し胸の奥がざわついた。
「何故嫌だと思うんだ」
「そ、れは」
「まずは、その性根を叩き直す必要がありそうだな」
びく、と体が震える。手の中でどんどんと固くなる竿に息を飲んだ。
「口を使え」と九重に後頭部を掴まれ、そのまま腰に顔を押し付けるように抱き寄せられるのだ。頬の上を滑る性器にぎょっとするのも束の間、そのまま九重の性器が唇に触れる。「舐めろ」と言われるがまま舌を出し、ぎこちなく竿から亀頭まで舌を這わせた。
「……っ、ふ、ぅ……」
ぴちゃぴちゃと口の中で音が響く度に恥ずかしさと情けなさで頭がいっぱいになりそうだった。
微塵も気持ち良さそうな顔をしない男の股座に顔を突っ込み、頭を擡げたそこに必死に舌を這わせる。
それでも一応は反応しているようだが、少なからず俺の技巧は関係ないような気がしてならない。
それにしても、こんなところで八雲にフェラさせられたときの経験が活かせることになるとは思いもしなかった。
「っ、は、んむ」
「……」
「……っ、ん、ぅ……ッ」
どくどくと脈打つ血管。舌の上でそれが反応するのを感じながら、俺は顔の上に乗る性器に舌を這わせる。
酷く長い時間のように思えた。会話も途切れ、指導室に響くのは嫌らしい水音だ。
腰を突き出し、犬のようにやつの下半身にしゃぶりつく自分の姿を客観視することなどできなかった。
そんな地獄のような時間をかけながらも、九重のものは確かに大きくなっていく。舌伝えに伝わってくる脈拍の間隔が短いのがわかり、もうそろそろ射精が近いかもしれないと思った矢先、九重は俺の頭を掴んで俺の口から性器を抜いたのだ。
「っ、ん、え」
どうしてやめるのだ、と驚いていたときだ。こちらを見下ろしていた九重は「立て」と低く口にする。
困惑しながらも言われるがまま立ち上がったとき、九重の手が俺の腰に触れる。
「そのまま自分で脱げ、下着もだ」
「……っ、それって」
「返事は」
一番ケ瀬がどうなってもいいのか、と暗に言われているようだった。腰のラインを撫でるようにそのまま臀部を掴まれれば、スラックス越しに尻に食い込む指に息が止まりそうになる。
俺にはもう、従う以外の選択肢は残されていなかった。
九重に命じられるがまま、やつの目の前で下半身に身に着けていたものを脱いだ。足元に落ちるスラックス。下着までもを完全に脱ぐのは心許なくて、俺は身につけたまま僅かにずらし、そのまま九重に背中を向けるのだ。
「ぬ、ぎました」
そう九重に見えるように制服のシャツの裾を軽く持ち上げたとき、九重の硬い指先が下半身に触れる。
そのまま柔らかく尻肉を掴まれ、背筋がびくりと震えた。
「今朝の男には犯されたのか」
「……っ、」
「ここに挿れられたかどうかを聞いている」
ここ、と肛門を指で押し広げられ、顔面に熱が集まった。
「いえ」と震える声で応えれば、「そうか」と九重はさして興味なさそうにそのまま人差し指をねじ込んでくるのだ。
「ぁ……っ?!」
「なに腰を引いてる。そこに手をついて、もっと腰を付き出すんだ」
「っ、ん、ぅ……ッ、は、い……」
顔が焼けるように熱くなる。それでも奥歯をぐっと噛み締め、こみ上げてくる羞恥諸々を堪えながら俺は腰を突き出した。
二本目の九重の指が入ってきて、問答無用で中を柔らかく揉みほぐしてくる指先に背筋が震えた。
腹の中で二本の指が擦れる度に声が漏れそうになるのを、寸でのところで唇を噛んで堪える。
「っふ、……ッ、ぅ゛……ッ」
「これからここは、いつでも男のものを咥えられるように準備しておけ。道具なら後で用意させておく」
「っ、な……ッ、ん……ッ」
「当たり前だろ? お前は四軍だ。……全校生徒の掃き溜めになるための存在だ。これくらいのこと、マナーとして心得ておけ」
いいな、と前立腺を押し上げられた瞬間、腰がぶるりと震える。逃げることもできなかった。九重の腕に腰を捉えられたまま、えぐるように中を乱暴に掻き回される。
それなのに的確に弱いところを責め立ててくる九重に、痛みや苦痛以上の快感に脳が支配されそうになるのだ。
「返事が聞こえないようだが?」
「っ、は、……ッ、は、い……ぅ゛……ッ! あ、ゃ……ッ!」
「……まあいい、お前には口先だけではないことをこれから直々に確かめてやる」
どういう意味だ。
熱で浮かされたぼんやりとした頭の中、イきそうになった直前に引き抜かれる指に朦朧としたまま振り返ろうとしたときだ。ぱっくりと開いた口に、指の代わりにそれよりももっと熱く、太いものを押し当てられる。
「……ッ、ぁ、あ」
嘘だろ、と驚く暇もなかった。俺が腰を引くよりも先に、九重は俺の腰を掴み、そのまま奥深くまで性器をねじ込んできたのだ。
肛門から脳天まで穿かれるような衝撃が走る。
「ぉ゛ッ、ぐ……――ッ!」
想像していたよりも何倍もあるその質量に、脳細胞が焼き切れそうだった。限界を越え、括約筋を引き伸ばして中へと挿入される亀頭に粘膜を摩擦される度に開いた喉から呻き声が漏れた。
腹の中が熱い、どうにかなりそうだった。
「……っ、ふ……狭いな」
「っ、ん゛、う゛……ッ!!」
指導室のテーブルにしがみつき、背後から覆いかぶさってくる男の性器を強制的に受け入れさせられる。
拒めるものなら拒みたい。けれどそれは許されない。必死に声を殺し、負担がかからないように鼻から息を抜こうとしするが、エラ張った亀頭で前立腺を引っかかれるだけで下腹部が痙攣する。
逃げようとする俺の腰を掻き抱いたまま、九重は更に一気に腰を打ち付けてきたのだ。
「……っ、待ッ、ぅ゛……ひィ……ッ!」
「……っ、これくらいで弱音を吐いてどうする、この先何本もここに咥えさせられることになるってのに」
「っ、ひ、ぐ」
「……っ、逃げるな」
十鳥、と耳元で名前を呼ばれ、背中に感じる九重の熱に火傷しそうになっていた。
ぱんぱんに詰まった腹の中、無理矢理こじ開けるように腰を動かされればそれだけで意識は飛びそうになる。
「っ、ぁ゛……ッ?! ぁ、か、いちょ……ッ、ぉ゛……ッ!」
「受け入れろ……っ、十鳥、これくらいでいちいち泣くな。この先どうする?」
「っ、ふ、ぅ゛……ッ、ぐ、ひ……ッ!」
無茶いうな、クソモラハラ男。
言ってやりたいのに、喉先まで出てるのに、堪えるしか俺には道はないのだ。
がっちりと腰を掴まれ、そのまま内壁全体を性器で摩擦するように中の粘膜を擦り上げられる。削り取るようなピストンに声を抑えるのが精一杯だった。乱暴で性急な抽挿に耐え切れず、ガクガクと痙攣する下半身。それを更に抱き止められたまま、俺は九重に犯された。
「っ、は、ぅ゛……ッ! ぐ、……ッ!!」
「は、……っ、そうだ、受け入れろ」
「う、く……ッ、ぅ゛……ッ」
「お前の肛門は男に犯されるためのものだと俺が叩き込んでやる」
ふざけるな、と滲む視界の中。笑う九重に腰を撫でられ、ひくりと下半身が震えた。みっちりと性器を飲み込んだ腹を圧迫されたまま、少し腰を突き動かされただけで前立腺が刺激され、拍子に頭の中でどろりとした白い光が弾けた。
そして呑まれる。
「っ、ぅ、ぐ……ッ、ひ……ッ!」
こんなの、気持ちいいわけがない。クソみたいな行為だ。
頭では分かっているはずなのに、亀頭と裏筋で乱暴に前立腺を引っ掛けられ、ねっとりと何度も腰を打ち付け、ただでさえ犯され続けて過敏になっていた体は与え続けられる刺激に打ち勝つほどの力も根気も残されていなかった。
びくん、とテーブルの上で跳ね上がった体はそのまま床に向かって射精する。どぷ、と音を立てて水溜りを作る下半身。びくびくと痙攣の収まらない下腹部を撫で、九重は更に腰を打ち付けるのだ。
「ッ、ひ」
「嫌だ嫌だと言っていたが、やつの言うとおり適正はあるみたいだな……ッ」
「は、……ッ、な、ぅ゛!」
違う、そんなものはない。そう否定したかったのに、背後から伸びてきた手に胸を揉まれ、乳首をぎゅっと摘みあげられればその言葉は途切れてしまうのだ。
奥を突き上げられながら胸の先っぽをいじられれば、神経がバグを起こしたみたいに二つの性感帯の感覚神経が繋がっているようだ。胸をイジられる度に前立腺に甘い刺激が広がり、次第に呼吸が浅くなる。
「っ、や、……っふ、ぅ゛」
胸はやめてくれ、と机にしがみついて隠そうとしたところを、更に上体を抱き寄せられるのだ。胸を逸らすような体勢のまま、背後から犯してくる九重に顔を覗き込まれる。
いつもと変わらない、どこか見下すような目の男は俺を見据えたまま、そして唇をれろりと舐めてくるのだ。
「っ、ん、う」
「……っ、ふ……」
「ん、んん……ッ、ぅ……ッ」
――なんで、この男とキスしてんだ。俺。
いつだって全校生徒の前で涼しい顔しているこの男に顎を捉えられ、舌で唇をこじ開けらる。繋がりっぱなしの下半身でやつの性器を根本まで咥えさせられたまま、弄ぶように片手で乳首を転がされるのだ。休む暇などなかった。全身をこの男の玩具みたいに捏ね繰り回され、感じたくもないのに何度も迎えさせられる絶頂にただただ疲弊感が重なっていく。
酸素が薄くなり、ぜえぜえと喘ぐ俺の唇を塞いだまま九重は肉厚な舌を絡めてくるのだ。当たり前のように舌伝いに流し込まれる唾液を拒むこともできぬまま喉奥で受け止める。
何故、なんで、俺はこんなことをしてたのか。そうだ、一番ケ瀬のために。
「っ、はー……っ、ぁ゛、……ッ」
「しっかり反応はするんだな」
「っ、ち、が」
「違わないだろ」と、揉みしだかれていた乳首の乳頭を柔らかく潰された瞬間、自分のものとは思えない声が喉の奥から漏れた。瞬間、ぎゅっと締まる下半身。九重は興奮したように唇を舐め、そして再び荒々しい抽挿を再開させるのだ。
「……っ、まっ、ぁ゛ッ、まっで、くだ、さ……ッ、ぁ゛……ぐ、うう゛……ッ!!」
「痛いのも、苦しいのも慣れろ……っ、それが四軍の役目だ」
「ぃ、ッ、う゛ッ、ぐう゛……ッ!」
「……その方が、お前自身も楽になるぞ」
無茶言うな、という俺のツッコミは掻き消された。大きく開かされた下半身、ぴんと突っ張った腿を抱えられたまま、開いた股の奥へと腰を更に押し付ける。ぐり、と奥まで入ってきた亀頭は閉じ切った結腸の入口に吸い付き、そこを執拗に突かれる度に「ぉ゛、ぐ」と喉から汚い声が溢れてしまう。
壊されて、叩きのめされて、考えるだけ無駄だと体に、細胞レベルでこの男に塗り替えられる。強制的に呼び起こされる快感になけなしの理性が呑まれそうになるのを必死に拳を握りしめ、耐えた。ぢゅぷ、ぐぢゅ、と先走りと血液で濡れた中を何度も掻き回される内に意識は朦朧としていた。
「ん、う゛……ッ」
ああくそ、キスされるとふわふわする。
九重に何度も太い舌で歯列や上顎、喉の奥まで執拗にねっとりと絡みつくようにキスをされる。好きでもない男からのキスなんて地獄だと思っていたはずなのに、全神経がイカれ始めていたところにその執拗なキスはよく効いた。
「……っ、ふー……ッ、ぅ゛……ッ」
無意識の内に俺は九重の舌を受け入れていた。頭の中がふわふわして、何も考えられない。それでもキスされると痛みや苦痛が緩和されていくのだ。
一番ケ瀬のため、一番ケ瀬のためなのだ。だから、これもそのために必要で――。
「……ッ!!」
渇いた音を立て、一気に奥の突き当りを亀頭でぶち破られる。声をあげることもできなかった。九重に全身をホールドされたまま、ぴんと硬直した体をそのまま好き勝手犯されるのだ。
窄まった窪みに亀頭を引っ掛け、その奥を亀頭で押し上げられる度に視界が白く染まり、恥ずかしい声が漏れそうになるのを自分で口を塞いで堪えた。
「十鳥、ようやく自覚が出てきたか? ……っ、お前の、便器としての自覚がな……ッ!」
「っ、ひ、ぅ゛……ッ! ん、んん゛……っ!」
「そうやってお前は媚びればいいんだよ、……っ、ああ、しっぽ振って、そうすりゃ可愛がってやる」
「っ、ぁ゛……ッ?!」
耳元で囁かれるそれは最早呪詛に等しい。
九重の逞しい腕にがっちりと下半身を抱かれたまま奥を舐られたときだ、どくんと大きな鼓動が体内に響く。そして、
「っ、う゛……く、うぅ……ッ!!」
腹の奥、その更に最奥。ドクドクと注がれる精液の熱に粘膜が焼け爛れそうになる。
深く俺の唇を塞いだまま、九重はぴったりと俺の腹に栓をしたまま息を吐くのだ。
そしてやつは射精を終える前に、再び精液でぐずぐずになった中を犯し始める。
「っ、う、な、んで……ッ」
「……っ、誰が、一回で終わるなんて言ったか?」
「ぁ、あ゛ぁ……ッ!」
揺さぶられる度に腹の中で精液が掻き混ぜられ、気持ち悪かった。吐き気と熱と快感でおかしくなりそうな頭の中、萎えるどころか先程よりも更に固くなってる九重の性器を何度も突き立てられる。その度に中に溜まっていた精液が漏れで、腰を打ち付ければ汚れる下腹部に気にすることなく九重は俺を汚した。
「っ、は、ぁ゛……ッ!」
「……っ、十鳥、出されたときは『ありがとうございます』だ」
「ぁ、ありがとぉ、ご、ざいま……ッ、す、ッ、ぅ゛……ッ!」
「……っ、ああ、そうだ。よくできた」
「ひっ、ぃ゛……ッ!!」
精液を潤滑油代わりに、先程よりも滑りの良くなった体内を何度も擦り上げる性器に耐え切れず、何度目かの絶頂を迎える。
意識が飛びそうになるたびに前立腺を潰され、快感で強制的に叩き起こされる。そしてぴんと伸びた爪先。伸びた片脚を抱えたまま体位を変えた九重はそのまま俺の唇を塞ぐのだ。
「っ、ん゛……ッ、ふ、……ッ」
粘膜同士が溶け合いそうな程の熱に目が眩む。ぢゅぷ、と音を立て、九重は僅かに唇を離した。
「好きでもない相手だろうが、恋人と思え。……自分から舌を絡めろ」
「こうやって」と舌を出した九重にそのまま舌を引きずり出される。真正面から覗き込まれるような鋭い視線から目を逸らすこともできなかった。
「ふー……ッ、ん、ぅ……ッ!」
食われる。舌ごと食いちぎられるのではないか、そんな恐怖すらも麻痺していく。
奥を穿かれながら、言われるがままおずおずと舌を自ら絡める。そうすれば更に九重は俺の体を抱き締め、腰を動かした。
「っ、ふ、んむ……ッ、う゛……ッ」
「……っ、十鳥」
「ぃ、ぐ、イ゛……ッ、く、ぅ゛……ッ」」
「ああ、構わない。……さっさとイケ」
「ッ、う゛む゛ぅ……っ!!」
後頭部を撫でるように更に舌を絡め取られ、そのまま興奮したように更に性急な動きで奥を突かれた。
堪えたい声も我慢することもできないまま、九重に好き放題されることを享受する。奥を潰されると同時に、限界まで腫れ上がっていた性器から残っていた精液を絞り出される。びゅく、と全体を震わせ、テーブルへと飛び散る精液に目を向ける余裕もなかった。
「っ、ん、う゛……ッ!!」
九重にがっちりと抱き締められたまま、そのまま腹の中に二発目の精液を注がれる。ドクドクと脈打つ鼓動も混ざり合い、どちらのものかも分からない。
粘膜と皮膚の境目があやふやになったまま、萎えることなく再び動き出す九重に俺はもうなにも考えることなどできなかった。
ひたすら受け入れることしかできない。理性も、常識も、あるだけ自分を苦しめることになるのだと叩き込まれる。
神経と肉体をすり潰しては溶かしていく、そんな地獄のような時間だけが過ぎていった。
指導室で九重に散々犯されたあと、俺の意識は途中で途切れる。なにをされたのか記憶も混濁状態で、あまりの疲労と肉体的負荷に耐えきれずにずっと体の火照りは取れることはなかった。
次に目を覚ました時、そこは見慣れない部屋の中だった。
「っ、ふ、……ぅ゛……っ?!」
ここはどこだ、と声をあげようとした矢先。声が出ないことに気付く。それどころか体を動かすことすらもできない。
そして、腹の奥。なにかが入ってるような感覚だけはしっかりとあった。モーター音とともに前立腺を上下運動で押し上げるそれに驚き、飛び上がりそうになるも強制的に開脚させられるような形で両手足拘束された体ではろくに動くこともできない。そして、そこが会長室の机だと気づき更に絶望するのだ。
「っ、む、う゛……ッ」
なんだ、なんで、なんでこんなことになってるんだ。
起き抜けの頭の中、羞恥と混乱でパニックを起こしそうになる俺。そんな俺の元、遠くから足音が近付いてくる。
「……なーんだ、やっと起きたのか」
聞こえてきた声に、全身が凍り付いた。視界の端、会長机の上に乗り上げてきた七搦は、まな板の上の鯉よろしく跳ねることしかできない俺の肩を掴み「よ、十鳥ちゃん」と笑った。
「む゛、う゛……っ」
「それにしても、会長ってば本当えっぐい趣味してんよな。……これ、ずっと挿れっぱなしなんだってな」
『これ』と腹の上、異物で膨らんだそこを掌で押さえつけられた瞬間、脳の奥に電流が走る。のたうち回る俺と痙攣する下半身を見て、七搦は喉を鳴らして笑った。
「おっと、わりーわりー。びっくりさせちゃったか?」
「ふ、う゛……ッ」
「ま、お前はこれから暫く俺らで好きにしていいって会長に言われたからなあ。誰も怒らねえだろ」
「な、一番ケ瀬」そう、七搦の視線が俺の背後に向けられるのを見て凍りつく。肩越し、この体では振り返ることもままならない。それ以上に振り返って確認することの方が恐ろしかった。
七搦は青ざめる俺を見て笑い、そしてそのまま剥き出しになったままの乳首を摘むのだ。
「っ、ん、う゛……ッ」
「馬鹿だよなあ、お前も。大人しくしときゃ、こんな扱いされずに済んだのによ。……今まで通り大人しく犯されときゃな」
「っふ、ぅ……ッ」
「ま、俺としてはどうでもいいけど、一番ケ瀬の可愛い可愛い十鳥ちゃんを好き勝手できんのは、気持ちいいよなあ……っ、ん」
「う゛、んん゛ぅッ!」
左胸に顔を寄せた七搦に胸をしゃぶられ、背筋が震えた。やめろ、と机の上這いつくばって逃げようとするが、それも呆気なく押し倒され、そのまま胸に舌を這わされるのだ。
やつの髪が胸を掠める度に背筋が凍る。そして、後ろに一番ケ瀬が本当にいるとしたら。考えただけで生きた心地がしない。
「っ、ふー……ッ、う゛……ッ!」
「は、……っ、本当、ついこの間まで芋くせえ処女だったくせに、なんだよこの体」
「っふ、ぅ゛」
「……っ、エロすぎだろ」
しゃぶられ、吸われ、唾液でぬらりと濡れた乳首にふっと息を吹きかけられ、それだけで体が大きく仰け反ってしまう。
耳を塞ぎたくなるような七搦の言葉にどうにかなりそうだった。見るな、と体を隠したいのに、更に肩を掴まれ、乳首を甘く噛まれるのだ。
「っ、ん、ぅ……ッ」
七搦の咥内、窄めた舌に乳頭を穿られ、甘く吸い出される。それだけで腰が震え、既に臍にくっつきそうなほど勃起していたそこは熱く脈を打つのだ。もぞ、と揺れる下半身を見て、七搦は笑った。
「なんだ、こっちも触ってほしいのか?」
「っ、む、う゛……ッ」
「仕方ねえな……っ、ほらよ」
「ふ、う゛」
大きく広げられた股の間、肛門に深々と挿入されていたそれを引き抜く七搦。瞬間、勢いよく 内壁の粘膜を引っ張られ、耐えられずに全身が跳ね上がった。頭の中が真っ白になり、呼吸を繰り返す俺を見て「まさか今のでイッたのか?」と七搦は鼻で笑った。
「……っ、本当、お前さあ……っ、はは、まじか」
「っ、ん゛ッ、う゛……ッ」
「あーッ、くそ、イライラしてきた。一番ケ瀬、お前、こんなの独り占めしようとしてたってまじか、クソ生意気すぎんだろ……ッ!」
「っ、ぅ゛、むぐッ!」
捲れ上がったまま口を開き、自力では口を閉じることのできなくなってしまったそこに、七搦は舌打ちしながらベルトを緩めるのだ。本当に一番ケ瀬がいるのか、だとしたらどんな顔で俺を見てるのか、考えたくもなかった。逃げようとしたところを七搦に腰を掴まれ、引き寄せられる。
そして、柔らかくなったそこにべち、と押し付けられる性器に頭の奥が熱くなった。
「っ、は、ようやくだな、十鳥ちゃん」
「む、う゛……ッ」
「ちゃんと目ぇ開けろよ、今からお前に挿れてやるんだから……っ、なあ」
「ッ、う゛……ッ! ぐ、ぅ……ッ!!」
ず、と体内に入ってくる性器に堪らず背筋が震える。以前あれほど痛くて苦しかったのに、既にこじ開けられ、慣らされていたそこはスムーズに七搦のものを飲み込んでいくのだ。
――なんだ、これは。
まるで自分の体ではないみたいに、快感だけがより鋭利になって神経を突き刺してくる。
「っ、ふ、ぅ゛……ッ!」
「……っ、あっつ、とろとろじゃねえの、十鳥ちゃん……ッ! はは、こんな玩具よかマシだろ?」
「ふ……ッ、んう゛、うう……ッ!」
気持ちよくない。こんなの、気持ちよくない。
繰り返し、自己暗示を繰り返す。その度に膨張した七搦の性器で腫れ上がった中を摩擦され、出したくもない声が喉の奥から溢れてしまうのだ。
「っ、ふ、ぅ、う゛、……っ!」
「……っ、へえ、オナホにしちゃまあまあだな、悪くねえ」
「う゛、む゛……っ!」
悪戯に胸を揉まれながら、独善的な動きで性器を嵌められる。奥を突き上げられる度に視界が弾け、開いた毛穴から汗が滲んだ。
熱くて、なにも考えられない。考えたくもない。
亀頭が前立腺を掠める度に腰が震え、下半身の筋肉が収縮した。それが堪らないらしい、七搦は執拗に俺の弱いところを犯し、潰し、えぐり――やめろと声をあげることもできないまま俺は一方的に七搦に犯されるのだ。
生徒会室に濡れた肉が潰れるような音が響く。
そんな中、扉が開くような音がして背筋が凍り付いた。誰かきた、と緊張する俺とは対象的に七搦は気にすることなく抽挿を続けた。そして、首だけ扉の方へと向けるのだ。
「……ん、ああ、遅かったな……っ、先にもう借りてんぞ」
「そんなことだろうとは思ったよ。全く、ちゃんと会長から言われたわけじゃないのに相変わらずの手の早さだね」
「別に構わない。元より、そのために“これ”は連れてきたんだ」
聞こえてきたのは八雲と九重の声だった。
「けど、人の机を汚すなよ」
「言っとくけど、最初から汚れてましたよ……っ、て、ん……っ、は、出そ……っ」
どくん、と脈打つ性器に血の気が引く。それから間もなく体内で性器から熱が迸り、腹の中を満たすのだ。七搦はそのままずるりと性器を引き抜いた。
「……っ、は、フェラさせたい。会長、これ外していい?」
「やめとけ、まだ食いちぎられるぞ」
「まじ? まじかあ、クソ、もう一回……」
「七搦は元気だね。――一番ケ瀬君、君は混ざらないのか?」
「……いえ、結構です」
朦朧としていた意識の中、聞こえてきた声に背筋が震えた。
生気のないその声は、間違いなく一番ケ瀬のものだった。こんなところを見られていたなんて、と現実に引き戻されるのも束の間、七搦の指が肛門にねじ込まれ、思考を塗り替えられる。
「っ、ふ、う……ッ!」
「はは、なんだよ。人の後は嫌だってか? 贅沢なやつだな」
「まあ僕でも君の後は嫌だとは思うけどね、七搦」
「ああ? んだと、お前に言われたかねーっての……っ、お、前立腺すげー見つけやすいな」
「っ、ん、う……っ!」
「十鳥ちゃん、まだいけそうだな? は、さっさと立派な公衆便器にならねえとな、ま、俺が協力してやるから安心しろ」
「っ、う、むう……ッ!」
中に溜まった精液を掻き出すように中を掻き混ぜられ、前立腺を指でこりこりと押しつぶされる。それだけで痛いほど勃起した性器からはとめどなく白濁混じりの体液が溢れ出し、下半身を汚していった。
立派な四軍になるために、一時的に生徒会専用の肉便器になれ。
そう生徒会長である九重直々のお達しが俺に与えられた。
それが唯一、一番ケ瀬を許してもらうための方法であり、俺にはもうそれに縋りつくことしかできない。
だから、俺は受け入れた。受け入れざるを得なかった。基本服も着せてもらえないまま生徒会室に放置され、いない間も肛門が閉じないようにとプラグやバイブなどなにかしらの玩具を挿入される。
今まで守られていた報いを一身に受けさせられるようなほどの時間だった。一層死んだ方がマシではないかと過ぎったこともあった。それを分かっていたのだろう、普段俺の口には舌を噛まないための猿轡が噛まされていた。
そんなクソみたいな時間でも、耐えられていたのはあいつがいたからだ。
「……十鳥」
生徒会役員たちが全員帰ったあとの深夜の生徒会室、あいつは俺の分の食事を手にやってきた。
ソファーの上、手足を縛られたまま動けない俺の側にやってきた一番ケ瀬はそっと俺の体を起こす。朦朧とした意識の中、腹の中で震え続ける玩具の感覚に吐きそうになりながらも俺は一番ケ瀬にすがりついた。
「……っ、十鳥……悪い」
俺は一番ケ瀬に恩返しをしたくて、一番ケ瀬を悲しませたくなくて、今までみたいに俺の側にいてもらいたかっただけなのに。
――何故一番ケ瀬を泣かせてしまってるのだろうか。
抱き締められる体から流れ込んでくる一番ケ瀬の体温に酷く心が落ち着いていき、同時に苦しくなる。縛られたままの体では、一番ケ瀬を抱き締め返すこともできなかった。
それでも、こんな精液と汗で汚れた体でも一番ケ瀬は俺を抱き締めてくれる。その事実だけが辛うじて俺を繋ぎ止めていてくれた。
沈黙が辺りに流れる。このまま蹴り飛ばされようが、はたまた無視されようが仕方ないとわかっていた。そうなれば、足にまたしがみつくだけだ。
けれど、
「……顔を上げろ」
頭上から落ちてきた九重の声にはっとする。
釣られて顔をあげれば、そのまま九重に腕を掴まれるのだ。「立て」と九重に強い力で引っ張られ、ぎょっとする。
「っ、ぁ、……」
「ここでは目立つ。……ついてこい」
――どういうことなのか。もしかして、九重が俺の話を聞いてくれようとしているということなのか。
まだ九重の真意は分からない。糠喜びだけはするな、と自分に言い聞かせながらも俺は先を歩いていく九重の後を追いかけた。
九重に連れられてやってきたのは生徒指導室だった。
俺を生徒指導室に押し込めた九重はそのまま内鍵を閉める。そして、「そこに座れ」と指導室の中央に置かれた椅子を軽く蹴る。
まだ、なにをされるか分からない。見えてこない九重の真意を探りつつも、俺は九重の言葉に従った。そうすることしかできなかったのだ。
椅子に腰をかければ、対面の椅子にやつが腰をかけた。九重は「それで」と机に肘をついたままこちらに視線を向けてくる。
「一番ケ瀬に手を出すなと言ってたな」
「……はい」
「元はと言えばお前が四軍としての役目を放棄したから、一番ケ瀬のやつに助けを求めたからこうなったということは理解できているか」
「わ、……かってます」
何故こうもこの男はいちいち人に威圧感を与えてくるような話し方をするのだろうか。
押し潰されるような、心臓ごと握られるような息苦しさの中、言葉を絞りだす。九重はただじっとそんな俺を見ていた。
「それで、どうするつもりだ」
「……っ」
「一番ケ瀬のやつは説得でなんとかできるほど物分りのいい男じゃないぞ」
言葉は口だけでなんとかなる段ではない、と暗に言われているようだった。
考える。必死に脳を回転させ、どうすればこの最悪の状況を乗り切れるかを考えた。けれど、痛みと動揺で低下した思考力ではなにも浮かばない。
それは、と口籠ったままなにも言えなくなる俺に痺れを切らしたようだ。九重は小さく息を吐く。
「立て」
突然の九重の言葉に、え、と凍りつく。思わず顔を上げれば、こちらを見ていた九重と目が合った。
視線がぶつかれば、「こっちへ来い」と九重は顎でしゃくるのだ。
「……っ、は、い」
一番ケ瀬のこともある、断ることなどできなかった。今はこの男の機嫌を損ねないことが最優先事項だろう。恐る恐る近づけば、そのまま胸ぐらごとネクタイを掴まれた。
「っ、……ッ!」
「……誠意を見せろ、四軍」
「せ、いいって……」
「お前のその口はなんのために付いてる?」
まさか、と頭の奥がぢり、と熱くなる。
「しゃぶれ」
なにを、などと聞かずとも理解してしまった。
屈辱のあまり、顔が焼けるように熱くなった。
なんで俺が、と喉元まで出かけた言葉を飲み込んだ。
「……っ、はい」
これは恐らく、最後のチャンスだろう。
ここで上手く立ち回れば、一番ケ瀬のことを許してもらう。その結果俺の立場がどうなろうが、知ったことではない。なんなら今より悪くなることは早々ないだろうと思えるほど、既に今更な話ではあったからだ。
九重の足元に座り込み、そのまま膝を掴んだままやつの足の間に割って入る。
少なからず俺はこの男にこういう趣味があるとは思わなかった。そんなことを言えば八雲もそうだが、九重には何故か潔癖な印象があったから、余計。
勃起すらしていない性器を勃起させるところから始まる地獄のような時間だった。
試しているのだろう、この男は。1ミリも俺に性的興奮を覚えることもないくせに、こうして無茶振りをして試している。俺がどこまでできるのかを見定めてるのだ。
「……っ、」
スラックスの上から性器に触れるが反応しない。こういうときどうしたらいいのかなど俺には分からない。
ベルトを緩める九重。現れた下着に息を飲み、俺は半ばやけくそになりながら下腹部に手を伸ばす。
取り出した性器は萎えた状態空でも分かるほどの大きさで、それだけで酷く自分が惨めになる。唾液を絡めるようにとろりと性器に垂らし、そのまま恐る恐る手を伸ばす。
そしてそのままぬちぬちと手を動かせば、自分でその感触に声が漏れそうになった。対する九重はと言うと眉を動かすことすらしない。
「……っ、ぅ……」
「随分と不慣れのようだが、一番ケ瀬とはしなかったのか」
突然問いかけられ、思わず手が止まりそうになる。
一度もしなかったわけではない。けれど、あいつは俺が嫌だといえば無理強いするようなことはしてこなかった。――他のやつらと違って。
「……あまり、してません」
「何故だ」
「何故って……ぉ、俺が……嫌だって言ってたから」
「一番ケ瀬のことが好きなんだろう、あいつ以外に抱かれたくないわけじゃないのか?」
それは純粋な疑問のようだった。
何故そんな恋愛話をこんな糞のような状況でしなければならないのかと思ったが、会長様の問を無視することもできなかった。
「……あいつに抱かれることも、嫌だったので」
そう口にしたとき、自分でしまったと思った。
これから四軍として全うすると言ってしまった手前、性行為が耐えられないと初っ端からぶちまけていでは台無しだ。
慌てて撤回しようとしたが、九重は変わらない。それどころか、何かを考えているようだ。
先程から必死に撫でていたそこが僅かに芯を持ち始めるのを感じ、少し胸の奥がざわついた。
「何故嫌だと思うんだ」
「そ、れは」
「まずは、その性根を叩き直す必要がありそうだな」
びく、と体が震える。手の中でどんどんと固くなる竿に息を飲んだ。
「口を使え」と九重に後頭部を掴まれ、そのまま腰に顔を押し付けるように抱き寄せられるのだ。頬の上を滑る性器にぎょっとするのも束の間、そのまま九重の性器が唇に触れる。「舐めろ」と言われるがまま舌を出し、ぎこちなく竿から亀頭まで舌を這わせた。
「……っ、ふ、ぅ……」
ぴちゃぴちゃと口の中で音が響く度に恥ずかしさと情けなさで頭がいっぱいになりそうだった。
微塵も気持ち良さそうな顔をしない男の股座に顔を突っ込み、頭を擡げたそこに必死に舌を這わせる。
それでも一応は反応しているようだが、少なからず俺の技巧は関係ないような気がしてならない。
それにしても、こんなところで八雲にフェラさせられたときの経験が活かせることになるとは思いもしなかった。
「っ、は、んむ」
「……」
「……っ、ん、ぅ……ッ」
どくどくと脈打つ血管。舌の上でそれが反応するのを感じながら、俺は顔の上に乗る性器に舌を這わせる。
酷く長い時間のように思えた。会話も途切れ、指導室に響くのは嫌らしい水音だ。
腰を突き出し、犬のようにやつの下半身にしゃぶりつく自分の姿を客観視することなどできなかった。
そんな地獄のような時間をかけながらも、九重のものは確かに大きくなっていく。舌伝えに伝わってくる脈拍の間隔が短いのがわかり、もうそろそろ射精が近いかもしれないと思った矢先、九重は俺の頭を掴んで俺の口から性器を抜いたのだ。
「っ、ん、え」
どうしてやめるのだ、と驚いていたときだ。こちらを見下ろしていた九重は「立て」と低く口にする。
困惑しながらも言われるがまま立ち上がったとき、九重の手が俺の腰に触れる。
「そのまま自分で脱げ、下着もだ」
「……っ、それって」
「返事は」
一番ケ瀬がどうなってもいいのか、と暗に言われているようだった。腰のラインを撫でるようにそのまま臀部を掴まれれば、スラックス越しに尻に食い込む指に息が止まりそうになる。
俺にはもう、従う以外の選択肢は残されていなかった。
九重に命じられるがまま、やつの目の前で下半身に身に着けていたものを脱いだ。足元に落ちるスラックス。下着までもを完全に脱ぐのは心許なくて、俺は身につけたまま僅かにずらし、そのまま九重に背中を向けるのだ。
「ぬ、ぎました」
そう九重に見えるように制服のシャツの裾を軽く持ち上げたとき、九重の硬い指先が下半身に触れる。
そのまま柔らかく尻肉を掴まれ、背筋がびくりと震えた。
「今朝の男には犯されたのか」
「……っ、」
「ここに挿れられたかどうかを聞いている」
ここ、と肛門を指で押し広げられ、顔面に熱が集まった。
「いえ」と震える声で応えれば、「そうか」と九重はさして興味なさそうにそのまま人差し指をねじ込んでくるのだ。
「ぁ……っ?!」
「なに腰を引いてる。そこに手をついて、もっと腰を付き出すんだ」
「っ、ん、ぅ……ッ、は、い……」
顔が焼けるように熱くなる。それでも奥歯をぐっと噛み締め、こみ上げてくる羞恥諸々を堪えながら俺は腰を突き出した。
二本目の九重の指が入ってきて、問答無用で中を柔らかく揉みほぐしてくる指先に背筋が震えた。
腹の中で二本の指が擦れる度に声が漏れそうになるのを、寸でのところで唇を噛んで堪える。
「っふ、……ッ、ぅ゛……ッ」
「これからここは、いつでも男のものを咥えられるように準備しておけ。道具なら後で用意させておく」
「っ、な……ッ、ん……ッ」
「当たり前だろ? お前は四軍だ。……全校生徒の掃き溜めになるための存在だ。これくらいのこと、マナーとして心得ておけ」
いいな、と前立腺を押し上げられた瞬間、腰がぶるりと震える。逃げることもできなかった。九重の腕に腰を捉えられたまま、えぐるように中を乱暴に掻き回される。
それなのに的確に弱いところを責め立ててくる九重に、痛みや苦痛以上の快感に脳が支配されそうになるのだ。
「返事が聞こえないようだが?」
「っ、は、……ッ、は、い……ぅ゛……ッ! あ、ゃ……ッ!」
「……まあいい、お前には口先だけではないことをこれから直々に確かめてやる」
どういう意味だ。
熱で浮かされたぼんやりとした頭の中、イきそうになった直前に引き抜かれる指に朦朧としたまま振り返ろうとしたときだ。ぱっくりと開いた口に、指の代わりにそれよりももっと熱く、太いものを押し当てられる。
「……ッ、ぁ、あ」
嘘だろ、と驚く暇もなかった。俺が腰を引くよりも先に、九重は俺の腰を掴み、そのまま奥深くまで性器をねじ込んできたのだ。
肛門から脳天まで穿かれるような衝撃が走る。
「ぉ゛ッ、ぐ……――ッ!」
想像していたよりも何倍もあるその質量に、脳細胞が焼き切れそうだった。限界を越え、括約筋を引き伸ばして中へと挿入される亀頭に粘膜を摩擦される度に開いた喉から呻き声が漏れた。
腹の中が熱い、どうにかなりそうだった。
「……っ、ふ……狭いな」
「っ、ん゛、う゛……ッ!!」
指導室のテーブルにしがみつき、背後から覆いかぶさってくる男の性器を強制的に受け入れさせられる。
拒めるものなら拒みたい。けれどそれは許されない。必死に声を殺し、負担がかからないように鼻から息を抜こうとしするが、エラ張った亀頭で前立腺を引っかかれるだけで下腹部が痙攣する。
逃げようとする俺の腰を掻き抱いたまま、九重は更に一気に腰を打ち付けてきたのだ。
「……っ、待ッ、ぅ゛……ひィ……ッ!」
「……っ、これくらいで弱音を吐いてどうする、この先何本もここに咥えさせられることになるってのに」
「っ、ひ、ぐ」
「……っ、逃げるな」
十鳥、と耳元で名前を呼ばれ、背中に感じる九重の熱に火傷しそうになっていた。
ぱんぱんに詰まった腹の中、無理矢理こじ開けるように腰を動かされればそれだけで意識は飛びそうになる。
「っ、ぁ゛……ッ?! ぁ、か、いちょ……ッ、ぉ゛……ッ!」
「受け入れろ……っ、十鳥、これくらいでいちいち泣くな。この先どうする?」
「っ、ふ、ぅ゛……ッ、ぐ、ひ……ッ!」
無茶いうな、クソモラハラ男。
言ってやりたいのに、喉先まで出てるのに、堪えるしか俺には道はないのだ。
がっちりと腰を掴まれ、そのまま内壁全体を性器で摩擦するように中の粘膜を擦り上げられる。削り取るようなピストンに声を抑えるのが精一杯だった。乱暴で性急な抽挿に耐え切れず、ガクガクと痙攣する下半身。それを更に抱き止められたまま、俺は九重に犯された。
「っ、は、ぅ゛……ッ! ぐ、……ッ!!」
「は、……っ、そうだ、受け入れろ」
「う、く……ッ、ぅ゛……ッ」
「お前の肛門は男に犯されるためのものだと俺が叩き込んでやる」
ふざけるな、と滲む視界の中。笑う九重に腰を撫でられ、ひくりと下半身が震えた。みっちりと性器を飲み込んだ腹を圧迫されたまま、少し腰を突き動かされただけで前立腺が刺激され、拍子に頭の中でどろりとした白い光が弾けた。
そして呑まれる。
「っ、ぅ、ぐ……ッ、ひ……ッ!」
こんなの、気持ちいいわけがない。クソみたいな行為だ。
頭では分かっているはずなのに、亀頭と裏筋で乱暴に前立腺を引っ掛けられ、ねっとりと何度も腰を打ち付け、ただでさえ犯され続けて過敏になっていた体は与え続けられる刺激に打ち勝つほどの力も根気も残されていなかった。
びくん、とテーブルの上で跳ね上がった体はそのまま床に向かって射精する。どぷ、と音を立てて水溜りを作る下半身。びくびくと痙攣の収まらない下腹部を撫で、九重は更に腰を打ち付けるのだ。
「ッ、ひ」
「嫌だ嫌だと言っていたが、やつの言うとおり適正はあるみたいだな……ッ」
「は、……ッ、な、ぅ゛!」
違う、そんなものはない。そう否定したかったのに、背後から伸びてきた手に胸を揉まれ、乳首をぎゅっと摘みあげられればその言葉は途切れてしまうのだ。
奥を突き上げられながら胸の先っぽをいじられれば、神経がバグを起こしたみたいに二つの性感帯の感覚神経が繋がっているようだ。胸をイジられる度に前立腺に甘い刺激が広がり、次第に呼吸が浅くなる。
「っ、や、……っふ、ぅ゛」
胸はやめてくれ、と机にしがみついて隠そうとしたところを、更に上体を抱き寄せられるのだ。胸を逸らすような体勢のまま、背後から犯してくる九重に顔を覗き込まれる。
いつもと変わらない、どこか見下すような目の男は俺を見据えたまま、そして唇をれろりと舐めてくるのだ。
「っ、ん、う」
「……っ、ふ……」
「ん、んん……ッ、ぅ……ッ」
――なんで、この男とキスしてんだ。俺。
いつだって全校生徒の前で涼しい顔しているこの男に顎を捉えられ、舌で唇をこじ開けらる。繋がりっぱなしの下半身でやつの性器を根本まで咥えさせられたまま、弄ぶように片手で乳首を転がされるのだ。休む暇などなかった。全身をこの男の玩具みたいに捏ね繰り回され、感じたくもないのに何度も迎えさせられる絶頂にただただ疲弊感が重なっていく。
酸素が薄くなり、ぜえぜえと喘ぐ俺の唇を塞いだまま九重は肉厚な舌を絡めてくるのだ。当たり前のように舌伝いに流し込まれる唾液を拒むこともできぬまま喉奥で受け止める。
何故、なんで、俺はこんなことをしてたのか。そうだ、一番ケ瀬のために。
「っ、はー……っ、ぁ゛、……ッ」
「しっかり反応はするんだな」
「っ、ち、が」
「違わないだろ」と、揉みしだかれていた乳首の乳頭を柔らかく潰された瞬間、自分のものとは思えない声が喉の奥から漏れた。瞬間、ぎゅっと締まる下半身。九重は興奮したように唇を舐め、そして再び荒々しい抽挿を再開させるのだ。
「……っ、まっ、ぁ゛ッ、まっで、くだ、さ……ッ、ぁ゛……ぐ、うう゛……ッ!!」
「痛いのも、苦しいのも慣れろ……っ、それが四軍の役目だ」
「ぃ、ッ、う゛ッ、ぐう゛……ッ!」
「……その方が、お前自身も楽になるぞ」
無茶言うな、という俺のツッコミは掻き消された。大きく開かされた下半身、ぴんと突っ張った腿を抱えられたまま、開いた股の奥へと腰を更に押し付ける。ぐり、と奥まで入ってきた亀頭は閉じ切った結腸の入口に吸い付き、そこを執拗に突かれる度に「ぉ゛、ぐ」と喉から汚い声が溢れてしまう。
壊されて、叩きのめされて、考えるだけ無駄だと体に、細胞レベルでこの男に塗り替えられる。強制的に呼び起こされる快感になけなしの理性が呑まれそうになるのを必死に拳を握りしめ、耐えた。ぢゅぷ、ぐぢゅ、と先走りと血液で濡れた中を何度も掻き回される内に意識は朦朧としていた。
「ん、う゛……ッ」
ああくそ、キスされるとふわふわする。
九重に何度も太い舌で歯列や上顎、喉の奥まで執拗にねっとりと絡みつくようにキスをされる。好きでもない男からのキスなんて地獄だと思っていたはずなのに、全神経がイカれ始めていたところにその執拗なキスはよく効いた。
「……っ、ふー……ッ、ぅ゛……ッ」
無意識の内に俺は九重の舌を受け入れていた。頭の中がふわふわして、何も考えられない。それでもキスされると痛みや苦痛が緩和されていくのだ。
一番ケ瀬のため、一番ケ瀬のためなのだ。だから、これもそのために必要で――。
「……ッ!!」
渇いた音を立て、一気に奥の突き当りを亀頭でぶち破られる。声をあげることもできなかった。九重に全身をホールドされたまま、ぴんと硬直した体をそのまま好き勝手犯されるのだ。
窄まった窪みに亀頭を引っ掛け、その奥を亀頭で押し上げられる度に視界が白く染まり、恥ずかしい声が漏れそうになるのを自分で口を塞いで堪えた。
「十鳥、ようやく自覚が出てきたか? ……っ、お前の、便器としての自覚がな……ッ!」
「っ、ひ、ぅ゛……ッ! ん、んん゛……っ!」
「そうやってお前は媚びればいいんだよ、……っ、ああ、しっぽ振って、そうすりゃ可愛がってやる」
「っ、ぁ゛……ッ?!」
耳元で囁かれるそれは最早呪詛に等しい。
九重の逞しい腕にがっちりと下半身を抱かれたまま奥を舐られたときだ、どくんと大きな鼓動が体内に響く。そして、
「っ、う゛……く、うぅ……ッ!!」
腹の奥、その更に最奥。ドクドクと注がれる精液の熱に粘膜が焼け爛れそうになる。
深く俺の唇を塞いだまま、九重はぴったりと俺の腹に栓をしたまま息を吐くのだ。
そしてやつは射精を終える前に、再び精液でぐずぐずになった中を犯し始める。
「っ、う、な、んで……ッ」
「……っ、誰が、一回で終わるなんて言ったか?」
「ぁ、あ゛ぁ……ッ!」
揺さぶられる度に腹の中で精液が掻き混ぜられ、気持ち悪かった。吐き気と熱と快感でおかしくなりそうな頭の中、萎えるどころか先程よりも更に固くなってる九重の性器を何度も突き立てられる。その度に中に溜まっていた精液が漏れで、腰を打ち付ければ汚れる下腹部に気にすることなく九重は俺を汚した。
「っ、は、ぁ゛……ッ!」
「……っ、十鳥、出されたときは『ありがとうございます』だ」
「ぁ、ありがとぉ、ご、ざいま……ッ、す、ッ、ぅ゛……ッ!」
「……っ、ああ、そうだ。よくできた」
「ひっ、ぃ゛……ッ!!」
精液を潤滑油代わりに、先程よりも滑りの良くなった体内を何度も擦り上げる性器に耐え切れず、何度目かの絶頂を迎える。
意識が飛びそうになるたびに前立腺を潰され、快感で強制的に叩き起こされる。そしてぴんと伸びた爪先。伸びた片脚を抱えたまま体位を変えた九重はそのまま俺の唇を塞ぐのだ。
「っ、ん゛……ッ、ふ、……ッ」
粘膜同士が溶け合いそうな程の熱に目が眩む。ぢゅぷ、と音を立て、九重は僅かに唇を離した。
「好きでもない相手だろうが、恋人と思え。……自分から舌を絡めろ」
「こうやって」と舌を出した九重にそのまま舌を引きずり出される。真正面から覗き込まれるような鋭い視線から目を逸らすこともできなかった。
「ふー……ッ、ん、ぅ……ッ!」
食われる。舌ごと食いちぎられるのではないか、そんな恐怖すらも麻痺していく。
奥を穿かれながら、言われるがままおずおずと舌を自ら絡める。そうすれば更に九重は俺の体を抱き締め、腰を動かした。
「っ、ふ、んむ……ッ、う゛……ッ」
「……っ、十鳥」
「ぃ、ぐ、イ゛……ッ、く、ぅ゛……ッ」」
「ああ、構わない。……さっさとイケ」
「ッ、う゛む゛ぅ……っ!!」
後頭部を撫でるように更に舌を絡め取られ、そのまま興奮したように更に性急な動きで奥を突かれた。
堪えたい声も我慢することもできないまま、九重に好き放題されることを享受する。奥を潰されると同時に、限界まで腫れ上がっていた性器から残っていた精液を絞り出される。びゅく、と全体を震わせ、テーブルへと飛び散る精液に目を向ける余裕もなかった。
「っ、ん、う゛……ッ!!」
九重にがっちりと抱き締められたまま、そのまま腹の中に二発目の精液を注がれる。ドクドクと脈打つ鼓動も混ざり合い、どちらのものかも分からない。
粘膜と皮膚の境目があやふやになったまま、萎えることなく再び動き出す九重に俺はもうなにも考えることなどできなかった。
ひたすら受け入れることしかできない。理性も、常識も、あるだけ自分を苦しめることになるのだと叩き込まれる。
神経と肉体をすり潰しては溶かしていく、そんな地獄のような時間だけが過ぎていった。
指導室で九重に散々犯されたあと、俺の意識は途中で途切れる。なにをされたのか記憶も混濁状態で、あまりの疲労と肉体的負荷に耐えきれずにずっと体の火照りは取れることはなかった。
次に目を覚ました時、そこは見慣れない部屋の中だった。
「っ、ふ、……ぅ゛……っ?!」
ここはどこだ、と声をあげようとした矢先。声が出ないことに気付く。それどころか体を動かすことすらもできない。
そして、腹の奥。なにかが入ってるような感覚だけはしっかりとあった。モーター音とともに前立腺を上下運動で押し上げるそれに驚き、飛び上がりそうになるも強制的に開脚させられるような形で両手足拘束された体ではろくに動くこともできない。そして、そこが会長室の机だと気づき更に絶望するのだ。
「っ、む、う゛……ッ」
なんだ、なんで、なんでこんなことになってるんだ。
起き抜けの頭の中、羞恥と混乱でパニックを起こしそうになる俺。そんな俺の元、遠くから足音が近付いてくる。
「……なーんだ、やっと起きたのか」
聞こえてきた声に、全身が凍り付いた。視界の端、会長机の上に乗り上げてきた七搦は、まな板の上の鯉よろしく跳ねることしかできない俺の肩を掴み「よ、十鳥ちゃん」と笑った。
「む゛、う゛……っ」
「それにしても、会長ってば本当えっぐい趣味してんよな。……これ、ずっと挿れっぱなしなんだってな」
『これ』と腹の上、異物で膨らんだそこを掌で押さえつけられた瞬間、脳の奥に電流が走る。のたうち回る俺と痙攣する下半身を見て、七搦は喉を鳴らして笑った。
「おっと、わりーわりー。びっくりさせちゃったか?」
「ふ、う゛……ッ」
「ま、お前はこれから暫く俺らで好きにしていいって会長に言われたからなあ。誰も怒らねえだろ」
「な、一番ケ瀬」そう、七搦の視線が俺の背後に向けられるのを見て凍りつく。肩越し、この体では振り返ることもままならない。それ以上に振り返って確認することの方が恐ろしかった。
七搦は青ざめる俺を見て笑い、そしてそのまま剥き出しになったままの乳首を摘むのだ。
「っ、ん、う゛……ッ」
「馬鹿だよなあ、お前も。大人しくしときゃ、こんな扱いされずに済んだのによ。……今まで通り大人しく犯されときゃな」
「っふ、ぅ……ッ」
「ま、俺としてはどうでもいいけど、一番ケ瀬の可愛い可愛い十鳥ちゃんを好き勝手できんのは、気持ちいいよなあ……っ、ん」
「う゛、んん゛ぅッ!」
左胸に顔を寄せた七搦に胸をしゃぶられ、背筋が震えた。やめろ、と机の上這いつくばって逃げようとするが、それも呆気なく押し倒され、そのまま胸に舌を這わされるのだ。
やつの髪が胸を掠める度に背筋が凍る。そして、後ろに一番ケ瀬が本当にいるとしたら。考えただけで生きた心地がしない。
「っ、ふー……ッ、う゛……ッ!」
「は、……っ、本当、ついこの間まで芋くせえ処女だったくせに、なんだよこの体」
「っふ、ぅ゛」
「……っ、エロすぎだろ」
しゃぶられ、吸われ、唾液でぬらりと濡れた乳首にふっと息を吹きかけられ、それだけで体が大きく仰け反ってしまう。
耳を塞ぎたくなるような七搦の言葉にどうにかなりそうだった。見るな、と体を隠したいのに、更に肩を掴まれ、乳首を甘く噛まれるのだ。
「っ、ん、ぅ……ッ」
七搦の咥内、窄めた舌に乳頭を穿られ、甘く吸い出される。それだけで腰が震え、既に臍にくっつきそうなほど勃起していたそこは熱く脈を打つのだ。もぞ、と揺れる下半身を見て、七搦は笑った。
「なんだ、こっちも触ってほしいのか?」
「っ、む、う゛……ッ」
「仕方ねえな……っ、ほらよ」
「ふ、う゛」
大きく広げられた股の間、肛門に深々と挿入されていたそれを引き抜く七搦。瞬間、勢いよく 内壁の粘膜を引っ張られ、耐えられずに全身が跳ね上がった。頭の中が真っ白になり、呼吸を繰り返す俺を見て「まさか今のでイッたのか?」と七搦は鼻で笑った。
「……っ、本当、お前さあ……っ、はは、まじか」
「っ、ん゛ッ、う゛……ッ」
「あーッ、くそ、イライラしてきた。一番ケ瀬、お前、こんなの独り占めしようとしてたってまじか、クソ生意気すぎんだろ……ッ!」
「っ、ぅ゛、むぐッ!」
捲れ上がったまま口を開き、自力では口を閉じることのできなくなってしまったそこに、七搦は舌打ちしながらベルトを緩めるのだ。本当に一番ケ瀬がいるのか、だとしたらどんな顔で俺を見てるのか、考えたくもなかった。逃げようとしたところを七搦に腰を掴まれ、引き寄せられる。
そして、柔らかくなったそこにべち、と押し付けられる性器に頭の奥が熱くなった。
「っ、は、ようやくだな、十鳥ちゃん」
「む、う゛……ッ」
「ちゃんと目ぇ開けろよ、今からお前に挿れてやるんだから……っ、なあ」
「ッ、う゛……ッ! ぐ、ぅ……ッ!!」
ず、と体内に入ってくる性器に堪らず背筋が震える。以前あれほど痛くて苦しかったのに、既にこじ開けられ、慣らされていたそこはスムーズに七搦のものを飲み込んでいくのだ。
――なんだ、これは。
まるで自分の体ではないみたいに、快感だけがより鋭利になって神経を突き刺してくる。
「っ、ふ、ぅ゛……ッ!」
「……っ、あっつ、とろとろじゃねえの、十鳥ちゃん……ッ! はは、こんな玩具よかマシだろ?」
「ふ……ッ、んう゛、うう……ッ!」
気持ちよくない。こんなの、気持ちよくない。
繰り返し、自己暗示を繰り返す。その度に膨張した七搦の性器で腫れ上がった中を摩擦され、出したくもない声が喉の奥から溢れてしまうのだ。
「っ、ふ、ぅ、う゛、……っ!」
「……っ、へえ、オナホにしちゃまあまあだな、悪くねえ」
「う゛、む゛……っ!」
悪戯に胸を揉まれながら、独善的な動きで性器を嵌められる。奥を突き上げられる度に視界が弾け、開いた毛穴から汗が滲んだ。
熱くて、なにも考えられない。考えたくもない。
亀頭が前立腺を掠める度に腰が震え、下半身の筋肉が収縮した。それが堪らないらしい、七搦は執拗に俺の弱いところを犯し、潰し、えぐり――やめろと声をあげることもできないまま俺は一方的に七搦に犯されるのだ。
生徒会室に濡れた肉が潰れるような音が響く。
そんな中、扉が開くような音がして背筋が凍り付いた。誰かきた、と緊張する俺とは対象的に七搦は気にすることなく抽挿を続けた。そして、首だけ扉の方へと向けるのだ。
「……ん、ああ、遅かったな……っ、先にもう借りてんぞ」
「そんなことだろうとは思ったよ。全く、ちゃんと会長から言われたわけじゃないのに相変わらずの手の早さだね」
「別に構わない。元より、そのために“これ”は連れてきたんだ」
聞こえてきたのは八雲と九重の声だった。
「けど、人の机を汚すなよ」
「言っとくけど、最初から汚れてましたよ……っ、て、ん……っ、は、出そ……っ」
どくん、と脈打つ性器に血の気が引く。それから間もなく体内で性器から熱が迸り、腹の中を満たすのだ。七搦はそのままずるりと性器を引き抜いた。
「……っ、は、フェラさせたい。会長、これ外していい?」
「やめとけ、まだ食いちぎられるぞ」
「まじ? まじかあ、クソ、もう一回……」
「七搦は元気だね。――一番ケ瀬君、君は混ざらないのか?」
「……いえ、結構です」
朦朧としていた意識の中、聞こえてきた声に背筋が震えた。
生気のないその声は、間違いなく一番ケ瀬のものだった。こんなところを見られていたなんて、と現実に引き戻されるのも束の間、七搦の指が肛門にねじ込まれ、思考を塗り替えられる。
「っ、ふ、う……ッ!」
「はは、なんだよ。人の後は嫌だってか? 贅沢なやつだな」
「まあ僕でも君の後は嫌だとは思うけどね、七搦」
「ああ? んだと、お前に言われたかねーっての……っ、お、前立腺すげー見つけやすいな」
「っ、ん、う……っ!」
「十鳥ちゃん、まだいけそうだな? は、さっさと立派な公衆便器にならねえとな、ま、俺が協力してやるから安心しろ」
「っ、う、むう……ッ!」
中に溜まった精液を掻き出すように中を掻き混ぜられ、前立腺を指でこりこりと押しつぶされる。それだけで痛いほど勃起した性器からはとめどなく白濁混じりの体液が溢れ出し、下半身を汚していった。
立派な四軍になるために、一時的に生徒会専用の肉便器になれ。
そう生徒会長である九重直々のお達しが俺に与えられた。
それが唯一、一番ケ瀬を許してもらうための方法であり、俺にはもうそれに縋りつくことしかできない。
だから、俺は受け入れた。受け入れざるを得なかった。基本服も着せてもらえないまま生徒会室に放置され、いない間も肛門が閉じないようにとプラグやバイブなどなにかしらの玩具を挿入される。
今まで守られていた報いを一身に受けさせられるようなほどの時間だった。一層死んだ方がマシではないかと過ぎったこともあった。それを分かっていたのだろう、普段俺の口には舌を噛まないための猿轡が噛まされていた。
そんなクソみたいな時間でも、耐えられていたのはあいつがいたからだ。
「……十鳥」
生徒会役員たちが全員帰ったあとの深夜の生徒会室、あいつは俺の分の食事を手にやってきた。
ソファーの上、手足を縛られたまま動けない俺の側にやってきた一番ケ瀬はそっと俺の体を起こす。朦朧とした意識の中、腹の中で震え続ける玩具の感覚に吐きそうになりながらも俺は一番ケ瀬にすがりついた。
「……っ、十鳥……悪い」
俺は一番ケ瀬に恩返しをしたくて、一番ケ瀬を悲しませたくなくて、今までみたいに俺の側にいてもらいたかっただけなのに。
――何故一番ケ瀬を泣かせてしまってるのだろうか。
抱き締められる体から流れ込んでくる一番ケ瀬の体温に酷く心が落ち着いていき、同時に苦しくなる。縛られたままの体では、一番ケ瀬を抱き締め返すこともできなかった。
それでも、こんな精液と汗で汚れた体でも一番ケ瀬は俺を抱き締めてくれる。その事実だけが辛うじて俺を繋ぎ止めていてくれた。
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