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√β:ep. 3『王座取りゲーム』
10【side:志摩】
俺は、兄貴が嫌いだ。血が繋がっていなければ関わらない人生を送りたいくらい、嫌いだ。
馴れ馴れしければ声もデカイ。おまけにどんだけ適当にあしらっても俺を自慢の弟だと言い出すのだ。どんだけ目が腐ってんのかと思う。もしかしたら兄なりの糞ジョークなのかもしれないが、だとしても、余計嫌いだ。
何よりも、自分が正義だと信じて疑わない愚直さ。
「亮太、ここ長くね?もっと軽くしてくれよ」
「煩い、っていうか、人に頼んでおいて注文多いんだよ。そんなに文句言うなら金払って店行ってこいよ」
「あ?何怒ってるんだよ。寂しかったのか?」
「ほんっと、うざい。そういう絡み方やめてよ。気持ち悪いんだけど」
「あっ、お前亮太今思いっきり切っただろ!」
「煩いな、短くしろって言ったのそっちでしょ」
「あっ、でも逆にこれいい感じだよな、な、どうよ志木村これ俺かっこよくない?イカしてない?」
「はぁ、そうですね、いいんじゃないんですか?」
「ちょっと、勝手にクルクル動かないでよ!手元が狂うっての!」
今まで入院していたお陰で停学扱いだった兄貴が二年ぶりに学園に戻ってきた。
阿賀松伊織曰く、半年前には目を覚ましていただとか抜かしていたが確かにここ数ヶ月まともに見舞いに行っていなかったのでその真偽も定かではない。
どちらにせよ、厄介だということには間違いないだろう。
だってそうだ。いきなり部屋に押し掛けてきたと思えば「部屋の片付け手伝えよ、暇だろ」とか言うし嫌だと断っても人の話し聞かないで無理矢理連れ出されるし、散々こき使われたと思えばこの始末だ。なんで俺がこいつの髪を切ってやらなきゃいけないのか、全く理解できない。というか前々から思っていたがこいつは俺のことをなんでも屋と勘違いしてるのではないか?
むしゃくしゃしたので「イケメンにしてくれよ」とか鬱陶しい注文付けてくる糞兄貴を無視して伸びてた前髪を思いっきり短くしてやり、鬱陶しいくらい伸びてた髪にもバリカンを入れてやる。
落ちた髪を束ねて遊んでる寮長を無視して、俺は髪を払う。
糞兄貴は「俺ハゲになってない?」とかめっちゃしつこく聞いてきたが全部無視した。それから、鏡を覗き込んで「うおー!!」と声を上げる。煩い。
「すげーここさっぱりした!やっぱ亮太お前器用だよなー!お前に頼んで正解だったな!」
「俺からしたらいい迷惑なんだけど」
「そんなこと言っちゃって、亮太君って本当にあれですよね、素直じゃないというか。会長、良いですね、その髪。僕のも切って下さいよ」
「寮長の髪は細いし、顔からしてツーブロ似合わないですよ。絶対今の方がましだと思いますけど」
「そうですか?そこまで言われたら仕方ないですね」
「……」
本当、なんでこんなこと俺がしてるんだろうか。
けれどするからには手は抜きたくなくて、結果的に喜ばせてしまったことがただ腹立たしい。
「おい、終わったのか?……へぇ、随分とこざっぱりしたじゃねえか」
ハサミを片付けていると部屋の扉が開き、会いたくない来訪者がやってきた。
阿賀松伊織の姿を見るなり、糞兄貴は「だろ?」と得意げに笑う。
「亮太が切ってやったのか……ふぅん、やっぱり、兄貴には敵わねえのか?」
「……別に、先輩には関係ないでしょ」
「コラ亮太!そんな言い方したら駄目だろ!伊織、こう見えてナイーブだから」
「へぇ、そりゃ初耳だな。俺は繊細なのか」
「……」
本当、なんでここに自分がいるのだろうか。今すぐここから立ち去りたい。そもそも、俺にはやらなければならないことがいくつもあるのだ。暇ではない。
「用なら済んだでしょ、後は自分でやりなよ。俺は戻るから」
「おい、待てよ」
面倒になる前にさっさとその場から退散しようとすれば、阿賀松に呼び止められる。……最悪だ。
俺は、この男が嫌いだ。兄貴と気が合うという時点でもだが、何より学園内でも一番の権力を笠に着る男だ。利用できるものは全て利用する、行動力もそれを補うだけの権力も持ち合わせる厄介な男。何より、齋藤を飼ってる気でいる。
「何の用ですか」
「方人がどこに行ってるか、聞いてないか?」
「方人さん?知るわけないでしょ。あの人、俺に連絡いちいち寄越さないし」
「そうか、ならいい」
「方人さんがどうかしたんですか?」
嫌な予感しかしないけれど、何を考えてるか分からない方人さんのことを無視するわけにもいかない。
聞き返せば、阿賀松伊織は「気になんのか?」と意味有りげに笑う。その笑い方がただただ不快で、俺は「別に」とだけ答えて部屋を出て行った。
兄貴の部屋を出て、俺は無意識の内に溜息を吐いた。
兄貴が戻ってきてからというものの、息を付く暇すらない。
……齋藤、大丈夫だろうな。
ここ数日、兄貴に捕まっていたせいでろくに方人さんの部屋に戻れなかった。齋藤のことだ、俺の事を心配して気が気でもないんじゃないだろうか。
……おみやげに、お菓子でも買って会いに行こうか。
そんなことを考えながら、俺は一先ず学生寮一階に降りることにした。
夜、ショッピングモール内は相変わらず暇を持て余した生徒で溢れ返っていた。
人混みを無視して、コンビニへと入る。齋藤が前に買っていたチョコレート菓子を買って、ついでに自分用の飲み物も一緒に精算を済ませた。
自室に戻る前に一度方人さんの部屋へと戻ろうと、ロビーまでやってきたときだ。
この時間帯に制服を着込んだ集団を見つける。右腕に嵌められた腕章を見ずとも、そいつらが風紀委員だというのはすぐに分かった。連中は、何かを話し合って、それからすぐに学生寮内へと散り散りになる。
……見回りにしては、妙な時間だ。腕時計で現在時刻を確認した。まだ消灯時間前の見回り時間には早すぎる。
まあ、どうでもいいか。俺はエレベーターに乗り込んだ。
齋藤、俺がいない間大丈夫だっただろうか。方人さんにはあれだけ釘を刺していたのだ、問題ない……とは思えない。やっぱり、離れるべきではなかったんだ。
方人さんの部屋の前までやってきたときだ、通路の奥で人影を見かける。俺がそちらに目を向けたと同時に、人影はどこかへと引っ込んだ。……妙だな。気にはなったが、逃げた人影を追う趣味もない。よく人に恨まれる方人さんのことだ。どうせまた適当に遊んでは捨てたのだろう。
俺は、扉をノックする。
けれど、方人さんは部屋から出てこなかった。
方人さんが帰ってきていない?それとも居留守?
ドンドンと何度も扉を叩いた。インターホンも連打した。けれど、方人さんどころか齋藤が現れる気配もなかった。
少なくとも、方人さんは齋藤を閉じ込めるつもりはなかったようだ。もしかして齋藤はいるけど出ていいのか分からず決めあぐねてる可能性もあるのではないのだろうか。
前向きに捉えてみるものの、どうしても俺を無視している可能性が拭いきれない。俺がいないところで、俺の知らないところで、方人さんと齋藤が二人で身体を重ねてる想像をする。足元までさっと血の気が引く。
「糞……ッ!!」
そんなこと、あるはずがない。……と言い切れないだけに不安になる。正直、最初から方人さんに貞操観念とかそういうものは期待していない。
端末を取り出し、方人さんに電話する。何コールしても出てこない方人さんに舌打ちし、思いっきり扉を蹴り飛ばしたときだった。
「その部屋なら昨日から誰も戻ってきてないみたいだな」
後方、掛けられたその声に手を止める。振り返れば、そこには見覚えのある男が立っていた。
右腕には風紀委員と金文字の刺繍が入った腕章。
無造作な黒髪。その目付きの悪さと、風紀委員とは思えないような人相の悪いその男は確か……風紀委員長だ。
名前は……八木と言ったか。委員長会議でよく椅子にふんぞり返って座っているのを何度か見たことがある。
「近隣から煩いとクレームが入ってる。扉も蹴るな。壊すつもりか?」
面倒なやつに見つかった。
それは向こうも思ってるのかもしれない。疎むようなその目は、ただ不愉快だ。
けれど、それ以上に引っかかったのは。
「昨日から誰もいないって……なんでアンタがそんなこと知ってるんだよ」
「なんだっていいだろ。それよりも、部屋にはいないんだからさっさと大人しく自分の部屋に戻るなり本人に連絡するなりしたらどうだ?ここに居ても無駄だ」
「……」
風紀委員長がここにいるということは、たまたま通りかかったわけでもないだろう。クレームがあろうとなかろうと、方人さんの部屋の状況を知ってるということは……何か目を付けられるようなことをしたのだろうか、あの人は。心当たりはいくらでもある。けれど、この場合気になるのが齋藤とことだった。
風紀委員が絡んでるということは……少なくとも生徒会が動いていることに違いないはずだ。そして、阿賀松も方人さんの行方を探してるとなると……。
今度は何を企んでるのだ、あの人は。
「……ご忠告どうも」
これ以上、八木も何も言うつもりはないようだ。この男のことも気がかりだったが、これ以上一緒にいても無駄だ。俺はその場を離れ、方人さんがいそうな場所へと向かうことにした。
通路を歩く。既に夜は深い。消灯時間まで時間もない。
方人さんがそう簡単に野垂れ死ぬことはないだろう。けれど、だとしたら俺からも隠れる意味はあるのか?……いや、あるか。
志摩裕斗、兄の顔が過る。方人さんは兄のことを嫌っていた。だからだ、俺と方人さんが話すようになったのは。敵の敵は味方とは言ったものだが、味方なんてきれいな関係でもない。
けれど、兄の復帰が原因で俺を避けてるとしたら、方人さんが狙うのは阿賀松か兄か。
そこに齋藤もついて行ってると思わないが、それでも、一緒にいると見て間違いないだろう。
厄介だな。
トラブルの中心には常に兄がいた。今に始まったことではない。汚れ役も慣れていた。けれど、それでも、今は違う。
……齋藤。方人さんに何もされていないとは限らない。最悪、齋藤を使ってこちらを脅してくることも頭に入れておく必要があるというわけだ。
これも全部あの馬鹿兄貴のせいだ。
とにかく、方人さんと連絡取らないと。
俺は、方人さんがいそうな場所へと向かって駆け出した。
馴れ馴れしければ声もデカイ。おまけにどんだけ適当にあしらっても俺を自慢の弟だと言い出すのだ。どんだけ目が腐ってんのかと思う。もしかしたら兄なりの糞ジョークなのかもしれないが、だとしても、余計嫌いだ。
何よりも、自分が正義だと信じて疑わない愚直さ。
「亮太、ここ長くね?もっと軽くしてくれよ」
「煩い、っていうか、人に頼んでおいて注文多いんだよ。そんなに文句言うなら金払って店行ってこいよ」
「あ?何怒ってるんだよ。寂しかったのか?」
「ほんっと、うざい。そういう絡み方やめてよ。気持ち悪いんだけど」
「あっ、お前亮太今思いっきり切っただろ!」
「煩いな、短くしろって言ったのそっちでしょ」
「あっ、でも逆にこれいい感じだよな、な、どうよ志木村これ俺かっこよくない?イカしてない?」
「はぁ、そうですね、いいんじゃないんですか?」
「ちょっと、勝手にクルクル動かないでよ!手元が狂うっての!」
今まで入院していたお陰で停学扱いだった兄貴が二年ぶりに学園に戻ってきた。
阿賀松伊織曰く、半年前には目を覚ましていただとか抜かしていたが確かにここ数ヶ月まともに見舞いに行っていなかったのでその真偽も定かではない。
どちらにせよ、厄介だということには間違いないだろう。
だってそうだ。いきなり部屋に押し掛けてきたと思えば「部屋の片付け手伝えよ、暇だろ」とか言うし嫌だと断っても人の話し聞かないで無理矢理連れ出されるし、散々こき使われたと思えばこの始末だ。なんで俺がこいつの髪を切ってやらなきゃいけないのか、全く理解できない。というか前々から思っていたがこいつは俺のことをなんでも屋と勘違いしてるのではないか?
むしゃくしゃしたので「イケメンにしてくれよ」とか鬱陶しい注文付けてくる糞兄貴を無視して伸びてた前髪を思いっきり短くしてやり、鬱陶しいくらい伸びてた髪にもバリカンを入れてやる。
落ちた髪を束ねて遊んでる寮長を無視して、俺は髪を払う。
糞兄貴は「俺ハゲになってない?」とかめっちゃしつこく聞いてきたが全部無視した。それから、鏡を覗き込んで「うおー!!」と声を上げる。煩い。
「すげーここさっぱりした!やっぱ亮太お前器用だよなー!お前に頼んで正解だったな!」
「俺からしたらいい迷惑なんだけど」
「そんなこと言っちゃって、亮太君って本当にあれですよね、素直じゃないというか。会長、良いですね、その髪。僕のも切って下さいよ」
「寮長の髪は細いし、顔からしてツーブロ似合わないですよ。絶対今の方がましだと思いますけど」
「そうですか?そこまで言われたら仕方ないですね」
「……」
本当、なんでこんなこと俺がしてるんだろうか。
けれどするからには手は抜きたくなくて、結果的に喜ばせてしまったことがただ腹立たしい。
「おい、終わったのか?……へぇ、随分とこざっぱりしたじゃねえか」
ハサミを片付けていると部屋の扉が開き、会いたくない来訪者がやってきた。
阿賀松伊織の姿を見るなり、糞兄貴は「だろ?」と得意げに笑う。
「亮太が切ってやったのか……ふぅん、やっぱり、兄貴には敵わねえのか?」
「……別に、先輩には関係ないでしょ」
「コラ亮太!そんな言い方したら駄目だろ!伊織、こう見えてナイーブだから」
「へぇ、そりゃ初耳だな。俺は繊細なのか」
「……」
本当、なんでここに自分がいるのだろうか。今すぐここから立ち去りたい。そもそも、俺にはやらなければならないことがいくつもあるのだ。暇ではない。
「用なら済んだでしょ、後は自分でやりなよ。俺は戻るから」
「おい、待てよ」
面倒になる前にさっさとその場から退散しようとすれば、阿賀松に呼び止められる。……最悪だ。
俺は、この男が嫌いだ。兄貴と気が合うという時点でもだが、何より学園内でも一番の権力を笠に着る男だ。利用できるものは全て利用する、行動力もそれを補うだけの権力も持ち合わせる厄介な男。何より、齋藤を飼ってる気でいる。
「何の用ですか」
「方人がどこに行ってるか、聞いてないか?」
「方人さん?知るわけないでしょ。あの人、俺に連絡いちいち寄越さないし」
「そうか、ならいい」
「方人さんがどうかしたんですか?」
嫌な予感しかしないけれど、何を考えてるか分からない方人さんのことを無視するわけにもいかない。
聞き返せば、阿賀松伊織は「気になんのか?」と意味有りげに笑う。その笑い方がただただ不快で、俺は「別に」とだけ答えて部屋を出て行った。
兄貴の部屋を出て、俺は無意識の内に溜息を吐いた。
兄貴が戻ってきてからというものの、息を付く暇すらない。
……齋藤、大丈夫だろうな。
ここ数日、兄貴に捕まっていたせいでろくに方人さんの部屋に戻れなかった。齋藤のことだ、俺の事を心配して気が気でもないんじゃないだろうか。
……おみやげに、お菓子でも買って会いに行こうか。
そんなことを考えながら、俺は一先ず学生寮一階に降りることにした。
夜、ショッピングモール内は相変わらず暇を持て余した生徒で溢れ返っていた。
人混みを無視して、コンビニへと入る。齋藤が前に買っていたチョコレート菓子を買って、ついでに自分用の飲み物も一緒に精算を済ませた。
自室に戻る前に一度方人さんの部屋へと戻ろうと、ロビーまでやってきたときだ。
この時間帯に制服を着込んだ集団を見つける。右腕に嵌められた腕章を見ずとも、そいつらが風紀委員だというのはすぐに分かった。連中は、何かを話し合って、それからすぐに学生寮内へと散り散りになる。
……見回りにしては、妙な時間だ。腕時計で現在時刻を確認した。まだ消灯時間前の見回り時間には早すぎる。
まあ、どうでもいいか。俺はエレベーターに乗り込んだ。
齋藤、俺がいない間大丈夫だっただろうか。方人さんにはあれだけ釘を刺していたのだ、問題ない……とは思えない。やっぱり、離れるべきではなかったんだ。
方人さんの部屋の前までやってきたときだ、通路の奥で人影を見かける。俺がそちらに目を向けたと同時に、人影はどこかへと引っ込んだ。……妙だな。気にはなったが、逃げた人影を追う趣味もない。よく人に恨まれる方人さんのことだ。どうせまた適当に遊んでは捨てたのだろう。
俺は、扉をノックする。
けれど、方人さんは部屋から出てこなかった。
方人さんが帰ってきていない?それとも居留守?
ドンドンと何度も扉を叩いた。インターホンも連打した。けれど、方人さんどころか齋藤が現れる気配もなかった。
少なくとも、方人さんは齋藤を閉じ込めるつもりはなかったようだ。もしかして齋藤はいるけど出ていいのか分からず決めあぐねてる可能性もあるのではないのだろうか。
前向きに捉えてみるものの、どうしても俺を無視している可能性が拭いきれない。俺がいないところで、俺の知らないところで、方人さんと齋藤が二人で身体を重ねてる想像をする。足元までさっと血の気が引く。
「糞……ッ!!」
そんなこと、あるはずがない。……と言い切れないだけに不安になる。正直、最初から方人さんに貞操観念とかそういうものは期待していない。
端末を取り出し、方人さんに電話する。何コールしても出てこない方人さんに舌打ちし、思いっきり扉を蹴り飛ばしたときだった。
「その部屋なら昨日から誰も戻ってきてないみたいだな」
後方、掛けられたその声に手を止める。振り返れば、そこには見覚えのある男が立っていた。
右腕には風紀委員と金文字の刺繍が入った腕章。
無造作な黒髪。その目付きの悪さと、風紀委員とは思えないような人相の悪いその男は確か……風紀委員長だ。
名前は……八木と言ったか。委員長会議でよく椅子にふんぞり返って座っているのを何度か見たことがある。
「近隣から煩いとクレームが入ってる。扉も蹴るな。壊すつもりか?」
面倒なやつに見つかった。
それは向こうも思ってるのかもしれない。疎むようなその目は、ただ不愉快だ。
けれど、それ以上に引っかかったのは。
「昨日から誰もいないって……なんでアンタがそんなこと知ってるんだよ」
「なんだっていいだろ。それよりも、部屋にはいないんだからさっさと大人しく自分の部屋に戻るなり本人に連絡するなりしたらどうだ?ここに居ても無駄だ」
「……」
風紀委員長がここにいるということは、たまたま通りかかったわけでもないだろう。クレームがあろうとなかろうと、方人さんの部屋の状況を知ってるということは……何か目を付けられるようなことをしたのだろうか、あの人は。心当たりはいくらでもある。けれど、この場合気になるのが齋藤とことだった。
風紀委員が絡んでるということは……少なくとも生徒会が動いていることに違いないはずだ。そして、阿賀松も方人さんの行方を探してるとなると……。
今度は何を企んでるのだ、あの人は。
「……ご忠告どうも」
これ以上、八木も何も言うつもりはないようだ。この男のことも気がかりだったが、これ以上一緒にいても無駄だ。俺はその場を離れ、方人さんがいそうな場所へと向かうことにした。
通路を歩く。既に夜は深い。消灯時間まで時間もない。
方人さんがそう簡単に野垂れ死ぬことはないだろう。けれど、だとしたら俺からも隠れる意味はあるのか?……いや、あるか。
志摩裕斗、兄の顔が過る。方人さんは兄のことを嫌っていた。だからだ、俺と方人さんが話すようになったのは。敵の敵は味方とは言ったものだが、味方なんてきれいな関係でもない。
けれど、兄の復帰が原因で俺を避けてるとしたら、方人さんが狙うのは阿賀松か兄か。
そこに齋藤もついて行ってると思わないが、それでも、一緒にいると見て間違いないだろう。
厄介だな。
トラブルの中心には常に兄がいた。今に始まったことではない。汚れ役も慣れていた。けれど、それでも、今は違う。
……齋藤。方人さんに何もされていないとは限らない。最悪、齋藤を使ってこちらを脅してくることも頭に入れておく必要があるというわけだ。
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